<第174回国会 開会日2010年5月18 日 農林水産委員会


○口蹄疫問題等に関する件

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 冒頭、やはり日々刻々と事態が進行しています口蹄疫の問題で、私も先日も質問させていただいたんですけれども、今の時点でも付け加えて要請しておきたいと思うんですけれども、とにかく、一つは、この今の範囲から広がらないように、蔓延防止ということでは政府が責任を持って、何としても広がらないようにやっていただきたい、全力でやっていただきたいと。そのためにも埋却ですね、しっかりやるということで、もうとにかく、テレビでも映し出されてきていますけれども、豚舎の中で片や死んでいる豚がいて、しかしどうしようもない状態で、ほかの豚もひしめき合っているという状況が映し出されるのを見るともう本当に胸が詰まるような、本当に苦しい気持ちになるんですけれども、一日も早くその埋却ができるように全力を挙げてやっていただきたいということ。
 それと、補償の問題ですけれども、畜産の評価額が出るまでにはちょっと時間が掛かるというのがあって、それまでの間、仮払いをするなど、生活をやっぱり助けていくために、そういう対策を是非取っていただきたいということを最初にちょっと要請をしたいと思います。

○国務大臣(赤松広隆君) とにかく早く埋却をして処分すると、これがもうポイントだと思っておりますので、さらに、今、獣医さん、そして補助員、自衛隊の皆さんも含めて人も増強いたしましてそのピッチを上げたいということが一つと、それから経済支援、特に日々の、今どうするかという、これについては各党各委員からもそれぞれお話をいただいておるところでございますので、さっきも例で申し上げましたけれども、書類さえ上げていただければ直ちに仮払いで払いますよと言っていたんですが、その紙さえも上げる今余裕がないというのが現地の状況であろうというふうに思っておりますので、それについては、税金を使うわけですからいいかげんにやっていいということではなくて、ただ、弾力的な運用の中で書類の提出は後先になるというようなことも含めて、委員御指摘の方向でしっかりと取組をさせていただきたいというふうに思っております。

○紙智子君 それでは、公共建築材の法案について質問いたします。
 政府案が衆議院で修正協議を行って、目的規定の中に木材の自給率の向上に寄与するというのを追加をし、木材利用を工作物にも拡大するなど、六項目が加えられて送られてきました。これは我が党も賛成でありまして、私もこの間、北海道を始め幾つかの自治体やあるいは森林組合や林業家の皆さんと懇談をし、いろいろ話し合ってきました。現場では本当に様々努力や工夫がされていて、本当に日本の林業を立て直したいと、やっぱり日本の木の良さや森林の良さ、大切さを本当に知っていただきたいと、そして地域材で地域経済を良くしたいという思いが本当にあふれているということを実感してまいりました。
 現在、我が国の森林の総蓄積量でいうと四十四億立方メートルと。それで、年間木材消費量が二千万立方メートルに対して年間成長量が消費量を上回っているという状況になっているわけです。国産材の活用を促進して地域振興にもつなげるために、やっぱりこの法案をよりどころにして進めていく、取り組んでいく必要があるんだというふうに思います。
 それで、環境面からの議論、視点での議論と、それからやっぱり日本経済再生という視点からも、外需依存ということじゃなくて内需をもっと強力にやらなきゃいけないと、一次産業大事なんだという角度からもこの問題って焦点を当てられていると思いますし、林業や、森林・林業の再生そのものに焦点が当たってきているというふうに思います。
 それで、国産材の利用拡大に取り組んで、この中山間地域の経済の柱として林業や木材産業を位置付けて振興することで、新たな産業の創出という問題、それから雇用拡大、ここにつなげていくということも求められますし、国産材の利用拡大が地域の資源内容に即して、それぞれの地域でまた違うわけですけど、資源内容に即して生産や加工体制を確立するなど、地域の林業や木材産業の活性化につながるものにしないといけないというふうに思うんです。
 この点で、まず最初に大臣の重要性ということでの御認識を伺いたいと思います。

○副大臣(郡司彰君) 今御指摘があったように、森林・林業の一方の面は、COなどの環境に関するものがあります。これは、山をよみがえらせる、そのことによってきちんとその機能も発揮をするというような観点も大事だろうというふうに思っております。
 これまで、この国の木材が適正に利用されることがなく、自給率が下がってきた。そのことによって、例えば製材所でありますと、二万ほどのものが今は七千台にまで落ち込んでいるというふうに思っております。林家の方々の意欲も失われました。山林労働者そのものも減ってきております。また、地域の工務店などもなかなかその地域材を使わないというふうな形、さらにはそこに働く運輸の関係というものも雇用というものが少なくなってきただろうというふうに思っています。
 このようなものを活性化することによりまして、地域の雇用あるいは所得というものを増やして、地域そのものの活性化を、つなげていくような形をするべきだというふうに思っております。まさに、ドイツなども三十年前には同じような状況から今ではGDPの五%、六%という大きな産業に育ってきておりまして、また、新たなバイオマスでありますとか、あるいはきちんと資源が活用されていることによりまして山村が生き生きする環境を迎え入れる地元にもなれると、このような複合的な発展を目指す意味でこの法案をよりどころにきちんと進めていきたい、そのように思っております。

○国務大臣(赤松広隆君) 委員御指摘のとおりに、環境の側面から見る、一方で産業という面から見る、非常に大切な視点だと思っております。その意味で、これからもこの川下、受皿がしっかりしていなければ、幾ら山を整備しても木を切り出すわけにいきません。
 その意味で、特に木材を使った形での建築物ということで、まず隗より始めよで、公共建築物が今七・五%という木造率ですから、ここを何としても突破をしていこう。今回は特に、島田林野庁長官もいますが、今まではなかなか国交省が厳しいんですよということを言っていたんですが、そんなことを言わずに門をたたいてみようということでたたいたら、力が強かったのかもしれませんが、どんと開いて、今まで官庁営繕なんか相手にもしてくれなかったというふうに聞いていますが、むしろ積極的に前向きに林野庁、農水省と国交省でこれから将来に向けて建築基準法の見直しも含めて木材利用のためにしっかり取り組んでいこうということでできたということは大変良かったと思っています。
 具体的には、面積で今制限されたり高さで制限されたりの形で建築基準法が一つの木造利用の手かせ足かせになっている部面がありますから、そういうところの改正に向けても頑張っていきたいと思っております。

○紙智子君 次に、国産材の需要拡大に当たって、その基礎となる樹種や木材の蓄積量などの森林資源の情報を林業関係者が把握できるというのは非常に大事だというふうに思うわけです。都道府県によってはこの現状把握にアンバランスがあると。どこにどれだけ木があるのか、成長しているのか、蓄積が進んだのかということが把握されていない県もあって、大きな差が生じているというふうに言われているわけです。基礎的な情報は、衛星データなども活用して、林業関係者が全国的に把握できるようにすることが重要だと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

○政府参考人(島田泰助君) 適切な森林整備を進めていく上、また計画的な木材生産を確保していくというような観点からは、やはり森林資源情報をどうしても整備することが重要だと我々考えております。
 今、こういうことのために、森林所有者、また、その森林の面積、樹種、材積などの情報は森林簿というもので明らかになっております。この森林簿と地図の情報を一元化したGISの導入ですとか、これらの森林資源を施業集約化に取り組む事業体ごとに取りまとめまして、原木の供給可能量として地域ごとに集積をして川下の事業者に提供する取組など、今取り組ませていただいているところでございます。
 こうした森林資源情報の整備は我々非常に重要だというふうにして先ほど申し上げましたけれども、昨年末に策定をいたしました森林・林業再生プランの中でも、この森林資源情報の的確な把握というのが一項目入ってきておりまして、現在、森林・林業再生に向けたこうした情報整備の在り方について検討を行わせていただいているところでございます。

○紙智子君 二〇〇一年から二〇〇六年の民有林の伐採面積、造林面積を見ますと、例えば北海道の十勝地方というのは、二〇〇五年、二〇〇六年の伐採面積が異常に大きいんですね。造林が少ないために、このまま推移すると五十年後は蓄積が三割に落ち込むと、はげ山になってしまうという推定値を研究者が出しているんです。
 林野庁は、こういう伐採後造林されていない実態というのは把握しているでしょうか。

○政府参考人(島田泰助君) 伐採後の実態については、人工林の伐採後、三年以上経過をしても植栽が完了していないものを造林未済地として市町村等が把握をしております。こうした数字は私どもも把握をさせていただいております。
 ちなみに、造林未済地全体の面積、平成十八年の三月で一万七千ヘクタールというふうにして把握をしておりました。このうち、平成二十一年の三月までに九千八百ヘクタールが解消をされたというふうにして考えております。さらに、その期間、新たな造林未済地、六千二百ヘクタールほど発生をしておりますので、平成二十一年三月の状況では約一万四千ヘクタールの造林未済地があるというふうにして私どもは把握はいたしているところでございます。

○紙智子君 その三年以上植林されていない場所で再造林をどう進めるんでしょうか。

○政府参考人(島田泰助君) 森林所有者に対してその働きかけを行っていくということが最も重要な課題だというふうにして考えていますし、こうした面積の中では、更新方法も天然更新を採用している部分もございまして、更新が完了していない林分というのもこの造林未済地の中に入ってきておりますので、こうした現地の実情に応じまして森林所有者さんたちが造林をしていただけるように、私どもも積極的に働きかけていくように、市町村と協力しながら取り組んでいきたいというふうにして思っております。

○紙智子君 北海道は十勝、網走での皆伐面積というのがすごく広いんですね。百ヘクタール以上の大皆伐をやるわけです。それで、持続的な林業経営に皆伐面積をやっぱり制限していく必要があるんじゃないかというように思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

○大臣政務官(舟山康江君) 再造林につきましては、やはり持続的な森林利用、森林経営について大変重要な視点だと思っています。
 基本的には、森林法の中で、伐採時に伐採後の造林の内容を市町村長に届け出させて、植栽等が行われない場合には市町村長が是正を命ずることができると、そうなっているんですけれども、残念ながら、必ずしもそうなっていないという状況があります。
 一つには、森林施業計画、施業者が間伐なり伐採をするときに森林施業計画を出さなければいけないんですけれども、これが義務になっているわけではなくて、こういった計画が出されないままにいろいろな伐採が行われているような事例があって、そして、命ずることができるとなっていますけれども、実際に是正命令というのが出ていないという現状があります。
 こういう中で、やはり今回、森林・林業再生プランにおいても、伐採、更新のルールの整備、最低限、施業者がやらなければいけないルールですとか、皆伐面積の上限ですとか、そういったものをきちんと出していかなければいけないと、そういった認識の中で今鋭意検討を進めておりまして、これはまさに委員御指摘のとおりしっかりと監視していかなければいけない、ルールを決めていかなければいけない大事な問題だと思っております。
 現在はマニュアルを作成したりとか、あと地方公共団体が地域住民と連携した巡視の強化に取り組んでいるところですけれども、やはり制度面からもしっかりと対策を取っていきたいと思っております。

○紙智子君 それで、どう再造林するかということでは造らせていかなきゃいけないというんだけれども、実際に木材の価格がすごく安過ぎて伐採後の再造林が進まないというのは、これはやっぱり小さなところなんかでいえば、とっても困難であるという話をどこへ行っても聞くわけですよね。
 例えば長野県の阿南町で、森林組合の組合長さんが言うには、経費が一立方メートル当たりで八千円から一万円で、トラックで愛知や岐阜に、市場に運ぶとすると運賃が三千円から五千円掛かって、それを加えると、全部で一万一千円から一万五千円だと。ところが、実際に一立方メートルの杉の丸太の価格というのは八千円だと、だからもう全然採算割れなんだというのがあって、これはもう高知でもそう言うし、北海道にこの前行ったときに、カラマツでどうなんですかといったら、やっぱり似たようなもんだというようなことになってですね、やっぱり実際に組合員の中の人も、高齢の方で年金生活者ですよ、月に数万円の年金生活でやって、それでわざわざお金を掛けて、じゃ間伐できるかというと、もうとってもじゃないけど、そんな採算に合わないことはできないという話になっているわけですね。
 ですから、そういうことでいうと、持続的な国産材を利用するためにはやっぱり再造林をしなきゃいけなくて、その再造林をするための最低限の価格というのは必要で、所有者が犠牲にならないような、やっぱり国が責任を持つべきだというふうに思うんですけれども、これについてはどうですか。

○大臣政務官(舟山康江君) お答えいたします。
 現在、再造林につきましては、森林整備事業におきまして、標準的な場合、国と都道府県で合わせて経費、これは労賃ですとか苗代ですとか、そういった経費ですけれども、経費の約七割を助成できる、そんな仕組みがあります。
 もう一方で、やはりこういった支援の措置はとらせていただいているんですが、できるだけ再造林のコストを安くする、そういった取組ですとか、そういった研究も進めさせていただいておりまして、例えば、通常の場合は切ってしばらくしてからもう一回、切るときに山に入って運び出して、その後しばらくしてから造林をするということで二度手間なんですけれども、切ったその場ですぐ造林をするような造林のやり方ですとか、それから、コンテナ苗を利用して植付け、下刈り等の経費を縮減するですとか、私も先日、高知県に行ってまいりましたけれども、そういった新しい取組の中でかなり効率的に再造林をしている事例も拝見させていただきました。
 そういう取組を更に進めて、また、こういった事例を広く広めることによって、できるだけ低コストでこういった再造林が進められるような、そういう支援をしっかりとしていきたいと思っております。

○紙智子君 それは例えば森林組合とかで取り組む場合に、大きな規模でやる場合に、集約化、施業の集約化ということの中でやることだと思うんだけれども、私が言っているのは、個々人の山持ちの人なんかで手を掛けたいけれども掛けられないという、農家の方なんかも山を持ってやっているわけですけれども、そういう事態に対しての考え方についてを聞いたんですよね。

○大臣政務官(舟山康江君) 今の、もちろんそういった低コスト化の取組と同時に、前段に申し上げましたけれども、再造林についての経費助成の仕組みがございますので、個人の林業経営者の皆さんにもこういったものを利用して、やはり持続的な森林の経営というのをしっかりとやっていただくことが、これがまさに産業としての林業の育成と、もう一つはやはり地球環境問題に貢献するといった、両方の役割を果たす意味で非常に重要だと思っています。

○紙智子君 やっぱり再造林できるような体制の援助ということは是非考えていただきたいと思います。
 それと、北海道では森林面積の五五%が国有林なんですね。国有林の動向が民間には全然情報が入らないという問題も生じています。民間と連携した取組、これは、国がやっぱり国有林は責任持ってやらなきゃいけないというのははっきりしていますけれども、民間との連携した取組なんかも是非やってほしいという声が出されています。それで、全国一律の対策ではなくて、地域の新たな山地育成が図れるようにやる必要があるというふうに思うんですけれども、北海道の自治体の皆さんと懇談しますと必ず国有林の話が出てくるんですね。まず、市町村で国有林にかかわっていないところって少ないぐらいなんです。
 それで、国有林が荒れている、全然手が入っていない、心配だという声も聞くわけですよね。これに対して自治体の方々が、国有林、民有林一体となって人工林の施業の共同化を進めたいという声も出ているんですけれども、この問題についてはいかがですか。

○政府参考人(島田泰助君) 民有林と国有林が連携をして効率的な施業を推進していくということについても、私ども重要な課題だというふうにして思っております。
 現在、国有林野事業においては、地域レベルで民有林と連携をいたしまして、効率的な森林整備を進めるという観点から森林共同施業団地というものを設定するように進めております。これについては、民有林の所有者と森林管理署長が協定などを結びまして、民有林と国有林が隣接している場合、相互に利用できる効率的な作業道を整備するとか、間伐を一体的にやっていくというようなことで施業の効率化を図ろうというような、そんな目的でございまして、こういう取組が今全国でどんどん増えてきております。
 こういう共同施業団地の設定の拡大ですとか、また路網の一体的な整備だとか、こういうようなことを含めて民有林との連携を図りながら、より効率的な取組ができるように国有林の方としても努めてまいりたいというふうにして考えております。

○紙智子君 国有林の改革でもって経営合理化がされて、地域で国有林を育てるスタッフが不足しているという実態があるわけですね。流域管理に切り替わっているわけですけれども、実態が地域に見えていないと、そういう不安も出ています。それで、森林整備は地域の雇用拡大にも大きな役割を担っているわけですけれども、国有林と民有林をやっぱり一体的に扱うことで、長期的な、安定的な仕事の確保という面からも大事ではないかという声もあるわけです。
 それで、自民党政権の時代に、かつて国有林経営の独立行政法人化を進めようとしていたんですけれども、これについては国民からの批判も非常に鋭い批判があったと。民主党政権に替わってこの方針については転換を図ったというふうに思うんですね。だと思うんですけれども、それについては我々は妥当だと思っています。
 それで、これを進めて、やっぱり国有林の一般会計化を進める必要があるというふうに私たちは思っているんですけれども、国有林そのものがやっぱり国民の共有財産として大きな役割を持っているわけで、そういう実態を総点検をして、そして、本当に本来果たすべき役割が果たせるように、地域とも結び付いて貢献できるようにしていく必要があるというふうに思うんですけれども、これについていかがでしょうか。

○国務大臣(赤松広隆君) 私が大臣に就任をいたしまして、取りあえず三月末となっておりました独法化については、一応しっかり検討をするという意味で止めました。しかし、その後、今後の森林・林業の政策の実現あるいはそこに働く人たちのいろいろな幸せを考えたときに、一体どういう形の在り方が一番いいのかということをやっぱりしっかり議論の中で結論を出すべきだということで、今考えております。
 何でも一般会計化してあれすればいいのか、それとも特別会計である部分はやった方がいいのか、いろんな実は中にも正直言って意見がございます。ただ、私は、視点は、これからの森林・林業の政策を進める上でどういう形態が一番いいのか、そこに働く人たちがやる気と生きがいを持って頑張れるのはどういう組織なのかということの視点で考えていきたいと思っております。

○紙智子君 この問題、非常に大事なので、十分やっぱり意見を取り入れて議論を深めていただきたいというふうに思います。
 それから、作業道、路網整備の問題ですけれども、林業の活性化に向けては作業道をより密度を高めて整備をすると。それから、高性能林業機械を効率的に導入するというのは不可欠だと思うんですけれども、山に木はあるけれども、しかし切れないと、切り出すコストが掛かり過ぎて切れないという声もあるわけです。
 それで、今回の新しい白書の中でも指摘しているわけですけれども、架線系のシステムで三十メートルから五十メートル、それから車両系の作業システムで百メートル以上の整備が望ましいと、こういうふうに書いてあるわけですけれども、そういうことも踏まえて本格的な取組が必要だと思うんですけれども、この点について一言お願いします。

○政府参考人(島田泰助君) 御指摘いただきましたように、間伐などの作業を効率化するためには、やはりどうしても道造りが必要になっているというふうにして考えています。こうしたことのために、林道、そして森林施業のための作業道を適切に組み合わせた路網の整備を加速化していきたいというふうにして考えております。
 平成二十二年度予算においても、森林整備事業予算ですとか、農山漁村地域整備交付金などの予算を活用して路網整備進めようとしております。また、こういう道造りを進めるに当たっては、災害の原因になることのないように、きちっとしたやはり技術、十分な技術を持って、地形に配慮をして道造りを進める必要もあるというふうにして考えていますし、そういう技術者を養成することも重要だというふうにして思っております。
 こういうようなことを含めまして、現在、今後の路網整備の在り方について、森林・林業再生プラン推進本部の下に路網・作業システム検討委員会というのを設けまして、地域の実情に応じた路網造りがどうあるべきなのか、どういうふうにして進めるのかというようなことについて検討を行わせていただいているところでございます。

○紙智子君 ちょっと時間が詰まってきたのでまとめて質問しますけれども、地域材の活用に取り組む自治体の支援の問題で、これ政務官、答えてほしいんですけれども、林野庁の資料によると、平成二十一年の七月現在で三十七道府県が地域材を利用した住宅建設に助成を行っていて、この助成制度に取り組んでいる市町村、百二十七となっています。
 それで、修正案では、新たに国の責務として財政上の支援措置に努めることが盛り込まれたわけですけれども、是非、この地域材の建築に助成措置をとっている市町村、ここに対しての支援を考えていただきたいというのが一つ。
 それから、公共建築物、その他の民間住宅などの新築やリフォーム、それから内装の木造化を進めるために地域材を使うと、地域での仕事おこしの重要性という問題に触れてもう一つ言っていただきたいのと、あわせて、国有林の問題なんですけど、天然林の施業、天然林の保全、再生の重要性ということで、北海道でいっても国有林の人工林六十六万ヘクタールなんですけれども、天然林が二百十六万ヘクタールとなっていて、多くが劣化状態にあるわけです。天然林の保全や再生が必要だということなんですけれども、地域の雇用にも大事だと。
 それで、北海道の富良野にあります東京大学の北海道演習林で行われている林分施業法というのがあって、これは一九六九年に一ヘクタール当たり三百立方メートルだった森林蓄積が二〇〇八年の調査で四百二十立方メートルに増加したんですね。だから、やっぱりちゃんとやっていくと増えるということなんですけれども、五十年に計五回択伐をして、十年に一度、森林蓄積の七から一七%に相当する量を伐採してきたわけです。人が手を入れることで天然林が豊かに成長するということが事例としてあるわけで、これらを参考に国有林での天然林の施業を増やしていただきたいということについてお願いします。

○大臣政務官(舟山康江君) まず、地域材活用に取り組む地方公共団体に対する支援ですけれども、現在は、地域材を利用した都道府県が行う経費の一部助成、それから無償提供等の助成制度に対しまして、地方財政措置の中で特別交付税措置、これは費用の二分の一を支援しているんですけれども、こういった措置がされております。
 そのほか、ソフト事業で、様々なパンフレットですとか共通部材の開発ですとか、あとは協議会を開くとか、そういったソフトの支援をさせていただいておりますけれども、今回の法律で財政上の支援もしっかりとしていくことに努めるという国の責務が盛り込まれたことを受けまして、やはりこれから具体的にどういう支援が望ましいのか、どういった形がいいのか、しっかりと検討してしかるべき対策を取っていかなければいけないと、そんなふうに思っています。
 それから、天然林ですね、私も天然林、自然林というのは何も人が手が入れないのが一番いいのかと、全然そんなことないと思います。やはりかつてはずっと人間が適度に利用して、手を入れて一定の状況に保たれてきたと思っておりまして、そういう中でやはり原則として伐採を行わないという保護林を設定して厳格な保全管理を行っておりますけれども、保護林以外の天然林につきましても、これは、じゃ、もう保護林じゃないから皆伐してまた針葉樹に植え替えるといったことではなくて、これは先ほどのどなたかの御質問にもお答えしましたけれども、何というんでしょうか、針葉樹林神話からやはりこういった広葉樹林、混交林、そういったものへと転換するという方向もありまして、こういう自然・天然林につきましても、例えば今御指摘のとおり、やはり一定の抜き伐りを行ったりとか、そういった手を入れることによって次世代の樹木の発生とか生育の促進を図っていくと、そういった中で天然林を維持していくということをしっかりと基本としてやっていきたいと思っています。
 いずれにいたしましても、今事例が幾つか出していただきましたけれども、そういった事例も参考に、これからどういう形の手入れがより良い天然林の保護育成につながるのか、そういったこともしっかりと検討しながら適切に維持増進を図っていきたいと思っております。

○紙智子君 最後、木のすばらしさ、木造のすばらしさを大臣に語ってほしいという、広げていく必要があると思うんで、その決意等を語っていただければ。

○国務大臣(赤松広隆君) 私自身はいつもこうした機会に申し上げておるんですけれども、木材、木造建築のやはりすばらしさというのは、本当に後の世代の子供たちのために貴重な人類の財産として残していく責任があると思っております。よく不登校の子供、インフルエンザの学級閉鎖、そういうことを見てもやっぱり木造校舎とコンクリート校舎では倍違いますから、そういう点だけでもやっぱり木の持つ優しさ、温かみというのが子供たちのこれからの成長に大きく寄与していると思っております。
 そんな意味で、この法案を皆さんのお力で通していただいて、是非これを突破口にして、これからも木のある、木のぬくもりと温かさのある、優しさのある社会実現のために頑張っていきたいと思いますので、また御指導、御支援をよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

○紙智子君 終わります。