<第180回国会 2012年3月15日 予算委員会>


泊原発再稼働問題質問

○委員長(石井一君) 次に、紙智子さんの質疑を行います。紙さん。

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今日は泊原発について質問いたします。
 枝野大臣に質問いたします。
 三月初めに北海道新聞が道民調査を行いましたが、ここでは、停止中の泊原発一号機、二号機の再稼働について、認められないというのと現状では認められないを合わせますと七五%を占めました。さらに、三号機も間もなく定期点検に入って停止します。原発が全部停止すると料金の値上げをせざるを得ないということで、北電がこれ根拠もなく表明をしているわけです。しかし、仮に値上げになっても、危険だから止めておくという人が六四%。
 これについて、まず大臣の感想を伺いたいと思います。

○国務大臣(枝野幸男君) 今の世論調査そのものについては直接承知をしておりませんが、一般論として、原子力発電所の再稼働に当たっては、地元の皆さんを中心として、国民の皆さんの一定の理解が前提であるというふうに考えております。
 それに当たっては、地元の民主的に選ばれた首長さんや議会とともに、各種の世論調査というのは一定の参考になるものと思っておりますが、今、泊原発について具体的にそういう状況ではございませんので、今何かお答えをする段階ではないと思っております。

○紙智子君 この調査では大多数が極めて慎重であるということです。
 それで、現在、泊原発の耐震安全性の評価で、経済産業省として、これ北電に対して海域の活断層の連動性などについての再評価を指示しています。なぜそういうふうにすることになったのか、お話し願います。

○国務大臣(枝野幸男君) これは、昨年の地震の発生後、耐震評価に反映すべき新たな知見について、保安院からJNESと各電気事業者に対して指示をし、九月以降、その報告内容を意見聴取会で議論をいたしました。そして十一月に、断層連動を考慮する必要がある旨、これは意見聴取会の御意見等を踏まえて保安院として判断し、事業者に対して指示をしたところでございまして、この一連の話の中で、泊原発の敷地前の海域の断層の連続性について、事業者においてまずはしっかりと検討するよう指示をしているところでございます。

○紙智子君 ちょっと今の説明だと分かりづらいんですね。もう少し中身についてかいつまんで分かりやすくお話ししていただきたいと思います。

○国務大臣(枝野幸男君) 中身という意味がもし技術的なという意味であれば、あの東日本大震災が、非常に大規模なものでありますけれども、今まで連動していないと思われていた断層が一気に地震の地震源になったことからこれだけ大きな地震になったと。
 その知見を踏まえて、これまで別々の断層だと思われていたものが連続をしている可能性、そして連続をしていた場合どれぐらい従来よりも大きな地震が想定されるのかと、こういったことについてきちっと見直す必要があるだろうと。それを踏まえて、それぞれそういった可能性のある断層についてしっかりとチェックをするというプロセスに入っておりまして、泊原発についてもそうした手続、バックチェックに入っているということでございます。

○紙智子君 この今の指摘というのは、正確にちょっと確認したいんですけれども、いつ専門家の皆さんから指示をされたものですか。

○国務大臣(枝野幸男君) これは実は二段階ございます。一つは、元々いろいろなところの耐震バックチェックというのは不断に見直しておりまして、昨年二月に敷地前面海域の断層の連続性について専門家から指摘があり、保安院から連続性を評価する必要があるかどうか検討するよう指示をしておりました。その後、大震災がございまして、全体的にしっかりと厳しく見直さなきゃならないという話の中で、先ほど申しましたとおり、八月までに調査報告するよう各事業者に地震の発生後指示をし、その報告を踏まえて、十一月に断層連動を考慮する評価をするよう事業者に指示をしたものでございます。

○紙智子君 ということになりますと、結局、去年の二月の時点でその指摘を受けて、北電も政府も知っていたわけですよね。それをやらなければ危険だということを指摘されていながら、結局、八月の十七日、プルサーマルの泊三号機の本格運転に移行したということなんですか。

○国務大臣(枝野幸男君) 耐震バックチェックは従来から順次いろんなところでやっておりますが、その中で、昨年の二月にあった指摘は、指摘というか保安院からの指示は、連続性を評価する必要があるかどうか検討するよう指示をしたものでありまして、それに基づいて連続性をきちっと評価する必要があるという結論を十一月に出しまして、そして、それに基づく検討、調査を指示したということでございます。

○紙智子君 個々別々に活断層について評価していたものをつなげて評価しないといけないということが提起されながら、結局、そのことについて直ちに取り組まなければいけないのに、横に置いたまま、若しくはその提起がありながらまだそのことについての結論が出ないまま、三号機の稼働にオーケーを出したと。これは私は大問題だと思いますけれども、いかがですか。

○国務大臣(枝野幸男君) 二つ申し上げなければならないと思いますが、一つは、昨年の二月の段階で専門家の指摘を踏まえて保安院から事業者に指示をしたのは、連続性を評価する必要があるかどうか検討するよう指示していたものであって、連続性を評価する必要があるのでそれを評価しろという指示ではございません。
 その上で、三号機の昨年八月のことでございますが、泊発電所三号機は、昨年三月に原子炉の起動前に必要な検査を全て終了した上で、実際に原子炉を起動し、定期検査の最終段階である調整運転を実施中のもので、調整運転の状態が五か月連続をしていたものを、八月、法令に従い提出された最終検査項目である総合負荷性能検査の申請を受け、検査を実施したものでございまして、昨年の八月に新たに再起動したものではございません。

○紙智子君 政府は、ストレステストの結果を踏まえて、総合的に判断して再稼働の判断をするというふうに言っているわけですけれども、そもそもストレステストというのは机上の計算ですよね。活断層の連動など、抜本的な地震対策は含まれていないんじゃないですか。

○国務大臣(枝野幸男君) ストレステストだけで何か安全性をチェックしているわけではありません。先ほどの耐震バックチェックに基づく見直しと、それから、この間、既に原発事故の知見を踏まえた緊急安全対策を指示し、それの実施状況等をしっかりと確認をした上で、その上で、福島のような従来の予想を超える大きな地震、
津波の場合でも原子炉が耐えられるかどうかということの確認の作業をストレステストにおいてやっているというものであります。

○紙智子君 そのバックチェックなどを含めてやったら安全になるというふうに大臣はお考えですか。

○国務大臣(枝野幸男君) バックチェックを始めとして、近くに断層のないところ、あるいは連続の断層の可能性のないところもありますので、それぞれ原子力発電所ごとに事情は違いますが、福島第一原子力発電所の事故を踏まえて、それぞれ専門家の皆さんからの御意見を伺いつつ、その連動の可能性であるとか、それから、例えばどれぐらいの津波になれば全電源喪失になったりするのか、様々な事情をそれぞれの原子力発電所、炉ごとに安全性をチェック、確認をして、その上で専門家の皆さんによってストレステストという、総合的にどれぐらいの余裕度があるのかを確認をしていただいているところでございまして、そうした一連の安全性のチェックがなされるかどうかということが問題であろうと思っております。

○紙智子君 ストレステストを一、二やってバックチェックをやったら、それでもう安全だというふうになれば、これは新たな安全神話を生み出すことになると思いますよ。まだ福島の事故の原因すら解明されていないわけですから、そこは固く申し上げておきたいと思います。
 それで、泊原発においては、まさにこの事業者の評価をうのみにして保安院も一緒になってやらせをやって、道民をだましてきたわけですよ。この怒りは大きくて、先ほど紹介した道民調査では、北電が電力不足になるというふうに言っていることに対しては、そのデータが信用できないのでまず再検証が必要だと答えている人というのは五三%に上るんですね。不信感が引き続き大きいわけですよ。幾ら北電がその断層についてボーリングをするとかあるいは音波探査をしたといっても、これ信用できないと。
 ですから、これはこの際、北電に任せるのではなくて、第三者を入れて、調査委員会で検証して、そして全ての情報を公開するようにすべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

○国務大臣(枝野幸男君) 北電泊原発に限らず、この耐震バックチェックのための連動についての調査等については、全ての事業者に対して全ての情報を公開するように求めているはずでありますし、念のため確認をして、全て情報を公開させます。
 その上で、それに対しては、保安院だけではなくて、保安院が外部の有識者を含めた公開の場所でしっかりと検討、調査、チェックをしていくという形で、決して事業者に丸投げをして、それをうのみにして安全性をチェックするつもりは全くありません。

○紙智子君 これまでやられてないんですよね。
 やっぱり、繰り返し言いますけれども、やらせの問題の不信というのは今も本当に強いわけですよ。ですから、改めて、今第三者も含めてとおっしゃいましたけれども、ちゃんと公開の場でやるように重ねて要求しておきます。
 次に、大間原発にかかわって御質問いたします。
 一たび放射能が放出されますと広い範囲に広がることが明らかになって、大間原発と海を隔てて隣接しているのが函館ですけれども、この函館の市長さんが、函館の意見を聞くのは当たり前ではないかと要求をしているわけです。私は当然だと思うんですね。遮るものが何もない海で、一番近いと言ってもいいと思うんです。
 このことについて、大臣はそうお思いになりませんか、函館の市長さん。

○国務大臣(枝野幸男君) 従来から、原子力発電所の再稼働に当たっては、地元の皆さんを始めとして国民の皆さんの一定の理解が必要であるということを申し上げてきておりまして、これについては、何らかの機械的に判断のできる性質のものではありませんので、政治的にしっかりと判断をさせていただくということを申し上げてきております。
 御指摘の大間原発については、現時点で、具体的に再稼働等についての手順とかプロセスとかが問題になっている状況ではありませんので、どういった形で地元の皆さんの理解を求め、あるいは理解を確認するのかということについて全く白紙でございます。

○紙智子君 今の現状がどうなっているにせよ、これ中止になっているわけじゃありませんから。それで、長い間、大間原発についてはずっと議論されているわけですね。動いていないとはいっても議論されているわけですよ。それで、住民は大変大きな不安にさらされているわけです。
 そういう中で原発をそこに造って稼働していくかどうかということについては危機感があるわけですから、これについてはやはりきちっと把握をしていただきたいし、この間いろいろな調査がやられてきていますけれども、先ほどの続きになりますけれども、政府が再稼働の同意を求めている地元自治体のこの範囲について、七割が原発から三十キロ以上とかあるいは五十キロ以上とか、その圏内を拡大するようにというふうに求めているわけです。函館の場合でいいますと、これは相手が青森ということになりますから、そういう意味ではやっぱり国が音頭を取ってやっていただきたいということを一言お願いしたいと思います。

○国務大臣(枝野幸男君) 失礼をいたしました。
 大間原発については再稼働の問題ではなくて新設の稼働の問題でありますが、再稼働について、地元の皆さんを始めとする国民の皆さんの一定の理解が必要であるというこの事情は全く同様であるというふうに思っておりまして、その上で、今の御指摘も、それぞれ個別の原子力発電所の稼働又は再稼働に当たっては、様々な地元の皆さんの従来からの声、現時点の声を踏まえた上で、地元の皆さんの一定の理解が得られているのかしっかりと確認をした上で対応してまいりたいと思っております。

○紙智子君 函館の市長さんのことについては、是非大臣から電源開発に対して言っていただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。

○委員長(石井一君) 以上で紙智子さん、日本共産党の質疑は終了いたしました。(拍手)