<第189回国会 2015年3月27日 東日本大震災復興及び原子力問題特別委員会>


復興財源・自治体負担求めるな/就労不能賠償の打ち切りの撤回を

☆東日本大震災復興の基本施策に関する件

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 東日本大震災、原発事故から四年がたちました。
 それで、私、三月十一日は福島県の浪江町の追悼会に参列をさせていただきました。それで、遺族の方を代表して追悼の辞を述べられた方が十九歳で、今大学一年生という女性の方でした。本当に大好きだったおじいちゃん、おばあちゃんを亡くしたと、もうお帰りの言葉も聞けないという思いと同時に、やはり亡くなった人の死を決して無駄にしませんということを語っておられていまして、後ろ姿を見ていたんですけれども、やっぱりそういう決意というものを感じました。それと、馬場町長さんの御挨拶の中で非常に印象に残ったんですけれども、やはり被災に遭って直ちに救援活動をやりたかったと、しかしながらあの事故でそれができなかった、あるいは御遺体を捜すことすらできなかったということに対する無念な思いというのがひしひしと伝わってまいりました。
 私は、やはり本当に、被災地の皆さんの今もそういう苦悩を抱えながらやっている思いにしっかり寄り添いながら一つ一つやっぱり前に向かって前進させていくということでは、我々政治家の役割まだまだたくさんあるということを改めて痛感してまいりました。
 そこでなんですけれども、集中復興期間の財源についてなんですけれども、このところ大臣は、市町村も自立するという強い意思を持ってもらうと、ずっと国に寄りかかることはできないというお話を、財政負担を被災自治体に求める発言をされました。私は、昨年のこの本委員会で集中復興期間後の財源を確保するように求めましたけれども、それに対して大臣は、レビューをしっかりやった上で中長期的に考えていかなければならない課題だと述べられていました。
 まだレビューも終わっていないのに自治体の負担ということになると、そういうふうに言われれば、これは被災地切捨てという印象を与えることになるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(復興大臣 竹下亘君) 切り捨てません。そこは安心してください。
 我々は、集中復興期間が終わった後も止まりません。もう総理も何回もお話しになっているところでございます。復興の基幹的な事業、特に原発由来の復興については引き続き国費で全て負担をしてやっていこうと、こう基本的に考えております。ただ、総理も我々にいただいた指示の中で述べていらっしゃいますように、復興のステージがいろいろ変わってきておると、やっぱり自立していただくということを復興の大きな目的に考えて対応しなさいという指示をいただいておりますが、私もそう思います。
 一つは、被災をされた皆さん方お一人お一人に自立をしていただくために我々は復興のお手伝いをしているわけで、未来永劫にお支えするということではない、やっぱり自立していただくことが一番大事だと、こう考えております。お一人お一人の人生ですから、そこをしっかりやっていただくと。各市町村にも私は同じようなことが言えると。ほとんどの部分については国の直接負担でやるんですが、各市町村も自立するぞという思いをしっかり持っていただきたい。全て国に頼るという状況から私はステージは変わってきているんではないかなと、こう感じております。
 ですから、これからどうすればいいか、地方負担について議論をさせていただきたいということを今お話をしておる状況で、現実に今、各市町村と復興庁の役職の皆さん方とで議論をスタートをいたしております。それは、まずはレビュー、総括をするということも一つでありますが、その後のことについて、あと何が残っているんだと、これは本当に復興本体としてちゃんとやるべきことか。あるいは、復興に関わりが全くないものなんかあの地域一つもないんです。しかし、関わりは物すごく濃いものからだんだん薄いものまでいろいろあるんです。それについて今、議論をこれからまさにスタートをしておるところでございます。
 私自身も、知事や市町村長と、これは相当時間を掛けてというか、しっかりと議論をしなきゃならぬ課題だと、こう思っております。

○紙智子君 今、切り捨てないんだというふうにおっしゃった。自立して頑張りたいというのは被災者自身が最も強く思っていることだとは思います。ただ、やっぱりそれでもできないことがあるわけで、そこは国の対応というのは本当に大事だというふうに思います。
 それから、復興予算の支出、使い方を振り返りますと、やはり当初、予算の流用という問題が大きな問題になりました。政府は二〇一二年十一月二十七日に、今後の復興関連予算に関する基本的な考え方を閣議決定をしたわけです。しかし、既往の国庫債務負担行為などは例外扱いというふうにしました。
 防衛省にお聞きしますけれども、例外規定になった予算項目を見てみますと、二〇一三年度の決算で、武器購入費二十八億円、通信機器購入費三百億円、航空機購入費、航空機修理費などが入っているわけです。どういう武器や航空機を購入したのでしょうか、お答えください。

○政府参考人(防衛省経理装備局長 三村亨君) お答えいたします。
 東日本大震災特別会計に計上される全国向け予算につきましては、平成二十四年十一月の復興推進会議決定を踏まえ、使途の厳格化を図る観点から、それ以降、津波被害を踏まえて新たに必要性が認識された一部公共事業、子供の安全確保に係る緊要性の高い学校の耐震化事業、そして既契約の国庫債務負担行為の歳出化分に限ることとされたところでございます。これを踏まえまして、防衛省としては、既契約分の国庫債務負担行為の歳出化分として、東日本大震災復興特別会計に所要の予算を計上したところでございます。
 御指摘の二十五年度の同特別会計決算書における項目、金額及びその具体的な内容につきましては、御指摘の武器購入費として、被災地域で活動に使用した化学防護車の損耗更新のため、NBC偵察車の取得など約二十八億円、それから通信機器購入費として、東日本大震災への対応を踏まえ、今後の災害への備えを万全を期するため、災害派遣活動などにおける情報通信能力を向上させるための広帯域多目的無線機の取得など約二百八十八億円、航空機修理費として、被災地域での活動において計画飛行時間を大幅に超えて使用した各種の航空機のための部品の取得や、オーバーホール等を行うための航空機の復旧、維持整備など約七十億円、そして航空機購入費として、被災地域での活動において使用した輸送機が、飛行時間の増加により運用停止時期が前倒しして到来することに対応するための輸送機の取得など約二千万円がございます。

○紙智子君 今いろいろ紹介されたんですけれども、緊急に救援活動が必要な時期からはもう大分間がたっているわけですよね。今言われた非常に高額な武器や飛行機、ヘリコプターも含めてですね、CH47輸送ヘリなんかも含めてですね、これは今のお話からいうと、要するに今後に備えてというような趣旨なのかなというふうにも思います。
 それで、二〇一五年度に復興予算に計上されている航空機の購入費、CH輸送ヘリというのは十二億円ですよね。本来はこれ防衛省の予算に含めるものなんじゃないのかと。本来防衛省の予算に計上すべき多額の予算を、復興、防災に名を借りてこれ復興庁の予算に計上して装備を強化したんじゃないかと。武器に買うことが被災地の本当に切なる願いなのかと。
 もう一方でいいますと、緊急で切実な願いというのはあるわけですよ。例えば、私も何度か仮設住宅にも訪ねていろいろお聞きしたんですけれども、被災地で強く要望が上がってる医療、介護の負担の減免制度、これは廃止をされたわけです。復活に必要な財源というのは、大体それを復活させるためには一千億ぐらいあればできるということなんですけれども、それに匹敵するか、それ以上ぐらいのお金がそこに使われているわけです。
 それからまた、復興財源ですけれども、国民が納める復興特別所得税は、さっきも話がありました、続きます。しかしながら、法人が納める復興特別法人税、これは当時約九千億円あったわけで、これが廃止をされると。企業減税が行われたわけですよ。私はこういう予算の在り方をやっぱりレビューする、調査すべきだと、それこそ調査すべきだというふうに思うわけですね。予算の使い方でいえば例外規定が本当によかったのか、財源でいえば復興法人税の廃止が本当によかったのか、まずはしっかりレビュー、検証すべきではないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(復興大臣 竹下亘君) 武器、武器とおっしゃいましたが、輸送手段あるいは無線手段であって、そこは、何か武器というと撃つものという、あるいはそういうものをイメージしてしまうものですから、ちょっと違和感を覚えたことをお話をさせていただきます。
 それから、復興予算について復興に関係ないものに使われたのではないかという御指摘があったことは事実でありますし、しかし、それはもう既に対応いたしました。全て対応いたしました。なおかつ、残っておるものは学校の耐震化、これ全国でやっておりますが、これだけでありまして、それ以外のことは基本的に復興以外に使わないという方向で現在の復興予算は構成をされておると認識をいたしております。
 それから、法人税等々、財源についてどう思うかということでございますが、大事なことは、財源をしっかり、安心していただく財源を確保するということでございまして、政府としてもその後、例えば予算の中で不用が出た部分の半分を復興予算に入れるというような形で補填をして、トータルとして今二十六兆三千億円の財源を、財源というか返済の裏付けを確保をいたしております。復興にとって大事なことは、我々にとって大事なことはそういうことであると。それはしっかりとできておると。
 そして、今後五年を展望するに当たって、その財源が何であるかということは実はまだ全然見えていないわけでありますが、しっかりと財源を確保していくということが我々に課せられた課題であると、こう認識しております。

○紙智子君 ですから、先ほども言いましたけれども、当時九千億の法人税、特別法人税が廃止になって、その分があったら例えば医療、介護の問題もできたんじゃないかということもあるわけですよね。
 それで、被災地では、公共事業はもちろんですけれども、ソフト事業や医療や心のケア、コミュニティーときずなを確立するなど、生活となりわいを復興させるための支援を途切れなく続けるということが大切だと思うんです。自治体負担を言う前に、やっぱり私は率直に言って、復興大臣なわけですから、そういう被災地に対して激励や支援するメッセージを是非言っていただきたかったなというふうに思います。
 それから次なんですけれども、避難指示区域内の就労不能賠償についてです。
 本年の二月末で就労不能賠償が打ち切られました。就労不能賠償を受けている方にどういう説明をしてきたのか、説明会などを開催されたのかどうか、経済産業省、副大臣来ておられます、お願いします。

○副大臣(経済産業副大臣 高木陽介君) ただいま御指摘をいただきました就労不能損害賠償につきましては、昨年の二月、東京電力で一年間の賠償を行うことをプレス発表するとともに、昨年春には賠償している方々に対しまして、住居確保損害等の賠償のお知らせと併せましてこの就労不能損害賠償についてダイレクトメールで送付をさせていただきました。よって、説明会等については個別のダイレクトメール等の送付を行っていることから開催はしておりません。ただし、本年二月に賠償の終期、いわゆる終わるということで、その時点で賠償している方々に対しましては、本年三月以降は、障害をお持ちであることなどの個別のやむを得ない理由で就労が困難である方々については個別の事情を具体的に伺い賠償することと、こういった旨でお知らせをさせていただいております。

○紙智子君 まともな説明会がされていないんですね。東電はホームページでプレス発表をしているだけなんですよ。今年に入ってからのお知らせも出していないんですね。私、福島に行って聞いたんですけれども、説明会などなかったというふうに言っています。
 これまで支払われた就労不能賠償は二千二百億円ですけれども、福島の平均所得に、大体ざっと計算しますと優に一万人を超えるわけです。そういう方たちがまともな説明も受けずに一方的に打ち切られると。このことが福島の復興に与える影響をどう認識されるのか。私は、復興大臣としてこういうの黙っていていいのかなというふうに思うんですけど、いかがでしょうか。

○国務大臣(復興大臣 竹下亘君) 黙っていていいのかと言われても、正直言って見守るしかないと、もう本当に注目しながら見守っていかなければならない課題だと思っております。
 賠償の在り方については、担当しておる役所あるいは東電といったようなものの具体的な交渉が今行われておるところでございまして、正直言って、検討をしっかりと見守っていく、ただし、ぼうっとして見守るんではなくて、非常に、先ほどもお話ししましたように、物すごく注目して見守っているんです。我々としては、被災された皆さん方に十分な再び立ち上がるための支援があればいいなという強い思いを持っておりますから、そういう意味で、しっかりと注目しながら見守っているところでございます。
 復興庁の役割というのは……(発言する者あり)はい、分かりました。

○紙智子君 私は浪江町に行って話を聞いて、就労不能賠償が打ち切られて月に十万円で暮らすことになると。病院を解雇されたある女性が、原発事故で仕事ができなくなって悲しいと、避難場所で仕事を探すのは困難だと。病院の経営者の方もいるんだけれども、経営者の方は、就労不能賠償が打ち切られて雇用の継続が困難になったために解雇せざるを得なくなったけれども、院長としては、小さくても浪江に戻って病院を再開するんだということで頑張っているわけです。
 解雇された女性は、病院がないと、やっぱりみんなも浪江町に帰ろうとする者も帰れないと、東電と国がやっていることは帰りたいと思っている被災者の夢を奪っているんじゃないかということも訴えられたわけです。
 総理は、三月十日の記者会見で、閣僚全員が復興大臣であるというふうに言われたと思うんですね。
 改めてお聞きしたいんですけれども、やっぱり復興大臣として、こういう思いに今立たされている住民の皆さんに対して、見守ると言っておられますけれども、何らかのそういう窓口をつくってちゃんと相談に乗るとか、やっぱり何らかの対応をして見過ごさないということが大事じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(復興大臣 竹下亘君) 交渉事でもありますし、先ほど申し上げましたように、これは見守らざるを得ないなと。ただし、しっかりと見守るというか、物すごいぎらぎらした目を持って見守っていかなきゃならぬ課題だなとは思っております。
 個別のことにつきましては、少し私では分からぬことございますので、お話をまた後でいただければ、しっかりした対応も考えたいと思います。

○委員長(櫻井充君) 時間が参りました。簡潔におまとめください。

○紙智子君 はい。
 この損害賠償の問題は公共事業の補償基準を参考に作っているんですね。それで、原発事故は公共事業とは違うと。これからでも遅くないので、この就労不能賠償の打切りについては撤回するということを是非国としてやるべきではないかということを申し上げて、質問を終わります。