<第180回国会 2012年5月31日 国際・地球環境・食糧問題に関する調査会>


清潔な水は万人の権利/この点を踏まえた対策が必要

○会長(藤原正司君) 国際問題、地球環境問題及び食糧問題に関する調査を議題といたします。 本日は、「世界の水問題と日本の対外戦略」のうち、アジアの水問題に関し、アジアの水問題への取組の在り方について委員間の意見交換を行います。



○紙智子君 この間、調査会で議論してきたわけですけれども、水には、命の水とかあるいは水ビジネスなど、いろんな切り口があるということです。それで、まず水問題を考える場合に大事だと思うことについて述べたいと思います。
 国連が二〇一〇年七月に水と衛生に対する人権について決議を採択しました。そこでは、生活と全ての人権の十分な享受のために欠かすことのできない人権として、安全で清浄な飲料水と衛生に対する権利を宣言するというふうに述べているわけです。
 なぜこういう宣言が出されたのかということの背景を考えますと、例えば水メジャーが途上国などに進出をして水道料金を高騰させて、貧困層の反発を受けて撤退したなどの報告があります。水を商品として多国籍企業の利益本位に利用される、そういう動きもあり、水問題をとらえ直す動きが起こったということがあると思います。安全で清潔な水というのは生きるための万人の権利と、この点を踏まえた国内外の対策が必要だというふうに思います。
 調査会で、私、民主党の新成長戦略で位置付けている水ビジネスについても聞きました。アジアの成長を日本の成長に結実させるというふうになっています。参考人への質問で印象に残ったんですけれども、海外に出ていった場合に、資材や雇用は現地で調達するんじゃないかという質問をしたのに対し、参考人の方からは、水ビジネスとして日本企業が進出したときには現地企業と競争になる、安くて良い技術を調達するには資材や雇用は現地の人材を活用すると述べられていました。そうなると、日本の雇用対策ということではなかなか結び付きにくいんじゃないかというふうに思いました。
 加えて、昨年十月に調査会で大阪、神戸に行きましたけれども、行政と企業の温度差ということも感じました。ある自治体が、収益についてリスクをかぶらないことも公営企業としては重要なことだ、水インフラ事業そのものに出資、参加することは考えていないと述べられていました。リスクの問題や地方自治体職員の身分の問題なども検討することが多くあると思います。
 最後に、食料生産と水のかかわりについてですけれども、昨年の調査会で、参考人から、食料輸入国は水資源の輸入大国であると述べられました。世界で水の枯渇、紛争が起こっている中で、水が十分にある日本で食料を輸入に依存する国の在り方が問われていると思います。日本の現状については、生産調整などで水資源がフル活用されていないということもあると。国の政策的な切替えを行って生産力を引き上げるためにも、農地も水も人材も、あるいは地域コミュニティーも、地域資源丸ごと保護、保全していくことが重要だと述べられたことは重視する必要があるというふうに思いました。
 以上です。