<第169回国会 2008年5月13日 農林水産委員会 第10号>


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 私は、最初冒頭、これちょっと通告していなかったので要請ということにしたいと思いますけれども、今お米のお話が出ておりました。それで、MA米ですね、ミニマムアクセス米については我が党としてはこれずっと輸入やめるべきだと。義務だというふうに政府は説明していたけれども、輸入機会ということであって、これは是非、一方では国内で余ると言って、一方では受け入れるというのはやめるべきだということをずっと申し上げてまいりまして、今やっぱり国際的な情勢の中でもお米の不足と、それからもうお米が上がって手に入らないところが出てきているという中においては、いよいよもってこれはやめるべきだということを改めて要請をしておきたいと思います。
 それで、最初に、ヨーネ病の問題について今日は質問したいと思います。
 現在、ヨーネ病の検査が半年以上中断をしています。その原因について農水省はどのように考えておられるのか。今のままいきますとヨーネ病を蔓延させることになりかねないというふうに思うんですが、どのようにして検査を再開するつもりなのか、お話しいただきたいと思います。

○政府参考人(佐藤正典君) 御説明申し上げます。
 本件につきましては、昨年十月の二十五日に神奈川県が行いました家畜伝染病予防法に基づく定期検査によりまして搾乳牛一頭がヨーネ病の疑似患畜と確認されまして、当該牛から生産された生乳及び当該生乳が含まれる乳製品につきまして、乳業メーカーが神奈川県食品衛生部局の指導を踏まえまして検査の採血日までさかのぼって自主回収を行った事案がございました。諸外国ではこのような回収を行った例は聞いておりませんで、農林水産省としては、円滑な検査のために食品衛生法を所管している厚生労働省と、生乳の回収の範囲などについての取扱いについて協議をしているところでございます。
 こうした状況の中で、農林水産省といたしましては、このような場合にも生乳出荷に混乱が生じないよう、十月二十六日、農林水産省から都道府県に対しまして、検査体制と検査手順の再確認の徹底を要請したところでございます。そうした状況の中で、現在都道府県では、搾乳を行っていない牛などに検査対象を絞ってヨーネ病の検査を進めているところと聞いているところでございます。
 また、農林水産省といたしましては、確定検査の採血から疑似患畜の確認までが長引いて生乳の回収の範囲が広がることがないように、従来の確定検査に先立ちましてその対象を絞り込むための新しいスクリーニング検査法を導入することにつきまして、現在、食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会牛豚等疾病小委員会の意見も聴きながら、その導入につきまして検討を進めているところでございます。

○紙智子君 今回のことは、食品衛生法でヨーネ病に感染した牛からの牛乳・乳製品は流通が禁止されているということが言ってみればその根拠になっているわけですけど、ヨーネ菌に汚染された牛乳・乳製品が人体にどういう影響を与えるのかということが明確になっているのかどうか、あるいはこのリスク評価が確立されているのかどうか、この点についてお話しいただきたいと思います。

○政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。
 このヨーネ病につきまして文献的な情報といたしまして、クローン病でありますが、これは回腸に起きる病気でございますが、そちらとの関連を指摘するというものがございまして、健康の安全確保という観点から私どもといたしましてはこれを管理すべき疾病というふうにとらえているというところでございます。

○紙智子君 リスク評価についてはどうでしょうか。

○政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。
 今申し上げましたような観点から、人への健康の影響ということが懸念されますので、私どもといたしましては、食品衛生法の第九条一項の規定、先ほど先生おっしゃられたとおりでございますが、その販売を禁止するとともに、殺菌条件を設定しているということでございます。そういう意味で適切なリスク管理がなされているというふうに判断をいたしておりますので、現時点で特にリスク評価を食品安全委員会にお願いするとか、そういうことは特段考えていないというところでございます。

○紙智子君 そういうふうに言われるんですけど、様々な議論があって、確定しているようなそういう知見というのはあるわけじゃないと思うんですよ。そして、そのリスク評価、結局はやる必要ないということでやっていないわけですよね。評価はしていないということがあるわけですよ。そういうふうな明確な科学的な根拠がない中で規制をするというのは、これは私は科学的ではないというふうに思うんですね。早急にやっぱり食品安全委員会にヨーネ病のリスク評価を求めるべきだと、まずこの点が一点です。
 それから、米国の場合はこのヨーネ病の規制というのは全くやられていないわけですよね。であるならば、米国から輸入された乳製品をきちんと検査をしてヨーネ病に汚染されたものを排除するということであれば、米国からいっぱい入っていますからね、ということであればまだ筋が通ると思うんですけれども、それについては全く手を付けていないというか放置をしているわけで、そういうことがやられる一方で、国内の牛乳・乳製品だけ規制するということになると、これはちょっと不公平というか、おかしな話になるというように思うわけです。
 この二点について、いかがでしょうか。

○政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。
 一点目の、評価を行うべきではないかということにつきまして、先ほど申し上げましたように、危険性がある程度想定されるものということで、私どもとしては管理措置をとっているということで、管理措置としてはとられているんであろうという認識を持っておりますが、今後とも文献検索あるいは新しい科学的な知見等も踏まえながら適時、もし必要があればそういうことも選択肢には入ってくるだろうと、こういうふうには考えております。現時点では、特段の依頼をするという予定はないということでございます。
 それから二点目でございますけれども、米国におきましてはUSDA、米国農務省のプログラムに基づいて、家畜に対するヨーネ病の検査が行われているというふうに私ども承知をいたしておりまして、そのFDAの規則では、検査の結果、疾病に罹患した家畜は廃棄等が求められているというふうに承知いたしております。
 現在、その検査の仕方とか、どのような基準でやっておられるかなどにつきましては、詳細については調査を行っているところでございますけれども、米国におきましても、ある程度そういうことでヨーネ病というふうに診断されたものについては食用に供されないような対応が取られているのではないかなというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、諸外国の状況がどのようになっているのか、それが国内において著しく不公平になっていないのかと、そういう御指摘につきましては、今後とも、今申し上げたような情報収集を継続して行いながら、当該国におけるリスクを総合的に判断をして必要な措置をとっていきたいと、このように考えております。

○紙智子君 今の御答弁ですと、食品安全委員会の諮問ということでは、必要があればそれも選択肢の一つというふうに言われたと思うんです。是非、これ必要だと思いますのでやっていただきたいというように思います。それから、米国、諸外国のことについても情報をしっかり集めるということですから、それは引き続きやっていただきたいというように思います。
 それで、このヨーネ病の問題では、私どもの方にも酪農家の方から切実な訴えが出されています。ヨーネ病の検査で、疑似患畜ということになった場合には、確定診断の培地検査までは三か月掛かるということが言われていて、三か月間出荷できないわけですよね。そうすると、陽性になったときには補償金が来るんだけれども、ところが確定診断で陰性になったときには、その三か月間出荷が停止のままということですから、結局商品にはならないわけで、丸々これは何の補償もないという事態があるわけですね。そうするとえさ代、その間食べさせなきゃいけないからえさ代も掛かるし、最近本当にえさ代も高くなっているということもありまして、そういうことでいいますと、やっぱり怖くて出せないと、検査できないということがあるわけです。
 不安で酪農経営も維持できないという切実な訴えもあるわけで、そこで最後、大臣にお聞きしたいんですけれども、家畜共済で例えば疑似患畜で出荷停止による被害補償をできるようにするとか、新たな基金を創設して、それで被害補償ができるようにするとか、いろんなやり得る形でそこを救済できるというか、安心して検査できるような仕組みを考えるべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(若林正俊君) 確かに生産者の立場からいたしますとそういう不安が大きいということは理解できるわけでございますが、しかし問題は時間が掛かるということだと思うんですよ。そして、この検査につきましては、そういう確定検査までに時間が掛かる、また最終的に陰性というようなことになると、その間の損を丸々かぶるというようなことが生産者の負担に掛かってきているわけであります。
 そこで、こういう確定の検査、従来の確定検査に先立ちましてスクリーニング検査、簡易な方法によりましてサーベイランス検査をする新たな検査法というものの検討を進めてきておりまして、先ほども局長からお話ございましたけれども、食料・農業・農村政策審議会の中の消費・安全分科会家畜衛生部会におきましてそのような検討がなされて、ヨーネ病対策の検討がなされておりまして、この事務局側が提案した新たな検査法によりますと、この病気の防疫対策を推進する上でこれは適切かつ効果的だと、今後事務局においてパブリックコメントなどその実施に向けての手続を進めていくというふうにされておりまして、もうそういう手続段階に入ってきております。
 まずは、早く白黒を明確にするというようなこと、これをもう早急に実施して生産者の負担が軽減される、大きな負担がないようにするということに力を入れてまいりたいと、このように考えております。

○紙智子君 負担がないようにということでよろしくお願いしたいと思います。
 それで、もう時間になりましたので、ちょっと牛肉の問題やろうと思っていましたけれども、それは次回にしたいと思います。
 ありがとうございました。