<第164回国会 2006年6月1日 農林水産委員会 第11号>


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今日は、糖価調整法の問題で質問いたします。
 この糖価調整法の改正で、てん菜、サトウキビなどの甘味資源作物、それからバレイショ、カンショなどのでん粉原料用の芋については、これまですべての生産者が最低生産者価格制度の対象になってきたわけですけれども、これが廃止をされると。てん菜、バレイショについては品目横断に移行することになります。
 てん菜については、調整金の収支が悪化しているということを理由に直接支払の対象数量に上限を設けるということなんですけれども、この上限は一体どうなるんでしょうか。

○政府参考人(西川孝一君) てん菜の支払対象数量についてのお尋ねでございますけれども、御案内のとおり、糖価調整法の下では、輸入糖から徴収いたしました調整金を財源として国内生産への支援を行う仕組みとなっているところでございます。調整金収支の均衡を図りながらてん菜の安定的な生産を推進していくためには、適正な規模のてん菜生産について支援が行う必要があるというふうに考えております。
 その際、てん菜の支援対象数量水準につきましては、需要に応じました生産の促進を基本としつつ、北海道畑作の輪作体系の維持を図る観点も考慮いたしまして、平成二十七年度における生産努力目標でございます砂糖ベースで六十四万トン相当に設定することが適切ではないかというふうに考えているところでございます。

○紙智子君 今六十四万トンというふうにおっしゃったわけです。
 昨年の三月に、私、この委員会で生産努力目標が今後のビートの生産の上限になってしまって、今後はそれ以上買い取らないということになるんじゃないかというふうに質問したときに、当時の局長はそれを否定したわけですね。そうはならないというふうに言ったんですけれども、結局、懸念したとおりになったんじゃありませんか。

○政府参考人(西川孝一君) 健全な制度を運営するためにどうするかということでございまして、現在、調整金、全体の砂糖の需要が減る中で調整金水準も若干減ってはいるわけでございますが、先ほど申し上げたように、北海道の輪作体系を維持するという観点から見たときに、将来、六十四万トンのてん菜生産というのが見通されるという中で、今回の制度の中で支援対象とするのは六十四万トンというふうに決めたいというふうにしているところでございます。

○紙智子君 前回そうならないと言ったのに、どうしてそういうふうにころころ変わるんでしょうかね。どうですか。

○政府参考人(西川孝一君) 対象数量についてどうするかということについては、やはりこれは制度そのものを円滑にといいますか、安定的に運営することがやはり北海道におけるてん菜生産あるいは経営の安定を図る上では極めて大事という意味で、調整金をベースとしている制度上の仕組みから、そういうふうな、支援水準については六十四万トンとしたいというふうに考えているところでございます。

○紙智子君 それはそちらの言い分だと思うんですよ。
 ビートは豊作のとき、凶作のときで物すごくこの差が、変動が激しいと思うんですね。ここ数年でいいますと豊作が続いていると。生産量は、二〇〇三年、四年、五年ということで見ると、六百十四万トン、そして翌年四百六十六万トン、四百二十万トンというふうになっているわけです。〇四年の年には生産者が一トン当たり千円の拠出、総額でいいますと五十五億円ですよ、これだけ負担して豊作分を処理したんですね。これ一戸分に直しますと数十万円の負担なんですよ。
 このような本当に多大な負担に耐えているのはなぜかと。それはやっぱり輪作体系を維持するためだと思うんですね。やっぱりそれを考慮をしないでこの上限を精糖換算で六十四万トンに設定するということになりますと、ビートの生産の面積自身を縮小しなきゃならないことになるんじゃないでしょうか。これ、大臣、いかがですか。

○国務大臣(中川昭一君) 私の地元の輪作の一つでございますから、今までですとビートは例えばですけれども七万二千ヘクタールとか、そういうふうにして決めていたわけであります。七万、例えばビートを植えます。植えて、収量があります。何トン取れました、糖分が何%になります、一八%の場合と一五%の場合で取れる砂糖が違います、その結果として砂糖が何万トンということになるわけでございますので、そういう場合には自然相手、生き物相手であるし、それから消費者あっての日本の生産でございますから、そういうものを総合的に勘案して、輪作体系あるいは日本のカロリーの八%を占める砂糖というものをどうやって維持をしていくかということを総合的に考えて、今後の政策としてこういうことを導入しようとしているものでございまして、もちろん豊作もありましょう、凶作もありましょう。そのときに、在庫が少なくなる、消費が、圧力が強くなるといえばそれは増やすこともあるし、豊作が続けば、消費が減っていけば減らしていく。そのときには、質問の御趣旨からちょっと外れるかもしれませんけれども、沖縄のサトウキビとか北海道のビートなんかはエタノールのエネルギーに使ったり、いろんなことに世界じゅうで幸いにしてサトウキビやビートは利用されておりますので、そんなことも考えながら、食料としての砂糖政策も行っていきたいというふうに考えております。

○紙智子君 今いろいろ、るる言われたんですけど、私が聞いたのは、面積を減らさなきゃいけなくなるんじゃないですかって聞いたんです。

○国務大臣(中川昭一君) 消費あるいは作況動向によっては減らすこともあれば増やすこともあるということだろうと思います。

○紙智子君 ちょっとひどい答弁ですよね。そんな、実際にはこの間のいろいろな現地の議論があって、面積を減らさないっていうふうにしてきているわけですよ。それで、削減が必要だっていうふうには認識していないっていうふうにこの間言っておられたんじゃないんですか。事務方の方はどうですか。

○政府参考人(西川孝一君) 近年、てん菜の生産が急増したというのは、これは事実でございました。ただ、これは作物を扱う者として、この数字というのはびっくりするような数字があったことは事実でございます。ただ、長期見通しを策定する際には、これは、将来、北海道の畑作の作付面積拡大する中できちんとした営農を行うためには、輪作体系を組むためには、どうも今のような栽培体系、あるいは営農体系ではなかなか同じような水準の生産上がらないだろうという中で、直播技術を入れる中でしっかりと輪作体系を組み立てると。そうした場合のてん菜の生産量といいますか、単収というのは五・例えば六トンと。
 先ほど大臣が申し上げましたけれども、通常てん菜の糖度は十七・一度ぐらいですよね。十七度ちょっとだと思うんです。先ほど、最近のその最高例が、十八度のてん菜が取れた、これは過去最高だと思うんですけれども。その中で、過剰基調といいますか、在庫が物すごくたまったという事情あるわけでございますけれども、将来見通す中では、糖度は上がるけれども十八度までは上がらなくて、もうちょっと低いんでしょうけれども、現状よりは少し上がるという中で、作付面積も現状においては六万七千なり六万八千ヘクタール程度でございますけれども、長期見通しの段階でも六万六千ヘクタール程度は輪作体系の中で位置付けられるだろうと。そういう中で、実際の営農体系を想定する中でこの数字を出してきているということでございます。
 実際問題として、ビート糖として流通しているお砂糖の量は実は五十万トンを少し切るような水準でございます、白糖作っておるわけでございますけれども。それやこれや、いろいろ総合的に北海道の輪作体系を成り立たせるという視点も含めながら、この六十四万トンというのを長期見通しとしても出しているということでございます。

○紙智子君 畑作農家の方が高額なペナルティーまで負担しながらビートを生産続けているのは、やっぱり、おっしゃっていますように、ビートの面積を維持するということが結局輪作体系そのものを維持していく上で不可欠だからですよ。面積を維持することが輪作体系を維持する上で不可欠だからですよ。だから、わざわざお金たくさん出してやってきているという現実があるわけです。そして、このてん菜を入れることで地力も回復させていくということもあるわけですよ。
 今年度の生産面積の配分では、結局、政府の助成の受けられない面積の配分がされているわけですけれども、上限を超えた量については交付金は付かないと。手取りでてん菜の販売収入は生産コストを大幅に割り込むことになるわけですね。北海道は、そういう中で、ビートの面積を、なかなか、この収量が多くなったりするということでは、減らすということでは新規作物に転換しようという話も出ていて、その場合に反当たりにして三万円を交付するということを、事業を北海道としては今いろいろ考えていると。
 ところが、現地では枝豆とかチコリとかいろいろ考えているんだけども、じゃ、チコリといったら日本でどれぐらい消費がされるんだろうかということでは不透明と。しかし、北海道がやろうとしている対策でいえば、これまでに栽培したことがない作物に限定してということの話になっていて、タマネギや大豆ではこれは対象にならないという中で、じゃ、輪作体系を崩さないでやるとしたら何が作れるんだと、何を作ったらいいのかということでは非常に模索をしているという状況があるわけです。
 実際に、これ、事実上輪作体系が壊れることになってしまいませんか。

○国務大臣(中川昭一君) まず、ペナルティーという大変誤解を及ぼすような言葉はできれば訂正していただきたいと思います。これは、生産者自身が輪作体系を守るために、過剰生産なってしまったからみんなでこういうふうにして出し合いましょうということでございまして、共補償という言葉も別の世界であるわけでありますし、例えば現在の牛乳が余っているからみんなで生産調整をしましょうということでありますから、何も何か悪いことをしたみたいな、罰金を取るみたいな形では決してないんでありまして、北海道の農業者は賢明でございますから、このまま行ったら値崩れを起こして買ってもらえない、それよりはみんなで少しずつお金を出し合って努力をしようじゃないか、あるいは数年前から導入されております原料糖取引、精糖に回すには余りにも量が多過ぎるから原料糖としてメーカーに回すというような工夫等々、政府と農業者が一体となって前向きにするために知恵を絞っているわけであります。
 そういう観点から、畑作というのは水田と違いまして同じものを毎年作っていると必ず連作障害というのが起こりますから、輪作というものがこれはもう必然でございます。そういう中で四作若しくは五作という体系が確立されているわけでありますけれども、その中には、これはまあ余り短期的に収入になるかどうかは別にして、地力増進の作物、緑肥、クローバー等を植える場合もありますし、一つの典型例としては、これは農業者自身が考えたことでございますけれども、私の地元ではナガイモが毎年百億円の売上げを上げておりますので、どうぞ地域でいろいろとお知恵を絞り、それに対して後押しをするということも大事であります。それができなければ道がやる、それができなければ国がやるということで、何もかにもがまず国がやれ、国がやったことに違反したからペナルティーだということでは決してないということを是非御理解をいただきたいと思います。

○紙智子君 先ほど言った言葉というのは現地の生産者の皆さんから出てくる言葉なんです。確かに生産調整と言えばいいですよ、きれいな言い方ですよ。でも、実態としては作りたいわけですけれども、それがやっぱりできなくされているということでは、思いとしてはそういう思いがあるということも是非御理解をいただきたいと思いますよ。
 それで、砂糖が自給率で言うと今三四%ですよね。これを生産縮小させるということになりますと、これ、本来政府が自給率向上と言っていることとも反するんじゃないでしょうか。この点はいかがですか。

○政府参考人(西川孝一君) 先ほど、最近の、平成十六年、十五年というところで特に単収が急増といいますか、非常に作が良かったことを背景として、ちょっと在庫がたまると、砂糖として出せない在庫がたまったということがあって、今大臣から申し上げたような、みんなでその過剰対策も講じているというところでございますけれども。
 長期見通しにおいては六十四万トンということで三四%の自給率ということを目標としておりまして、この水準というのは、過去の水準は三割切っているような水準、ここ近年あって、一度だけ三五%になったと思いますけれども、先ほど言ったように、収量が一割増、糖度で、砂糖量として五%増といったような中で、三五%を瞬間風速としては達成しておりますけれども、過去は二九とか三〇とか三一、それを三四を維持しようというところで長期見通しは立てているというところでございます。

○紙智子君 自給率向上にはつながらないんじゃないですか。やっぱり、それでは私は、担い手育成どころか、この畑作自身を、輪作体系を維持して生産基盤をしっかりつくっていくというふうにはならないと思いますよ。
 それはちょっとおいておいて、次のサトウキビの話にも入りたいんですけれども、サトウキビ生産者に対する新たな交付金というのは、これまですべての生産者を対象とした最低生産者価格制度、ここから対象を限定した交付金に変わることになります。原則だけを適用した場合と三年間の限定の特例を実施した場合、それぞれで、現時点でこの交付金の支給要件に該当する農家数というのはどの程度あるでしょうか。

○政府参考人(西川孝一君) 原則なり特例を適用した場合の対象農家は幾らかということでございますけれども、繰り返しになるかもしれませんけれども、サトウキビの経営安定対策の対象要件は、サトウキビについては零細な規模の農家が生産の大宗を占めているという実態を踏まえまして、認定農業者や一定の作業規模を有する者に加えまして、一定の作業規模を有する共同利用組織に参加している農家、一定の条件を満たす基幹作業の委託者も対象としておりますし、加えて、受託組織などが存在しない地域については、三年間に限りまして、担い手の育成を目的とする組織に参加する者を、農家を対象とするという特例を設けることとしております。
 この対象要件については、基幹作業の委託者も交付対象に含むということ、特例につきましては適用される地域が未確定であるということから、この部分についてはセンサス等から推計することはできません。現時点でこれらを満たし得る農家数を的確に見通すことというのは困難でございますが、いずれにしても、現在、行政と農業団体が連携協力いたしまして生産の組織化等を強力に推進しております。
 対象要件における特例の活用も含めまして、スタート時には相当な割合の農家が、これは県においてはすべてを目標に挙げておりますけれども、対象になるというふうに考えているところでございます。

○紙智子君 ちょっと全然分からないですね。相当の規模の人が対象になるというんですが、根拠は何なんですか、それは。

○政府参考人(西川孝一君) これは、この対策を立てるに当たりまして、現地の農業団体、県も含めまして、それらの方々とかなり連携を密にして、現場の要望、特にサトウキビについては高齢化が非常に進んでおります。
 サトウキビは、御案内のとおり、長大作物でありますし、一ヘクタール当たりで六トン、あるいは良く取れれば十トンまで取れる、すごい重量作物ですよね。だから、サトウキビをこれからずっと維持するためにといいますか、作るためには、やっぱりしっかりとした担い手をつくらなきゃいかぬということを、そういうことを念頭に置いて今やっているわけでございまして、担い手づくりを今一生懸命やっていると。地域でそういう方々を育てる、あるいは組織について要件を緩やかにする中でそういう環境を整えていくというところに現場が一生懸命今動いていると、そういう状況というふうに御理解いただければと思います。

○紙智子君 一ヘクタール以上の農家がどれだけいて、一定の作業規模を有する共同利用組織に参加している者、それから一定規模を有する受託組織に基幹作業を委託している者、要件ですよね、この要件にかなっている人たちが現時点でどういうふうになっているのかというのは分からないんですか。

○政府参考人(西川孝一君) 現時点という、今現時点では分かりません。
 ただ、二〇〇〇年の農業センサスなどを使えば、一ヘクタール規模の農家がどのぐらいいるかと、そういう数字はあるわけでございますけれども……

○紙智子君 それは何。

○政府参考人(西川孝一君) これは、認定農業者の数でいきますと、沖縄県では三百二十戸でございますし、一ヘクタール以上の農家数というのは三千八百九十四戸、機械・施設の共同利用組織への参加農家数としては三百五十三戸、農作業を請け負う受託組織への参加農家数は百九十一戸と。
 そういう数字はありますけれども、繰り返しになりますけれども、現在のサトウキビのそういう生産の実態を踏まえる中で、これならいけるというところで我々としてはこの要件をつくっていったということは御理解いただきたいと思います。

○紙智子君 支援対象の限定と、制度が大きく変わるわけですよね、そういう施策の対象が生産者にどれだけカバーできるのかというのはこれ重大な問題だと思うんですよ。それを明らかにしないで議論しろというのも、これやっぱり無理な話だと思うんですよ。サンプリング調査もしていると思うんですけど、そういう数字だけだって示すべきだと思います。
 今、ちょっといろいろと答えられたんですけれども、今回の制度の改正は、特例がなくなると、個別農家の場合、認定農家になるか、それとも共同利用組織に参加するか、基幹作業を受託組織などに委託している者になるかということなんですけれども。
 今、数字幾つか言われましたけれども、栽培農家戸数は、サトウキビは、鹿児島で一万八百ありますよね、沖縄で一万八千百戸ですね。これに対して認定農業者は、サトウキビは、鹿児島で五百二十九戸、沖縄で三百二十戸。ですから、今そういう意味では数%でしかないわけですよね。その他の要件を満たす者も、沖縄のサトウキビの場合は八割が一ヘクタール未満だと。機械・施設の共同利用組織への参加の農家というのが三百五十三戸ですか、受託組織の参加農家が百九十一戸にとどまっているわけです。作業請負の状況というのは、収穫作業で九百四十二ヘクタール、そして耕起、整地ですね、これをやっているところで一千七百七十一ヘクタールしかないわけです。鹿児島の状況というのは不明なわけですけれども、こういう同様の状況だというふうに思われるんですよ。
 ほとんどの農家をこれから組織するというわけですよね。これから何らかの形で組織しなきゃいけないと。そうすると、対象となる要件というのは、現在のサトウキビの農家の実態とは懸け離れたものだと思うんですね。これでどうやって、三年後にほとんどの農家の人が対象になるようにというんだけれども、一〇〇%対象になるようにするのかという点ではどうですか。

○政府参考人(西川孝一君) 今、サトウキビの生産については、今委員の方からも規模が小さいという数字をお示ししていただいたわけですけれども、そういう実態を踏まえた中でこれからのサトウキビ生産を維持していくというためにはどうすべきかというところで、高齢化もしています。先ほど申し上げたように長大作物ですから、年を取れば作れなくなるんですね、体力が要りますから。そうすると、高齢化とともに、農地がサトウキビとともになくなるということが危惧されると。現に近年のサトウキビ生産というのは非常に弱くなっていると。これを何とかしようという中で今回の対策も講じたと。
 そういうところで、一番我々が着目したのは、サトウキビの場合に、労働時間の大体四割強が収穫作業に要するわけです。この収穫作業のところをやっぱり効率化する、合理化するというか、機械化していかなければ、サトウキビ自体がおかしくなるというところで、ここに着目する中でそういう組織づくりということを要件にしているわけです。
 具体的に、じゃそれをやらなきゃいけないかということに対して、先ほどお答えしましたように、受託組織が現にないところもあるわけです。それらについては、三年間の間にそういう組織をつくってもらうと、組織に参加するということで、担い手をしっかり計画で定めてその組織に参加していただくと、そうすればこの対象にしますと、そういう要件もつくっているわけでございまして、この要件の中でいま一度将来に向けてのサトウキビの生産に立ち向かってもらうと。
 そういうことを今推進しようとしておりまして、これも繰り返しになりますけれども、現場の農協、もちろん県もそうでございますけれども、今一生懸命その推進方に取り組んで、島ごとに、あるいは農協の支所ごとに担当者も置いて今働き掛けをしていると、そういう状況でございます。

○紙智子君 ですから、やっぱりすごく苦労していると思うんですよ、現地では。そう簡単じゃないと思うんですよ。だから、それだけに、本当に三年切ってそれでやって担い手が育つのかという問題でもあると思うんです。やっぱり三年後の特例廃止ありきということでは、大方の農家がやめざるを得ないことになってしまうんじゃないかと。
 だから、三年後、担い手育成の状況を見てこの特例の継続を判断すべきじゃありませんか。この点はどうですか。

○政府参考人(西川孝一君) 今一生懸命それに向けてやっているわけでございまして、繰り返しになりますけれども、作業をやはり効率化していかないとキビ生産そのものが成り立たなくなるという、そういう危機感の下でこういう対策を講じようと、制度を改革をしようとしているわけでございます。
 三年後には、組織の参加者は対象要件のきちんと作業を委託すればそれも対象にするわけですから、三年後には本則の対象になるというふうに私どもとしては今考えておりますけれども、ちょうど今機運が盛り上がっているわけでございますので、今一生懸命現場も頑張っておりますので、三年後見直すということは現時点で私の方からはちょっと言えないということも御理解いただければと思います。

○紙智子君 そこはやっぱりちゃんとその状況を見て、もう少しちょっと言い方ないですかね。
 私、去年沖縄に行ってきて実際製糖会社ですとか農家の人とか話を聞いているんです。これまでも規模拡大とか機械化一貫体系の促進ということで組織化の努力はされてきているんですよ、今までも。だけどなかなか進まないと。それは現地の努力が足りないわけじゃないんですよね。やっぱり離島であって、台風が常襲地帯だということがある中で、それぞれやっぱり地域の特性もあるからなんですね。砂糖生産でいうと、機械の導入が地力を弱めて、逆に今度収量を下げてしまうということもあるということだとかいろいろ言われていて、上からの一律的な機械化促進ということでは批判もあるわけです。
 だから、やっぱり本当に、昨日も出ていましたけど、サトウキビというのは生命産業だと、沖縄にとっては。鹿児島も作っていますけれども。だから、そういうところを本当に高齢者の皆さんが頑張ってやっておられて、そういう人たちに、厳しい価格が下がってきている中で、本当に力がわくようにというか、その人たち自身が今も元気に続けていて、続けられるし、更に担い手がちゃんと育つようにと、そういう価格支持政策といいますか支援が必要だということを強調して、ちょっと時間がなくなっちゃったんですけど、次に移らせていただきます。
 農地・水・環境保全向上の対策についてなんですけれども、この対策については品目横断の経営安定対策と車の両輪という位置付けをしていますよね。しかし、農水省の「農業構造の展望」の中では、農地の七、八割は担い手に集積することになっているわけです。本来であれば、この担い手が農地の七、八割の部分の水管理や農地管理を行うというのが自然の形だと思うんです。であるなら、こういう対策は必要ないはずなんだけれども、それをあえて対策として位置付けるということは、これ農地の七、八割を集積する担い手に水管理や農地管理を行わせるというのは現実的でないという判断なんですか、大臣。

○国務大臣(中川昭一君) 車の両輪と申し上げたのは、この産業政策、食料政策としての担い手、経営安定対策が一つ片っ方の車輪としてありまして、もう片っ方としていわゆる農地、農業あるいは食料のと言ってもいいでしょう、多面的機能を果たす役割として、その一つの施策として農地・水・環境対策があるというわけであります。
 もう紙委員も御承知だと思いますけれども、紙委員の御地元でも、水を引っ張ってくるときには、北海道ですから、何十ヘクタールあるいは何戸の農家にも一本の川から引っ張ってきて、うまくそれぞれの田んぼあるいは畑に水が行くようになっているわけでありますから、そこはみんなで水管理をしていく必要がある。
 その場合には、その地域の農業関係者だけではなくて、農業以外の人たちも、あるいはそこに住んでいない、しかしその地域の環境や多面的機能を、に関心を持つ、あるいは愛する人々にも参加をしていただいて、みんなでその地域の水や、あるいはまた土壌の管理、あるいはまた景観等々を維持していこうということで、担い手だけがやらなければいけないとか、あるいはそれ以外はやっちゃいけないとか、そういうものじゃなくて、みんなで参加して共同でやっていきましょうと。それに対しては何らかの財政面も含めた支援をさせていただきましょうという趣旨であります。

○紙智子君 聞いたことには直接なかなか答えられていないという感じがするんですけど。
 要するに、本当に今までで言えば、やっている経営者の方が水管理など含めてずっと今までやってきたという歴史があるわけだけれども、それをあえてこういう形で水管理や農地管理を行わせるということで作るということ自体が、私はやっぱり日本のような複雑な地形を持って、中山間地の話も出ましたけど、農地も小区画な中で、その農地の七、八割を担い手に集約するということがやっぱり非現実的であるということのあかしだということだと思うんですよ。なぜそういうふうになっているのかという、やっぱり素朴な疑問なわけですけれども、結局そういうことなんじゃないのかなと。
 なぜ今回、法制度としないで予算措置としてこれを進めているのか。車の両輪というふうに言うのであれば、ふさわしく安定的な制度にすべきだというふうに思うんですけれども、その辺はどうですか。

○国務大臣(中川昭一君) 法制度としては、この経営安定対策、したがってこれが新法であって、あと主要食糧法と砂糖でん粉法が改正ということ、あと独法法があるわけでありますが、そういう一つの柱と、それからこの農地・水・環境対策につきましては、既に今までも関係者の皆様方、関心のある皆さん方がやっておられるわけでありますから、全く新しい制度を法制化するのと、それと密接に関連のある、そして今までもやってきているものを更に推し進める。しかも、国だけではなく、また関係農業者だけではなく自治体も、あるいはそれ以外の皆さんも含めてやっていただく。そして、それに対して財政措置もするということで、私はその目的が十分達せられるというふうに考えております。

○紙智子君 今日の午前中、午後の議論の中でも、中山間地の支払の話も出ましたけど、こちらの方は今五年区切りということで、もう切れないように、また延ばしてほしいということで、やっぱり生産者の皆さんは非常に不安になって、そしてやっぱり延ばしてほしいということで要求するわけですよ。結局そういう形で、時限のような形でなるのだとすると、やっぱりなかなか安定しないといいますか、心配なく続けられるということにしていかなきゃいけないものなんじゃないのかというふうに思うわけです。
 そういう意味で、やっぱり車の両輪にふさわしくということの意味はそういうことで考えるべきじゃないかということと併せて、やっぱり議論にもなったんですけれども、この対策でいうと、地方自治体に対しての予算のあれですね、分担といいますか、国と地方自治体の分担というのがあるわけですけど、これが結局一対一という話が出されているわけで、これで本当に今の苦しい地方財政の中でやれるのかどうかということをめぐっても、様々なやっぱり危機感といいますか、心配の声が出ているわけです。これに対して大臣の意見といいますか、これでいいのかどうかということについても一言お聞きしておきたいと思います。

○国務大臣(中川昭一君) これは、先ほども自治体の負担についての御議論がございました。そういう、地方財政も決して豊かではないというふうに思います。国ももちろん豊かではないわけでありますけれども。そういう中で、この対策を進めることによって関係農業者だけではなく自治体も受益するわけでありますから、是非これ自治体もそういう意味で主体的に参加をしていただく。つまり、財政的な負担もしていただいて、みんなでこの目的を推進していきましょうと、こういう趣旨で御賛同をいただきたいというふうに思っております。

○紙智子君 じゃ、ちょっと時間がなくなりましたので、また続きはこの次にやらせていただくことにして。
 いずれにしても、これは財政を負担してもらいたいと言うけれども、実際には、もう自治体の財政はそんな、大変ですから、非常に厳しいということを申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。