<第171回国会 2009年3月24日 農林水産委員会 第04号>


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今日は、事故米の問題についてお聞きいたします。
 大臣は、去年の十月三十一日に事故米問題で大臣談話を発表しました。その中で、国の在庫保管中に問題が生じた場合はこれを廃棄処分すると明言をされました。また、米のトレーサビリティーを導入するために設置された米流通システム検討会でも、農林水産省食糧部枝元計画課長は、「倉庫の段階で仮にMA米なり国産米においてアフラトキシンが確認されたということについては、それについても要は政府が焼却をするということでございます。」と、アフラトキシンの汚染の米は、政府が倉庫段階の米についても焼却処分するということを明言しました。
 ところが、今年の二月十九日の「輸入米の販売直前におけるカビ・カビ毒のチェックについて」、プレスリリース出ていますけれども、この中では「飼料安全法の場合は三つの基準値以下であれば、それを販売する。」ということで、焼却処分から飼料用には販売するということで、大きく方針を転換したわけです。
 大臣、これは約束違反ではありませんか。大臣。

○国務大臣(石破茂君) 事実関係、極めて重要なことでございますのでゆっくり申し上げます。よくお聞き取りをいただき、また御議論に供したいと存じます。
 米のカビ毒に関しまして、食品衛生法におきましては、この法律に基づき定められた検査方法で分析をした結果、アフラトキシンB1が検出されない陰性のものでなければ食品として販売はできません。ここは御理解いただけるところだと思います。
 今度はえさの方になるわけですが、一方、飼料安全法におきましては、食品となる畜産物への影響あるいは家畜への影響の観点から、アフラトキシンB1、ゼアラレノン、デオキシニバレノール、この三つにつきまして、基準値、それぞれが〇・〇一ppm、一・〇ppm、一・〇ppmを定めておりまして、この飼料安全法に基づき定められました検査方法で分析をした結果、いずれも基準値以下の場合でなければ飼料として販売はできないことになっておるわけでございます。
 このうち、ゼアラレノン、デオキシニバレノール、この規制は食品衛生法にはございません。飼料安全法独自の規制でございます。しかしながら、アフラトキシンB1におきましては、食品衛生法、飼料安全法、共に規制がございまして、問題はその規制の仕方がこの両方では異なっているというところが問題なのでございます。
 今後どうするかということです。食品衛生法ではセーフだが飼料安全法ではアウトというような場合、逆の場合もですね、食品衛生法ではアウトだが飼料安全法ではセーフ、そちらの方が多いんでしょうね、飼料安全法ではセーフ、というような場合をどうするかということでございますが、消費者の不安を払拭をしていかねばなりません。私どもとして、消費者の皆様方の不安を払拭する観点から、アフラトキシンB1につきましては、飼料用、えさ用として販売いたします場合も食品衛生法の規制をクリアすることを確認をした上で販売をいたしたいと思っております。
 したがいまして、これをクリアできないものにつきましては、飼料用、えさ用としても販売をいたしません。廃棄処分、焼却をすることということになるわけでございます。
 委員が今御質問の中でおっしゃいました担当課長の言は、基準値以下ならばえさ用に販売することと矛盾するのではないかというお話ですが、今まで答弁をいたしたとおりでございますけれども、昨年の十月二十三日開かれました米流通システム検討会におきましての発言かと存じます。つまり、そこで、倉庫の段階でアフラトキシンが出たものについては廃棄するというふうに言ったではないかと、それは基準値以下ならばえさ用に販売するということと矛盾するじゃないかと、こういうような御指摘ではないかというふうに私は理解をしておるわけでございます。
 そういうことを踏まえまして今答弁を申し上げたわけでございますが、ただ一言だけ申し上げれば、米流通システムの検討会は、米のトレーサビリティー、原料米に関する産地情報の伝達、在り方を流通、加工の実務の観点から検討するということでございまして、食品の安全性の問題を議論する場ではなかったということはあえて申し上げさせていただきたいと思います。
 大変長い答弁になりまして恐縮でございますが、今後は食品衛生法の規制をクリアするということを確認した上でなければ販売をすることはいたさないということをこの場で申し上げさせていただきたいと存じます。

○紙智子君 長々とお話をされて煙に巻こうということなのかな、ごまかすんじゃないかというふうに思うわけですけれども、大臣談話も、それから計画課長も明確に廃棄というふうに言っているわけですよね。
 それで、ちょっともう一回確認しますけれども、これ農水相の談話ですよ、大臣の談話ですよ。「既に、事故米穀を今後二度と流通させないようにするため、一、輸入検疫で食品衛生法上問題があるとされた米麦については、輸出国等への返送又は廃棄を行うこととし、国と輸入業者との契約でこれを明確にしました。二、また、国の在庫保有中に問題が生じた場合は、これを廃棄処分にすることとし、処分を開始しております。」と、「こうした再発防止策については、今後も徹底して取り組んでまいりたいと考えております。」、これ大臣の談話ですよ。
 それから、米流通システムの検討会議録ですけれども、これ二回の分ありますけれども、これでやり取りがあるわけですよね。それで、いろんな消費者の代表の方も含めてやり取りされている中で、阿南さんという方が言われているんですよ。
 今のカビの問題ですけれども、前回も言いましたが、アフラトキシンについては減ることはないですよね。最初は分からなくても、やはり増殖することだってあるわけですね。だから、それを廃棄すると言いますけれども、その廃棄を一体だれがどこで責任を持ってやるのか、それは変形加工業者がやるのか、どなたがやるのか、流通している段階でもそのカビの心配あるわけですね。そこはどういうふうに管理するということなんですかと言ったら、枝元計画課長が、アフラトキシンについては、今御指摘のあったとおりいろいろな意味で化学上というのか、増殖の可能性を含めてカビだと認識していますと、少なくともアフラトキシンについては政府が、まず海外から来たときにそれが分かったら、これはもうシップバックをするか、廃棄というのはいわゆる焼却でございますと、これは国が焼却するということです、国自らがですね。それで、あと倉庫の段階で仮にMA米なり国産米においてアフラトキシンが確認されたということについては、それについても要は政府が焼却するということでございます。委託変形加工という、要は加工工場に売ってもいいよという米についていわゆる主食への横流れを防止するために割るということで、少なくともアフラトキシンが出たものについては委託変形加工という工程に入るわけではなく、それはもう焼却という形で廃棄をするということをこれからやるということを決めたということを言っているわけですよね。
 ですから、これ二つ、今紹介したとおり、食用も飼料用も区別なく廃棄というふうに言っていたわけですよ。それを、飼料用は基準値以下なら販売するというのは、これは明らかに約束違反じゃないですか、大臣。

○政府参考人(町田勝弘君) 事実関係もございますので、私から補足をさせていただきたいと存じます。
 今、大臣談話、また検討会の議事録を紹介いただきまして、それはそのとおりでございます。
 経緯でございますが、昨年の十月に販売した後にアフラトキシンB1が検出されたという事例がございました。販売直前にこうした事態をもう極力防ぐということで、この二月十九日から販売直前にこのカビ毒の検査をするということにしたわけでございます。
 その際に、食用と飼料用という販売用途に応じて、それぞれの規制法に基づいてチェックをするということにいたしたところでございます。この結果、アフラトキシンB1につきましては、大臣からお話しいただきましたように、食品と飼料用と規制が異なるということで若干取扱いが異なったということでございます。
 しかしながら、これも大臣から御答弁いただきましたが、食品衛生法のクリアをしていないものが飼料安全法の規制をクリアして流通するということについて消費者の不安もあるだろうということで、こういった不安を払拭するということで、今後、食品衛生法の規制のクリアをできていないものは飼料としても販売しないということでございます。
 よろしくお願いいたします。

○紙智子君 大臣がお答えになったことと同じ答えじゃないですか。
 あのですね、このやり取りの場面にいろんな方が参加していたわけですけど、このやり取りをしたわけですよね。それで皆さん、そうかというふうに思ったわけですけれども、ここに参加されている阿南さんや全農の方だとか大学の先生だとか、そういう方々に対して説明されたんですか、変えますということで。されていますか。

○政府参考人(町田勝弘君) 米流通システム検討会を開いて御説明をしたということはないというふうに思っております。ちょっと詳細の事実については私今すぐここで答えられませんが、流通システム検討会の場で説明をしたということはないというふうに承知しています。

○紙智子君 問題じゃないですか。だれも知らないですよ、それじゃ。このときに話したことのとおりに進めているんだろうと思っていたら、勝手にどこかで方針が手のひらを変えてしまったと。
 この阿南さんという方に私の秘書が電話を掛けたんですよ。お聞きになりましたかと言ったら、びっくりしているわけですよね、全く聞いていないと。こんなことでいいんですか。

○政府参考人(町田勝弘君) この件につきましては二月十九日にプレスリリースをいたしまして、この考え方を公表をさせていただきました。
 ただ、それだけで十分であったかといった御指摘については真摯に受け止めて、これから皆さん、委員の皆さんだけでなく、消費者、国民の皆様に分かりやすい情報提供に更に努めてまいりたいというふうに考えております。

○紙智子君 そういうやり方自身が問題だということですよ。全く説明なしに勝手に変えて、それでこれでやりますというプレスリリース出して事済むことではないと思うんですよ。
 そして、これ、飼料用にはその基準値以下でも食用にはアフラトキシンが残留しているものというのは、これは食品衛生法上は流通が禁止されているわけですよね、アフラトキシンが、食用でいえば。食品衛生法上はアフラトキシンというのは絶対口に入れちゃいけないわけだから、これは禁止されているわけですよ。アフラトキシンの汚染米が飼料用に販売された場合、そういう形で基準値より低い場合、飼料の場合はオーケーということで販売された場合、それが食用に、主食用に転用されることだってあり得るわけですよね。それをどうやって防ぐんですか、回した場合。

○政府参考人(町田勝弘君) まさに今回、先般の事故米問題を踏まえまして立入検査マニュアル等を作りまして、特にこのえさ用のものについても厳重なチェックをするということにいたしました。
 例えば、配合飼料になる場合にはずっと立ち会ってずっとやっているとか、そういうことはあるわけでございますが、まさに、それはそれとしてやるわけでございますが、さっき言ったような、あってはいけないことですが、またえさ用のものが主食用に行くのではないかと、そういう御不安もあるということは私ども認識しておりまして、そういった不安を払拭するということで、ただいま説明をさせていただいたように、食品衛生法上の規制をチェックできないものはもう今後飼料としては売らないということにいたしたところでございます。

○紙智子君 それでは防げないし、消費者は安心できないですよ。だって、今説明されたことというのは三笠フーズの繰り返しじゃないですか。立入検査してずっと見ていると言うんだけど、結局あのときだって、九十何回ですか、繰り返し行ったけれども発見できなくてこういう事態になったわけですから、そういうことで安心、とてもできることではないんですよ。もし悪意を持っている人がいたとしたら、そういう業者の方がいたとしたら幾らでもごまかせると。
 本当にこれで防げるというふうに思うんですか。

○政府参考人(町田勝弘君) 配合飼料の製造工程という話を少し具体的にさせていただきたいと思うんですが、米を飼料用に販売する場合、米がトウモロコシですとか大豆かすですとか魚粉などと混合されるわけでございます。いったん、これ、混合されて配合飼料になってしまえば転用されるということはありません。したがいまして、配合飼料工場の原料の切り込み口、切り込み口というか原料を入れるところでございますが、そこの投入を確認すれば、製造工程が、製品になるまで、全く外界と遮断されております。横流れの可能性は極めて小さいというふうに考えているところでございます。
 こうしたことに加えまして、先ほど申しました、昨年十月に新たに策定したこの検査マニュアルに基づきまして、地方農政局の職員が全加工期間にわたりまして全工程に原則立ち会って確認をするということで、厳重な横流れ防止対策を講じているということでございます。

○紙智子君 マニュアルさえ作ればいいということではないですよ。
 それで、やっぱり三笠フーズの事件の教訓なわけですけれども、このアフラトキシンの汚染米というのは決して食用には回してはならないと。だから、焼却するのが最も食の安全、安心の上からはベストの対応なんですよ。
 同じ問題は、カドミ汚染米、このときには色を付けたわけですよね、横流れしないように。カドミ汚染米については工業用で、しかも着色をすると。しかし、アフラトキシンの汚染米は着色処理もしないと。こんな危険な処理でよしとすることにはいかないと思うんですよ。昨年の反省があるわけで、その反省に立てば、当然ここのところは、せめて着色だってしなきゃいけないことだと思うんですけれども、これ、なさらないんでしょうかね。

○政府参考人(町田勝弘君) 繰り返しになりますが、今後は、飼料用に販売する際には、食品衛生法上の規制をチェックできないものはもう販売いたしませんので、そういった着色等の必要性はないというふうに考えております。

○紙智子君 だから、その横流れすることはないという根拠が大体はっきりしないじゃないですか。
 それで、カドミ米についてはどうして着色したんですか。

○政府参考人(町田勝弘君) カドミ米につきましては、まさに横流れ防止ということでやったわけでございます。
 私、繰り返しになって、説明不十分かもしれませんが、このアフラトキシンが検出された、食品衛生法上の公定法によって検出されたものについてはもう売らないということでございます。ちなみに、カドミ米についても、原則今はすべて廃棄処分にしているところでございます。

○紙智子君 だから、変なんですよ。売らないと言うけれども、基準値以下のものは飼料用に回すというわけでしょう。それがだから横流れする可能性がある中で、大臣、なぜ着色して分けるという防止策を取らないのか。

○国務大臣(石破茂君) 別に私は煙に巻こうなぞというよこしまなことを考えておるわけでは全くございませんで、委員、何か誤解があるのではないかと思いますが、売らないんです。売らないものは横流れのしようがないのでありまして、売らないということしかお答えはございませんです。

○紙智子君 飼料用に販売……

○国務大臣(石破茂君) 売りません、いや、売りませんです。つまり、食品衛生法上クリアできないものは売らないということになっておるわけですから、それもえさの方にも行かないわけでございますね。
 カドミ米の場合には、これは着色して工業用になるというものでございました。ですから着色ということをやっておったわけでございますが、今局長からお答え申し上げましたように、これも焼却するのだということになっておるわけでございます。
 マニュアルさえ作ればいいというもんじゃないだろうがという御指摘なんでありますが、今まではマニュアルそのものもなかったと。九十六回行って何をしておったんですか、それはただ見ておっただけではないですかというようなことになっておったわけでございまして、それはもうチェックも厳重にいたしますと、食品衛生法上クリアできないものは、それはもうえさ用だろうと何だろうと売りませんということになるわけでございまして、御懸念のような事態は生じないというふうに私は申し上げておるところでございます。

○紙智子君 ちょっとよく分からないんですけれども、分からないんですけれども、売らないと言うんですけれども、食品衛生上違反だというものについては売らないと、もちろん売らない、流さないと。だけれども、飼料安全法に基づいてということでいえば、これは飼料用に回すという話でしょう。飼料安全法に基づいて、基準値についてクリアしたものについては流すわけでしょう。

○政府参考人(町田勝弘君) 二点、大臣の御答弁を補足させていただきたいと思います。
 一点は、売らないということは廃棄・焼却処分にするということでございます。その際に、飼料としてのものも食品衛生法上のチェックをして、そこで検出されないという規制をクリアできなきゃもう売らない、廃棄処分するということでございますので、飼料用に回るということはない、もうその時点ですべて廃棄、焼却の処分をするということでございます。

○紙智子君 じゃ、売らないと、もうとにかく、ということですね。焼却廃棄ということですね。

○政府参考人(町田勝弘君) はい。

○紙智子君 はい、分かりました。(発言する者あり)煙に巻かれていない。
 最後、そしたら、ちょっと時間になりましたけれども、農水省の、大臣は去年からずっとこの食の、汚染米の問題をめぐっては、農林水産省の職員一人一人が消費者のことを真剣に考えて、食の安全を守ると強い意思を持って政策、業務の改善充実に邁進できるようになるまで全力を挙げるというふうに言ってきたわけですよ。ですから、やっぱりその立場に立って、今回の問題についても、疑問を残すところの余地なくその問題を改めていただきたいということと、それから、さっき途中で指摘しましたように、要するにこの議論というか、米流通システムのこの会議の場において全くの説明なしにいきなりこの方針を転換するということは、これはもう今後ないように、そして当事者たちにもきちんと説明していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。