<第189回国会 2015年3月25日 沖縄及び北方問題に関する特別委員会>


基地は経済発展の阻害要因/新たな基地建設に反対

☆沖縄及び北方問題に関しての施策に関する件

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 沖縄では、基地問題をめぐって、この一年間の間に保守、革新の垣根を越えた島ぐるみの大きな変化が起こっています。二〇一二年の九月、米政府によって垂直離着陸輸送機、オスプレイですね、この強行配備に対して十万人余りの県民が結集をして反対集会が開かれました。オスプレイ配備反対、それから普天間基地を閉鎖、撤去をする、それから県内移設の断念を求める建白書が出されて、その実現への運動が広がりました。昨年の県知事選挙では、この建白書実現の立場に立つ翁長氏が仲井眞前知事に大差を付けて当選をすると。続く十二月の総選挙では、四つの小選挙区の全てで辺野古の基地建設反対のオール沖縄の勢力が当選するという結果になりました。
 これが今やはり沖縄県民の民意であるということは明らかだと思うわけですが、こうした民意に応えるのが政治の役割だというふうに思うんですが、このことについて、まず沖縄北方担当大臣の山口大臣と、それから岸田外務大臣、お二人の御認識をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)山口 俊一君) お話しの昨年の沖縄県知事選挙あるいは衆議院議員選挙の結果につきましては、私も十二分に承知をいたしております。
 同時に、実は私、沖縄振興を担当する大臣としては、沖縄が歴史的、社会的、あるいは地理的な事情など様々な特殊事情を抱えておられるということから、沖縄振興特別措置法に基づいて、国の責務として各種の施策を実施をしておるところでありますが、いずれにしても、選挙の結果にかかわらず、沖縄の振興は沖縄の振興としてしっかりと対応していきたいというふうなことでございます。

○国務大臣(外務大臣 岸田文雄君) まず、選挙の結果につきましては、いずれも真摯に受け止めなければならないと考えます。
 その上で申し上げますが、御指摘の建白書がありました。建白書の中で二点、たしか盛り込まれておりました。一つは、普天間飛行場の移設であり、もう一つは、オスプレイの配備、運用でありました。
 普天間飛行場の固定化、これは絶対に避けなければならない、これは沖縄の皆様方と政府との共通認識であると考えています。そして、政府としましては、辺野古への移設が唯一の解決策であるという立場に立って、引き続き沖縄の負担軽減に取り組んでいかなければなりません。是非、一日も早い普天間飛行場の返還が実現できるよう、法令に基づいて粛々と対応していきたいと存じます。
 そして、オスプレイの配備、運用の部分につきましても、オスプレイの運用につきましては、平成二十四年九月十九日の日米合同委員会合意、これを遵守しながら、安全性、最大限に確保するよう、引き続き米側にしっかり申し入れていかなければなりません。そして、負担軽減という観点におきましては、全国の自治体の協力を得る努力をしながら、オスプレイの沖縄県外における訓練移転等に取り組んでいかなければならないと考えております。そして、現在のところ、岩国飛行場ですとか横田飛行場あるいは厚木飛行場、こういった飛行場へのオスプレイの飛来等を積み重ねておりますが、是非、全国の自治体の協力も得ながら負担軽減に努めていきたいと考えております。

○紙智子君 岸田外務大臣、今いろいろおっしゃったんですけど、私ども、負担軽減なんというのは全くそれは通じないと。先日、予算委員会でも我が党の山下書記局長が質問させていただきましたけど、負担軽減どころか拡大につながっているし、この問題は徹底してこの後も議論させていただきたいというふうに思います。
 そして、先ほども話が出ましたけれども、この委員会で、委員派遣で先日沖縄に行ったときに、北部の首長さんとのお話合いがあったときに、なぜ沖縄からそれぞれ皆さんそろって出てきたときにお会いにならないのかと。山口大臣は先ほどお会いされたという話がありましたけど、安倍総理を始めとして、外務大臣含めて全然会わないというのはこれはいかがなものかというのが現地からも出ましたよ。是非、会ってちゃんと話をするべきだということは申し上げておきたいと思います。
 その上で、米軍基地と沖縄振興について質問します。
 沖縄振興特別措置法で、沖縄の優位性を生かした自立型経済を発展させるとしていますが、米軍基地が沖縄の経済発展に寄与しているのでしょうか。これは山口大臣、お願いいたします。

○国務大臣(内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)山口 俊一君) これは先ほどもお話を申し上げましたが、本土復帰直後の昭和四十七年度における県民の総所得に占める軍関係受取の割合、この一五・五%に比べますと、やはり相当、昭和六十年度ぐらいから大体五%ぐらいまで下がってきて推移をいたしております、これはもう御案内のとおりでありますが。
 そういった中で、内閣府としては、観光リゾート産業あるいは情報通信関連産業とか国際物流拠点産業等、これらをリーディング産業として一層発展をさせていくことによって、沖縄の自立型経済の構築に向けて引き続いて取り組んでいきたいと考えておるところでございます。

○紙智子君 先ほども議論になっていたと思うんですけれども、沖縄の現状でいいますと、県民所得でいうと、伸びたとはいえ、今も全国最下位ですね。これ、二〇一一年度の段階で二百一・八万円ですから全国最下位と。それから、年収も二百万未満の人が五一・八%で、非正規雇用が四四・五%と、これも全国一割合が多いわけですよね。一方、企業所得は低いと。
 沖縄が日本に復帰してから四十三年になろうとしているわけですけれども、なぜ今もこのような現状にあるのか、この御認識についてもお願いしたいと思います。

○国務大臣(内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)山口 俊一君) 今先生から御指摘いただきましたように、例えば社会資本整備水準、これの差は相当縮小してきております。また、県内の総生産とか就業者数、これは全国を上回る伸びとなっております。
 例えば、御指摘いただきました就業者数につきましても、昭和四十七年が三十六・四万人、平成二十五年が六十四・二万人で、実は一・八倍。この間、全国の伸び率は一・二倍であります。あるいは、県内の総生産に関しましても、この間全国は五・二倍のところ沖縄に関しては八・五倍というふうに、数字はまだまだということでありますが、その差は徐々に縮まってきておるというふうなことでございますが、御指摘ありましたように、一人頭の県民所得、これに企業所得も含まれておるわけで、企業所得の低さも恐らく影響を与えておるんだろうと思っておりますし、さらには、沖縄では製造業の比率は低くて第三次産業の比率が高いということで、非正規雇用の率が実は高くなっております。
 そういった諸事情がありますが、一方におきまして、最近の沖縄の経済状況、これは平成二十六年の入域観光客数が過去最高の七百六万人、またIT関連産業とか国際物流産業の集積が進んでいく等々で非常に景気が好調な局面にあるわけでありまして、失業率も大幅に低下をいたしております。これは、平成二十二年の七・六から平成二十六年の五・四、有効求人倍率も復帰後最高値になってきております。
 そして、これは沖縄の地元紙の報道にもありましたが、平成二十七年度に正社員のではありますが賃金を引き上げるというふうに答えた県内企業が五割を超えておるというふうな報道も実はございまして、県民所得の向上につながる動きもじわじわと広がりを見せておるんではないかなと思っておりますが、いずれにしてもまだまだ多くの課題を抱えておりますので、私どもといたしましても、産業振興を始めとする様々な沖縄振興策を講じることによって、こうした動きを後押しをし、また足らざるきめ細かな部分にもしっかり対応していきたいと考えております。

○紙智子君 ちょっと、時間が短い中で、答弁できるだけ短くお願いしたいんですよね。ちょっと、半分までしか来ていないんですけれども。
 それで、やっぱり伸びてはいるけれども、しかし、なおかつ全国よりも下と、もう本当に低い状況になっているというところを打開しなきゃいけないわけですけれども、やはり自立的経済の発展を阻害している背景という問題もちゃんと見なきゃいけないと。そこには基地の存在があるというふうに思いますし、それは先ほど儀間先生も述べられていました。
 もう一つ自立的経済発展の阻害の背景として、内閣府の沖縄総合事務局の発注する公共事業の事業費の五〇%は県外企業が受注をして、沖縄予算は本土に還流する、ざる経済を構築しているという指摘もあるわけですよ。これは、実は沖縄の総合事務局で元仕事をされていた方の指摘なんですけれども、そういうことなんかも指摘されているわけですけれども、これに対する認識、ちょっと簡潔にお願いします。

○国務大臣(内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)山口 俊一君) 済みません。先ほど、しっかりお答えをしなきゃいかぬということで申し上げましたが。
 いわゆる還流しておるという話に関しては、相当沖縄県内業者にというふうな話も聞いておりますので、そこら辺はしっかり今取り組みつつあるというふうに理解をしておりますし、米軍基地云々のお話にしても、確かに沖縄県が策定をされた二十一世紀ビジョンの基本計画、これにおいては、社会的特性として、沖縄県は二十七年に及ぶ云々、本県の振興を進める上で大きな障害となっておるというふうな記述があるというふうなことは承知をしております。
 ですから、そういった中で私の一番大きな役割というのは、西普天間始め今後返還をされる基地の跡地をしっかり沖縄の発展につなげていくようにやっていくことであろうということでございます。

○紙智子君 それで、今回の沖縄の振興予算についても、これ五年ぶりに減額になったということがあります。これ、もっと本当は減らされる予定だったのが、現地の反対もあってかなり復活をしたということも聞いているんですけれども、やっぱり現場からは本当にやりたい項目というのはあるし、減らさず沖縄の発展のために必要なところに使うべきだというふうに思います。
 それと、儀間先生のお話の中でも、かなり資料も出されていますけれども、私、もう一つ本当は質問したかったのは、やっぱり沖縄がこれから将来的に向かうべき方向というのは非常にはっきりしてきているんじゃないかと。それは、やっぱり基地をなくしていく、県の計画からも明らかだし、切実だというふうに思います。
 北谷町の例というのは今までもずっと紹介されてきていますけれども、ハンビー飛行場と射撃場のメイモスカラー地区ですか、ここは返還をして、そしてその後、税収が返還前の五十二倍になり、経済波及効果は八十一倍、雇用は二十二倍に増えたと。それから、メイモスカラー地区は、税収が三十八倍に増えて、経済波及効果は十七倍で、雇用は百倍を超えるということで、北谷町自身も驚く結果になったわけですよね。那覇の新都心の計画も同じように拡大してきていて、やっぱり沖縄が進むべき方向というのはこの方向にあるんじゃないかというふうに思うわけです。
 是非、やっぱり今後、農業、漁業、林業など一次産業を含めてバランスの良い町づくり、経済を飛躍的に発展させていただきたい、方向で努力する必要があると思いますし、その自立的な経済を構築するための取組を支えていくという点では、責任持って国がやる必要があるんだというふうに思います。
 最後にもう一つお聞きしたいのは、基地をなくしていくことが経済発展につながるというふうに思うんですけれども、ところが今、新たにまた基地を造ろうとしていると。
 一昨日、翁長知事が、名護市の辺野古の海域で行っている米軍の新基地建設計画、工事ですね、一週間以内に全て停止するように沖縄防衛局に指示したと。これに従わない場合は、仲井眞前政権が八月二十八日、昨年ですね、出した辺野古の海域の岩礁破壊許可を取り消すことがあると述べたわけです。
 何で工事中止の要請と岩礁破壊許可の取消し通知を出されたと思いますか。副大臣。

○委員長(風間直樹君) 時間が過ぎておりますので、答弁簡潔にお願いします。

○大臣政務官(防衛大臣政務官 石川博崇君) お答え申し上げます。
 今先生御指摘のとおり、一昨日、二十三日、沖縄防衛局として沖縄県知事からの文書を受領したところでございます。
 私ども防衛省といたしましては、今回この文書の中で問題視されておりますアンカーの設置自体は地殻そのものを変化させる行為ではないと考えておりまして、岩礁破砕には当たらないと考えております。また、許可申請外の行為であるとされておりますけれども、これは、これまで、以前より沖縄県が私ども沖縄防衛局に対して示していた内容とも異なるものでございます。また、沖縄県内で国を事業者といたしまして行われている同種事案におきましても、本件と同様のアンカーの設置というものは岩礁破砕許可手続の対象とはされていないということも私ども防衛省としては考えているところでございます。
 こうした説明を、実は昨日、沖縄防衛局の職員が県庁を訪問させていただきまして、させていただいたところでございまして、またその旨を記載した文書も手交させていただいております。
 こうした指示自体、私ども防衛省としては無効なものであるというふうに考えておりまして、昨日、その旨を明らかにするために、沖縄防衛局長から農林水産大臣に対しまして、これは所管官庁の大臣に対しまして、審査請求書及び執行停止申立書を提出させていただいたところでございまして、今後、法令にのっとって適切に審査されるものと認識をしております。

○紙智子君 今の答弁というのは、本当に私は許されない答弁だなというふうに思っています。
 それで、大体、アンカーじゃないですよ。コンクリートブロックで、巨大なもので、これをどんどんと海に沈めて実際にサンゴが破壊されているということがあるわけで……

○委員長(風間直樹君) 質疑をおまとめください。

○紙智子君 はい、分かりました。
 そういう中で、やはり今回国が取った対応というのは全く県民の意思に反する逆の態度だということで、引き続きこの問題を追及させていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。