<第168回国会 2007年11月28日 沖縄及び北方問題に関する委員会 第3号>


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 まず、民間空港への米軍機の発着の問題についてお聞きいたします。
 米軍の小型ジェット機が、今月十一月の八日に北海道の釧路空港に着陸をしました。この件は、三日前の五日に米軍から国土交通省に、アラスカから米軍岩国基地に飛行する途中、給油のために中標津空港、それが無理であれば釧路空港に着陸したいという通告があったもので、これ緊急事態ではなかったわけです。釧路市長そして北海道知事は直ちに、米軍機の民間空港使用については道民の間に様々な危惧があって、今後とも緊急時の着陸などやむを得ない場合を除いて道内の民間空港に着陸することを受け入れることはできないという表明をしたんですね。
 それで、外務省にまずお聞きいたします。
 北海道は、この国土交通省からの情報提供の後、外務省に中標津空港の使用自粛を米軍サイドに伝えるように要請をしているわけです。その後外務省は北海道に、米軍と折衝したが米軍はフライトプランを変更しないと言って回答しているわけです。それで、外務省はこの北海道の意向を伝えて米軍にフライトプランを変更するように求めたのかどうか、まずこの点いかがでしょうか。

○政府参考人(西宮伸一君) 御質問にお答えいたしたいと思います。
 まず、釧路空港への着陸に至る経緯でございますけれども、委員御指摘のとおり、十一月五日の午後、米側より国土交通省及び地上ハンドリング会社に米軍機が中標津空港に着陸する予定であるとの内容の通知があったと承知をしております。その背景といたしまして、米側としましては当初三沢飛行場の利用を考えておったところでありますが、この飛行機の航続距離が短いこと、風の影響等天候上の理由や安全確保の必要性にかんがみ、アラスカから来るということでございますから、アラスカから飛行する際には中標津空港にいったん着陸し、給油する必要があるとの説明であったと承知をしております。
 外務省の対応につきお尋ねがございましたが、十一月六日の夜、国土交通省より外務省に対し、米側より中標津空港利用の調整が困難になっているとの連絡があった旨の連絡が国土交通省よりございました。これを受けまして、外務省より北海道、米側に対し事実関係を確認するとともに、日米地位協定五条に基づく本件着陸についての関係者の意思疎通に努めたところでございます。
 米側とのやり取りについてのお尋ねでございますが、逐一は控えさせていただきたいと思いますけれども、申し上げましたように意思疎通に努めております。その過程で、北海道が米軍機による緊急事態以外の民間空港の使用禁止を求めているということ自体については、米側とのやり取りで米側に伝えたところでございます。
 いずれにいたしましても、以上のような経緯を経まして本件が取り扱われたということでございます。

○紙智子君 そうしますと、北海道側がこういうふうに困ると、民間の、緊急じゃないときに来てもらったら困るということを言っているんだということは米側には伝えて、それで、その計画については変えられませんかということを言われたんでしょうか。

○政府参考人(西宮伸一君) 繰り返しで恐縮でございますが、米側とのやり取りを逐一申し上げるわけにはまいりませんが、お答えいたしましたように、北海道が米軍機による緊急事態以外の民間空港の使用禁止を求めているということにつきましては、米側に伝達しておるところでございます。

○紙智子君 だから、伝達だけじゃ駄目なんですよね。伝えて、何と言っているのか。困ると言っているわけだから、それなのに向こうが、いや、困ってもとにかく降ろしてもらうと言ったのか、その辺のところどうなんですか。

○政府参考人(西宮伸一君) 先ほどお答えいたしました北海道や米側に対して事実関係を確認するとともに、日米地位協定五条に基づく着陸について、関係者の意思疎通に努めたということをお答えいたしましたけれども、北海道に対しては、米軍機が民間空港を利用することは、緊急事態であるかどうかを問わず地位協定五条で認められていることを御説明し理解を求める努力をいたしたわけでございますし、米側に対しては、北海道が先ほど来御指摘の米軍機による緊急時以外の民間空港利用の使用禁止を求めているということを伝えて意思疎通に努めたということでございます。

○紙智子君 だから、意思疎通と言うんですけれどもね、ただ言っているだけじゃないですか、それじゃ。政府として、やっぱり自治体が緊急事態以外は米軍機の民間使用を自粛してほしいということをはっきり伝えて、そして運用改善をやっぱり求めるべきだと思いますよ。
 米軍基地を有する十四都道県知事の連絡協議会がありますよね。その中でこういうふうに要望書を毎年出しているわけですよ。この中には、十四都道県、基地抱えているところですけれども、北海道、青森、茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、静岡、広島、山口、福岡、長崎、沖縄と、これらのところから、特に九五年の沖縄少女暴行事件以来、毎年、地位協定の改定、運用改善を求めているわけです。特に五条の関係でいいますと、民間機の円滑な定期運行や安全性の確保のために緊急時以外の民間空港の使用禁止を明記することというふうに要望しているわけですよ。
 だから、今回の件で米軍に知事会の要望をちゃんと、今回もこういうふうな知事会全体が言っているんだということを言われているんですか。

○政府参考人(西宮伸一君) 政府といたしましては、御指摘の日米地位協定に係る渉外知事会の御要望というものを真摯に受け止めておりますが、お尋ねの米軍が地位協定五条に基づき我が国の飛行場に入ってくるということにつきましては、これは地位協定上認められていることでございますし、かつ平素から米軍の円滑かつ効果的な活動を確保すると。もって、日米安保条約の目的を達成するために、こうした出入りというものが極めて重要であると考えておりまして、したがいまして、政府として米軍機の民間空港の使用を緊急事態以外一律に禁止するといった要望をそのまま米側に伝えることが適当であるというふうには考えておりません。
 他方、各自治体と米軍との良好な関係を構築していくということは重要だと考えておりまして、必要に応じ、米軍機の民間空港の使用に当たってできるだけ民間航空機の使用に影響を及ぼさないよう米側に働き掛けるなどの取組を行ってまいりましたし、引き続きこうした取組を行ってまいりたいと思います。

○紙智子君 結局、北海道が管理している、中標津空港は北海道管理なわけですけれども、そこじゃなくて国が管理ということでの釧路空港に降りることになったわけですよ。
 米軍による日本国内の民間空港の使用についていいますと、昨年、全国で四百五十五件と。七百件を超えて使っているときもありますけれども、北海道では艦船の入港も最近増えていますよね。北海道全体で、もうこれでは米軍基地化されるんじゃないかというような不安も非常に強まっているわけです。
 外務省として、自治体の意向をやっぱり尊重すべきだと。本来、尊重して変えてもらうということをやるべきなのに、逆に自治体に対して米軍への理解を求めるというのは、これ逆じゃないかというふうに私は指摘をしておきたいと思います。
 次に、矢臼別演習場の米海兵隊の実弾訓練についてお聞きします。防衛省にお聞きします。
 矢臼別演習場の海兵隊の実弾訓練で今年初めて小火器が使用されました。沖縄では行われていなかった夜間の訓練、これも北海道や関係町の要請を無視してずっともう継続して行われています。夜間の実弾訓練、小火器の訓練はSACOの合意、日米合意には記載されているんでしょうか。そしてまた、当初から関係自治体に説明をした上でこの訓練移転を求めたんでしょうか。いかがですか。

○政府参考人(地引良幸君) お答えさせていただきます。
 平成八年に発表されましたSACO最終報告におきまして、県道一〇四号線越え実弾砲兵射撃訓練を日本本土の演習場に移転させると記述されておりまして、当該報告に基づきまして、一〇四移転訓練につきましては、関係地方公共団体等の御理解を得て、平成九年度から本土の五演習場で実施されているところでございます。
 これまでキャンプ・ハンセンで行われておりました一〇四号線越え実弾射撃訓練につきましては、夜間の射撃訓練及び小火器の実弾射撃を伴う砲陣地防御訓練が行われた実績があることから、矢臼別大演習場での一〇四移転訓練において、夜間の実弾射撃訓練、それから小火器の実弾射撃を伴います砲陣地防御訓練を実施することはSACOの最終報告の内容として逸脱したものではないというふうに解しているところでございます。

○紙智子君 矢臼別にこの海兵隊の実弾訓練を移転する際に、自治体に対しては夜間訓練も小火器訓練もこれ一切説明をしていないですよ。最初は含んでいなかった訓練を、受け入れた後に、実は一体のものだったんだ、昔やったことあるんだという形でどんどん拡大させていっているわけですよね。ここは酪農の地帯ですよ。本当に静かな酪農の地域で、ここでもう本当にずどんと夜に撃たれると夜眠れないと。子供は怖がるし、牛はびっくりしてお乳出さなくなるということで、本当に住民は不安を募らせているわけです。北海道も関係町もずっととにかく夜間訓練はやめてほしいと言い続けているわけですよ。知事の要請も毎年やっているわけですよ。それで、九月、知事も要請して、夜間訓練やめてほしいと要請したその直後からやっているわけですから、夜間訓練、もう本当にひどいものだと思うんですね。
 夜間一体今回は何発撃ったのか、把握していますか。

○政府参考人(地引良幸君) お答えいたします。
 本年九月に矢臼別演習場で実施されました一〇四号線越え移転訓練の実弾の発射弾数につきましては、十一月上旬、米側より九百七十二発である旨通知がございました。その旨、地元自治体にお知らせしたところでございます。夜間射撃の弾数については、当省としては承知しておりません。

○紙智子君 地元の報道によりますと、百五十五ミリりゅう弾砲は夜間だけで百九十発だと。中核的な、今回中規模の部隊なわけですけれども、今まででいうと過去最大だと地元の人は言っているわけですよ。政府も実態をつかんで、本当にやめさせるように交渉すべきだというふうに思うんですね。沖縄から移ってきて、同質同量というふうに言いながら、夜間とか小火器もどんどん拡大をしているわけです。しかも、米軍の動きについても情報提供もなくなっているんですね、今。これまでは海兵隊が入るときはいつどこから来るかということで情報が提供されていたんですけれども米側の要求で非公開になってきているわけですよ。だから、ますます不安は大きくなるし、不信も高まっているわけです。
 それで、高村外務大臣にお聞きしますけれども、この小火器使用、夜間訓練をやめるように米軍と交渉すべきだと思いますし、知事会の意向を伝えて、この日米地位協定の運用改善と改定に向けて交渉すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(高村正彦君) 米軍の活動に関する地元等の切実な声によく耳を傾けて、その理解と協力が得られるよう努めてまいりたいと思います。
 委員がおっしゃるように、地元の声、国民の声、住民の声、これをアメリカ側に伝える、これも外務省の仕事でありますが、一方で、日米安全保障条約の目的を達成するために重要であることを自治体あるいは国民に理解していただけるように努力するのもまた外務省の仕事であると、こういうふうに思っております。

○紙智子君 じゃ、最後、時間になりましたので、沖北担当大臣にも、今のちょっとやり取り聞かれていたと思いますけれども、そういう中で、担当大臣として、政治家としてというか、今のやり取りお聞きになっていてどのようにお思いになられたか、感想を最後一言お願いします。

○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のこの問題につきましては、地元で生活している皆さん方にとりましては大変重大な関心事だというふうに思います。
 こうした事柄につきまして、是非関係省庁、しっかりと丁寧に対応し、地元の皆様方の生活の安心や安全、しっかり確保していかなければいけない、それが我々の役目だと思っております。

○紙智子君 終わります。