<第174回国会 開会日 2010年4月14日 少子高齢化・共生社会に関する調査会


○コミュニティの再生並びに配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の現状と課題

○会長(田名部匡省君) 紙智子君。

○紙智子君 日本共産党の紙智子です。御苦労さまです。
 私は、今日、少子化の問題と、あとDV法の改正問題でお聞きしたいと思います。
 少子化の方なんですけれども、内閣府は少子化社会対策大綱で国の取組への評価というのをまとめているわけですけれど、その特徴についての大臣の認識についてお聞きしたいのと、もう一つ、貧困の問題なんですね。
 去年の十一月にこの委員会で質問をしたときに、親の貧困と格差が子供にもそのままつながってしまっているということで、その貧困をもたらす働かせ方の問題とか、あるいは、地方自治体の財政難が教育にも影響を与えていることを取り上げたんですけど。
 その際に、厚生労働省が行った国民生活基礎調査で、三百万円未満の世帯の比率がこの十二年間で五・二%増えているということも紹介して、その分析が必要なんじゃないのかということをやったときに、大島副大臣が、まだ分析は整っていなくて、今後進めていかなきゃいけないと思うという話をされていたわけですけれど、あれから何か月かたっているわけですけれども、今年一月に発表している子ども・子育てビジョンの中でこの貧困についての分析と対策が打ち出されていないのではないのかなと。
 そこの大臣の認識と、これからの対応策についてどうするのかということをちょっと。また、もう一つDVもありますので簡潔にお願いします。

○国務大臣(福島みずほ君) 子ども・子育てビジョンを作ったときに貧困というのを全面的には出さなかったんですが、子ども・子育てビジョンの、要するに、いわゆる少子化の問題の解決には雇用の充実が大事であり、雇用は一つ、雇用の存在と、もう一つ、良好なというか労働条件の改善が必要だという、はっきりしたそういう認識は持ち、長時間労働の抑制を始め労働については考えているところです。
 「子ども・子育てビジョン 子どもの笑顔があふれる社会のために」、一月二十九日に発表したものでは「子どもの貧困率への取組を行う」、「子どもの貧困率について」、「子どもの貧困率について、継続的に調査を行いその状況を把握するなど、必要な対応を進めます。」というふうにしています。
 それで、今実は作成中の子ども・若者ビジョンがあります。これは青少年施策大綱、名前を改めて子ども・若者ビジョンにする予定で、今精力的にいろんな皆さんからヒアリングを行っています。これを夏、六月ごろまでにまとめる予定なんですが、すべての子供を応援すると同時に、困難を抱える子供ですね、その子供たちを応援するというふうにしております。
 それから、第三次男女共同参画基本計画の中でも、もちろんすべての女性、男性を応援するんですが、女性と貧困あるいは高齢者や障害者の問題など、困難を抱える女性たちへの支援というのも一章設けておりまして、女性の貧困、子供の貧困というのは今の日本社会の最重要課題の一つだというふうに思っております。
 その意味で、今後できる子ども・若者ビジョンと男女共同参画基本計画の中でしっかりそれに取り組んでおりますし、対策も雇用の充実や労働法制の規制強化を始め、しっかり取り組んでいきたいと考えています。もちろん、同一価値労働同一賃金も盛り込んでおります。

○紙智子君 それじゃ、ちょっと時間なのでDVの問題をもう一つお聞きします。
 それで、これまでも福島大臣自身が改正に取り組んでこられたわけですけれども、本調査会の理事会でもDV法の改正、第三次改正に向けて超党派でやっていこうということで、是非これは実現させていきたいというふうに思っているわけです。
 それで、民間シェルターからの改正要望もたくさん出されているんですけれども、全部のことはちょっと触れられないんですけれども、その中で法律の対象を配偶者等に広げて交際相手を含める改正を実現したいというふうに思うんですけれども、これはかねてからもテーマであって困難な点もあるということが言われているんですけれども、それをクリアするとしたら、そのクリアすべき課題ということでは何かということがまず一つですね。
 それから、もう一つお聞きしたいのは、民間団体への財政支援は先ほど話があったのでそれはちょっと抜かして、DV防止教育も、これは内閣府も力を入れて取り組んできているんですけれども、更なる充実に向けた具体化の問題、これが二つ目ですね。
 それからもう一つ、三つ目は保護命令の改善の問題で、例えば緊急保護命令の創設ですとか、あるいは自立支援に向けた養育費の支払命令などの創設、それから期間延長などの問題も出ているんですけれども、今急がれる改正点という点での大臣の所見というのと、もう一つ、済みません、一緒に言ってしまうんですけれども、私どもの事務所に相談があったんですけれども、DV加害者である夫が警察官だという女性なんですね。
 それで陳情があって、この被害者の方には保護命令が出されていると。ところが、夫は通常どおり勤務して拳銃も携行、持って歩いているわけですよね。被害者から見るとちょっと怖いことでありまして、本来、暴行とか傷害犯は逮捕されたりというか、しなきゃいけないわけですけれども、警察官がそういう事態になりながらも拳銃を持って歩いているというようなことになっているわけで、本来はちょっとあってはならない事態じゃないのかと。
 夫を取り締まるべき警察がきちっと立件しないであいまいにしているという疑念もあると。警察が身内だからということで加害者をかばうということは、これはやっぱり良くない、あってはいけないというふうに思うわけで、やっぱりきちっと警察官であっても加害者が逮捕されるという事態になっていかなきゃいけないんだと思うんですけれども、この点についての所見ということで、ちょっと盛りだくさんになりましたけれども、お願いします。

○国務大臣(福島みずほ君) 保護命令については、第三次男女共同参画基本計画に向けての中間整理案で「保護命令制度の実態とそれを取り巻く状況を分析し、配偶者暴力防止法の見直しを含めて検討する。」というふうに今の時点で盛り込んでいます。
 緊急保護命令なども是非必要ではないかという意見もあり、確かにそのとおりなんですが、十四条一項ただし書きで、緊急の対応が必要とされる要保護者からの申立てについては現行法の規定により対応が可能となっています。
 ただ、そういう声が出るというのは、もっと緊急に出してほしいという声に実は裁判所が十分こたえ切れていないというところにあると思いますので、実態面も含めてしっかり検討をしていきたいと思っています。
 交際相手等からの暴力を法対象に含めるべきではないかという議論があることももちろん承知をしています。これは、ドメスティック・バイオレンス防止法を作ったときに、私も一番先に作ったときのみんなと作った仲間ですから、家庭内暴力ということに注目してこれを作ったので、配偶者等といったときにどう含めるかというのはやはりしっかり議論をしていきたいと思っています。
 でも、私自身は、いろいろ法律に課題はあるのですが、やはりNGOに対する財政上の支援、必死でやりながらやっぱりつぶれていっているNPOが多いということをどうするかということと、二点目は、こういう法律ができてもいまだにDVで命をなくす人が絶えないということはやっぱり胸が痛くて、それはもちろんいろんな公務員、警察官の人に対する研修、どれだけやっぱり危険か、あるいは危ないかということも含めた研修や、今、紙委員がおっしゃった、子供のちっちゃいときからのいろんな教育など、時間が掛かるかもしれませんが、教育や啓発、いろんな人々にこれが重要な問題だということをしっかりやっていきたいというふうに思っています。
 最後の点は、その事案を承知してないので、ちょっとコメントができなくて申し訳ありません。

○紙智子君 じゃ、時間ですので結構です。


○紙智子君 ちょっとまだ時間ありそうなので、もう一つ。
 先ほど時間なくて聞けなかったところで、DV防止教育で、例えば十代でもやっぱり悲惨な事件につながっている例があって、やっぱりちゃんと教育の中で、意識してこれがDVということなんだということを教えることで気が付いて、これは駄目なんだなというふうになるケースもあるということも報告されているんですけど、まだまだ、何というんですか、意識したところはやっているけど、そうじゃないところは全くということもあるので、こういうのを文部科学省とも連携して、そういうDV防止教育の義務化といったらいいか、ちゃんと位置付けさせるというのも必要なんじゃないかと思うんですけど、この点についてちょっと御認識を。

○国務大臣(福島みずほ君) おっしゃるとおりで、教育がいろんなものの本当に根本ですので、子供たちのときから、男女平等教育や、あるいはDVの問題点、あるいは男女共同参画社会基本法の問題点など、しっかり理解をして、被害を受けたら、ああ、これはそうだ、問題だと思う、あるいは、そもそもそういう加害行為が起きないようにしっかりと子供たちにも理解してもらい、勉強してもらうことが必要だというふうに思っています。