<第189回国会 2015年3月27日 沖縄及び北方問題に関する特別委員会>


軍用跡地の問題ただし、地位協定抜本改定を求める

☆沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 駐留軍用地の跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法の一部改正する法律案について、これ、米軍基地の返還の際に国や米軍の一方的な都合で決定されることもあり、自治体の町づくり計画が遅れて、土地所有者、地主の経済負担も増えるという問題があったわけですけれども、このような負担を軽減し、跡地の有効利用を促進するために国の法的な、財政的な特別措置を行うための法律ということで、引き続き適用できるようにするということなので、賛成です。
 それで、西普天間住宅地区の返還に関連してお聞きします。
 沖縄戦で多くの県民が犠牲になり、大変な被害を受けました。米軍基地は、その上に銃剣とブルドーザーで奪った土地に造っていると。二〇一四年の八月以降、宜野湾市による西普天間住宅地区の文化財の調査中に異臭やドラム缶などの異物が確認をされ、急遽、防衛局による汚染状況などの調査が行われたと聞いております。防衛局は、出てきたドラム缶を土壌汚染対策法等に基づいて調査を行ったところ、ダイオキシン類やPCBや農薬類は全て基準に適合若しくは不検出だったと。したがって、環境や人体への影響はないなどと言っているわけです。
 しかしながら、沖縄・生物多様性市民ネットワークの皆さんは、宜野湾市と市の教育委員会に対して、西普天間住宅地区で去年八月に見付かったそのドラム缶について、やっぱり第三者の専門家を入れて調査を行うように求めているわけです。ネットワークの代表の方は、沖縄防衛局のほかに第三者が分析していないじゃないかと、作業者の安全も確保されていないんじゃないかということを指摘をしています。
 今後も、返還される軍用地でも同様のことが想定されるわけでありまして、廃棄物や土壌汚染を想定した作業員のマニュアルの整備なども必要だと思いますけれども、防衛省、いかがでしょうか。

○政府参考人(防衛省地方協力局次長 山本達夫君) お答え申し上げます。
 防衛省といたしましては、米軍施設・区域の返還に伴いまして汚染物質が発見された場合には、土壌汚染対策法等に基づき、適切に調査、除去を実施をしております。
 西普天間住宅地区におきましても、先生御指摘のとおり、これまでに発見されました合計十八本のドラム缶の付着物及び油臭土壌等につきまして、環境大臣が指定をした指定調査機関が調査を行い、また部外の有識者の方の御意見も伺った上で、昨年、平成二十六年十二月に公表を行ったところでございます。
 防衛省といたしましては、西普天間住宅地区の支障除去につきましては、跡地利用の促進を図る観点から、今後とも土壌汚染対策法等に基づき適切に取り組んでまいりたいと考えております。

○紙智子君 質問したことに答えていただきたいんですよ。今質問したこと、分かっておられますよね。第三者入れてやったらどうかと、それから土壌汚染を想定した作業員のマニュアルの整備必要じゃないかということを聞いたんですよ。

○政府参考人(防衛省地方協力局次長 山本達夫君) お答え申し上げます。
 西普天間住宅地区におきます土壌汚染調査につきましては、土壌汚染対策法等に基づき、土壌汚染調査の業務を的確かつ円滑に進行するに足りる技術的能力を有すること等の基準に適合するとされた指定調査機関におきまして、環境省令で定める方法に従って、一、調査対象地の土壌汚染のおそれの把握、二、試料採取等を行う区画の選定、三、試料採取等の結果の評価等を今後実施することとしております。
 防衛省といたしましては、今後とも、土壌汚染対策法等に基づき、適切に支障除去に取り組んでまいりたいと考えております。

○紙智子君 結局、技術を持っているそういう人たちがやっている、そういう指定しているところにやらせているからちゃんとやってるんだというような今御回答だったかと思うんですけど、それじゃ納得してないわけですね。住民の皆さんの中では不安があるし、しかも実際にどう扱うかと。
 今回も結局文化財の調査中に出てきたと。で、これ何が出てきたんだろうと、自分たちが素手でやっていいのかどうだろうかということで思ったわけじゃないですか。そのときに、もし本当に危険なものが出てきた場合は人体にも大きな影響を与えるわけですから、その際のやっぱりマニュアルとか、きちっとさせておくべきじゃないかってことを聞いたのであって、何かやってますという答弁じゃ全然納得できないんですけれども。

○政府参考人(防衛省地方協力局次長 山本達夫君) お答え申し上げます。
 ただいま御答弁申し上げましたように、返還予定地につきましては、土壌汚染対策法等の関連法規に基づき適切に調査、除去をしているところでございます。今後、西普天間住宅地区につきましても、返還後に支障除去措置を実施することとしております。現時点では約二、三年と見込んでおりますけれども、その間に適切な形で支障除去措置をとると同時に、周辺の住民の皆様方に御不安をお与えしないよう、適切に情報提供等をしてまいりたいと考えております。

○紙智子君 なかなかちょっと分かりづらい答弁なんですけど、要するに、適切かどうかということに対してやっぱり疑問を持っている住民の方がいらっしゃるってことですからね。これでよしとしないで、確かに技術を持っている人にやっているのかもしれないけれども、業者に丸投げするんじゃなくて、ちゃんとやっぱり心配、不安に応えるような対応策というのは説明することも含めてやるべきだというふうに思いますよ。
 それから、マニュアルですね、業者がマニュアル持っているかもしれないと思っているかもしれないけど、ちゃんとやっぱり安全対策ということは必要ですから、それは是非検討していただきたいと思います。
 それから、次に行きますけれども、西普天間住宅地区で米兵の住宅を取り壊した際に、住宅に使われた資材の中にアスベストが入っていたということが発見されたわけです。返還されて以降の住宅の取壊しについても慎重で丁寧な作業と住民に対する十分な情報公開が求められていると思うんですけれども、業者とか期間とか工法とかアスベストの濃度の測定とか、こういったことを含めて、住民に対する説明会というのはやっているでしょうか。

○政府参考人(防衛省地方協力局次長 山本達夫君) お答え申し上げます。
 西普天間住宅地区におきましては、二棟の建物につきまして先行して解体を行ったところ、解体工事を実施するに当たって事前に行った調査の結果、建築資材の一部からアスベストの含有が確認されたため、適切に飛散防止対策を講じた上で、昨年、平成二十六年一月から二月までにかけてアスベストの除去作業を実施をいたしました。除去作業に際しましては、適切に飛散防止対策を講じた上で作業を実施する旨、宜野湾市に対して御説明を行ったほか、沖縄防衛局のホームページにおきましても公表したところでございます。
 アスベストの含有の有無を把握するための調査を昨年、平成二十六年十二月から実施をしております百四十九棟につきましても、アスベストの含有が確認された場合には、適切に飛散防止対策を講じた上で除去作業を実施することはもちろんのこと、関係自治体あるいは周辺の住民の方に情報提供を行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

○紙智子君 市には説明してやったんだけれども、あとはホームページで知らせたという話がありましたけど、やっぱりホームページ見る人も見ない人もいるわけですから、みんながみんな見れるわけじゃないですから、なかなか伝わっていかないということもあるわけで、やっぱり住民の方たちに説明会というのは行うべきだというふうに思います。やっぱりちゃんと知らせていくということは徹底していただきたいというふうに思います。
 それから、返還された基地の跡地に造られた沖縄市のサッカー場で発見されたドラム缶の話、先ほどもありましたけれども、発がん性が指摘されるジクロロメタンが高濃度で発見されたと。うち一本からは土壌汚染対策法の指定基準の四十五万五千倍ですから、ちょっと想像できないぐらいのすごい高い濃度かなと思うんですけど、が検出されたと。
 このジクロロメタンというのは一体何に使われて、環境や人体への影響というのはないのかどうか、伺いたいと思います。

○政府参考人(環境省水・大気環境局長 三好信俊君) ジクロロメタンの化学物質としての性状等に関する御質問でございますが、ジクロロメタンは塩素を含む揮発性有機化合物で、常温で液体であり、無色透明で、水に溶けやすい性質を持っております。環境中では分解されにくい物質で、土壌中に原液のまま排出された場合、土壌への吸着性が弱いため、地下浸透して地下水を汚染し、長期間残留する可能性があることが知られております。
 人体への影響につきましては、動物実験により知見が得られた肝臓への毒性やその他発がん性について、国際がん研究機関は、ジクロロメタンを人に対して発がん性があるかもしれない物質に分類していると承知をいたしております。
 なお、用途につきましては、金属部品等の加工段階で用いた油の除去や、医薬品や農薬を製造する際の溶剤などに主に使用されているものと承知をいたしております。

○政府参考人(環境省水・大気環境局長 三好信俊君) 環境への影響といたしましては、土壌への吸着性が弱いため、地下水を汚染し、長期に残留する可能性があると考えております。また、人体への影響につきましては、肝臓への毒性や発がん性が国際的な機関で確認をされているところでございます。

○紙智子君 専門家の方が、人が住む環境では絶対にあり得ない数値で出ていると、化学物質を扱う工場などの濃度に匹敵するんじゃないかというふうに言っています。高度な化学物質で非常に取扱いが難しい、当時の一般人の使用ではとても考えにくく、米軍による遺棄物の可能性があるというふうに指摘をしているわけですね。非常にやっぱりこういう危険なものが出てきているということを認識しておく必要があると思うんですよ。それで、やっぱりちゃんと対応策取らなきゃいけないと。
 県内の工事現場の、道路の建設の工事中に、沖縄戦で犠牲になられた方たちの遺骨も発見されているということですよね。県内の至るところから実は発見されていると。今後、基地の返還跡地からも発見される可能性はあるわけで、先ほど儀間さんの話ありましたけれども、それこそ戦火の中を逃げ惑って、戦後七十年たった今も発見されないままの犠牲者の方たちがいると。その遺骨が発見された場合には是非DNA鑑定を行って御遺族の元に遺骨を届けるなど、きちっと政府も誠意を持って対応して調査をすべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(厚生労働大臣官房審議官 谷内繁君) お答えいたします。
 厚生労働省におきましては、平成十五年三月に取りまとめられました戦没者遺骨のDNA鑑定に関する検討会の報告書を踏まえまして、平成十五年度から、死亡者名簿等の記録資料から戦没者とその御遺族の推定が可能であり、御遺骨から鑑定に有効なDNAの抽出が可能であり、御遺族から検体が提供される場合にはDNA鑑定を実施しております。
 沖縄において収容されました御遺骨のうち、今申し上げた要件を満たすものは今までで七十七柱ございました。九十三名の御遺族から申請をいただきまして、四柱の御遺骨の身元が判明し、御遺族にお返ししております。
 今後とも、収容のあった御遺骨は一柱でも多く御遺族の元へお返しできるよう努めていきたいと考えております。

○紙智子君 今やられていることを言われたんですけれども、今のやり方ではなかなかやっぱり現地の方納得していないと。遺族の方は、戦後七十年ということで、もう高齢になっている方が多いわけです。だけど、そういう中でも今もやっぱり探していると。
 そもそも、やっぱり国が起こした戦争なわけですから、遺骨が発見されてからDNAを鑑定するということではなくて、例えば、希望する遺族の検体を事前に登録しておいて、遺骨が発見された場合にすぐ照合をするというような仕組みをつくるなどすべきではないかと。ボランティアで遺骨をいろいろ収集している方いらっしゃるんですけど、最後の一人の遺骨まで収集できるまでやっぱり国の責任で取り組んでほしいということなんですけれども、一言いかがでしょうか。

○政府参考人(厚生労働大臣官房審議官 谷内繁君) まず、沖縄で収容された御遺骨につきましては、他の南方地域と同様でございますけれども、気候条件からそもそもDNAが抽出されにくい状況にあるということがございます。また、散骨しておりまして、遺骨の個体性を区別することが難しく、仮に遺留品があってもどの遺骨と結び付くのか判断が難しいものが多いといった理由から、先ほど申し上げましたように、全ての御遺骨についてDNA鑑定を行うことは難しいというふうに考えているところでございます。
 一方で、今先生がおっしゃいましたように、全ての御遺族からと、まずはDNAを採ってという御提案でございますけれども、これにつきましては、我々として、コスト面の問題。ただ、今後はDNA鑑定の技術が仮に向上した場合にどういった方法が取れるかということもございますので、そういうことについては慎重に検討していきたいというふうに思っております。

○紙智子君 全てのというふうに言っていなくて、希望する、少なくとも希望する方からというふうに言いました。
ちょっと時間もなくなりましたので、やっぱりなぜこういう問題が次々と出てくるのかと。これまで米軍が返還した土地をどういうふうに使用しているのかという全体像をやっぱり分かっていないんじゃないかと。米軍がどこでどういうふうに使用していたかということも全然分からないから、掘ってみないと分からないということが繰り返されているわけで、やっぱり地位協定の下で、返還前に基地に入ることもできませんし、今回、文化財の調査中に本当に一部掘って出てきたということですから、まだほかにもいろいろなものが出てくる可能性があるわけで、弾薬始め何が出てくるか分からない状態のままで返還されても住民の不安が残るのは当然だというふうに思うんですね。
 ちょっと時間がないので、併せて言いますけれども、やっぱり地位協定の下で、本来だったら……

○委員長(風間直樹君) 紙君、質疑をおまとめくだい。

○紙智子君 はい。
 これ、使っていた米軍の側がちゃんと処理をしなきゃいけないはずなのに、それができないというのはここに問題があるということでは、やっぱり現状をちゃんと元どおりに、基地になる前の姿に戻すように、しっかりと地位協定の抜本的な改定こそ求めていただきたいというふうに思います。
それで、是非最後、外務大臣お願いします、副大臣。

○副大臣(外務副大臣 城内実君) 日米地位協定では、在日米軍施設・区域の返還に際して、米国はこれを提供時の状態に回復し、又はその回復の代わりに我が国に対し補償する義務を負わない旨が規定されております。
 これは、米側に原状回復の義務がない代わりに、日本側においても、残される建物、工作物等について米側へ補償する義務を負わないという形で、双方の権利義務のバランスを取っているものであります。このため、返還地の原状回復については、必要に応じて日本側が行うこととしております。
 他方で、米軍が施設・区域を使用するに当たっては、日米地位協定に基づき、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきことは言うまでもありません。また、在日米軍は、米国防省の策定した基準に沿って、環境に関し、我が国の国内法上の基準と米国の国内法上の基準のうち、より厳格なものを選択するとの基本的な考え方の下に、日本環境管理基準を作成しております。
 現に発生した環境事故、すなわち漏出への対応は、米軍が、先ほど申しました日本環境管理基準、JEGS、これを遵守することの帰結として米側が行うこととなっております。
以上でございます。

○紙智子君 補足とかなんとかじゃなくて、やっぱり抜本改定なんですよ、求めているのは。そのことを改めて強く求めまして、終わります。

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○委員長(風間直樹君) 他に御発言もないようですので、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕

○委員長(風間直樹君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。