<第165回国会 2006年11月29日 災害対策特別委員会 第5号>


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。私も竜巻の被害の問題で質問をしたいと思います。
 最初に、竜巻の被害を受けられた方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 大臣も早速現地に飛んでいただいたわけですけれども、私も翌日現地に飛びまして、改めて竜巻の被害のその破壊力のすさまじさというのを目の当たりにいたしました。一瞬のうちに襲ってきて、被災された方々は、一体何が起こったのか分からない状態の中で、周りの皆さんからいろいろお手伝いもされながら片付けをしているわけですけど、やっぱり呆然としていて、今、大分日がたって、今の時点でこの後どうするかということではいろいろ不安を感じておられるでしょうし、やっぱり精神的な衝撃というのも大きいものがあるというように思います。
 それで、北海道新聞が行った全半壊世帯十六世帯、ここに聞き取り調査をやっていたわけですけど、その中で十五世帯がこの地域に住み続けたいと。この佐呂間の町の若佐という被害に遭った地域というのは、岐阜県から、今の高山というところになると思うんですけれども、一九〇六年に入植をされて、そしてちょうど百年たっている地域なわけですよね。高齢化していて、世帯主が六十五歳以上というのは七割なんです。やっぱり深く土地に対する愛着を持っていて、本当に建て替えをしたり修復をしたりしながら住み続けたいと。しかし、やっぱり不安は家の問題で、修復費とか住宅再建の援助が欲しいというのがあるわけです。その願いにこたえていくやはり住宅修復費や建設費の支援というのが本当に焦点になっているというふうに思うんですね。
 そこでなんですけれども、災害救助法に基づく支援では、応急処理をすれば住めるという半壊住宅で五十万円まで修理費が出ることになっているわけです。しかし、現地で聞きますと、とてもそれだけでは足りないというのが実態で、百万とか二百万掛かるというんですけれども、そういうことだけに、町独自の施策で半壊世帯の補修費は百万円というふうにしているわけですね。
 先ほど来話がありましたように、もう今の時期は気温でいえば零下になっていると思います。日中でも五度ぐらいにまでしか上がらないという状況になってきていますし、雪マークの天気が多くなってきているわけですけれども、そういう中で本当に急がれているわけですけど、厚生労働省にお聞きしますけれども、この災害救助基準を救助の種類ごとに定めているわけですけれども、その基準によって適切な救助が困難な場合、このときは都道府県知事と厚生労働大臣の協議で特例を定めることができるというふうになっているんですよね。そこのところ、ちょっとまず確認したいと思いますけれども、厚生労働省。

○政府参考人(宮島俊彦君) 今委員のおっしゃったとおりでございまして、災害救助法に基づく応急救助は、同法、法律の施行令で程度や方法、期間などについてあらかじめ厚生労働大臣が一般基準を定めて、都道府県知事が実施するとしておりますが、この一般基準によっては救助の適切な実施が困難である場合、これは都道府県知事が厚生労働大臣に協議して特別基準を設定できることとされています。佐呂間町の竜巻災害においても、生活必需品の給与期間、これは一般基準で十日以内となっておりますが、北海道より厚生労働省に協議がありまして、これについては更に十日間の期間の延長を行ったというところであります。
 以上です。

○紙智子君 今、延長の話もあるんですけれども、さらに、さきの新潟県の中越地震で、その年度の限度額で五十一万九千円を地域の事情にかんがみて六十万円まで引き上げた例があるんですよね。佐呂間町は、要望書の中でも災害救助法の対象基準額の引上げを求めております。
 地元と話し合って、今五十万ということなので、五十万円でいいのかどうかと、もっと上げる必要があるのかということについて検討する用意はありますでしょうか。

○政府参考人(宮島俊彦君) 災害救助法の応急修理の基準、これは一世帯当たり五十万円以内ということでなっております。これは、あくまで住めるようになるための応急修理ということの基準額でございます。
 ただ、今委員の御指摘がありましたように、これまでの災害では、新潟県中越地震においては特別豪雪地帯であるということを考慮して引き上げられた例はございます。ただ、そのほかの例は基準額のままで対応できているということでございます。
 今回の佐呂間町の竜巻災害における応急修理の基準額の引上げ、これは北海道から被災地の実情を踏まえた相談がありますれば、厚生労働省としましても十分相談に応じてまいりたいというふうに考えております。

○紙智子君 相談があれば応じたいということなので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、全壊世帯の場合、生活再建支援法なんですけれども、これでは撤去費と解体費、ローン利子の支援にとどまっていると。住宅本体の建築、補修には及ばないわけですね。ここでは、ほとんどが高齢者なのでローンを組める状況じゃないんですね。したがって、解体、撤去の後の住宅再建ということでいえば、事実上は何ら援助がないという状況です。それだけに、町独自の施策で、建設、補修経費も含めて最大三百万までの予算を組んだわけですね。
 住民が本当に大きなショックから立ち直って生活の再建に向かう上で、その要望の言ってみれば中心部分というか、そこに支援法による事業ということではぴたりとやっぱりそこにこたえるというふうになってないんじゃないのかと、やっぱり一番の要望にこたえられていないんじゃないかというふうに思うわけですけど、大臣、この点、そう思われませんか。

○国務大臣(溝手顕正君) 被災者の生活再建支援法に関しましては、被災者のみならず、公共団体から様々な御意見があるということは承知をいたしております。
 先ほども申し上げましたが、平成十六年の法改正時に、施行後四年を目途として制度の見直しなどの総合的な検討を行うという旨の附帯決議もいただいておりますので、すぐ検討に入るタイミングだと、このように思っておりますが、今後、いろんな御意見もございますので、総合的に検討してまいりたいと思います。検討するからには、後ろへ下がるということがあってはならないと、このように思っているところでございます。

○紙智子君 後ろに下がることはあってはならないということで、是非前に向かっていただきたいというふうに思うんです。
 先ほどもお話が出ていましたけど、やっぱり住宅本体の支援というのは盛り込んでいっていただきたいというふうに思うんですね。佐呂間でもそれが中心だというふうに思うんです。
 二〇〇〇年の鳥取の西部地震から始まって、現在まで、住宅の新築や補修に支援策を取るところが増えています。その共通の要求への支援こそ、本当に再建支援法による事業で行うべきだというふうに思うんです。今、制度の見直しということの話がありましたけれども、本体に対しての支援を行うかどうかを検討するというのは重大な課題だというふうに思われているということでもあると思いますので、続けて、十六年度に成立した生活再建支援法、附帯決議で四年後の二十年度にその見直しが求められているわけで、もうあと一年半くらい先なわけです。
 仮にそこで改善されても、目の前のこの竜巻災害にも適用されるかどうかという保障がないと。支援法の経費の申請期限が原則三年なので、今から申請していくと、遅ければ二十年度を過ぎてしまうわけですね。それで、新制度ができても、前の災害による生活再建は古い制度で遅々として進まないという現状になっているわけですけれども、これはやっぱり不合理じゃないかと思うわけです。見直し時点で、まだ再建中のものについては新しい支援拡充が事実上適用できるようにお願いをしたいなと思うわけです。
 それで、制度の見直しに当たっては、こういう問題点もやっぱり議論すべきだというふうに思うんですけれども、そこについてのお答えをいただきたいと思います。

○国務大臣(溝手顕正君) どこを対象にするかというのは、どうやって決めるかということだろうと思いますので、おっしゃるとおり、検討の対象にはなると考えております。

○紙智子君 それでは、ちょっと時間が詰まってきたので二つ続けて質問をいたします。
 被災地への特別交付税の交付の問題で、これも先ほど来出されているんですけれども、住宅再建本体へ自治体が支援する例が増えているわけです。自治体は苦しい中でこの支援対象を広げているわけです。
 しかし、この特別交付税の算定単価もせいぜい建設物価の計数で調整をするというだけで、算定方法はずっとこの間変わっていないのが実情だと思うんですね。しかも、被災世帯、それから全壊、半壊世帯の戸数等で幾ら幾らというふうに計算をされているわけですけれども、この一戸当たりの単価というのは過去少しずつ上がってきたと思うんです。平成十三年からは、ところが、上がってきたんですが、平成十三年からは据置きになっているということなので、自治体独自の施策で支援対象が増えているわけですから、この特別交付税の算定を見直す必要があるんじゃないかと。その用意はないかということが一つと。
 もう一つ続けてお聞きしたいのは、佐呂間でも町単独の施策を立てたんですけれども、さきの低気圧の被害で何億という被害があると。ダブルパンチという話もさっきされたんですけれども、その中で、やっぱり住み続けたいと願う住民の要求にこたえようというふうに思うと、やっぱり本当に努力しなきゃいけないわけです。町自身の特別交付税の十分な措置という要望が出されているわけで、この要望にどうこたえるかということで、二点続けてお答えをお願いしたいと思います。

○政府参考人(津曲俊英君) 災害時の応急対応に対する特別交付税措置は、災害復旧事業費、罹災世帯数などの客観的指標を用いまして、これに単価を乗じて算定しているということでございます。
 この算定に用いる単価につきましては、これまでの地方公共団体における災害関係経費の実態などを勘案して設定してきておりまして、人件費や物価の上昇などを踏まえて定期的に見直しを行ってきております。近年のデフレ傾向を反映して、ここしばらくは単価は据え置いておりますけれども、今後とも経済社会情勢の変化を踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。
 それから、佐呂間町への財政措置でございますけれども、既に御指摘がありましたように、応急対策や復旧対策など財政負担が生じることが見込まれております。
 総務省といたしましては、今回の竜巻被害について、今後、佐呂間町の実情や要望を十分お聞きしてその被害状況をよく把握した上で、地方交付税、特別交付税含んだ形でございますけれども、それや、地方債による地方財政措置を講じて、その財政運営に支障が生じることがないように適切に対処してまいりたいと思っております。

○紙智子君 現地は本当に急がれているということでもありますので、是非本当に心の通じる、通い合う、そういう温かい対策を心からお願いいたしまして、私の質問を終わります。