<第164回国会 2006年3月24日 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号>


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 最初に防衛庁にお聞きします。防衛庁は、米軍再編での米軍戦闘機訓練の移転について、千歳、三沢、百里、小松、築城、新田原、この六基地関係の自治体に二十一日から一斉に説明に入りました。その内容について私も昨日防衛庁からレクを受けました。この中で、米軍機の訓練、作戦行動が全国的にますます強化されるということを強く感じました。
 その点で幾つかまず防衛庁に質問をしたいんですが、まず訓練の移転元ですね、移転元として嘉手納、三沢、岩国の三米軍基地を挙げています。しかし、このうちどの機種、どういう訓練を移転するのか特定はしていません。で、嘉手納では、米軍、米空軍の戦闘機F15だけではなくて、米軍本土の基地から外来機がほとんど常時展開しています。それから、岩国では、FA18戦闘・攻撃機を主とした海兵隊の航空基地であるわけですけど、これとともに、今厚木からの空母艦載機も移駐されようとしていると。それから、三沢についていえば、爆撃機F16が配備をされていて、米空軍の遠征軍に編成されています。ともに世界でも最強の基地で、ますますこれ増強されているわけですけど、これら三基地のすべての訓練がこの移転実施計画の対象となるということではありませんか。
○政府参考人(大古和雄君) 御指摘のように、移転元につきましては、嘉手納の飛行場、三沢飛行場、岩国飛行場ということになります。基本的に、今回の移転訓練につきましては戦闘機を主体に考えておりますけども、そのときの訓練の状況によりましてヘリコプターが来るとか、そういうことについては今後米側が具体的に検討するということになると承知しております。
○紙智子君 実施計画を作るわけですよね。そうすると、こういうすべての訓練で自衛隊六基地を使えるということになることですよね。そうですよね。
○政府参考人(大古和雄君) 今の移転先につきましては、合同委員会の合意を経て適宜日米共同訓練がすることということで手続が取られております。そういう意味では、今回、共同するに当たっては、今の日米の合意の方向としては、今の合同委員会の合意の範囲内で各移転先については戦闘機の訓練、戦闘機等の訓練を行うということになっているところでございます。
○紙智子君 今否定されなかったんで、そういうことだと思うんですよ。
 次に、防衛庁は、移転先は当面はこの六基地としつつも、その後で日米両国は将来における日米共同訓練のための自衛隊基地の使用拡大に向けて努力するというふうに説明をしているんです。このことは、名前の挙がっていない六基地以外、例えば松島、入間、浜松、それから岐阜、小牧などのほかの飛行場にも訓練移転があり得るということでしょうか。
○政府参考人(大古和雄君) 今回の再編協議の中では、訓練の移転先についてはこの六基地ということで議論をしてございます。ただ、地元への御説明上、それは共同訓練なりの必要性がある場合には米軍が来るということはあり得ますので、そういう意味で地元に説明しているということでございます。
○紙智子君 非常に重大な発言だというように思います。結局、更にそういう意味では広がる可能性というか、全土に米軍基地が広がっていくという可能性があるというわけですから。
 で、六基地ですね、この訓練日数の拡大、それから制限撤廃の将来の可能性という点ではどうなんですか。
○政府参考人(大古和雄君) 基本的に、今回の移転先になる六基地につきましては戦闘機の飛行場でございます。そういう意味で、先生御指摘の、挙げられた飛行場、例えば入間飛行場というようなところは、滑走路の長さも含めて、米軍が移転訓練します戦闘機を使うということは飛行安全上もあり得ないというふうに考えてございます。
○紙智子君 今それについては考えてないということなんですけれど、今の説明を聞いていきますと、自衛隊基地の使用拡大、この説明というのは際限のない基地強化だというふうに思いますよ。
 で、訓練移転の完全な実施のために追加的な施設が必要になる可能性ありとして、実施について計画をするとしているわけです。これはどんな施設を想定しているのか。昨日説明伺った中では格納庫などの施設が出されたんですけれども、飛行機の格納庫や兵員の宿舎などを造れば、これ訓練が恒常化されることになるのは明らかじゃないですか。
○政府参考人(大古和雄君) 施設整備の具体的内容につきましてはまだ日米協議が済んでおりません。ただ、基本的に、先生の御指摘のように、格納庫等かということになるかと思っています。
 あと、ただ、一定期間訓練する場合でも米軍人は基地の中に待機いたしますんで、そういう待機場所も必要だというふうに認識しております。
○紙智子君 施設を造りますと、これは長年もつわけですよ。そうすると、訓練も恒常化するということは想像するのはもう当たり前だというふうに思うんです。
 それで、今回の説明にも、一体この移転訓練の規模がどうなるのか、それから訓練回数、戦闘機数、それから兵の移転、配置数など、具体的には明らかにされていません。しかし、この訓練回数の制限廃止も含めて今回の説明でその危険な様相が少しずつ明らかになってきているというふうに思います。こういう米軍機訓練の増強を全国にばらまく計画に対して今自治体や住民が反対するのは当然だというふうに思うんですよ。
 二十一日に説明を受けている北海道の千歳の市長、それから苫小牧の市長、それから宮崎県の新富の町長などが改めてこれ反対の意思表示を行っているわけです。千歳の市長がコメントしているんですけれども、今までは具体的な内容については示されないままに時間が経過してきたと。ここに来て三月末までに結論を出せと言われても、これ時間的には対応できないというふうに言っていて、これ道理だと思うんですよ。
 防衛庁はそれでもこの説明程度で三月末までに同意を得ようということであくまでもごり押しするつもりなんですか。よもや一方的にアメリカと合意するということはありませんよね。
○政府参考人(大古和雄君) 地元に対しては、今、日米間の協議で一定の方向性が得られたものについて説明しております。その関係で、今月中の日米間の合意を目指しておりまして、時間も限られていますけれども、地元に対しては誠心誠意更に説明していきたいというふうに考えているところでございます。
○紙智子君 今いろいろ質問してきたわけですけれども、やはりこの間の、本当に各地方自治体で難しいというふうに懸念を示してきているわけで、これを、日程を先に同意を得ようということでごり押しすることはもう絶対あってはならないというふうに思います。
 それで、次に外務大臣にお聞きをしたいんですけれども、さきのいわゆる2プラス2中間報告、ここで、この中に、閣僚は地元との調整を完了することを確約するとともにと、中省略しますけれども、具体的な実施日程を含めた計画を二〇〇六年の三月末までに作成するよう指示したというふうにあります。
 さきの岩国の住民投票の結果を始めとして、この移転先の自治体住民はほとんど反対をしているわけです。地元との調整は完了していないわけですよね。ですから、調整完了なくして計画はできないんだと、そういう立場に立つべきではないかと思うんです。この2プラス2の文面というのはそういうことではないでしょうか。これ外務大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 在日米軍のいわゆる兵力の再編というものにつきましては、これはもう地元住民を含めまして国民の理解なくして実行することは困難と。これは皆さん、どなたも皆思っておられて、特に外務大臣が思っているわけではないんだと存じます。
 現在、日米間で具体的な最終案というのは、先ほど御質問のありましたとおり、いまだ取りまとめられている最中でありますんで、協議が進行中ということであろうと存じます。したがいまして、日本側においても、これは関係いたしております地方公共団体、これは沖縄に限りませんけれども、いろいろなところで引き続き、いい、三方が納得できるような案をということで誠心誠意今話が進められている、現在進行中であると理解をいたしております。
○紙智子君 今協議中だと、進行中だということですけれども、一方で各地方自治体に説明をして回っていると。今まで幾ら聞いても明らかにならなかったことがこの間、地方自治体に説明がされているということを聞きますと、やっぱりかなりはっきりされてきているんじゃないかというふうに思うわけですよ。
 それで、もう一度繰り返しますけれども、結局、地元との調整を完了することを確約するとともにというふうになっているわけですから、今の状況というのは調整が完了しているというふうに言える状況じゃないと思うんですよね。これはやはり完了なくして計画はできないという立場にお立ちになるべきじゃないかということを質問したんです。
○国務大臣(麻生太郎君) 答弁を繰り返すようで恐縮ですけれども、政府としては地元の方々の理解と協力が得られるよう説明に努めるということが重要と考えております。再三申し上げておりますとおりで、現在これに向かって誠心誠意取り組んでいる最中でございますので、結論が出ておりませんので、何ともお答えのしようがございません。
○紙智子君 大臣は去年十二月に、私、質問をしました、十二月の六日の質問だったと思いますけれども、このときに、関係自治体の意向をできる限り尊重してというふうに答弁をされたと思います。
 住民の意思や自治体の意向をやはり尊重するということは、アメリカ側に伝えて交渉するというのは大臣の任務だというふうに思いますけれども、少なくともやっぱり政府が一方的にそれを伝えずにアメリカと合意しないように強く求めたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(麻生太郎君) 重ねて申し上げるようで恐縮ですけれども、現在、日米間で具体的な最終案の取りまとめに向けて今協議が進められておりまして、今日も二十三、二十四、審議官クラスの話が今実施されております最中であると思っておりますので、私どもとしては基本的に三者の合意ということになろうかと存じますが、私どもの、地元の意見はもちろんそんたくした上でアメリカ側に伝えると同時に、向こう側との間の、三者の意見の納得できるところを得て、もって抑止力の維持と地元負担の軽減という本来の目的を達成させたいと思っております。
○紙智子君 米軍のこの戦闘機はイラクやあるいはアフガニスタン、世界じゅうをまたに掛けてアメリカの先制攻撃戦略に参加をすると、こういう日本防衛と無縁の殴り込み部隊なわけです。そういう米軍の出撃体制強化のために協力できないというのは当然だというふうに思います。騒音や事故と隣り合わせになるこういう移転を撤回し、基地の縮小、撤去こそ必要だということを指摘をして、質問を終わります。