<第162回国会 2005年3月10日 参議院予算委員会 第9号>


平成十七年三月十日(木曜日)
   午前九時開会

   ――――― ◇ ――――――
本日の会議に付した案件
○平成十七年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成十七年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成十七年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)
   ――――― ◇ ―――――
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今、多くの障害者の皆さんが今度の国会に出されています障害者自立支援法による制度改悪で大幅な自己負担になることに強い不安を持って、この国会の審議も注目をしています。(資料提示)
 これは厚生労働省が作っている資料から作成したものですけれども、障害者福祉サービス平均利用料の負担増ということです。これは平均ということです。
 私の地元、北海道の社会福祉法人の試算でも、脳性麻痺の方で、重度、車いす、この方がアパート住まいをしている二十九歳の女性ですけれども、施設に通って、作業工賃、つまりお給料は月々わずか七千五十円と。今は施設利用料は掛かりませんけれども、制度改悪で月に一万九千円の負担になります。食費も切り詰めて生活をしている中で、本当にこれ打撃になるわけです。ホームヘルプサービスや移動介護など、もっとサービスを利用しますと更に多くの負担になるわけです。これではどこにも出ないで家にいろと言われているようなものだ、そして、自立支援ではなくて自立させないというのと同じだと、こういう言葉が次々に出されているわけです。こういう人たちに負担をさせるのはやっぱり余りにもひどいじゃないかと思うわけです。
 総理は厚生大臣のときに何度も障害者の地域における自立の支援を推進するというふうに言われてきたと思うんですけれども、今障害を持つ皆さんが逆に自立を阻害するとこぞって批判をされている中で、この声を総理はどう受け止められますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 現在、自立を支援する機運が盛り上がっており、各地域では様々な取組がなされております。この障害者の自立支援プログラム、利用者も増えてまいりました。同時に、この支援制度を生かしていかなきゃならないということから、この制度を存続させていくためにはということで、低所得者等に配慮しながらやってきているわけで、負担できない人にまで負担をしなさいという制度ではございません。
 こういうことにつきましては、各障害を持っている方、程度が違いますけれども、この制度に恵まれてない方もおりますので、そういう点も含めた対応を取っておるところであります。
 率直に、まだ不十分な点もあると思いますが、こういう方々の意見を聞きながら、改善すべき点は改善していかなきゃならないと思っております。
○紙智子君 今、不十分な点もあるというふうに言われました。やはり、障害年金で八万ですとか十万とか、こういうところで生活をされている障害者にとっては、本当にわずかなものでも本当に負担が重いわけです。
 それで、減免制度もやるんだということですけれども、三年の期限があるわけですよね。それから、障害者への支援ということでは、これは外出をするとかおふろに入るとか、こういう普通の生活をする上では欠かせないものなわけです。ですから、こういうところになぜ負担をさせるのかと、そういう考え方自体が私、誤りじゃないかというふうに思うんです。
 しかも今回、障害者本人に収入がなくても家族に収入があればこの負担額が上がる世帯所得という考え方を入れているわけですよね。これは、年老いた親の年金からも費用をもらわなくちゃいけないということになると思うんです。ようやく作業所に行き出した我が子がまた家にこもらなくてはならなくなると、本当に涙ながらの訴えが私たちのところに寄せられているんです。
 厚生労働省も、一昨年、支援費制度を導入したときに、この障害者の皆さんの要望もあって、親や兄弟の収入を当てにすることはやめたはずだと思うんですけれども、それにも逆行していると思うんです。せめてこの世帯所得という仕組みはやめるべきではありませんか。
○国務大臣(尾辻秀久君) まず、改悪というお話がございましたので、そこについても申し上げておきたいと思います。
 一昨年に私ども、支援費制度というのを……
○紙智子君 時間がないので。
○国務大臣(尾辻秀久君) はい。
 始めました。その支援費制度を始めて、市町村が新たに事業を取り組んできたものですから、このサービス量というのは物すごく大きくなったわけです。ですから、障害者の皆さんに対する国全体でサービス量が物すごく大きくなったというのは、まず評価をしていただいていいんじゃないかと思います。
 その大きくなったために財政的にどうするかという問題が出てきたんで、これを今までは裁量的経費だったから私どもは毎年予算で四苦八苦してたのを義務的経費に今度やろうという、そういう大きな流れだというのは是非御理解をいただいておきたいというふうに思って、まず一点申し上げました。
 それから、今度は負担義務の話でありますけれども、今回の新制度におきましては扶養義務者の負担を廃止して、扶養義務者の負担を廃止して本人のみを法律上の負担義務者にした、これはもうそのとおりしたわけであります。
 ただ、それはもう原則でそうしたんですけれども、今度は負担の限度額を設けなきゃいけない。負担の限度額を設けなきゃいけないということになったときに、じゃその経済的な面においてそれをどう見るかということがありますから、世帯の構成員がお互いに支え合うという生活実態があることを踏まえて、これは介護保険制度に合わしているんですけれども、介護保険制度に合わして生計を一にする世帯全体を負担能力と判定するということにしたわけで、それを提案しているんです。
 しかし、それ、そこまで言ってもまだいろんな議論がありますから、いろんな議論がありますから……
○紙智子君 結論をお願いします。
○国務大臣(尾辻秀久君) その議論を今からやって、今からやって今後具体的な検討を進めると、最後の答え、これなんですけれども、いろんな議論がありますからその議論の中身を言いたかったんですけれども……
○委員長(中曽根弘文君) 答弁は簡潔にお願いいたします。
○国務大臣(尾辻秀久君) 具体的な検討を進めるんですということを最後に申し上げます。
○紙智子君 今、検討されるということなので、是非この要件については削除をするようにお願いをします。
 そして、もう一問なんですけれども、精神障害者の通院医療は、今まで医療費の九五%を公費で補助をして、自己負担は五%でした。これを一割や三割負担に引き上げるとなれば、患者さんの受診を抑制することになってしまう。ストレス社会で心の病が増えていると、だからこそ負担なく診療を受けやすくしてきたのに、早期発見や早期治療ができなくなると思いませんか。そして、入院中心から地域での生活支援という方向で進めてきたのに、これにも逆行するんじゃないでしょうか。この点どうですか。
○委員長(中曽根弘文君) 尾辻厚生労働大臣、簡潔にお願いします。
○国務大臣(尾辻秀久君) 今までの制度は、これはむしろ今までの制度に問題があったと思うんですけれども、医療費が高くても安くても一律五%だったんです。これはやっぱり問題だというふうに思って今回の措置にしたわけでございまして、私どもはより良い方向に変えたんだと考えております。
○紙智子君 精神保健福祉法の三十二条のところで、全体で六十億をここで削るということですから、これが負担になるということで、私は、総理が……
○委員長(中曽根弘文君) 時間に、時間になりました。おまとめください。
○紙智子君 はい。
 痛みに耐えてと言うけれども、これは本当に耐え難いものだと。障害者や家族の皆さんから、とにかく利用者が納得してないうちに拙速に強行することがあってはならないということを強く要請されています。
 是非、その立場で貫いていただきたいということを最後に述べまして、質問を終わります。