<第161回国会 2004年11月24日 災害対策特別委員会 第5号>


平成十六年十一月二十四日(水曜日)
   午前十時四十二分開会

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本日の会議に付した案件
○災害対策樹立に関する調査
 (新潟県中越地震災害対策に関する件)
 (派遣委員の報告)
○政府参考人の出席要求に関する件
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○紙智子君  日本共産党の紙智子でございます。
 私も、午前中の参考人質疑を館内のテレビで見ておりました。もう被災から一か月ということで、いまだ七千人の方々が被災、避難生活を送っておられるわけです。間もなく雪が来るということでは本当に不安な気持ちでおられると思いますが、そういう中でも助け合って復興のために本当に頑張っておられるわけで、少しでもやっぱり励みになるようなことをこの国会の中でも決めてやっていかなきゃいけないというふうに思います。特に、暮らし再建の基礎となる住宅再建への対策、支援が、これは本格的に求められているというふうに思います。
 初めに防災大臣にお聞きしたいんですけれども、今回の新潟中越地震の特徴についてです。
 財団法人土木学会の中越地震調査団と、ここで調査結果と提言の中で、山間地の自然斜面崩壊や交通施設や宅地造成地などの土構造物、盛土などですね、これが崩壊が多発したと、震災全般にかかわる調査結果で述べているわけです。
 国土交通省は被災宅地復旧技術検討委員会というのを立ち上げて災害への対応しているということですけれども、こうした地盤災害というのが今回の特徴の一つと言えるのかというふうに思うわけですけれども、大臣のこの点での御認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(村田吉隆君) 今回の地震につきましてはいろいろ特徴があろうかと、こういうふうに思います。やっぱり、その幾つかある特徴の中で、中山間地域の地震で、かつまた土質の問題も、沖積層があったということの上のその地帯であるということで、地すべりとか山崩れが多く発生して、それで道路を寸断をして、それから住宅も倒壊させたということではないかと、こういうふうに思います。
 私どもはそのほかに、今申しました交通途絶、道路が崩れて、それで、しかもいろんなところでいろんな施設が被害を受けて通信途絶になったということですね。いろんな部落でもって孤立した部落があったということもございまして、いろんな今回の地震によります特徴的なものをやっぱりもう一度我々、防災の応急対策にかんがみて、どういう体制で臨んだらいいのか点検し直そうというところで私から十一月の初めに事務方に指示をいたしまして、これは、かつての七月の集中豪雨のときに問題になった二点、災害被害者への通報をどうするかということも踏まえまして、改めて、今回の地震についての特徴点を改めて検証し直したいという指示をしたところでございます。
○紙智子君 様々な問題があるわけだけれども、地盤災害という点ではその一つとなるということも言われていたと思うんですが。
 それで、長岡市の高台にある高町団地、ここは宅地造成をされた分譲地に約四百六十戸住宅が建っているわけです。その多くは宅地そのものが崩壊していると。ちょっと、現地で写真を撮ってきたのがちょっと小さくて見えないと思うんですけれども、これ、家が建っているわけですけれども、こちら側が市道なんですよ、私道じゃなくて市の道路。道路も、だからもうぐちゃぐちゃなんですね。家が建っているその地盤のところがもうひどくなっているものですから不安定な状況になっていると。こういう場所が至る所にこの団地というのはあるわけです。それで、道路が陥没をしている、それから住宅そのものが崩壊し倒れる寸前の家がある、それから基礎部分にも大きな亀裂が入った家もあるということですから、この地盤の復旧自体もこれ非常に大事になっているというふうに思うんです。
 そこでなんですけれども、この被災者生活再建支援法の適用の問題なんですね。住宅が全壊や大規模半壊と認定された場合に、その住宅の基礎の下の地盤が崩落するなど修復が必要な場合、その費用として、生活再建支援法施行令の第三条の一項の八、全壊世帯、及び二項の二、大規模半壊世帯、この居住関係経費のうち整地に要する費用を充てることは可能かどうかということについてお答え願います。
○政府参考人(柴田高博君) 大臣の方から御説明がございましたが、宅地の被害については大変大きな被害でございます。被災直後に政府といたしましても、住宅の応急危険度判定はやりましたが、宅地につきましても同様に応急危険度判定をやりました。結構、宅地の被害もございました。
 そういうことで、現在、政府が宅地防災の専門技術者、これは、元の都市基盤整備公団、今の都市機構、独法の都市機構でございますが、そこの技術者を十五人ほど現地に出してございまして、一月掛けて被災宅地の復旧支援隊という具合で出してございます。どういう被害になっているのか、あるいはどのような復旧ができるのか調査検討いたしているところでございます。宅地の被害の必要な対応につきましては、これらの調査結果を踏まえまして個別具体的に対応していく必要があるという具合に考えてございます。例えば、道路に掛かっているものは道路の復旧の、になるということでやっていただくとか、急傾斜の事業のところで対応できるものはそういうもので見ていただくとか、いろんな対応ができようかと思います。
 今御指摘でございますが、被災者生活再建支援法の適用でございますが、一般論として、宅地が流失したということで住宅の基礎が被害を受けたり住宅の傾きが生じている場合には住宅の全壊又は大規模半壊として運用されるという場合も、それは当然あろうかと思います。この場合には、全壊した住宅を再建するために宅地を整地する費用及び大規模半壊した住宅を補修するために宅地を整地する費用については支援の対象となるという具合に考えております。
○紙智子君 この問題については、県知事に対して市町村長さんからも要望で上がっている問題なんですね。是非大臣、周知徹底をお願いしたいというふうに思いますが、一言お願いします。
○国務大臣(村田吉隆君) 私どもの非常災害対策本部では、宅地の被害がひどいあるいは宅地に隣接する斜面等の被害が大きいということは早くから認識しておりまして、そういうものに対する対策が必要であろうと、こういうふうに考えてきたわけでございまして、今統括官が申しましたように専門家チームを送りまして、いろんな手当てができるのではないかと。
 今お示しのような団地のケースでも、道路事業でその宅地の崩れたところを修復することができないかどうか、あるいはその他のところでもそういうほかの手法を使って、公共的に国の力で、あるいは国や県の力で直すことができないかどうかですね、そういうことを考えて、個々具体的にこういう事業で救えるところがどれだけあるかと、残るのは何かということを将来の問題で私どもは考えておかなきゃいけないということで、具体的に、個々具体的に対応しろというふうに言ったわけでございまして、そういう意味では、結果が出てきてどういうふうになるか私も注意深く見ていきたいというふうに考えております。
○紙智子君 もう一つ、この知事への要望の中にあるんですけれども、住宅に、これは自分の家の周辺ですけれども、住宅に近接するがけ地に亀裂が生じていると、土砂崩壊などの危険性が高くて住めない、そういう対策の問題なんですね。住民、個人が対策するというのは、これ非常に、もうこれはできないと。特に民有地同士の場合は困難なわけです。
 そこで、地すべりとか急傾斜地と、それから土石流の対策について、危険地域として指定されていないところでもこの土砂の除去とか擁壁などの防護施設の整備を新たな事業として採択して行うべきじゃないかと思いますけれども、これについていかがでしょうか。
○政府参考人(清治真人君) 土砂災害対策としまして、砂防事業、地すべり対策事業、それから、がけですね、急傾斜地崩壊対策事業、これを実施する場合には、それぞれの根拠法になっております、根拠法における区域指定というのが前提になるわけでございます。しかし、緊急を要する対策をやらなければならないような場合には、この区域の指定がなされていないところにつきましては、区域指定の手続とそれから事業を実施するための手続を並行して行うことによりまして対処しているところでございます。
○紙智子君 土砂の除去、擁壁などの整備ということでは指定するということなんですけれども、自然のがけとか自然地については、これやれるということでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(清治真人君) 土砂災害対策として行っておりますものは、自然の地形、斜面ですね、こういうものを対象にしておりますので、宅地造成等によりましてできている擁壁だとか、これは民間が持っていらっしゃるということでございますので、そういう場合には事業の対象には一般的にはならないということになってございます。
○紙智子君 自然地以外の場合はというお話だったと思うんですけれども。
 ちょっと同じ趣旨の質問なんですけれども、林野庁にお聞きしますが、住宅に近接する民有林の場合ですね、地すべりなどの危険な状態にある場合に、保安林や地すべり防止区域に指定されていないところも、これ治山対策として今年度中に県が指定するならば実施できるというふうに思うんですけれども、それでよろしいですかね。確認したいと思います。
○政府参考人(梶谷辰哉君) 治山事業に当たるわけですが、治山事業につきましては、基本的には国土保全あるいは水源涵養に必要な保安林でありますとか保安施設地区あるいは地すべり防止区域等において実施されているというのが実情でありますけれども、これらの区域に指定されていない場合にありましても、災害対応など国土保全等の目的を達成するために必要ということであれば、新たに対象区域に指定して治山事業を実施していくということにしているところであります。
○紙智子君 それで、再びちょっと国土交通省に戻るんですけれども、先ほど自然地に限ってだと、地すべり対策、急傾斜地の対策ができるというふうにおっしゃったんですけれども、既に民間で造成したところの擁壁などの防護施設の修復は普通はできないんだということなんですけれども、阪神・淡路それから芸予地震のときには、二次災害などの公的被害のおそれがある場合には特例措置として災害関係急傾斜地対策事業、これを適用して民間の擁壁などへも事業で対策したことがあるんじゃないかと思うんですけれども、事実を確認したいと思います。
○政府参考人(清治真人君) 今、委員からお話ありましたように、阪神・淡路の震災のとき、それから芸予の地震のとき特例を設けて実施した事例がございます。
 これは、阪神・淡路の場合には非常に広範かつ激甚な災害であったということもありまして、一義的にその施設を持っていらっしゃった方々にすべてを任しておきますと、その後の降雨等によりまして多くの第三者あるいは公共施設に大きい被害をもたらすおそれがあるものにつきましては、ある条件、これは一般的にがけの対策事業等で採択要件にしているものと同程度の被害が予想されるようなものにつきまして、それを対象にして実施してきた例がございます。
 また、芸予の場合には、呉市なんかは非常に稠密に斜面が利用されているところでございますので、被災に遭った後、その民間所有者がそこをもう宅地に復旧できないということで放置するような場合に、そのまま放置した場合には同じように第三者あるいは公共施設に大きい被害をもたらすようなことが予想された場合には、同様にいたしまして特例を設けて実施した事例がございます。
○紙智子君 特例でもって実施したことがあったということでもありまして、先日もテレビ討論会で、大臣それから国土交通大臣も含めて討論会の場でこの議論になっていて、民民だからということで何もしないというわけにもいかないんじゃないかということを議論されていたと思うんです。それで、やはり災害関係の緊急事業についていいますと、阪神・淡路や芸予地震では採択基準も状況に即して定めて運用されたわけで、今回、中越地震のこの特徴に照らしてそれもやっぱり適用すべきじゃないのかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○大臣政務官(伊達忠一君) 国土交通省の方から御答弁さしていただきたいと思っています。
 今回のこの地震、発生した地すべりだとかがけ崩れにおいては、自然斜面で一定の条件を有する場合等にその災害緊急対策事業というもので対応していきたいと、こう思っております。
○紙智子君 被災者の方々に少しでも元気が出るようにというか、激励になるように検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それで、ちょっと通告してなかったんですけれども、先ほどのちょっと議論聞いていまして防災大臣に確認をしたいんですけれども、積雪にかかわる問題です。
 それで、新潟県としては二十三日にその住宅支援で積雪による損壊も震災災害として支援金の支給対象にするということで出していて、さっきもグループを作って除雪、雪のけをやれるようにということも話をされていたわけですけれども、そこにすら行けないということで、実際にはこの雪下ろしができずに重みが掛かって壊れてしまうという場合もあると思うんですけれども。
 で、県がそういう形で決めているのは、そういう追い打ちを掛けて被害が大きくなって半壊とか全壊とか、そういう認定される場合を想定しているんじゃないかと思うんですけれども、これに対して国としてもそれを、やはりその支援がその対象にできるように柔軟に対応していくという答弁をされたのかなというふうに受け止めてよろしいんでしょうか。
○国務大臣(村田吉隆君) ケースとしましては、避難勧告・指示が継続しているケース、それからそれがもう解除になったケース、こうまず考えていただきたいと思うんですね。それで、山古志村みたいな典型的に避難勧告が、指示がそのまま継続していて帰れないケース、それでつぶれちゃったという場合には被災者再建支援法によって全壊扱いになる場合もあるでしょうと。まあしかし、まああの場合には、不幸にして仮に六か月以上超えちゃったという場合にはそういう形になろうかと、生活再建支援法に基づいて長期避難の扱いを受けて全壊扱いになるというふうに私は先ほど申しました。
 それで、避難勧告が解除に、指示が解除になっているケースで、普通のケースではお戻りになるでしょうと、お戻りになるでしょうね。それで、戻らないケースというのは質問されたわけですけれども、雪下ろしできないと。戻っても戻らなくても雪下ろしができなくてつぶれちゃったという場合があるんだろうと思うんですね。その場合において、要するに十戸以上つぶれたという場合には、要するにその新たな豪雪被害ということで全壊扱いということで支援ができるということになると、こういうふうにお考えになっていただいたらいいのではないかというふうに思います。
 よろしゅうございますか。
○紙智子君 時間になりましたけれども、最後に一言言いたいのは、午前中、新潟の県知事さんも言われていましたけれども、やっぱりこれまでの枠内ではそれに掛からない部分がたくさんある、だからやっぱり特別立法の制定を求めたというふうに思いますし、その意味では、やはり救済事業の対象の拡大それから財政保障のためにもこの特別立法の制定という問題を検討を強く求めて、質問を終わらせていただきます。
○委員長(風間昶君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時五十八分散会