<第162回国会 2005年3月25日 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号>


平成十七年三月二十五日(金曜日)
   午後一時開会

   ――――― ◇ ――――――
本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構法案(内閣提出、衆議院送付)
   ――――― ◇ ―――――
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今年の一月に本委員会としても沖縄に調査に行きました。戦後六十年を経て、やはり沖縄は戦争の痕跡が生々しく残されているということを実感いたしました。基地問題や不発弾の処理の問題や遺骨収集などの戦後処理にかかわる問題も残されています。
 戦後処理というのは、さきの戦争で残したつめ跡が補償、救済されないままに今日の課題となっている問題なわけですけれども、政府が国民や近隣諸国の人々にその責務を負っているという問題でもあると思います。
 沖縄戦に起因する問題について、これまでの国会の答弁でも政府の責任にかかわる問題として対処すべきということで来たと思いますが、この基本的な立場については変わりありませんね。

○政府参考人(東良信君) お答えいたします。
 戦後処理問題につきましては、今回の沖縄振興計画におきましてもその記述を、きちっとした取組をするということは記載されているところでございまして、変化はないということでございます。

○紙智子君 その上に立ってなんですけれども、その具体的な問題の一つとして紹介をいたします。
 糸満市の大里地区というところに門中墓っていう、門中墓、現地では岩陰墓というふうにも言っていて、要するに岩を掘って墓にしているわけですね。幾つかあるんですけれども、この大里地区のは、戦時中は日本軍が更に深く掘り進めてそれで防空ごうとして利用していたわけです。そのために米軍からターゲットにされて攻撃をされると、で、爆弾が落とされて多くの人がここで亡くなっているわけです。亡くなった人の遺骨の収集も厚生労働省としても行ってきたわけですね。
 爆弾による、その爆撃による損壊が影響して、年月も経て岩が劣化して付近一帯が崩れ落ちる、もろくなってきていると。非常に危険になっているために、このお墓の元々の持ち主の方というのは、遺骨については、自分のところの遺骨は三十メートル離れたところに新しくお墓をつくって移しているんですけども、引き続きその中には日本兵の残っている遺骨とかあるわけですよ。それで、とにかく非常に崩れ落ちるという危険な状態のまま放置されていると。で、すぐ横が県道七号線が通っているんですね。それで、近くに小学校、高嶺小学校もあって、生徒が通う通学路にもなっていると。それで非常に危険だということで、個人の力ではどうにもできないという中で、もしこの状態で何か起こった場合、一体だれが責任を取るのかということも心配になっていまして、この方は県の担当者にも陳情を上げているんですね。
 崩れ落ちた岩盤を、岩石を取り除く作業を行うことや防災対策をすることと、何とかこれ解決してほしいということで関係者からの強い声が上がっているんですけれども、まずこれに対してどのようにお考えになるか、お答え願います。

○政府参考人(東良信君) お答えいたします。
 今御指摘の件につきましては、実は私どもこれまで地元からこういう話は聞いたことがなくて、具体的な状況は把握はしておりません。しかし、場所は我々もよく知っている場所でございます。南山城の跡地のところだろうと思いますので、高嶺小学校といいますと。あそこは結構、いわゆる丘陵地といいますか、そういうのがあってちょっと高台になっていまして、そういう状況だというふうに思っています。そういう意味では、いわゆる、あれからまたもうちょっと佐敷町の方に行きますと、結構地崩れといいますか地盤崩れみたいなのがあって、いろいろな我々の方も手当てをしております。
 そういう意味で、実態的な具体的な状況というのは把握しておりませんけれども、昨日、先生からのお話を聞きまして地元の県の方に確かめましたら、既に県においても対応は検討をしていると、検討しようということで動いているというふうに聞いております。
 ただ、一般論で申し上げれば、原因が何であれ、土砂崩れだとか落盤だとかそういうことが発生して危険な状態になれば、それはもうすぐにでもやらなきゃいけないということで、道路の付近であれば道路管理者であるし、学校であれば学校のこういう管理者でやると。それについて我々も一生懸命に支持をしていくということでございます。
 今回は、今先生がおっしゃいましたとおり、県道七号線、これも今拡幅工事等々をやっている最中でございますので、危険を除去する必要があるんであれば道路管理者である沖縄県において処理をされるだろうし、また、ほかに必要なことがあるんであればそこはやっていくということだというふうに理解をしております。
 以上です。

○紙智子君 県の方では、一度見に来て、それでちょっと端のところにガードレールをつくったぐらいなんですね。それで、抜本的な崩れ落ちるところを対処しているわけじゃないわけです。
 なぜ戦後処理に関係する問題として取り上げたのかといえば、先ほども言いましたけれども、ここは沖縄戦のときに日本兵の防空ごうとして使っていたと、そのために爆撃を受けて損傷が激しいということなわけですよ。それで、中には日本兵の遺骨もあって、去年もボランティアでこの遺骨収集も行われて、言ってみれば公的な面もあるわけですね。だから、そういうところで、個人では手付けられないし、しかし放置すれば危険だということで何とかしてほしいということなわけです。
 沖縄北方特別委員会でも、これまで附帯決議の中で、いわゆる戦後処理問題及び生活環境の保全問題については、その解決に向けて沖縄県民の心情に配慮してより一層取り組むと、こういう決議や、また十四年のときの衆議院の特別措置法に対する附帯決議でも、地元からの強い要請のある戦後処理等の諸問題については改善を検討するというふうになっているわけです。
 こういう立場からいっても、やっぱり要請に対して相談に乗って、県とも連絡を取りながらやっぱり国としても対処すべきだというふうに思うんですけども、いかがでしょう。

○政府参考人(東良信君) 先ほど申し上げましたとおり、県とも連絡取りながらそれはやっていかなきゃいけないということでございます。
 先ほど申し上げましたとおり、原因が何であれ危険があるんであれば、それは早急にやらなきゃいけないことだというふうに思っております。

○紙智子君 それじゃ、今ちょっとやり取りをお聞きになっていたと思うんですけれども、最後に小池大臣に、今までなかなか、国としては直接の枠組みというのはなかなかどうするのかっていうことではなかったっていう話もあったんですけども、今お答えがありましたように、現地とも連絡を取り合って必要な相談をして対策を検討していくということでもありますけども、大臣としても一言お願いいたします。

○国務大臣(小池百合子君) それぞれ現地の事情などにつきましても、今振興局長の方から御答弁させていただいたところでございます。国民、これは先ほども戦後六十周年だということ、お話ございました。そういったこと一つ一つ、いろんなエピソードであるとかそこに対しての御家族の思いなどがおありなんだろうというふうに思っております。
 その意味で、一概には言えない問題ではございますけれども、戦後処理ということはいつも頭に入れて対応してまいりたいと考えております。

○紙智子君 この間落ちている岩石だけでもう百トン超えているということなんですね。それで、防災対策としてもやっぱり緊急性求められているということですし、地元からも是非一度見に来てほしいという声も上がっています。是非、解決の方向でやっていただきたいということです。
 それで、ちょっともう一問、本当は振興法の問題あったんですけれども、ちょっと時間になりましたので、これは割愛いたします。
 以上で終わります。