<第171回国会 2009年6月9日 農林水産委員会 第13号>


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 農地法の改正案が衆議院で修正をされて本院に送られてきました。修正をしても、農地の利用権についての規制を取り払って農外企業の進出を自由にするというこの改正案の最大の眼目に変更はないと思います。いずれは所有権の自由化につながっていくことが想定されると。修正案は許容範囲内であったというふうに思われます。
 この委員会の中でも議論になってきていますけれども、歴史的に見て、この農地法は農政における基本的な法律の一つと。農業経営と農業生産の担い手の在り方を規定するということとともに、多くの小作農民を貧困にさらしてきた地主制度を取り除いて、戦後の農業、農村の民主化とその維持に重要な役割を果たしてきました。農地の耕作主義の原則があったからこそ、農業と農業経営は地域に根差した主体によってやはり担われる経済活動であり続けてきたと。農村社会の安定性も維持されてきたんだというふうに思います。
 それから、今日、食料生産の基盤であるということとともに、環境や国土の保全、住民の暮らし、就業の場の確保、それから伝統や文化を営む地域の共有財産としての役割も求められているわけです。そうした多面的な役割を担う上でも最もふさわしいのがやはり耕作者主義の原則だというふうに思うわけです。
 だからこそ、これまでも極めて農地法の扱いというのは慎重に扱われてきたというふうに思うんですよ。ちょっとした手直しならいざ知らず、やっぱり基本にかかわるような問題については、今まででいえば、一国会だけで済ませるというふうになっていなかったと思うんですね。今回、衆議院で十七時間審議したからよしというものではないというふうに思いますし、まだまだこれ審議が必要だというふうに思うし、実際、生産者を始め関係者の皆さんの意見をどれだけ聞き取っているのかということも私は考えるわけです。
 農業委員会の中でも、やっぱりまだまだ、何というんでしょう、心配することがいっぱいあるんだということが、つい最近も農業委員会の皆さんが要請に来るということがあるわけで、どれだけだからきちっとした意見を取り上げてやられているのかということでもあるわけですよね。
 農地法というのは、いったん変えれば簡単に直せるようなものじゃないと。ですから、拙速に事を運べば後々禍根を残すことになりかねないというふうに思うわけです。ですから、私は、今日が参議院での質問が始まったという、審議が始まったわけですけれども、是非徹底した審議を行ってほしいということをまず求めておきたいと思います。
 それで、今度の改正案の原案が目指すところがどこにあるのかということを考えますと、衆議院で修正された上に立っても問題はなお大きいというふうに思いますので、我が党としてはこの法案は廃案にすべきであるというふうに思っております。
 順次質問していきます。
 まず、最大の問題は、修正されたといっても、大企業を含む農外企業による、先ほど外資もという話もありましたけれども、含む農地利用を全面的に認めるということです。これまでは、特定法人というのは、耕作放棄地のみ借りることができたわけですけれども、今度の法改正によって優良農地も活用できることになると。それから、市町村を通さなくても直接農家と相対で契約を結べるわけです。借りる側にとってはもちろんこれメリットがある話なわけですけれども、そのことが農村集落に与える影響というのはどうなのかと。想定されること、デメリットもあるんじゃないかと思うわけですけれども、それについてはどうなのかということをまず認識を伺いたいし、それに対しての対策ということで、大臣、よろしくお願いします。

○国務大臣(石破茂君) 要は、利用されていないという状況をどうやって打破をするかということで考えてまいりました。それは、ずっと答弁申し上げておりますように、集落機能の維持あるいは家族経営というものを否定するものでは全くございません。そしてまた、集落営農が法人化する際に、出資者あるいは事業内容について選択の幅を広げたい、集落営農が必ずしもすべてうまくいっているわけではございませんので、それの問題の取り除きということにも寄与するものでありたいというふうに考えております。
 家族経営が淘汰されることがないようにということはよく配意をいたしております。そして、集落営農というものはきちんとワークするようにということも考えているものでございます。農地の利用というものが最大限行われるということ、そしてあわせて、家族経営の淘汰の防止ということで、所有権については株式会社等々に認めないということも貫いておるものでございまして、基本的に考え方をがらっと変えたというものではございません。むしろ、見方の問題でございまして、何々主義というふうに麗々しくうたって、それでみんな貫いているというよりは、利用をいかにして促進をするかということに光を当てて見方を変えて法律を作ったということだと私は認識しております。

○紙智子君 いかに使われていないところを利用するかという話をされていますけれども、これは先ほども議論になっていましたけれども、この法律を、今回農地法をどうして改正するのかというときにずっと言われていたことは、やっぱり耕作放棄地を広がっていることが非常に重大なんだと、そこを解決しなきゃいけないということで出されてきているというふうに説明をされていたわけです。
 それで、先ほどもお話しになっていましたけれども、耕作放棄地がどうして増えるのかと。これは、ずっと私も現地歩いていろんな人から話を聞くわけですけれども、ちょっとさっきアンケートの結果なども紹介されていましたけれども、まず出てくるのは、一つは土地の条件が良くないという問題。つまり、本当に岩が入っていたりとか非常に土地そのものがやせているだとか、それから日陰になっていて、ちょうど山合いで日陰になっていて、そこでいろいろ手を入れたとしてもなかなか作物が育たないとか、そういったやっぱり条件が悪いということで、耕作放棄地になる理由というのがそういうことに一つはあるということが出てくるわけです。
 それからもう一つは、やっぱり経営の採算が合わないと、引き合わないと、私はこれが一番大きいというふうに思うわけですけれども、この問題と、それから三つ目は、地域で本当に頑張って、何とか後継ぎをつくってやりたいものだということで、頑張ってはいるんだけれども引受手がないというようなことが出されるわけですよ。
 これに対して今回の法改正ですべて解決できるというふうに思っておられるのか。つまり、農地を借りてやればだれでもできるというふうな法改正なわけですけれども、企業も入ってやれば今言われたような問題というのはすべて解決できるというふうにお考えでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) これですべて解決できれば何にも苦労はございません。これですべて解決できるわけではありませんが、今回の農地法の改正というものがなければいろいろな政策手法が使えないというものもございます。委員おっしゃいますように、耕作放棄にはいろんな理由がございまして、一番の理由はもうからないからだということはよく承知をいたしております。岩がごろごろあってとか日当たりが良くないとか、そんな話は別に昔からあるお話でございまして、そういうことにも起因をするのでしょうが、もうからないからということが一番の理由でございます。
 耕作放棄地が仮にいろんな手だてによって解消されたとしても、そのために自己負担の軽減等々私ども補正予算の本予算等々で図っておるところでございますが、それはもう復田というか復耕というか、したはいいが、じゃその後何を作ってどうやって売るのというところまでなければ、また元の耕作放棄地に戻るに決まっておるのであって、そこのところは一連の流れとして、法律、予算、事業で支援をしていかねばならないと思っております。

○紙智子君 今大臣御自身が、やっぱりもうからないからだと、最大の問題はというふうにお認めになったわけですよね。
 私は、そうすると思うわけですけれども、じゃ、何のために農地法を改正しなきゃならないのかと。農地法に問題があったから耕作放棄地が増えたというのであれば、これは農地法を変えましょうという話になるかもしれませんけれども、もうからないと、つまり採算が合わないということが最大の理由なんだとしたら、そこに対しての政策をどうするかということが先であって、それがやっぱり今求められていることなんじゃないかというふうに思うわけですよ。それで、この対策もやった方が少しでも解決に導くというんですけれども、本当にそうなんだろうかと思うわけです。
 それで、今日お配りしていますけれども、先日、私は、千歳市にありますオムロンという会社がやったトマト工場が撤退した跡なんです、これ。この間行ってきて、写真撮ってきて、それを配ったわけですけれども。
 東京ドームの一・五倍と、広さがですね。これ平地ですから、千歳のところのあの真っ平らなところですけれども、東京ドームの一・五倍の広さのガラス温室ですよ。これはもうすべて自動的に温度の管理からすべてやれるということで、糖度の高いトマトを生産できると、高品質のトマトだというふうにうたって参入したけれども、わずか三年後に撤退をしたわけですよ。その後、今度は宮崎県の造林会社が参入をしてきたわけです。しばらくやっていたんですけれども、これも去年の十二月に、うまくいかないということで倒産をして、従業員は全員解雇です。
 それで、トマトは三十五万本放置されたまま枯れてしまっているわけですけどね、売れるものは売っていますけれども、あとはもう枯れた状態になっていたと。それで、私が行ったときは、その枯れたやつを全部始末して、後片付けをしていたわけですけれども、現在は管財人の手に渡って、新しい引受手を探しているところだと。
 ところが、これ、実際現地で見るのと写真と大分違いますけれども、現場に行ってみると本当にもう先の方が見えないぐらいですよ、広くて、広くて。それで、この写真で見てお分かりのように、これ、伝わせるものがずっと落ちているわけですけれども、下の方を見ますと、冬場は零下になりますからね、それで、暖めるためのパイプでもってお湯を流すようになっていますし、全部これガラスですから、夏になりますと物すごく暑くなるわけです、中が。四十度を超えちゃうんですよ。
 そういう中でやってきていて、それで、この後をどうするかということをめぐっては、余りにも巨大なものですから、引受手がなかなか見付からないということですよね。これが元々の総事業費で二十億投入して造られたということですから、これを受け継ぐとしたら、よほど資金力がなかったら無理なわけですよ。でも、じゃ、壊すかといっても、壊すのも壊せないと、物すごいお金が掛かるということになっているわけでね、もうどうしようもない状態なわけです。
 農業委員さん来てくださって、それでお話を聞くと、もうとにかくひたすらだれか受け手はいないかということで、もう願っているしかないという状況なわけですし、こういう状況になったときに一体だれが責任取るのかと。もちろん、そういうところが十分準備なしに入って撤退したら、それはまずいですよねという話になるんですけど、現場に行ってみると、一体じゃ、これどうするのと、だれが責任取るのというふうに思うわけですよ。
 そういうことがやっぱり出てきていて、いかに地元に密着しないで入ってきている企業が無責任かということを改めて感じたわけですけれども、言わば、今回の法案では、企業は参入しやすくなるわけですけれども、これからもこういうことが起こらないということが言えるのかどうか、いかがでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) このケースはいろいろな意味で示唆的だと私は思っております。詳しい経緯は委員御案内かと思いますので繰り返すことはいたしませんが、一つは、オムロン本体の業績が悪化しましたということで、不採算事業は再編をするということになりましたということがある。それから、トマトの販売会社自体も業績が低迷をしたと。なぜかといえば、夏の温度管理がとても難しい、思わぬ病害が発生をしましたと、収穫量が当初よりも大幅に下回り、小売店との間で販売単価が折り合わない、多分安定供給というのが難しかったんだろうと思っております。
 事ほどさようにすごく難しいものなのであって、これは私、参入するのも一種のオーナー企業でしたからもう非常に早い決断だったと、撤退するのもオーナー企業ですから非常に早い決断だったということだったと思いますが、もう農業はそんなに甘いものじゃありませんぜというのが一つあります。
 もう一つは、農地の取得という形態を取ったわけではございません。ただ、これから先企業の農業経営というものをどう考えるかという点において、相当に慎重であらねばならないということが多くの経営者の方々には御理解いただけたのではないかということです。
 だれが責任を取るんだということでございますが、それは企業の活動というのは営利企業としてやっておるわけでございまして、それは責任というものは企業並びにその株主、経営者が取るべきものでございます。そこにおいて農業者あるいは土地所有者というものに不当な損害が生じたということであれば、それはまた企業の中の論理というもので解決されるべきものでございまして、これはまたもう別の議論ですけれども、こういうようなものに対して、これを農地として考えるのか、農地転用しなきゃいけないのか、ここはまた別の議論としてあるところでございますが、今回のこの野菜工場といいますか、この場合には農地の取得という形態は取らなかったというふうに承知をいたしておるところでございます。

○紙智子君 私は、もちろん参入する企業がすべてこうだというふうに思いませんよ。もちろんまじめにやっているところも中にはあるというふうに思うわけですけれども、やっぱり企業の論理としてはもうからなければ撤退するということになっているわけですよね。それが実態だと思うんです。それで、やっぱりいかに農業というのは一律じゃないかと。非常に難しい。それをやっぱり今、現役の農業者の皆さんはもう毎年毎年違う気候やいろんな条件に合わせながらやってきていて、機械的に企業が入れば何でもうまくいくのかというとそうではないということを改めてはっきり示しているものだというふうに思うんですよ。
 それで、問題は、これオムロンだけじゃなくて、ほかにもやっぱりこういう例があって、これが繰り返されれば、耕作放棄地をなくすどころか逆に広大な耕作放棄地を造ってしまうんじゃないのか、広がってしまうんじゃないかと。一体それをどうやって防ぐのかということについてどうお考えでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) それは、名前を言えばだれでも知っている衣料品小売、衣料品というのは着る方です。衣料品の小売業がございまして、これも参入したがうまくいきませんでしたというのは先ほどの電機メーカーと似たようなお話でございます。
 これは何で撤退をしたかといえば、売上高が低迷したということでございますが、いずれにしても、委員おっしゃいますように、簡単に思い付きで入ってもうまくいきませんよという例が二つあるということでございます。
 さらに、もう一つ名前を言えばだれでも知っているケチャップなんかを作っている会社があるんでございますが、そこも本当にケチャップなんか作るので、私はその会社の経営の在り方というのはホームページなんかを読むたびにすごいなと思って本当に関心をしているのですけれども、そこにおいてすら採算が合う、その単年度の採算がようやっと合うようになったということでございます。そうすると、企業というものが農業に大々的に参入するということがいかに難しいかということは多くの経営者の知るところとなったのだというふうに思っております。
 ですから、財界の方々とお話をしますときも、この三つの例のお話をいたしまして、そういうような簡単なものではございませんよと。ですから、多くの期待を集めて参入をした、多くの人がそのときには雇用をされた、やっぱり駄目で引いてしまって、農地はともかくとして、元々転用しているかどうかはまた別のお話でございますから、そこに雇用が物すごく減っちゃったというようなことはそれはあってはならないことですということは、私は農林水産大臣としていろいろな現場で申し上げているところでございます。

○紙智子君 どうやって防ぐかというのはなかなか今のお話聞いていてもよく分からなかったんですけれども、もう一つ聞いておきたいのは、優良農地にも参入できるということになりますと、既存の認定農業者との競争になるんじゃないのかと。そうすると、今まで苦労して農地の集積を行ってきたような認定農家が追い出されるんじゃないかという心配もあるという声が出されているわけですけれども、これについてはどのようにされるんでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) 現状を見た場合に、農業従事者は減ります、耕作放棄地は増えましたと、これまでのような農業内部の担い手だけでやっていけるかといえばそうではないと、様々な担い手が必要だというのは先ほど来申し上げておるとおりでございます。
 そのときにバッティングをすることになるのではないか、優良農地は優先的に企業に貸借、賃借され、担い手が育たなくなるのではないかということでございますが、私どもといたしましてこれは調和させ、整合性を図らなきゃいかぬというような抽象的なことを言ってもよく分かりませんので、この法律では一体どういうことになるかといいますと、三条二項第二号におきまして、取得は引き続き、所有権の取得でございます、農業生産法人に限定すると。貸借につきましても、地域における農業の取組を阻害するような権利取得を排除する、第三条第二項第七号でございます。そして、第三条第三項及び第三条の二におきましては、適正な利用が行えない場合には担保措置はきちんと講ずるというふうにしておるわけでございまして、こういうような仕組みを取っておりますので、担い手への集積が進み合理的に利用されている農地を分断するでありますとか、あるいは、ブロックローテーション等既存の農家により計画的に行える農地利用を困難とする、そういうようなものは排除される仕組みが整っておると考えております。
 したがいまして、優良な担い手、現在おります担い手、そういうものとの競合ではなくて、そういうものがあくまで今まで築いてきたもの、それは守っていかねばならないというふうに考えておりまして、そういう排除というようなことが起きないように今後ともよく配意をいたしたいと思います。

○紙智子君 法律上、今三条の二項の七号とかいろいろおっしゃって、それはないよりはいいとは思うんですよ。しかしながら、やっぱり参入する方はいい条件のところが欲しいわけですよね。
 それで、これは参考人であさってですかね、来られるんですけれども、資料が配られて見て、その中にワタミの社長さんが出ていますよ。非常に率直に語っておられるなと思って読んだんですけれども、非常に苦労されているというのも分かるんですよね。北海道、それから群馬、千葉、それから京都と六か所でやっているわけですけれども、黒字になるまでに物すごい苦労をされているのがよく分かるわけですよ。
 その中で言っているんですけれども、例えば千葉県でやった例でいうと、後継者がいない農地を構造改善整備して町が借り上げる制度を行っていたと。この土地にトータルで三千万円投入したんだけれども、全く生産できなかったと。地元の人たちは一生懸命だったけれども、町はお金がないので補助もなく、気が付いたときはもう手遅れだったと。私たちはこれで昨年赤字になったが、こういうところに個人や小さな農業法人が手を出していたらもっと大変だったと。だから、今後、耕作放棄地などでは私たちはやらないことにしたと書いているわけですよね。だから、これは正直なことだと思うんですよ。
 そうすると、やっぱり実際に今までやってきた人たちが、今実際に認定農家をやっている人を無理やりはがしてしまうということはできないかもしれませんけれども、この法律でね。しかしながら、例えば今までやってきた人が何かの事情でやめた場合、次これをだれに受け取ってもらうかといったときに、そのときに、やっぱり実際、相対でやれるわけだから賃料の高い方に借りてもらった方がいいというふうになるわけですよ。貸すお金ですね、高い方に借りてもらった方がいいというふうになるわけですよ。じゃ、地域の農業委員会はそれに対して何か物を言えるのかといったら、いや、安い方にしなさいなんて言えないわけで。そういう意味では、歯止めが掛からなくなって、結局はいいところはそういう資本力のあるところに吸収されていくんじゃないかというふうに思うわけですけれども。
 これについて、だから言っていますよね、農業委員会の方がこの間言っていたのは、今後とも家族経営とその発展形態としての農業法人が基本であることを踏まえて、担い手の権利取得を優先するということを法令上明確に位置付けてほしいんだと要求しているんですけれども、これどうされますか。

○国務大臣(石破茂君) 条件の悪いところにあえて出るというのは、それは企業の経営の論理に反するんだろうと思っておりまして、委員がおっしゃいますように、絶対嫌だという人がおられて、それを押しのけてまで農業委員会がそこに企業に与えるというようなことはございません。当たり前のお話でありまして、そのところはもう委員と認識は共通なのだろうと思っております。
 そういうような法改正が必要なのではないかというような御指摘でございますが、繰り返しになりますけれども、所有権の取得が限定されるということ、あるいは家族経営を中心とする農業の取組を阻害するような権利取得は排除するということでございます。そしてまた、適正な利用が行われない場合に対する担保はちゃんと取るということでございまして、私は、企業経営が、企業経営でも農地が適正に利用されておれば、それを負の観点から評価をするべきではないと考えております。いかに適正に利用されているかということに着目をいたしました場合に、委員が御指摘のような状況が仮に現出したとして、それを負の観点からとらえるべきかといえば、必ずしもそうは思っておりません。
 要は、自分で一生懸命やっておるという、その家族経営を排除されないということがきちんと担保をされるということが肝要なのでありまして、これ以上法的な措置が必要かといえば、私は直ちにそれが必要であると認識はしておらないところでございます。

○紙智子君 ちょっと時間になっちゃったんですけど、ちょっと今の答弁ではなかなか納得できません。それで、また次回、続きについてはやらせていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。