<第162回国会 2005年3月22日 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号>


平成十七年三月二十二日(火曜日)
   午前十時開会

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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成十七年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成十七年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成十七年度政府関係機関予算
 (内閣提出、衆議院送付)について
 (内閣府所管(内閣本府(沖縄関係経費)、北方対策本部、沖縄総合事務局)及び沖縄振興開発金融公庫)
○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査
 (沖縄及び北方問題に関しての施策に関する件)
○沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 最初に、北方領土の元島民から、島民の皆さんが四島からの引揚げの状況や領土返還への思いを語るいわゆる語り部活動というのがあります。根室管内を中心に行われているんですが、地元の小中学校や高校の生徒たちに語ったり、あるいは道外からの訪問者や大学のゼミナールの聞き取りや海外のメディアの取材とか様々あるんですね。このうち、北方領土問題対策協会や復帰期成同盟によるものは講師に対しても手当が出されているわけです。しかし、そのほか市で主催するとか、あるいは千島連盟根室支部とか個人とかいろんな形でこの講師活動が行われていまして、多くの場合、年齢も高くて年金生活で余裕があるわけじゃないんですけれども、手弁当で頑張っているわけです。
 それで、こういう語り部の活動の手当の支給について内閣府としては認識をされているでしょうか。
 簡潔にお願いします。
○政府参考人(東清君) 先生おっしゃられた語り部の会、おっしゃられたように、北方領土問題対策協会あるいは北方同盟といったところで研修会、学習会で講師として話すという場合には謝金あるいは交通費などが支払われるわけでございますけれども、私ども全体としてどの程度把握しているかと申されましたが、こういった旧島民の方々、地域においていろんな団体あるいは小グループの呼び掛けに応じて招かれて話すというのが実態でございまして、どういう場でどういう形でというのが実情が種々異なってまいります。
 私ども、全体として把握するというのはなかなか難しいというのが実情でございます。
○紙智子君 直接、私たちも委員会などで行くと、じかに話を聞いてやっぱり理解が深まるということがあるわけです。
 小池大臣、大臣は今年の北方領土の日に、元島民の訴えに心を打たれて北方領土返還への思いを強くされたというふうに語っておられますよね。それで、こういう語り部としての活動の重要性をよく認識をされているというふうに思うんです。
 私が調べただけでも、北海道が主催している四島の語り部トークってあるんですけど、二〇〇〇年に五市町村の学校で二十八回行われて、講師には一時間当たり八千円が支払われているんですね。一方、千島歯舞居住者連盟の根室支部が行っている懇談や研修会の講師派遣というのは、北対協からこの千島連盟の語り部活動に支給されていないために、例えば二〇〇三年でいいますと六十七件で延べ百三十四人の人が派遣されているんですけれども、手当など十分支払われているわけじゃないんです。
 今年、節目の年ということもありまして活動がうんと活発に、もっと増えていくわけですけれども、多くがやっぱり身銭を切ってやっているということで、是非実情を把握していただいて手弁当の活動にも光が当てられるように、すべての適切なやはり講師活動に国の支援ができるようにお図りいただけないでしょうかということなんですけど、どうぞ。
○国務大臣(小池百合子君) 元島民の語り部の皆さん、返還要求運動の先頭に立ってこられました。そして、今そういった方々が御高齢になっておられるということでございますけれども、元島民の方々とは何度かお会いさせていただいて、その心情ということについてはよく承知をしているところでございます。
 また、島民の、元島民の二世、三世の方が、それから次代を担う若い世代の方々が北方領土問題を正しく理解するという上では、この語り部の皆様方の存在であり、その活動であるというのは大変大切なものでありますし、また私、すそ野の広い国民運動をということで、その意味ではその展開につながるものと理解をいたしております。
 今、幾つか数字なども御紹介ございました。様々な形態で行われているボランティア的な方々の活動に対しまして新たな支援措置というのは難しいんですけれども、こういった方々の活動重く受け止めて、今後とも語り部の方々の、含めました元島民の皆様への援護措置、これを着実に推進をしてまいりたいと、このように考えております。
○紙智子君 次に、北方領土問題の特殊性からくる漁業問題ということで、そこへの国の支援の強化についてお聞きしたいと思います。
 貝殻島昆布漁、昔から納沙布岬の目と鼻の先で、この地先で、根室の住民が小舟で昆布を取りに行っていたわけです。ところが、ロシアの占拠でできなくなって、その後、民間交渉の力で高い採取料を支払って漁をせざるを得ない状態が続いています。
 水産庁に最初お聞きしますけれども、昨年と一昨年出漁した一隻当たりの水揚げの額、それから採取料、交渉経費も含んでですけども、その他ガソリン代などの経費はおよそどれぐらいあって、その結果、この採取料が昆布漁経営に与える影響についてどのように見ておられるのか、簡潔にお願いいたします。
○政府参考人(竹谷廣之君) お答えいたします。
 今お尋ねの昆布漁に関しまして、一昨年、平成十五年の数字でございますが、この水域に三百九隻出漁いたしまして、その水揚げ金額は三億九千五百万でございます。したがいまして、一隻当たりの水揚げ額は百二十八万円でございます。それから、昨年、平成十六年度でございますが、三百隻出漁いたしまして、こちらの方の水揚げ金額は五億四千七百万円でございまして、一隻当たり百八十二万円という一隻当たりの水揚げ金額でございます。
 また、採取料につきましては、一億二千二百万円で平成十六年度出しておりますので、これを三百隻で割りますと、大体平均で四十万円相当というふうに考えております。
 ガソリン代等は、ほかの漁業とも兼業していることがございまして、残念ながらつまびらかな数字はちょっと手元にございませんので、ちょっとお答えできないということでございます。
 以上でございます。
○紙智子君 交渉経費を含めると一隻当たり五十万ぐらいというふうにも私たちも聞いているんですけれども。
 それで、小池大臣にお聞きしますけれども、このように高い採取料を支払ってやっている昆布漁、全国ほかはないと思うんです。それで、日本の領海なのにロシアに支配をされているために五十万もの自己負担をしなくてはならないというのは、やっぱり漁業者にとっては何とも納得し難いことだというふうに思うんですね。やっぱり領土問題が解決していないがためにこういう事態がずっと続いてきていると。
 先月、この委員会に参考人で根室の市長さんが見えられてお話しした中にも、本来、日本の海域であると、生産活動に伴うロシア側への協力費については全額国で支援してほしいんだという訴えが、要望が上げられておりました。こういう声にどのようにおこたえになるのか。まあ、水産行政ではなかなか解決し得ないという問題もありまして、ここは是非、北方担当大臣の力が必要だというふうに思います。
 大臣、国としてこの貝殻島昆布漁の採取料に支援を是非御検討いただけないでしょうか。
○国務大臣(小池百合子君) 私も納沙布岬に参りまして、そして貝殻島を望みました。望みましたというか、もう余りにも近くで、その距離感に驚いた次第です。
 ちなみに、内閣府の北方対策、内閣府のホームページから、やっぱりこれは我が国の領土なんだと、見えるようにしなくちゃということでNTTの方にもお願いをして、そして貝殻島に、ホームページのところの貝殻島のところにぴゅっと合わせますと勝手に自動的に焦点が貝殻島に合わさって見えるようになっておりますので、先生方も一度ちょっと試してみていただきたいと思います。
 いずれにせよ、大変近いということでございますけれども、貝殻島の昆布漁の漁業者についても、今お話ございました、まさしく北方領土問題が未解決であるということから、毎年この民間協定で操業条件を決めて、その内容として漁業者の皆さんがロシアに昆布の採取料を払うというような大変な不利益を被っているということでございます。
 根本問題、そこを解決せよという今の御指摘だったと思います。正にそのとおりだと思っておりますので、漁業に従事されている方々が正に正常に活動できるようにするためにもこの北方領土の一日も早い返還に全力を尽くしてまいりたい、改めて申し上げます。


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 去る三月五日に起きました陸上自衛隊島松演習場における射撃訓練中の事件について質問をいたします。訓練中発射した百二十ミリ迫撃砲の実弾が行方不明になりまして、演習場の外に飛び出した可能性が強いと、住民に大変大きな不安を与えている事件についてです。
 お配りいたしました資料をごらんいただきたいんですが、この資料にありますように、右上のところの木村ケ丘ですね。この近くの発射地点、矢印のところですけども、発射地点からおよそ三キロメートルの標的に着弾するはずでした、丸く黒く円になっているところですけども。ところが、境界線、太い線でくくってありますけれども、この境界線を更に一キロメートルも越えて、その周辺に落ちたのか、あるいは空中破裂したのか、その可能性があるということです。自衛隊員が現在、地図の左の方の捜索区域、白く四角くしているところですけれども、この辺りを、開いて二ページ目の資料にありますように、雪の中で捜索をしているわけですね。
 で、原因は、元々この砲弾は最大飛距離の出る弾薬が装てんされていて、標的の位置に応じて幾つかを抜き取って射撃をするということになっているわけです。ところが、それを抜かないで過剰な装薬のまま発射したために約七キロ先まで飛んだ可能性が強いということなわけですね。これ、一歩間違えますと住民の命を危険にさらすものなわけです。
 こういう事件を起こしたことに対して、まず厳しく抗議をしたいと思います。そして、まず防衛庁としてこの国会の場でも私は謝罪すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。簡潔にお願いします。
○政府参考人(大古和雄君) 本件につきましては、委員正に御指摘のとおり、一歩間違えれば住民の生命、身体及び財産に危険を及ぼしかねない問題であるという認識を持ってございます。そういう意味で、かかる事案が発生したことは誠に申し訳ない事態であると認識しております。
 防衛庁といたしましては、射撃訓練時の安全管理体制及び事故又は事故の可能性がある事案の発生時の連絡体制を再定義いたしまして、その改善及び徹底を図る所存でございます。
○紙智子君 第七師団が三月十六日に発表いたしました中間報告では、経過を時系列で記しています。
 そこで幾つか質問したいんですけれども、十三時三十分ごろに砲弾の不明事故がありながら、その後も十四時ごろまで十数発も射撃を続けていたわけです。その間に人に危害が及ぶことになっていたかもしれないわけです。演習中ならば事故があってもやめることができないのでしょうか。
○政府参考人(大古和雄君) 事案自体は一時半に起きまして、空中の破裂が未確認でございました。この場合については、いろいろ手順を踏んで、安全性に問題がないかどうかを確認した上で撃つ手順になってございます。
 この場合につきましては、必ずしもその段階では直ちにやめておりませんので、そういう点も含めて今後検討の上、しかるべき措置をとりたいと、こういうふうに考えてございます。
○紙智子君 危機管理という点でも反省を求めたいと思います。
 次に、十四時十分ころにこの小隊長は演習場外に飛び出した可能性があるというふうに報告をしている。で、訓練中の連隊は、十五時ころには演習場外の道路、ここは恵庭岳公園線というのがありますけれども、その捜索を始めたわけです。ところが、地元の恵庭市、それから北広島市、千歳市に連絡をしたのは深夜の二十三時です。事故発生から十時間近くたっているわけですね。
 中間報告では、師団司令部、方面総監部等で誤認があったためだというふうに言っているんですけども、現場は既に捜索をしているわけです。しかし上部は、出たか出ないか、連絡するのかしないかに十時間も掛かっている。これ、おかしいんじゃありませんか。場外に出た可能性が少しでもあればやはり一刻も早く連絡をすることは当然ではありませんか。いかがでしょう。
○政府参考人(大古和雄君) 委員御指摘のとおり、事案は一時半に発生いたしましたが、地元の連絡は夜の十一時ということで、非常に遅れた経緯がございました。これは極めて遺憾でございまして、実は、内部的にも防衛庁長官への報告が遅れた経緯がございます。
 これについては、いろいろ連絡体制の見直しとか考えたいと思うんですけども、いずれにしても、地元に連絡する責任主体である師団の方でいろいろ射撃モードについて誤認があったということではありますけども、この種の問題は住民との関係もありますんで、直ちに地元に連絡すべきだったというふうに反省しております。
○紙智子君 この連絡を遅らせた責任というのはどこにあるんですか。
○政府参考人(大古和雄君) その点については、師団司令部の方で破裂する射撃、信管の射撃モードになっていたという誤認があったということなんですけども、その状況をよく調べた上で、この種の事案が二度と連絡の遅れがないように徹底していきたいと、こう思っております。
○紙智子君 現場の部隊は早くから演習場外の可能性を報告しているわけです。司令部や方面総監部、それから幕僚監部、上層部の対応に問題があったんじゃないかというふうに思うわけです。全力を挙げた対策を要求します。
 まず、不明弾がどうなったのか。発見できるまで、これ、捜索態勢を強化して徹底的にやる方針なのかどうか。それから、明確な原因究明と再発防止策、これを発表し、北海道や関係自治体の意見ももらって納得を得るようにするつもりがあるのかどうか。それからさらに、再発防止策が取られない間はこの迫撃砲の訓練の再開はしないというふうに確約できるかどうか。これらの、恵庭市を始めとして地元の強い要望でもあるわけです。この今言いました三点について、まとめて簡潔に御答弁を願います。
○政府参考人(大古和雄君) 三月五日の事案発生以降、毎日、人員につきましては三百人程度、またヘリコプターを使っておりますけれども、三機ぐらいを使いまして痕跡等の捜索を行っているところでございます。当面この状況を継続してまいる考えでおります。
 ただ、弾の状況でございますが、基本的には、信管の信頼性から、まず空中で破裂した可能性が極めて高いというふうに考えてございます。あと、また万が一砲弾が不発となった場合でも、発射後数時間以内には、電気信管でございますので、信管の起爆を発火させるための蓄電器が消耗するということで信管は作動しないという可能性が高いと思っておりますけれども、念のために当分この捜索を続けていきたいと思ってございます。
 それから、再発防止の関係でございますが、三月十六日に中間報告をしておりまして、ほぼ原因は特定されているわけでございますけれども、再発防止策を含めまして、今、庁内に事務次官通達に基づいてその委員会を作った上で整理したいと、こう思っておるわけでございます。できるだけ早く再発防止策を含む最終報告については整理して、関係自治体にも丁寧に御説明していきたいと、こう思ってございます。
 それから、現在、事案の起きましたこの自走百二十ミリメートルの迫撃砲につきましては訓練を自粛してございますけれども、再発防止策について徹底が図られまして、よく地元にも御理解を得た上で射撃の再開を考えたいと、こう思ってございます。
○紙智子君 この迫撃砲訓練の再開は防止策が取られない間についてはしないということでよろしいですか。
○政府参考人(大古和雄君) 再発防止策について確立して、その徹底が図られて、地元によく御説明して、その御理解を得た上で考えたいと、こういうことでございます。
○紙智子君 再発防止策は当然だというふうに思いますけれども、私はやっぱりこの演習場での迫撃砲の訓練の見直しを行うべきだというふうに思います。
 資料にもありますように、最大の装薬の場合は軽く演習場の境界を越えてしまうんですね。ところが、すぐそばには、この地図にもありますように道道があるわけですし、それから滝なども幾つもあるわけです。それから、キャンプ場もありますし、森林公園などもありますし、交通量も、この下の表のところに、ちょっと古い資料ですけれども、走っている、車が走っているわけですね。春や夏になりますと山菜取りやあるいはキノコ取りということで、結構人が中に入るわけですよ。
 そういうことで、実際にこれ住民が中に入るわけですし、今回の場合は事故は冬なわけですけれども、しかし迫撃砲の使用については季節を問わずに年間六十日以上やっているわけですね。演習が今よりスピードを求められる中で、過剰な装薬で行った今回の事件というのが今後も絶対に起こらないという保証はないわけです。
 この演習場での迫撃砲の射撃訓練について、本当にこのまま続けることが適当なのかどうかということでは、私は抜本的な見直しを求めたいと思いますけれども、この点についてどうでしょうか。
○政府参考人(大古和雄君) 今回の事案につきましては、最大十個の装薬が付いていて、今回の訓練に当たっては三個にしなきゃいかぬところを十個のまま撃ったというミスだということでございます。
 そういう意味で、必ずしも広くない演習場で、その付近にはいろいろ観光なりの名所になっている部分もあるということでございますので、要するに、装薬の間違いがないように、絶対、手順を確立して二度とこういうことが起きないようにしていきたいと、こう思っておるわけでございます。
○紙智子君 注意を払うといっても、これ二〇〇一年のときにも、これは今回のような地表で射撃ということじゃなくて飛行中の誤射という問題もありまして、そういう意味では非常に大きな不安を与えてきているわけですね。ですから、私は本当に、またこういうことが起こったということについて言いますと、やはり見直しをして、ここでのこの訓練はやめるべきだということを再度申し上げておきたいと思います。
 最後に、外務大臣にお聞きします。
 これ、日米合同演習中の事故なわけです。基地や自衛隊の演習場のあるところはこういう危険や不安と背中合わせです。この事件は改めてそのことを痛感させるものだったと思います。
 沖縄の負担軽減というのは当然だと思いますけれども、しかし、この米海兵隊砲撃部隊の移転先に矢臼別とか、そしてこの事故を起こした七師団の駐屯地でもあります東千歳などの名前が取りざたされているわけです。今までもこういう危険な負担があるわけで、更に比較にならないほど大きな負担を押し付けるこの米軍の基地移転はやめるべきだと思います。国内にやはりたらい回しするのではなくて、沖縄から国外に移転すべきだと、そういう主張をするべきではありませんか。
○国務大臣(町村信孝君) この極東の地域、冷戦終了後ではございますけれども、まだまだ伝統的な冷戦構造に基づく不安定要因が存在をいたしております。そういう中で、日本の自衛隊がしっかりとした自衛力を持つことに加えまして、やはり米軍の持つ抑止力というものが大変重要であり、そういう意味で日米安保条約は今後とも堅持されるべきものと、こう考えているわけでございます。
 こういう観点から、私どもは、この米軍再編成に当たっては、もちろん地元の負担軽減ということと同時に、抑止力もしっかり維持していくという、その二つを大きな視点にとらえてこの再編成の議論をやっているということでございます。
 また同時に、これはなかなか委員に言っても御理解をいただけないポイントかもしれませんが、私どもは、この米軍が存在をすることによるやはり日本国全体が受けたメリットといいましょうか利益といいましょうか、そういうものもやっぱりあるということを私どもは冷静に認識をしなければいけないと、こう思っております。
 米軍が存在をし、言わば日本の自衛隊の力というもの、自衛力、防衛予算というものをある一定の水準にある意味では抑えてくることによって、日本はその分の資源をより経済面に振り向け、そして日本の経済を今日ここまで発展させることができてきたという意味でのやはり米軍の存在というものが、それは抑止力の維持という軍事的な面のみならず、日本社会、日本経済全体に大きなメリットをもたらしたという面もあるんだということを私どもはやはり忘れるべきではない。そういう意味でのバランスの取れた見方をしていただきたいと、かように考えているところでございます。