<第163回国会 2005年12月6日 沖縄北方特別委員会 第1号>


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 米軍再編に関してのさきの中間報告にかかわって質問させていただきます。
 この中間報告によりまして、私の住んでいます北海道でも、嘉手納米軍基地の訓練を千歳の自衛隊基地に移転する動きが持ち上がっています。再編には多くの都道県やあるいは市町村が関係をするということで、政府は十二都道県、四十三市町村に説明したということなんですけれども、そこで施設庁にお聞きしますけれども、賛意を示した首長は何人かと。疑義や疑問、反対を示した首長さんが大部分だと思いますけれども、まずその点をお聞きします。

○政府参考人(戸田量弘君) お答え申し上げます。
 先ほども渡辺先生にお答え申し上げたところでございますけれども、私ども、十月二十九日の2プラス2を受けまして地元への説明開始したところでございます。先生先ほど言われましたように……

○紙智子君 短くお願いします。

○政府参考人(戸田量弘君) はい。
 十二都道県それから四十三市町村を対象に説明してございます。また、このほかにも資料等の提供をした自治体ももちろんございます。
 このうち、現在までにどのぐらいの賛意をいただいているのかというお尋ねでございます。まだ説明を始めたところでございます。それぞれ大変厳しい御意見をちょうだいしているところでございます。この中で、去る十二月一日、東京都知事の方から軍軍共用化やむを得ないといった議会での御発言をいただいたと承知しているところでございます。

○紙智子君 今のお答えでもわずか一人と。しかも、条件付というわけですよね。
 北海道と周辺自治体も反対をしています。千歳では、戦後三十年に及ぶ米軍の駐留があった。で、今、自衛隊の駐屯で騒音や事故の負担にもう既に苦しんできているわけです。それから矢臼別でも、沖縄の米海兵隊実弾演習ということで、固定化しないと言いながらもう九年続いて、実質的に固定化ということになっているわけです。沖縄と同量同質の演習だというふうに言いながら、沖縄ではやっていなかった夜間演習も今やっているわけです。いったん受け入れたら、もう米軍は地元の要望を聞く耳持たないと。今でもこういう状況なのに、これ以上増えるというのは容認できないというのは当然だというふうに思うんです。
 それで、麻生外務大臣にお聞きしたいんですけれども、先日訪米をされて、沖縄の反応は非常に厳しいというふうにおっしゃったと、そうしながらも来年三月までに成果を出すように地元と調整したいというふうに会談でお述べになっていますよね。全国的にも厳しいということなんですけれども、大臣は、この沖縄を始め、各関係自治体の意向をどのように尊重して最終の報告に反映するおつもりなのか、それとも今の提案であくまでもそれを認めさせようということなんでしょうか、どうでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 今回のいわゆる勧告というものは、これまで実施されてきました日米間の兵力のいわゆる態勢の見直しというのの協議の成果というのを取りまとめたものだと私どもは理解をいたしております。
 したがいまして、これは国内という問題と二国間と調整は両方あるんだと思いますが、この調整の過程というものの中においていろいろこれは、沖縄の分が減った分だけが、減った分だけが山口県に移った、いろいろな形で他の地域等へ影響が出てくるということもあろうと思いますので、そういった意味で私ども、私どもとしては来年三月までの間、いろいろな県なり市町村というところとの関係を始め、私ども、防衛庁と一体となって私どもとしてはそういった関係市町村との間のいわゆる調整というものに誠心誠意取り組んでいくということなんだと存じます。

○紙智子君 ちょっと今のお答えだとよく分からないんですよね。
 つまり、私お聞きしたのは、関係自治体の意向を、つまりなかなか厳しいというふうに言っているその意向をどのように尊重してやろうと思っているのかということをお聞きしたので、調整といってもそこがどういう立場なのかということをもうちょっと分かるようにおっしゃっていただきたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) できるところとできないところとあろうと思いますけれども、のめるところ、のめないところ、いろいろあろうと思いますので、これ具体的にどうと言われてもちょっとお答えようのしようがないんだと存じますが、できる限り尊重してやらせていただきたいと思っております。

○紙智子君 市町村の意向をやっぱり本当に尊重しない方向でやるんだとすれば、これ、そもそも話合いにならないというふうに思うんですよ。
 それで、千歳などに訓練、演習を持ってこようとしている沖縄の嘉手納基地なんですけれども、所属のF15戦闘機ばかりではなくて、ここは本国などからも外来機が飛来をすると。そして、訓練も恒常化しているわけですね。県の調査によりますと、年間で七万回程度の離発着があるというふうになっていますね。
 今度の中間報告の方向性からいいますと、日本でのこの米軍の訓練というのはますます増えるだろうというふうに思われるわけです。その米軍演習の一部が分散するというふうに言いながら、一方では、この中間報告を見ますと、嘉手納などの名前を挙げながら米軍基地を自衛隊が共同使用することを強めようとしているわけです。これでしたら、どうして嘉手納でこの騒音などの被害あるいは負担ですね、これを軽減することになるのか、一体どの程度減らすのかと、はっきりこれ明示することができるんでしょうか。大臣、お願いします。

○副大臣(金田勝年君) 委員御指摘の点につきましては、今回のこの勧告が全体として実施されまして、そして嘉手納飛行場の米軍機の訓練が分散移転されますと、騒音の軽減につながるということもあるわけでありまして、その地元の負担軽減にとってはやはり大きな意味があるというふうに考えておるわけであります。
 他方、米軍の訓練の分散が具体的にどのように行われるかということにつきましては今後検討していくことになるわけでありまして、地元住民の負担がどの程度軽減されるかについては、今の時点で確たることを申し上げるというのは困難であるというふうに考えております。

○紙智子君 結局、今の段階で数的に言えない、示せないというわけですよね。だから、地元嘉手納の町議会では、十一月四日の日に、はっきりとした削減のその数量も示さないばかりか、嘉手納基地の共同使用や航空自衛隊が入ってくるということでは新たな負担増かつ機能強化につながることは必至だと、断じて容認できないというふうに言っているわけです。そして、この嘉手納基地の米軍、自衛隊の共同使用は反対だということでの決議を上げているわけですね。結局、嘉手納の負担軽減の何の保証もないということなわけですよね。
 嘉手納基地では、平成八年に日米合同委員会で合意していますけれども、騒音規制措置が結ばれているわけですね。しかし、結ばれているにもかかわらず、夜間、早朝、日曜日の規制について、沖縄県の十六年度の航空機騒音測定結果、ここにありますけれども、この測定結果ですね、この中にまとまっているのを見ますと、結局、平成七年度から継続して測定している局で見ても、夜間、早朝の騒音発生回数の年度別推移というのは平成十三年度から急増しているんです。それ以降、多い状況が続いているというふうに書いてあるんですね。つまり、協定以後も規制は守られていないと。それどころか、かえって夜間、早朝のこの騒音が増加しているということじゃありませんか。
 防衛施設庁もこの早朝、夜間の離発着に対して、この騒音に対して申入れを行っているということなんですけれども、そこでちょっとお聞きしますけれども、これは騒音規制措置を守るように申し入れているんでしょうか。

○政府参考人(戸田量弘君) お答え申し上げます。
 先生御案内のように、平成八年三月、日米合同委員会で騒音規制措置、取りまとめられております。この中で、夜間、早朝等におけます米軍の飛行等の活動でございますけれども、これは米軍の運用上の所要のために必要なものに制限されているところでございます。
 当庁、嘉手納飛行場におきましては騒音規制措置に沿った運用がなされているものと考えているところでございますけれども、いろんな機会をとらえまして米軍に対しましては、運用上やむを得ず必要となるものであっても、可能な限り周辺住民への影響が最小限となるよう配慮されたい旨申入れをしてきているところでございます。

○紙智子君 ちょっと一言で、守ってくれというふうに言っているんですか。

○政府参考人(戸田量弘君) 常々、騒音規制措置を遵守するように申し入れているところでございます。

○紙智子君 遵守を申し入れているということですから、それ自体、政府自身も協定やこの規制措置に反しているということをお認めになっているということだというふうに思うんですよ。
 それで、大臣、この嘉手納の負担は軽減される保証はないと、今の段階で全然数字も示せていないわけですから。一方で、協定さえも形骸化させるようなこういう訓練、演習がやられていると。そうした無軌道な訓練を、一部移転ということで各地に、それどこにするかということがあるわけですけれども、させるということは、基地被害が全国に拡大することになるんじゃないですか。事故の危険性だってあるわけだし、それでも我慢せよということで言うことなんでしょうか。沖縄の基地の縮小、撤去を、本来でいえばやっぱりアメリカに対して言わなくちゃいけないんじゃないですか。どうでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 御存じかと思いますが、日本は日本の自衛力のみで日本という国の安全を脅かされるようなあらゆる事態に対処はできません。したがって、日米安全保障条約というものを堅持して、米軍の抑止力というもので日本の安全を確保するということをずっとやってきたということだと思っております。
 今、米軍駐留に伴います負担の軽減ということで沖縄の話だけが出てくるというような話になってきたというのは、もう先ほど何回か出てきたところでありますけれども、沖縄県だけがその負担というものを負うべきものではないということははっきりしておると思います。したがいまして、今回のこのような観点を踏まえまして、全体として、在日米軍の施設というものがいわゆる所在をいたしております区域というものはいろいろ、御存じのとおりに全国、北海道を含めまして、また青森含めましていろいろなところにあるんですけれども、私どもとしては、是非地元の御理解というものを得るべくいろいろな形で努力をしていくという必要があるんだと存じます。

○紙智子君 御理解できないということなんですよね。
 抑止力という話がありましたけれども、その考え方と私たちは一致しません、はっきり申しまして。
 やっぱり、何のために米軍基地の再編なのかということでいいましたら、今回この中間報告を発表した後の記者会見で、当時の大野防衛庁長官がこういうふうに記者発表で言っていますよね。これまでの日米同盟は日本を守っていこうとするものだったと、で、今からは日米が共同して世界の安全保障環境の改善に向けて努力していこうとすることになったんだと、その意味で今回新しいんだということをおっしゃっているわけですよ。
 この発言のとおり、やはり日米同盟がこの後地球的規模に拡大されていくということになるんじゃないですか。世界の平和を守る様々な国際的な流れがあるわけですけれども、言わばそれに挑戦するようなことになるんじゃないのかと。アメリカの先制攻撃の戦略に日本が地球規模で協力していくと、そして自衛隊も米軍と一体化していくと。そういう方向が今回のこの中で示されたんじゃないかと私は思うわけですよ。
 そして、これ回答要りませんけれども、そういう危険な基地の再編強化というのは絶対認められないということを申し上げたいし、アメリカに是非引き揚げてほしいと、たらい回しじゃとっても軽減をされないわけで、それを断固としてそのことは申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。