<第174回国会 2010年3月16日 農林水産委員会>


○ ミニマムアクセス問題、センター方式で回避せよ

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 大臣の所信に対しての質問をいたします。
 それで、二月の乳価に対する質問のときにも取り上げたんですけれども、日本のミニマムアクセスあるいはカレントアクセスなどのWTOの貿易ルールに関する問題についてお聞きします。
 大臣はWTO協定を読まれていると思うんですけれども、ミニマムアクセスにしろカレントアクセスにしろ、このアクセス数量はあくまでも輸入機会の提供ということだと思うんです。アクセス数量が輸入義務数量であるというような規定がWTO協定上どこかにあるでしょうか。

○副大臣(郡司彰君) 御存じのように、ミニマムアクセスについては機会の提供というふうに理解をされているところでございます。ただし、国家貿易として行っている品目についてどのように扱うかというのは、それぞれ国が時々の内閣、閣議によって決められている、そのような運営をしているというふうに思っております。

○紙智子君 まずはWTO協定上は規定はないわけですよね。

○副大臣(郡司彰君) 文言を訳していきますと、機会の提供というふうに訳せるものだというふうに理解をしております。

○紙智子君 それから、国家貿易の話がありましたけれども、国家貿易であるならば、アクセス数量が義務輸入数量になるという規定がこのWTO協定上ありますか。

○副大臣(郡司彰君) WTOの協定上ではなくて、その、何ていうんでしょう、趣旨を生かした私どもの国の閣議決定というような中でそのようなことがうたわれているというふうに思っております。

○紙智子君 ですから、WTO協定上は規定されていないんだけれども、我が国でそのことを決めていると。だから、言ってみれば、前政権、自民党政権の時代に、WTO協定上は書いていないけれども、自分たちで解釈をして政府の統一見解ということで決めたわけですよね。だとすると、なぜそういうWTO協定上特に根拠のない解釈を政権が替わった中で民主党政権が引き継がなきゃいけないのか、大臣、いかがですか。

○国務大臣(赤松広隆君) これは一つの国際約束でございまして、そういう意味で、これからいろいろな国々とEPA、FTA、そして全体的にはWTOのいろいろな交渉をする上でやはりこうした約束そのものは政権が替わっても守っていかざるを得ないと、このように私は考えております。

○紙智子君 ちょっと質問した意味というか、質問したことというのは、要するに、協定上は規定がないのに、言ってみれば勝手に解釈して、それで国内で決めて義務だという形でやってきた。そのことというのを、なぜ民主党政権が、政権が替わった中で同じようにその上に乗っかってやるのかと。政権が替わったんだから、そのことに対する検討があってしかるべきじゃないかという意味でお聞きしたんです。

○国務大臣(赤松広隆君) ですから、政権交代があって、紙委員の御質問の趣旨は、政権交代したんだから、もう前の内閣が決めたことは破棄してもいいんじゃないかということだろうと思うんですが、ただ、これは国内の問題よりもむしろ、御存じのとおり、当時は細川政権だったと思います。私も当時、一時期与党の幹事長、当時は書記長と言いましたけれども、その間のあれにかかわっておりましたけれども、言わば七百数十%という米の関税化をすることによって何としても日本の米農業を守ると。そういう中で、一つの妥協案としてこうしたミニマムアクセスの問題が、一つの国際約束としてそれを受け入れることによってこうした関税化が進んだということだと思っておりますので、その後、その方針を自民党政権、自社さ政権でも引き継いでこられたというふうに思いますし、そういう意味で、世界に対する、各国に対する約束として私はこれは守っていかざるを得ない、そのように考えております。

○紙智子君 当時は自社さ政権で受け入れたということがあるのでということなのでしょうか。

○国務大臣(赤松広隆君) 細川政権です。

○紙智子君 細川政権ですか。
 このWTO協定上義務だという規定があるんですかという質問は、実は今初めてしたわけじゃなくて、もう随分前、私たちの先輩の、共産党の先輩の議員が、当時WTO協定した後に同じ質問したんですね。当時は、とにかくミニマムアクセスは義務なんだと。義務だ義務だということで、もう洗脳されるように義務だって思わされていたわけだけれども、そのときに質問で、じゃ協定上どこに書いてあるのかというふうに聞いたら、当時は、もうひっくり返しひっくり返し探して調べた結果どこにも書いていなくて、結局は機会の提供だというのが正確な訳であるということをそのとき明らかにしたわけですよね。
 それで、だから、義務じゃないということがなっているにもかかわらず、いや、国家貿易にした場合は義務なんだというふうに枠を決めてきた経過があって、ただ、私はやっぱり、当時、WTO協定を結んだ経過、それから、それからもう十年以上もたって十四年、五年目になるんですかね、ということで考えたときに、国際情勢が非常に大きく変わってきたわけですよ、食料をめぐって。しかも、あの事故米の問題が起きて、多くの国民の中では、なぜこんなミニマムアクセスを必要がないのに無理をして入れなきゃならないのかという気持ちが、あの事故米の問題をめぐってすごく大きく膨らんできたと思うんです。
 そういうことを考えたときに、改めてそのとき、決めたときの時代と今とを考えたら、食料不足でむしろ各国が食料をもっともっと作っていかなきゃいけないと。当時結んだときというのは、どちらかというと国際社会全体の中で食料が余りぎみということもあったと思うんですけど、今そういう事態ではないわけですから。そういう新しい状況の下で、新しい環境に照らしてやっぱり見直しを掛けていくということは必要なんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

○国務大臣(赤松広隆君) これは平成六年五月二十七日の衆議院予算委員会で、これは大いに当時議論をし、もめまして、そういう中で政府見解ということで文書でもって確認をされているものがあります。多分お手元にもその書類をお持ちだと思いますけれども。
 そういう中で、三の項で、我が国が輸入しようとしても、輸出国が凶作で輸出余力がない等客観的に輸入が困難な状況もあり得ないわけではなくて、かかる例外的なケースにおいてはミニマムアクセス機会として設定される数量に満たなかったとしても、法的義務違反が生ずるものではないというようなことも確認をされております。
 しかし、現実の問題として、今、じゃミニマムアクセス米をどこから輸入しているのかということを見てみると、たしか、今手元に資料ありませんが、アメリカそれから中国等、非常にいろいろな意味でセンシティブなそういう国々から、いろんなことを考慮しながら、国際関係等を考慮しながら入れているという経過がございます。
 ですから、そんな七十七万トンなんて要らないじゃないのという意見も分からないわけではありませんが、しかし、もしこれを、こんなものは義務じゃないんだから一方的にもうやめますと言ったときに起こるいろんな事態について考えれば、私どもは、かつて国際約束としてガット・ウルグアイ・ラウンドの中で取決めをしたこのことについて、政権がいろんな形で変わってまいりましたけれども、引き続きそういう方向では、約束は約束事として私は維持をしていった方がいいというのが農水大臣としての私の考え方でございます。

○紙智子君 我が党は、予算委員会の要求資料で、毎年、WTO加盟国のうち国家貿易で食料輸入を行っている国の名前と、それから輸入品目、それからアクセス数量、それから実際に輸入している量を資料を要求して、資料を出していただいているんですね。
 それを見ると歴然とするんですけれども、例えば韓国では大麦、大豆、バレイショ、マンダリン・タンジェン、それから松果、それから台湾では米、中国では穀物、食用油、砂糖、綿花、それぞれ、アクセス約束数量というのを最初決めるわけですけど、これよりも下回った輸入になっているんですよね。韓国でいうと、大豆はアクセス約束数量の三〇%ですし、バレイショは三九%だと、マンダリン・タンジェンは二二%だと。中国は、穀物はアクセス数量の四%なんですね。食用油は四五%になっている。それから、綿花は二一%の水準なんですよね。ですから、これは皆、実は国家貿易品目なんですよ。
 だから、よその国では国家貿易品目なんだけど約束数量を全部満たしていないという状況があるんですけれども、こういう状況だからといって何かWTOの国際会議の場で大問題になるというようなことはありますか。なっていますでしょうか。

○国務大臣(赤松広隆君) 他国のことは私の立場でいろいろ言わない方がいいと思います。少なくとも、しかし日本は信義の国ですから、約束したことはきちっと守る。それ以上のことはしないけれども、約束だけは最低限守るということはやっぱり必要なんじゃないでしょうか。

○紙智子君 時間がすごく過ぎてきている、そして状況も変わってきている。情勢を踏まえてやっぱり新たな改革が必要なものについては見直しの方向も打ち出すという柔軟な対応でやっていくことが今やっぱり必要だというふうに思うんですよ。
 国際社会全体も、そういう意味では、それぞれ各国がWTO協定に基づいてやってきた結果、いろんなやっぱり矛盾が出てきたりしていて、各国の中でも食料というのは本当に主権として大事な問題だということも言われている中で、やっぱりそういうところをしっかりと踏まえて日本として新たな提案をしていくということも大事じゃないのかと。
 自民党政権が当時政府統一見解ということを出していたわけだけれども、言わば、せっかく政権が替わって、いろんなことを見直したり、やれるチャンスのときに、相変わらず前政権のやってきた中身を無批判に引き継いで、その見直しの作業に取りかからないと。日米のFTAなどを含めたFTAを推進しようとする姿勢に対しては、やっぱり全国の農業者の中では、期待もあったんだけれども、しかし、今やそういう姿勢が変わってないということでは不信の、不安、不信ですね、の念を大きくしているという面もあるわけですよね。
 ですから、日本農業に打撃を与えないようにするんだということは繰り返し言われているんだけれども、そうであるならば、ミニマムアクセスとかカレントアクセス、こういう見直しの作業に取りかかるべきではないかと思うんですけれども、いかがですか。

○副大臣(郡司彰君) 議論としてそのようなことというのはあり得る議論であろうというふうに思っております。
 一方、交渉事は現実として今現在も続いているわけでございまして、今年度中にまとまるまとまらないという議論も午前中ございましたけれども、そのような中で、一昨年の十二月に出されている議長のテキストというのは四%プラス二%、私どもは八%というような、重要品目を含めて、いろいろなところでの議論を重ねているところでございます。
 したがって、例えば新たな提案をするという形になりまするときには、相当な準備をして掛かるということがもちろん必要でありましょうし、新たな提案ということになれば、これまでの世界的な交渉事の中では、それまでのところを超えて新しいものということは、その提案をした国にとって有利な条件というものが多分内在をしているような形で提案をされてくるということが多かったということでございます。
 したがいまして、結果として、その交渉の中で、それならば更に各国の要求圧力というものが強まるという結果が生み出したということは、これ紙委員もEUにおけまするセクター方式の結果等についても御案内のとおりだろうというふうに思っておりまして、まさにそうしたことを勘案をしながら検討を重ねていかなければいけない重要な問題だろうというふうには思っております。

○紙智子君 議論としてはあり得ない話ではなくて、あり得る話だけれども、ただ、相手があるからいろんな準備が必要だということなんでしょうか。今、郡司議員が言われたことというのは、大臣は同じなんでしょうか。

○副大臣(郡司彰君) もちろん、当たり前のことですけれども、議論としてはどのような議論ももちろん成り立つわけでございます。そして、国としてこれまでの約束事項というものを超えて新しい提案を、今現在、今年中にも交渉の妥結を目指しているそのラウンドの中においてでき得る状況かどうかということも併せて考えなければいけない、これは当然のことだろうというふうに思っております。
 もたらす結果が今現在の結果を上回るというような自信と見通しというものがない中で、議論としてのそのものだけを今国際社会の中においてなし得るということには私どもとしてはならないんではないか、そのように考えているというところでございます。

○紙智子君 今まで政権が続いてきて変わらない中でまた交渉となったら、今までの経過があってなかなか急に変えられないという側面はあるんでしょうけど、政権が替わって、我々の考え方はこうなんだということに立って、日本の現状も見たときに、自給率四〇%そこそこということで、ここを上げていくということを最大の目標にしているわけですよね。
 そういうことも含めて提言をしていくということでは、もちろん準備も必要でしょうし、そういうことは一定の時間も必要なのかもしれませんけれども、そういう気持ちがあるかどうかということがまず大事なわけですよね。本当にその先に向けてというか、そういう必要もあるということで、やる気があるかどうかというところが大事で、それすらないということになると、これはちょっといただけないんですけれども、そこはどうなんですか。

○副大臣(郡司彰君) これは、省全体あるいは国全体としての意思を今どこかでそのような形で議論をしている、検討しているということにはならないというふうに思っております。
 私、個人的な発言からすれば、長い将来にわたって今のままでいいのかどうかということもありましょうし、もう少し長い展望で見れば、逆に、穀物を私どもの国が買うというような状況ではなくて、もっと人類の英知としては、食料が足らない地域、食料が足らない人たちがいるわけでありますから、そこに対してどのようなことをなし得るかという議論は当然あってしかるべきだというふうに思っております。

○紙智子君 今、当面するところでいうと、四%だとか具体的な数字が突き付けられていて、そこを守っていくというところで精いっぱいの交渉というのが今の実態なのかもしれませんけれども、そういう中で、私たち日本共産党が前政権のときも提案してきましたけれども、米のミニマムアクセスについてはEUが導入してきたセクター方式を日本でも導入したらいいんじゃないのか、穀物区分ということでやれば米の輸入は必要なくなるんじゃないのか、全体でバランスを取ってやることができるんじゃないかということで明らかにしてきたわけです。
 これも、予算委員会の要求資料で出してもらいますと、セクター方式導入の検討状況ということで求めたのに対して、どういう回答かといいますと、セクター方式の導入については譲許表の修正が必要でありと。ですから、ガット第二十八条にありますけれども、協定上この譲許表を修正するためには関係国と交渉して合意することが必要だというふうに書いてあるわけですよね。ですから、変えられると。譲許表を変えるためにはもちろん交渉して相手も分かってもらわなきゃいけないということですけれども、是非そのことを関係国と交渉して、譲許表を改正をしてセクター方式を導入するということを考えるべきではありませんか。

○副大臣(郡司彰君) これまでの経過の中で、ウルグアイ・ラウンドの際にそうした方式を私どもで取るということの選択まで行かなかったという歴史的な判断については御存じのことだろうというふうに思っております。しかし、WTOの中でこのようなセクター方式というものが否定をされているものとは言えないわけでありますけれども、現実にEU等が行っているということも事実だというふうに思っております。
 その中で、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、技術的に言えば、その譲許表が現在のウルグアイ・ラウンド合意に基づくベースになっているわけでありまして、この交渉が行われておりますから、これを変更するということは、先ほど御指摘があったような手続等が出てくるということもまた事実だろうというふうに思っております。
 一方、EUが食肉のセクター方式を導入した経緯及び効果について若干お話をさせていただきますれば、平成五年末のウルグアイ・ラウンド合意のアクセス数量を設定するに当たりましては、品目のくくり方につき統一的なルールがなかった、そのため関心のある国同士で交渉によって決められたというような経過があったというふうに聞いております。
 EUは、食肉のアクセス数量を設定をするに当たりまして、牛肉そして鶏肉、豚肉、羊肉等の食肉をまとめて一つの肉というセクターで設定を行って、結果として、豚肉、鶏肉については消費に占める割合を五%未満とする一方で、牛肉、羊の肉については五%よりも大きく設定をするということになったわけであります。ただし、食肉部門を一括したといっても、あくまでも全体量の計算に当たってのことでありまして、個々の品目につきましては譲許表において細かく数量を設定をする、そして、さらに食肉セクターの全体として義務数量であります、これは五%ということになっているわけでありますが、EUは、結果としては上回る五・四%になったというのが事実としてあるわけでありまして、先ほど申し上げたように、そのような点も踏まえて慎重に判断をしなければいけないんだろう、そのように思っているところであります。

○紙智子君 我が党がそういうやり方にしたらどうかという提案をした背景といいますか、それは、やはり米の問題でいいますと、日本は既に七十七万トンミニマムアクセスで入れなきゃいけないと。ところが、その何%ということで、これから後の交渉でいうと更に大きな米を入れなきゃいけなくなる可能性もどんどん言われてきているわけですから、しかもその上限関税という問題も言われてきている中で、これ以上の米が入ってくるようになれば、日本の米というのは本当に支え切れない状況に米農家というのはなっていくわけですよね。そこを本当にどうやって食い止めるのかということについて考えたときに、やっぱりいろんなやり方を試みてみることが必要だし、今までやったことがないことだけれども、そういうやり方もあるんだったら、それも検討に入れてやるべきじゃないのかということで提案をしてきているわけですよね。
 前政権のときに、石破大臣のときには、ミニマムアクセス米を入れないで済むんだったらそれにこしたことはないと、そのためにはどうすればいいのかということで、その選択肢の一つとしては検討していくということを答弁されていたわけで、それやらないということであれば、ちょっと前政権よりも後退した話になっちゃうなと思うんですけれども。

○副大臣(郡司彰君) 議論をしない、検討をしないということを申し上げているつもりはございません。前大臣のときに、結果、検討したけれども難しいという判断をしたということもあったろうかというふうに思っております。
 多分セクターということになりますれば、穀物とか、そのようなくくりということになるのかもしれません。今現在、小麦そのものはアクセスの数量が決まっておりますけれども、現在、そのものの実態からすれば、これは九二%ぐらいの数字に今収まっているというのが現実でもございます。だとすると、さらにその議論をすることによって、先ほどのように、私どもが本当に得るのが今現在の形の中であり得るのかどうかということについては、十分に検討をそれはしなければいけない、そのように思っております。

○紙智子君 もっと議論したいところですけれども、あともう一問お聞きしたいことがありますので、次に行きます。
 それで、米の戸別補償モデル事業についてなんですけれども、この事業をめぐって全国の市町村から悲鳴のような声が上がっているわけです。
 それで、この戸別所得補償モデルの事業では、補償を求める農家というのは四月から六月にかけて申請書を提出しなきゃいけないですね。その申請書の作成や発送やチェック、これについては水田協議会に事務を任せていると。ほとんどの水田協議会というのは、その事務を実は市町村がやっているわけです。事実上、市町村がこの膨大な申請書の作成をし、発送し、チェックをするという事務の業務を任されていることになっているわけです。
 それから、国から交付金で事務作業に伴う事務費や賃金を払うというふうになっているようなんですけれども、その賃金の額や社会保険の額が明記されていないと。さらに、交付金は四月初めに入金されないで、これは市町村としては事務員を雇いたくても賃金を支払えない状況で、雇用もできない状況だというんですね。
 さらに、申請書は様式が、様式そのものが案ということになっているので、申請書を入れる封筒すら印刷しようにもできないと。各農家の水田のデータを印刷するソフトもまだできていないと。だから、申請書が出た後の水田のチェックもすべて手作業になるという、気が遠くなるような膨大な業務なんだと。
 こういう業務を市町村に押し付けるような法的根拠というのはあるんでしょうか。

○国務大臣(赤松広隆君) 戸別所得補償については、これは各党、各委員からいろいろ御質問があったところです。
 あくまでも今回は国の事業として私どもお願いをしておるわけでございまして、それぞれの都道府県、そして市町村、また実際に、これは他の委員のときにも申し上げましたけれども、いろんな作業をやっていただくのは今ある地域の協議会、こうした皆さん方に、ここには市町村も入っているし、農協も入っているし、いろんな関係の皆さん入っているわけでございますので、そういう皆さん方の御協力もいただきながら、実際の手続はやっていきたいと。
 ただ、農水省としても、いろいろな必要なデータ等を整備をするために二十二年度から百五十人程度を地方農政局に新たに配置をいたしまして、こういうメンバーをまた中心にしながら、地域の皆さん、水田協議会や市町村の皆さん方と協力しながらこうした作業をやっていっていただくと。
 なお、四月、原則的には予算が正式に決定をしてからいろんなことを始めるというのがこれ大原則ですけれども、今、紙委員が言ったような、現実問題として多分今月中に例えば予算が通るんだろうと、しかしそれを待っていたんじゃもう四月の終わりから忙しくなるので、できるだけ、もし通ったとしたらという前提の下で、いろんな書類とかそれからいろんな手続の詳しい話だとかいうことについて農水省としてはできるだけ皆さん方に御迷惑掛からないように早めにお伝えをしようということで、そういう前提付きですけれども、予算が通ったらという前提付きですが、そういう今事務的な作業については進めさせていただいております。
 それから、例の推進事務費ですけれども、七十六億円計上しています。これはあくまでも、そこで新たな人たちを雇い込んで、その人たちにどうこうというよりも、むしろ、市町村の皆さん方あるいは農協の皆さん方、そういう人たちに本来業務のほかに申し訳ないけれどもそれをちょっと手伝ってもらえないかと。そういう意味で、私は何度も申し上げているが、十分なお金とは言いませんが、半分ボランティアのようなことでございますけれども、その事務費も有効に使っていただいて、是非国のこうした事業に御協力をいただきたいという趣旨でございますので、これは新規に人を雇ってどうこうといったらそれはとても、もう一つゼロが付いても、七百六十億でも足りないぐらいだと思いますので、その辺はあくまでも人件費ではなくて事務費だということで御理解をいただきたいというふうに思っております。

○紙智子君 あくまでも協力を求めるということであれば、やっぱり市町村の立場に立って見ていただきたいんですよね。
 それで、御承知だと思いますけど、やっぱり合併などをして相当人も削減されていて回らない状況がただでさえある中で更にそういうことで増えるということですから、是非、これは実態というか、大臣に現場に行っていただいて、そして状況をやっぱり見て、見て、どういうふうなことをやらなきゃいけないかということでやっていただきたいと思うんですけれども、最後にそのことだけちょっとお答えをいただきたいと。

○国務大臣(赤松広隆君) 私のような者でそれはお役に立てばもちろん何でもやらさせていただきますけれども、今ちょうど予算上がる、上がらないのぎりぎりのときですので、予算が成立をした後、いろんな現場での状況について、どこかはちょっとまだ検討させていただきますが、現場の実態も見させていただきたい。私や、あと副大臣、政務官もでき得ればそれぞれ分担して、一か所だけというんじゃなくて五人が、五か所をそうすると見れるわけですから、そんなことも考えてみたいと思います。

○副大臣(郡司彰君) 委員長、済みません。

○委員長(小川敏夫君) 郡司副大臣。

○副大臣(郡司彰君) 済みません。
 先ほどMA米のことにつきまして、平成六年の関係でございますけれども、閣議決定と発言をしたようでございますが、政府統一見解でございますので、訂正させていただきます。

○紙智子君 終わります。