第176回国会 2010年10月29日 議院運営委員会


◎事業仕分け 見直し基準問われる
紙議員指摘  国会で作業を

○委員以外の議員(紙智子君) 日本共産党の紙智子でございます。発言の機会を与えていただき、ありがとうございます。
 では、意見を述べさせていただきます。
 国会法三十九条は、国会議員が大臣、副大臣、政務官や国会の議決に基づく各種行政委員以外の国、地方の公職に就くことを禁止しています。これは三権分立の観点から行政と立法を区別するためのもので、議員としての職務に支障がないようにという趣旨で設けられているものです。
 今回の事業仕分人をめぐる議論では、法律に基づく設置ではないワーキンググループが拘束力ある意見を述べるのは三権分立から問題ありとの立場から兼職に当たるとの主張があります。また一方で、ワーキンググループは行政組織ではなく権力行使はないという解釈から、公務員ではないという意見もあります。
 そうした中で、事業仕分人の行う作業が行政の最終決定ではないという点などから見ると直ちに公務員とは言い難いと思われますが、その身分に法的裏付けがないことや権限のあいまいさが様々な疑念を生んでいるのだと思います。
 もとより、行政の無駄の見直しは大事な問題です。しかし、行政刷新会議と事業仕分については見直しの基準が厳しく問われなければなりません。短期的な評価で効率性を問うやり方は、長期的視野が必要な科学技術の基礎部分にはふさわしくありません。また、医療、保育など公共性の高い分野を効率至上主義で評価することは正しくありません。福祉にお金が掛かり過ぎるということを言って消費税増税の議論を始めようとする動きは許されません。
 この間、例えば農業分野で、鳥獣被害対策の予算が事業仕分で削減をされ、深刻な被害が出ているのに対策が大幅に後退するとの強い批判が上がり、手直しをすることになりました。また、文化予算についても、効果が説明不足という理由で芸術文化活動への公的助成を三年間で二分の一に縮減と判定をされ、十一万件もの意見が寄せられました。文化芸術は空気のようなもので効果を数字で表せるものではないが、しかし、生きる力や心をはぐくむものだと関係する芸術家の皆さんが声を上げました。このほかにもいろいろありますが、こうした声を酌み取るべきです。
 財界、大企業優先を根本的に見直し、国民の福祉や暮らし拡充のために税金を使うにはどうしたらいいかという基準で考えるべきです。軍事費や大型公共事業などにはメスを入れるべきです。
 仕分の方法も、短時間に無駄を見直すという乱暴なやり方は許されません。また、政治主導といいながら事業の問題点を財務省が提起するなど、財務省主導になっていることは問題です。
 私はこの際、国会において行政の無駄や予算の使われ方を徹底的に見直す作業を行うべきだと思います。参議院では、行政監視委員会を中心に十分な時間を取って調査し、集中的に議論することを提案します。その際、国民の意見を聞く公聴会などを大いに開催すべきだと考えます。
 以上、意見表明を終わります。