<第179回国会 12月16日 閉会中審査 沖縄北方特別委員会>


沖縄振興に関する参考人質疑

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。今日は、参考人の皆さん、ありがとうございます。
 最初に、知事に伺います。
 跡地利用の推進についてなんですけれども、沖縄の基地については、国際法に違反して戦争の最中にまさに銃剣とブルドーザーで強制的に収用されて造られたと。そういう形成過程がありながら日本政府は米国に対して不問に付してきたという歴史的な経過についてどう認識をしておられるのかということと、それから、駐留軍用地の跡地利用に関する新たな法律において、基本理念の中に国の責務を明確にすることの重要性についての御認識をお聞きしたいというのが一つ。
 もう一つちょっと併せてお聞きしたいんですけれども、TPPの問題なんです。
 それで、野田総理が交渉参加の方針を表明しているんですけれども、これはやっぱり農業を破壊するし国も破壊するということで私ども反対なんですけれども、先日、沖縄のJAの方も東京に要請に来られたんですけれども、やっぱり沖縄の農産物への影響ですね、サトウキビにどういう影響があるのかということや、農産物に加えて加工業や建設業など県内の広範な産業にも影響あるというふうに指摘されているんですけれども、その辺りについて、影響についてお話をお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(仲井眞弘多君) 銃剣とブルドーザーのところはちょっと私まだ急に頭がまとまりませんので、今のTPPから申し上げますと、確かに沖縄の農業というのは、たっぷりとお国の御支援をいただいて、サトウキビを中核にしながらやってまいりました。ですから、伝え聞くTPP的な中身とすれば壊滅的な打撃を受けるということはもうはっきりしておりますので、私どもは少なくとも、もし区別ができるとすれば、業種別な選択ができるとすれば、農業は勘弁してもらいたい、農業は反対であるということを既に政府に何度も申し上げております。
 特に、沖縄の基幹産業は、特に島々ですね、国境を画するような島が南、西側にたくさんありますが、ほとんどの産業はやっぱりキビを大体中核にしているところがあります。最近は観光であるとか一部別の農産物とか出始めておりますが、やっぱりこのキビをきちっとまとめていただかないと島が成り立たぬ。それで、農業が衰退すると文化、芸能まで駄目になって人がやっぱり住めなくなるということになりますので、私たちも実は人口が、十二、三年すると、今沖縄はまだ自然増があるんですが、減少に入りかねないというので、我々も実はどうやって人口を増やそうかということを今考えておりますが、こういう農業がどうしてもやっぱり必要だと思っております。そういう意味で、農業以外の実は分野について私どももよく分かりませんので、今情報を集めているところでございます。
 そして、今の沖縄における、特に基地問題の象徴的ないわゆる米軍基地に絡むものという部分というのは、もうこれ、ここら辺は基地の提供義務というのも全部これは政府の仕事ですから、もう全ての責任は政府がきちっと自覚をし、やっていただいていると思っておりますので、今の地主の皆さん、それから周辺の迷惑を受けている人々、働いている人も無論九千人ぐらいいるんですけれども、いろんな形でマイナスというものは減らし、しっかりやっていただきたい。しかも、公有地が比較的少なくて民有地が非常に多いという結果になっておりますので、人々の気持ち、意見はよくそんたくをしていただいて、きめ細かい対応をしっかりやっていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○紙智子君 今、もう一つ、新たな跡地の利用に関する法律において、基本理念の中に国の責務を明確にすることについても大事なんじゃないかと思うんですけど、その辺のところ、ちょっとまだ今お答えになっていなかったので。
○参考人(仲井眞弘多君) 今、まさに国の責務そのものだということで、実はしっかり跡利用やっていただきたいということです。
 それともう一つは、やっぱり現実にこれは強制収用されているんですね、ずっとずっと。ですから、収用されてきたもので自由利かない、こういうものでお国のためにお役に立ったということは、後についてもやっぱりちゃんと、アフターサービスとは言いませんが、きちっとやっていただくべきものだなと、しかもこれは責務だということに、我々は書いてお願いをしております。
○紙智子君 もう一点お聞きしたいんです。
 実は、私、泡瀬干潟の埋立事業の問題ではこの間度々質問をさせていただいていて、特にその災害対策についてなんですね。それで、委員会でも取り上げてやってきた埋立地の災害対策で、その埋立地が津波防災から見ると適地ではないんじゃないかと。そして、計画は埋立地と陸地とをつなぐ橋が一本と。災害時は相当な混雑になって機能しなくなるし、屋上に人が殺到するということなんかも含めて防災上の問題がいろいろあると。この点で、国としても県や市の対応ということも言っているんですけれども、知事としてはこれらの問題についてはどのように認識をされているかということをお聞きしたいと思います。
○参考人(仲井眞弘多君) 我々、県議会でもよく議論があります。ただ、私は、この泡瀬の埋立てはしっかりとやって早く終わらせて活用すべきだと。特に中部は、沖縄本島の中部は基地がかなりの巨大な空間占めていますから、新しい空間、絶対必要だというのが私の論なんですけれども。
 そういう中で、まさにおっしゃったように、今度の大震災を経験しますと、一体津波だとか、大津波とか大地震にどう対応するかというのは、私どもも、実はこれを機会に、いろんな知見と御指導と技術的な予測を我々も踏まえながら、今おっしゃった橋がどうだとか、それから大きな建物、どこか巨大な津波の場合は逃げるしかないという実は判断もあるんですが、ちょっとここは今、整理整頓しながら、大至急我々も今まとめつつあるところでございます。
○紙智子君 あともうちょっと時間があるようなので、もう一つお聞かせ願いたいと思います。
 先ほどもちょっと出ていたんですけれども、沖縄経済の自立のために農業振興というのは非常に大事な柱だということを知事も言われたんですが、輸送コストの問題で、ゴーヤーはその経費の四六%も掛かると、非常に経営を圧迫しているということですよね。
 JAの沖縄中央会としては、鹿児島並みの輸送コストになるように流通条件の不利条件を解消してほしいという要望を出されているということなんですけれども、これについても、知事のお考えについて一言お聞かせ願いたいと思います。
○参考人(仲井眞弘多君) 先生、非常によく御存じですね。まさにそのとおりで、せめて鹿児島に至る距離というのは、今、県も少しずつ実は輸送コストについて補助を出したりしながらやっているんですが、今度の沖縄振興法の中で、一括交付金、使い勝手のいいというのは、そういう辺りも実は頭に描きながら、もう少しお金というかあれを出さないと、いろんな島々から農産物というのは運んできますが、このまま東京にも今結構出てはいるんですけれどもね、どうしてもコスト高になる。
 ですから、鹿児島ぐらいのところまでは我々で何とかコストを同じぐらいにして、特に物流が大変なものですから、今度の沖縄振興の中では島の、離島の発展というのを実は大きなテーマにしていまして、定住圏と併せて、今のこの産業、ささやかであれ、農業をどう競争条件を付けていくか、特にその中の物流をどういうふうにしてコストを下げるかを大きなテーマにいたしております。
 そういうことで、予算要求を少し高めにお願いしているのも、そういう面にもしっかりと使って鹿児島と同じ条件にしてみたいというふうに考えております。
○紙智子君 ありがとうございました。