<第166回国会 2007年5月8日 農林水産委員会 第10号>


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 最初、法案審議に先立ちまして、さきの臨時国会に引き続き、緑資源機構、林道談合疑惑法人及び林野公益法人、政治連盟からの松岡大臣への政治献金の問題についてお聞きしたいと思います。
 資料をお配りいただいていると思います。この資料のまず一枚目のところ、林道談合疑惑法人から松岡農水大臣に対する献金一覧というのがありますけれども、今回、新たに九六年から二〇〇五年までの松岡大臣に対する林道談合疑惑法人及び法人代表者からの献金を調べてみたわけです。総額で八百五十二万円に上っています。表で見ますと、〇一年から疑惑法人からの献金は表向きはストップしているんですけれども、代わりに法人代表者からの献金が行われるようになっています。
 いずれにしても、このような談合疑惑法人及び代表からの献金というのは返却するというのが、やっぱり談合疑惑を解明する省庁のトップの在り方として当然じゃないかというふうに思うんですけれども、まずこれについて一つお答えいただきたいと。
 それからもう一つは、二枚目を見ていただきたいんですけれども、これは林野庁所管の公益法人等と表裏一体の政治連盟からの献金ということなわけです。これも九六年からさかのぼって調べてみたんですけれども、驚くことに総額で一億超えているんですね。一億三千百八十四万円と。この中でも一番下の欄にあります特森懇話会、今回の談合で緑資源機構から事業を受注する業者で組織する任意団体なわけです。特定森林地域協議会の政治連盟で、この協議会は受注実績に応じて会費を年に数千万徴収するという談合受注システムの役割を担っていた疑惑が持たれているわけです。この政治連盟からも大臣は五百二十万円政治献金を受け取っているわけです。これもですね。
 それと、さらに、その上の段のところを見てほしいんですけれども、最も政治献金が多い三千二百八十万円を松岡大臣に政治献金をしている全国森林土木建設業政治連盟、この活動の趣旨というのは、林野公共事業の予算拡大運動というのを挙げているわけです。松岡大臣はこの政治献金を受けてこの林野公共事業の予算拡大にどういうふうな役割を果たしてきたのか、この大きく二点について端的にお答えを願います。

○国務大臣(松岡利勝君) 一枚目ですけれども、もう既に十年以前前からいただいていないものはいただいていませんし、〇一年からは一切の団体からも献金は受けてないと。したがってこの五年―七年というのは全く公益法人と今御指摘あった団体からは献金はいただいておりません。

○紙智子君 端的に。

○国務大臣(松岡利勝君) 短いとおっしゃるけど、自分で言うだけ言っておいて人に答えさせないっておかしいですよ。
 それで、この森林弘済会の理事長さんというのは私の先輩であります。したがって、森林弘済会というのは団体としてここに献金を受けた事実はございません。したがって、この方はもういつから理事長やっておられるか私も確かじゃございませんが、団体の代わりに個人がやったと、そのような形での献金はいただいてないと思っております。あと、また、これは元、私も役所におりましたから、その先輩や、まあ同僚の方というより全部先輩だと思うんですが、この方々が、献金を個人的な形でいただいた。したがいまして、政治資金規正法に基づいて届け出ておったものがこのようにおまとめになったと、こういうことでございまして、緑資源機構の談合等の疑惑ということにつきましては、これは誠に遺憾の極みだと思っております。そのような意味で、私自身も大変個人的にも遺憾の極みであり誠に残念だと、このように思っております。
 したがいまして、この十年前ぐらいの時点で当時の考え方で返すべきものは既に返しておりますが、今回この森公弘済会の理事長さんからの分につきましては、それから林野弘済会の会長さんの分につきましても、これは個人献金ではありますものの、やはりきちんと身を正すべきというふうな考え方で、四月の十二日だったかと思いますが、まあちょっと確かな日付は分かりませんが、既に返却をいたしたところでございます。
 それから二枚目のことにつきましては、これはもう政治資金規正法に基づきまして、まあ十年間ですから足せばこういう金額ということになるのかもしれませんが、これはきちんと政治資金規正法に基づいて献金をいただいたものと、それを適切に御報告申し上げたものと、そのようにお答えをしたいと思います。

○紙智子君 今、一枚目のところについては団体も個人も返却しているということですよね。返却をしたということですよね、受け取ったやつについては。

○国務大臣(松岡利勝君) 返却すべきものはしたと。

○紙智子君 ものはしたということですよね。二枚目については、これは政治資金規正法に基づいているから問題はないという回答ですよね。
 今まで、やはりKSDの問題にしても日歯連の事件にしても、結局……

○国務大臣(松岡利勝君) 一緒にしないでくださいよ。

○紙智子君 いや、一緒にしないでくれって言うんですけど、公益法人と政治連盟について、代表者も同じ、その場所も同じと。だから本当にコインでいうと裏と表の関係で、裏と表は顔は違っても一つのものだと、同じ。そういうこの表裏一体ということがあのときにも大きな問題になったわけですよ。だからこそ、厚生労働省がその後公私の峻別を行うために全国の実態調査までしているんですよ。
 私どもは、全国各地の山林が今荒廃しているという中では、当然、林野の事業の予算の増額ということは、これは否定するものではないですよ。だけど、問題は、こういうふうな形で、言わば政治連盟をつくって、政治家に多額の献金をしながら要求を実現するということが、これがいかがなものなのかというふうに思うんです。
 全森建、財団法人の全国森林土木建設業界の活動概要を見ますと、そこに何て書いてあるかというと、政治力の結集って書いてあって、そこで、業界の社会的、経済的地位の向上を目指すため、政治力の結集が必要であることから、全国森林土木建設業政治連盟を創設し、関係団体と強力な連携の下に活発な活動を展開しているというふうに書いているわけですね。
 だから、文字どおり公益法人と表裏一体の活動で、公益法人の足らざるところを言わば政治連盟が行っているものだというふうに思うわけですよ。このこと自体、大臣、問題だと思いませんか。

○国務大臣(松岡利勝君) 何度も言いますとおり、政治資金規正法に基づいて、これは認められた範囲で献金をお受けいたしているものでございまして、それ以上申し上げることはございません。

○紙智子君 結局そういう答弁になるわけですよね。
 私はやっぱり、松岡大臣自身が元は林野庁におられて、こういう談合のシステムといいますか、それから天下りの役割ということなんかも実は知っていたんじゃないのかというふうに言われても仕方がないと思うんですよ。やっぱり、そういうことを本当に納得いくようにというかちゃんと受け止めて、それに対して正すべきは正すというふうに言わなきゃいけないのが本来の大臣の役割だというふうに思うわけです。
 事務所費問題についても、結局、まあ恐らくこの後言っても同じことの繰り返しになると思いますけど、やっぱりそういう一貫した姿勢があるということ自体が私は非常に問題だし、これは国民にとってはとても納得いかないことだというふうに思います。
 私は、今日このことだけで時間費やすつもりはないので──いや、ちょっと、答弁求めてないですから、いや、次にだって移らなくちゃいけないので、それはまた次の機会にやりたいと思います。
 それで、今日は法案の審査ということで、質問の次に移りますけれども、活性化法案についてですけれども、この活性化ということについては、私自身はそれ自身に異存があるわけじゃないんですけれども、問題は、なぜ農山漁村が今のような惨たんたる状況になったのか、その原因をやっぱり明確にすることと、それと裏表の関係でもあるんですけれども、本来の農山漁村の活性化というのは農林水産業の振興、すなわち農林水産業に従事する人の農林水産業の所得を増大をさせて安定をさせると。で、従事者を抜本的に拡大をして地域の活性化を行うということが本筋だというふうに思うんですね。
 まず、この点について大臣の所見をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(松岡利勝君) 先ほどの、林野庁にいたときからこういったことに、知っていたのではないかという御指摘でございますが、いろいろ勝手に言われることは自由でございますけれども、全く失礼千万な話でございまして、そういったことは一切ないことを明確にしておきたいと思います。これはやっぱり名誉に関することでありますから、もしあるとすれば、いずれそれは明らかになることだと思いますが、全くなかったことについて、幾ら質問の自由といいましても、そういったことまで言われることについては、これは大変私は心外だということを申し上げたいと思います。
 まず、今お尋ねの点でございますが、今回、農山漁村の活性化が図られると考えているのかと、何でそうなったのかということでございますけれども、農山漁村における就業の場の確保に当たっては、まず基幹産業であります農林漁業の振興を図る、これが重要だと、このように思っております。それから、この法案におきまして、地域における農林漁業の振興を図るための生産基盤及び施設の整備に対して交付金の交付等による支援を行う仕組みを設けているところでございます。
 また、本法案による措置や従来から講じている農林漁業振興策と併せて、地域資源の活用や農村地域への工業等の導入等により、計画的、総合的に農山漁村の活性化を図って就業の場の確保に取り組んでまいる、そういう考え方であります。
 さらに、農山漁村の活性化に向けては、今回の法案に基づく農山漁村の居住者や滞在者を増加させる措置と併せて、例えば、地域産業活性化法による地域産業の活性化、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案による広域的な基盤の整備など、関係府省の地域活性化関連措置と相互に役割分担、連携を行って農山漁村の活性化を図ることといたしているところであります。

○紙智子君 本筋のやっぱり活性化のやり方というか、本当に考えなくちゃいけないと思うわけですけれども。
 やっていると言われるんだけれども、実際に今目の前に日豪のEPAの交渉が行われていて、四月二十四日ですか、やられたわけですけれども、このEPAが実施されるということになると、国内生産の減少額は七千九百億円と、関連産業の経営や雇用の影響や耕作放棄地の増加、それから影響抑制のための新たな財政負担で約四千三百億円と。予算委員会のときにもやりましたけれども、北海道庁が試算した影響額で一兆三千七百十六億円と。だから、農山漁村の活性化どころか、これが進むことになれば崩壊になってしまうわけです。
 今まで振り返ってみても、一九八八年のときに農産物十二品の自由化が行われて、牛肉、オレンジの自由化がやられたと。九五年のWTO協定で米の自由化を通して農山村は痛め続けられてきたわけです。
 一九八五年のときに六十二万六千戸あった専業農家が二〇〇五年には四十四万三千戸に減少したわけです。この専業農家でも今の三分の一が後継者がいないというのが実態なわけで、この後米価が下落することになると、農業者は自らの子供たちにとても農業を継げと言えない状況があるわけです。だから、農業後継者もいないし、集落は高齢化した農業者だけという事態になっているわけですよね。
 農産物のこの自由化路線、今はEPA、FTAということなんですけれども、この推進路線、これをそのまま放置していますと、結局、農山村の活性化どころか、その維持さえこれ困難になってくるんじゃないんでしょうか。いかがですか。

○国務大臣(松岡利勝君) 御指摘は御指摘として承っておきます。

○紙智子君 やっぱり本当に活性化ということを考えるんだったら、このまま自由化を進めるべきでないということを指摘をさせていただいて、次の質問に移りたいと思います。
 これは前回、先日も質問したんですけれども、輸入飼料のアフラトキシン汚染の問題なんです。これはその後反響が大きくて、私どものところに多くのメールが来ました。その中で、ある養豚農家から、配合飼料のカビ毒がひどいということで、カビ毒の吸着剤が国の規制値内であれば足りると言われた添加量の二倍以上必要になっているんだというんですね。配合飼料に入っているトウモロコシを飼料会社に長年勤務していた獣医師に見てもらったら、高濃度のカビ毒に汚染されているというふうに即答されたと。この問題は大き過ぎて発覚させるのが困難だというふうに、そういう悲観されたというふうに訴えられているわけです。
 四月の二十五日付けのこれ日本農業新聞ですけれども、日本農業新聞は一面使ってカビ毒問題やっているんですね、特集で。見えない敵に立ち向かえと、カビ毒対策特集ということで、カビ毒って何かと、防止方法とかいろいろここで書いています。こういう吸着のための企業の宣伝なんかも書いてあるんですけれども、こういうことになっているわけですよね。
 農水大臣、こういうひどい実情といいますか、現場の声、こういう実際の姿をどのように認識をされているでしょうか。

○国務大臣(松岡利勝君) 飼料用トウモロコシにつきましては、配合飼料の原料として使用されておりますことから、配合飼料中のアフラトキシンについて基準を設定し、飼料の安全性の確保を図っている、こういうことでございます。
 これまでのところ、消費安全技術センターによる検査の結果、基準を超える事例は認められておりません。また、飼料用の輸入トウモロコシについても、水際でのモニタリング検査を実施しているところでございます。
 この結果、例えば特定の輸出国においてアフラトキシンの濃度が上昇する等の異常な事態が判明した場合には、汚染実態に応じて輸入届出制度の対象とする等の対策を検討し、飼料の安全性の確保に万全を期していきたいと、このようにして対処してまいりたいと思っております。

○紙智子君 厚生労働省の輸入食品の命令検査で、二〇〇七年の一月、二月、三月というふうにアメリカ産トウモロコシの検査しているんですけど、一月も二月も三月もですけど違反が出ていて、一月は二件、二月は三件、一二ppbとか一五ppbとか四〇ppbとか出ています。三月は十二件の違反が出ていて、最高濃度で五〇ppbに及ぶものもあるわけです。
 ところが、飼料の方はどうかというと、今お話もありましたけれども、肥飼料検査所の今年の一月と二月の米国産のトウモロコシのアフラトキシンの検査では、九件検査して検出ケースが四件と、それも最大の汚染率が七ppbというんですね。
 人間向けのトウモロコシの場合は、少なくとも飼料用トウモロコシよりは扱いはちゃんとやっていると思うんです、口に入るものですからね。それにもかかわらず、人間のトウモロコシからは基準値の一〇ppbを超える違反が数多く出ているにもかかわらず、この飼料用トウモロコシからは検出をされないと。おかしいと思いませんか。私はこれおかしいなと思うんですね。
 ところが、検出されていないと言うんだけど、現場ではカビ毒の吸着剤を倍以上使わないと駄目なくらいカビの毒の汚染がひどいんだと。これは農林水産の消費安全技術センターの検査が不適切なんじゃないかと、そのことを証明していると言わざるを得ないと思うんです。
 前回も指摘したんですけど、やっぱり輸入届出制度ですね。部分じゃなくて、やっぱり、そもそも輸入届出制度を確立をして、入着時の飼料用トウモロコシを少なくとも食品検査と同じレベルで検査するように改める必要があるというふうに思うんですけど、いかがですか。

○国務大臣(松岡利勝君) 飼料については、飼料安全法という法律に基づきまして、輸入業者に対し、その事業を開始する前に、輸入する飼料の種類や配合飼料の原材料等を届出させることにいたしております。さらに、平成十五年の飼料安全法の改正によりまして、有害物質の混入の可能性が高い輸入飼料等を農林水産大臣が指定をいたしまして、輸入業者に輸入の都度届け出ることを義務付ける仕組みを導入いたしております。
 消費安全技術センターにおいては、これらの届出により把握した情報に基づきまして輸入、製造、流通段階でのモニタリング検査を実施しておりまして、安全性の面などで問題があった場合には、検査の強化や再発防止に向けた改善指導等を実施しているところでございます。
 今後とも、これらの措置を的確に実施することにより輸入飼料の安全性の確保に努めてまいりたいと考えております。

○紙智子君 前回質問して、一定の対策ということで一歩前進なんだけど、ちょっとそれでもまだ足りないから、やっぱり輸入届出制度を確立してやるべきなんじゃないかということをちょっと本格的に検討していただきたいなというふうに思うんです。
 そして、カビ毒ということでいうと、このアフラトキシンだけじゃなくてオクラトキシンというのもあるんですね。オクラトキシンAというのは人にも腎臓の疾患を引き起こして、動物実験では肝臓がんや腎臓がんを起こす危険性があるというふうになっています。豚がこのカビ毒に感受性が強いということで、オクラトキシンAに汚染された飼料を食べると血液や臓器に移行すると。ドイツやスイスやポーランド、ユーゴスラビアの調査では、ソーセージなどから二〇%前後のオクラトキシンのAが、汚染が指摘されているわけです。
 それで、驚くことなんですけれども、これ東京理科大学の名誉教授の上野先生のグループが調査したんですけど、東京に住む健康な成人百八十四人の血液を検査したら、八五%の人がオクラトキシンAに汚染されているというデータが出ているわけですね。ところが、食品衛生法上それから飼料安全法ともにオクラトキシンAの基準が設定されていないと。全く野放し状態になっているわけです。
 厚生労働省及び農水省にこのオクラトキシンAの基準設置とそれに基づく規制をするべきじゃないかということをお伺いします。それぞれお答えください。

○大臣政務官(菅原一秀君) 御指摘のオクラトキシンAにつきましては、現在我が国では規格基準が設定されておりません。国際的な動向といたしましては、食品の国際規格を策定いたしております国際機関でありますFAO、WHOのコーデックス委員会におきまして、小麦等のオクラトキシンAの基準値設定につきまして現在検討がなされているところでございます。また、EUにおいては穀物等に基準値が既に設定をされております。
 厚生労働省といたしまして、平成十六年度以降、厚生労働科学研究におきまして、国内に流通する食品中のオクラトキシンAの汚染実態等の調査研究を現在実施をしているところでございまして、今後、コーデックス委員会での検討の動向や、あるいは国内に流通する食品についての更なる調査結果を踏まえまして、オクラトキシンAに係る基準、規格基準の必要性について検討してまいりたいと、このように考えております。
 なお、これまでのところ、オクラトキシンAの検出事例が小麦粉等で認められております。その濃度につきましては、このオクラトキシンAの基準を設定しておりますEUの基準値をおおむね下回っているという調査結果が出ていることも併せて報告を申し上げる次第でございます。

○国務大臣(松岡利勝君) まず、農林水産省の立場からお答えいたしますが、カビ毒のオクラトキシンAは主に穀類等に寄生するカビから産生されるものでありますが、現在のところ、飼料中の含有の許容量に関する国際的な基準は設定されていないということでありまして、食品に関する国際基準の設定については現在コーデックス委員会において検討が進められていると聞いております。
 また、我が国においては、消費安全技術センターによる飼料中のオクラトキシンAの汚染実態の調査を進めているところであります。これまでのところ、我が国においてオクラトキシンAによる家畜への被害の報告はありませんが、農林水産省といたしましては、今後とも状況把握に努め、我が国における飼料中の基準設定の必要性等について要すれば検討してまいりたいと思っております。

○紙智子君 では、最後にもう一問だけお聞きします。
 BSEの問題なんですけど、四月二十四日に松岡大臣と米国の農務長官との電話会談の結果が発表されました。それ見ますと、対日輸出基準遵守に問題のない施設については、検査を行って問題のない施設については全箱検査を終了すると。さらに、OIEの総会における米国のBSEステータスの正式決定を受けて、国際基準に則した貿易条件に早急に移行するようにジョバンズ農務長官から要請を受けていると。これに対して、国内の手続にのっとって必要なレビューを行うというものだったわけですけど、この間ずっと違反が繰り返されていて、証明書のないものも入ってきて、そういう中でどうしてこういう結論になるのかということをお聞きしたいと思います。

○委員長(加治屋義人君) 時間が来ておりますので、簡潔に、大臣、お願いします。

○国務大臣(松岡利勝君) はい。
 全箱確認は、昨年七月の輸入手続再開に当たって、念のため全箱を開けて製品の適合性を確認する、そういう目的で、輸入業者の協力を得て、当面の対応としてこれは実施してきたものであります。
 輸入手続再開以降、これまで約一万六千トン、約二千件の貨物について全箱確認を行ってきたところであります。これらの貨物については、三件の混載事例があったものの、米国側のシステム全体についての問題は確認されていないことから、単なる間違いやミスであったということでありますが、厚生労働省と協議の上、対日輸出を行っているすべての施設について査察を行い、特段問題がない施設については全箱確認を終了することが可能であるとの判断をしたところでございます。
 いずれにいたしましても、今回査察をするということが国民の食の安全、そしてまた安心、安全をしっかり守っていく上で必要なものであるという我が国の立場の主張が受け入れられまして、今回の査察がアメリカ側が受け入れることになったと、私どもはこのように認識をいたしておりますし、さらに、それ以降のことの国際基準に云々ということにつきましては、まだ今の時点で何ら、私どもとしてはまだ、将来のことでありますから、予断を持ってお答えをすることは差し控えたいと思っております。

○紙智子君 構造的な問題がないと、単純ミスというのはアメリカの言い分であって、国民は本当にそういうふうに思っていませんし、やっぱりその言い分をそのままうのみにしてやるというのは問題だというふうに思います。やっぱりこの問題も引き続きまた追及したいと思いますので、これで質問を終わります。