<第164回国会 2006年3月27日 予算委員会 第17号>


○委員長(小野清子君) 次に、紙智子君の質疑を行います。紙智子君。
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。食の安全とBSE問題について質問いたします。
 今年、米国産牛肉が輸入が再開されて、直後に危険部位が入った、この危険部位の脊柱ですね、入った牛肉が入ってきて輸入停止となりました。で、二か月を今既に超えています。二か月以上になります。
 そもそも、この輸入再開をした日本政府の判断が正しかったのかということでは、重大な疑問を呈する文書を我が党が要求して情報公開で入手いたしました。資料を配付しています、ごらんいただきたいと思いますが、(資料提示)このお配りした資料は、米国のBSEステータス評価書と二〇〇二年十一月のBSEに関する技術検討会の議事録の一部です。この議事録は、今まで農水省が国民に全く隠していたもので、米国でBSEが発生する一年以上前の二〇〇二年当時、この技術検討会の専門委員が米国でのBSE発生の可能性について指摘をしているわけです。一人が「アメリカで将来出ないという確証はないということか。」と質問に対して、別の委員が、「出る可能性があるが、それが高いか低いかということ。」だと可能性を指摘しているわけです。
 このような資料を、議事録を隠しながら、その一年後、ちょっとパネルを見てほしいんです。(資料提示)こういう形でここで指摘をしているわけですけれども、二〇〇三年の十二月、アメリカでBSEが発生するまでの間、これは一貫してこの輸入を続けて危険部位が日本に入り続けているわけです。厚生労働省の資料でいいますと、この牛の脳ですね、これが一番危険ですけれども四十キログラムと、で、骨付き肉が七十トンと、これがずっと入り続けて、そして国民は知らない間に食べさせられていたということなわけですよ。
 これ、総理が知らないはずはないというふうに思うわけですけれども、なぜこうしたステータス評価や議事録、検討会の議事録を隠していたんでしょうか。答弁は端的にお願いします。
○国務大臣(中川昭一君) アメリカのステータス評価、二〇〇二年十一月の議事録が公表されなかったことにつきましては、これは、アメリカの同意なしにこれらを公にした場合には米国との信頼関係が失われるというふうに判断したからでございます。議事録は非公表、議事録要旨を公表というふうに決めていたからでございます。
○紙智子君 そんなことは理由にならないんですね。やはり参加している委員からも公表すべきだという声が出ていたということは、議事録の中に出ているんですよ。
 アメリカからの牛肉輸入のリスク評価をやってきた食品安全委員会も、この間、ほとんどの資料と議事録は公開していると、すべて。もしこの資料が公開されていたならば、少なくともアメリカからこの危険部位が入ってくるその輸入についてもっと早くストップすることができていたと思いますし、そして輸入再開の判断にも影響を与えていたはずです。
 当時、アメリカ国内でこのBSE発生の可能性について様々な報告書が出されていましたよね。二〇〇一年の米国食品安全医薬局の、医薬品局の調査報告や、さらに、二〇〇二年の二月の米国会計検査院の調査報告、これらの資料というのは、日本のこの技術検討会に出されて検討されていたんでしょうか。これ、イエスかノーで簡潔に答えてください。
○国務大臣(中川昭一君) これは、既に平成十六年の二月十八日の予算委員会での質疑の中でもう答弁がございますけれども、米国、カナダの意向を確認して、提出に異存のない旨の回答があった場合には提出するということで国会で答弁をさせていただいております。
○紙智子君 検討会に出していなかったですよね。技術検討会には出していなかったんですね。
○国務大臣(中川昭一君) 技術検討会には出しておりませんでした。
○紙智子君 出されてもいないし、検討されてもいないということだったと思うんです。
 この二つの報告書にじゃどういうことが書いてあったのかということで、もう一つこれ見てほしいんですけれども、(資料提示)ごらんのように、一つは医薬局の調査、飼料工場における肉骨粉の牛の飼料への混入防止について対策不十分と、それから、二〇〇二年の会計監査の方は、牛の検査体制の不備、肉骨粉規制の不徹底などを挙げて、米国でのBSE発生の危険性を指摘と、こういうふうに指摘をされて、これは米国の国内の中でも報告が上がっていたものなんですよ。それを、日本の中では検討会にも出さないで議論もしていなかったということなんです。
 そうなりますと、初めから、これ検討会自身がアメリカのその牛肉、アメリカは問題ないという結論を導くためにやった検討会じゃないかというふうに指摘をしている当時の委員もいるわけですよ。幾ら政府がまあ都合のいい資料だけでやろうとしても、実際のでも検討会の会議の中では、これはBSEの発生の可能性はあるということが議論されていたわけです。
 総理、EUは一九九九年から実は、このアメリカのBSEの危険性ということで、もうその当時から危険部位のその輸入については止めていたわけです。しかし、日本では、これは危険性を知りながらも、それを隠したままアメリカの言わば危険部位の輸入を続けていて、国民はこの危ないものを食べさせられ続けていたと。これに対してどのように国民に釈明をされますか。総理。
○国務大臣(中川昭一君) アメリカでのこの二つの報告書は公になっている報告書でございます。ですから、隠したとかそういうことではなくて、当時食品安全委員会という組織はございませんでしたから、農林省の中の検討委員会での検討の中の資料としては提出しませんでしたけれども、決して隠したものではございません。
○紙智子君 今、私、総理に聞いたんです。EUはこういう対応を取ってきたけど、日本ではこれ食べ続けていたということに対してどう釈明するんですか。総理。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 中川農水大臣の答弁したとおりであります。
○紙智子君 それじゃ全然納得できないですよ。ちょっと、もう一回ちゃんとやってください。
○国務大臣(中川昭一君) ですから、二〇〇一年の三月に、日本の中で当時は食品安全委員会という組織はございませんでしたから、リスク管理、リスク評価という仕分はきちっと政府の中でできていませんでしたから、そういう中で農林水産省がリスク評価的な仕事をやっていたわけであります。それが検討委員会でございます。
 そういう中で、二〇〇一年の三月から始めている、始めたわけでございますけれども、その間に報告書が出たわけでございますけれども、その間に今度はカナダでBSEが発生をしたと。そして、その間に、日本で調べた報告書、あるいはアメリカで調べた報告書を訳しているうちに発生をしたので、これはもう報告書としての意味を成さないということになっていったわけでございまして、したがって、検討委員会に報告をする必要がなくなってしまった。もちろん、公表されていますから、決して隠しているわけではございませんけれども、その間に日本で発生し、カナダで発生し、そしてアメリカで発生するという、次々に日米、カナダ、アメリカで発生をしてきたということでございます。
 それと、今回の米国産で発生を、二年前の十二月に発生をしたということによってストップをしたと、それによって今徹底的に食品安全委員会を中心にしてリスク評価の作業に入ったという、新しい作業の段階に入ったということに御理解いただきたいと思います。
○紙智子君 いろいろ言われましたけど、全然理由にならないですよ、はっきり言って。実際に国民の中ではそのことを知らされないで食べされ続けていたわけです。検討会に出されていて議論になっていたら、もっと早くストップすることできていたわけです。そのことに対する反省が全然ないと。
 それで、私はやっぱりこの問題については過去の問題じゃないんですよね。今につながる問題だと。過去そういう誤った対応をしてきたことに対してちゃんと正していかなければ、また同じことを繰り返すことになると、そういうふうに思うんです。明日から米国産牛肉の輸入再開の日米協議が始まるということでは、これまでのこういった誤った態度を本当に変えて臨んで、間違いのない、誤りを繰り返さないということを指摘をさせていただいて、私の質問を終わります。