<第159回国会 2004年4月20日 農林水産委員会 第12号>


平成十六年四月二十日(火曜日)
   午前十時開会
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○競馬法の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。競馬法の一部改正について質問いたします。
 本案では、第一に規制緩和で競馬実施の事務を中央そして地方競馬間で委託できるようになったわけです。あわせて、私人、つまり民間にも委託できるようにすると。それで、政令で定める民間でできる中身については、今日の午前中の討論の中での答弁にもありましたけれども、発売、払戻し、それから場内の取締りや警備などということでのお答えがありました。
 言うまでもなく、国営競馬とも言える中央競馬会が扱う発売、払戻しの事務というのはやはり業務の根幹だと思うんですね。扱うお金は公金ということです。本来、直接の雇用者が扱うのが筋だというふうに思うんです。地方自治法でも、特別の定めがある場合を除いて、公金の徴収、収納、支出の権限を私人に委託してはならないというふうにしています。唯一、賭博、富くじ販売禁止の例外である公営競技という性格、しかもこの公金の扱いと。この業務がなければそもそも競馬事業が成り立たないということですけれども、今まで直接雇用としてでなければ行えないとしてきた理由、その意義といいますか、それはどこにあったんでしょうか、お答え願います。
○政府参考人(白須敏朗君) 委員の御指摘でございますが、お話しのとおり、これまで競馬の実施に関する事務につきまして、都道府県又は指定市町村から、いわゆる地方競馬の主催者でございますが、他の都道府県又は市町村に委託することはできるということになっておったわけでございますが、私人への委託については認めてきていなかったところでございます。
 これにつきましては、競馬法上、競馬主催者を限定している趣旨と委託先の範囲の拡大の必要性等勘案いたしました結果、地方競馬主催者から地方競馬主催者と同質の地方公共団体につきまして委託を認めてきていたものでございます。
 一方、最近の我が国の競馬の状況をごらんいただきますと、中央競馬、地方競馬ともに大変に厳しい状況にあるわけでございます。そこで、公正確保に一方では配慮をしながら、私人への委託を可能とするということによりまして競馬主催者のコストの削減を図る、あわせまして、民間のノウハウの活用によります競馬ファンへのサービスの向上を図るといったことが今回の制度改正の趣旨でございます。
○紙智子君 言わば、今まで民間に委託するということをやらないできたわけですよね、ずっと。それを今変えたことの理由ということでは、ちょっともう一度端的にお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(白須敏朗君) 一方では、私どももやはり公共性の高い主体によります公正確保というのが大変に重要なポイントかというふうに考えております。他方、最近の競馬の状況というものが大変厳しい、中央競馬、地方競馬を通じまして大変に厳しい状況にあるということから、その公正確保という点はしっかりと配慮をいたしながら、他方で、私人への委託を可能とすることによりまして競馬主催者のコストの削減を図る、あわせまして、サービスの向上といったような観点から、今回の民間委託という改正案を御提案申し上げている次第でございます。
○紙智子君 極めて地方、中央、厳しい状況にあるというお話がされたわけですけれども、そういう重要な業務を経済的な理由から私はやっぱり曲げるべきではないというふうに思うんです。
 それで、経費の節減や効率化ということを上に置いて民間委託をすると。公営競技という性格を弱めていいのかというふうに私は思うんですね。やっぱりこれについては国、主催者がきっちり責任を持つべきだと。節減や効率化ということを言われるんですけれども、やはり本来こうした業務は準公務員である従事員の人たちこそが責任を持って仕事ができるというふうに思うんです。直接雇用の人たちこそが、やはりこの競馬主催者の一員として、公正な競馬ということを言われましたけれども、本当に公正な競馬の監視ですとか円滑な販売、払戻しの振興ですとか、それから競馬知識を備えた接客ですね、責任を持った業務ができるというふうに思いますし、それから観衆の意見や反応なんかもどうかということなどを直接主催者に伝える立場にもあるわけです。ですから、直接雇用のそういう面での優位性という問題、私はあると思うんですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(白須敏朗君) 私ども、委員の御指摘もございますが、やはり公正確保という点は、お話しのとおり、大変重要なポイントであろうというふうに考えている次第でございます。したがいまして、やはり事務の性格、性質といったところが大変に重要になってこようかというふうに考えているわけでございますが、そういった面からいきまして、いわゆる今回民間委託を導入しようという中身といたしまして、いわゆる馬券の発売、払戻金といった事務の性格、それと競馬場内なり競馬場外の設備の取締りといった点については、これは民間委託をしても、そういった意味での公正確保には差し支えなかろうというふうな判断があるわけでございます。
○紙智子君 差し支えないんじゃないかということなんですけれども、経済上の事由、効率化が理由だということを最初に言われたわけだけれども、現実的な必要性ということでは、中央競馬か地方競馬か、それとも地方競馬か、そういう競馬場ごとにもそれぞれ程度の違いというのはあるんだと思うんですね、現状を踏まえて。今すぐそれを必要だというふうに言うところもあるかもしれないわけですけれども、そうでないところもあるんじゃないかと思うんです。
 その点で、中央競馬についてお聞きしたいと思うんですけれども、中央競馬の場合、今すぐ販売などの民間委託というのが必要な状況なんでしょうか。
○政府参考人(白須敏朗君) 中央競馬会の状況につきまして申し上げますと、売上げにつきましては、平成九年に四兆七億円ということでピークを記録したわけでございます。ただ、その後、近年の景気の低迷といった影響を受けまして、六年連続で前年の売上げを下回ってきております。平成十四年の売上げは約三兆一千億円というふうなことでございまして、ピーク時に比べますと八割を下回る水準まで低下しているということでございます。また、剰余につきましても、平成三年には約二千億円余の、二千億円程度の剰余があったわけでございますが、平成十四年には約三百五十億円といったようなことでございまして、そういった形で剰余を計上しにくい状況にもなっているわけでございます。
 そういったことから、中央競馬会におきましては平成十三年から、事業内容を抜本的に見直しをいたしまして、大幅な経費削減に取り組んできているというところでございますが、この結果、平成十三年から三年間に約七百億円という相当な額の経費の削減も行っているところでございます。
 中央競馬会につきまして、今後もやはりこのまま売上げの低下が続くというふうなことであれば、更なる経費の削減に取り組む必要があるということでございますが、その際、やはり私人への委託というのは経費の削減に資する一つの有効な手法になるというふうに考えている次第でございます。
○紙智子君 委託ということになりますと、こうした業務に携わる従業員、従事員の方たちの身分保障にも当然影響が及びます。全国で二万人近く働いておられる方がいるというふうに聞いていますけれども、当初はこの人たちの労働条件というのは地方競馬に比べても低い水準だったというふうに言われていますよね。窓口業務なんかも非常に忙しい業務で、本当に食事をする間もなく、かつては本当に立ったまま、業務をやりながら、パンをかじりながら、寒風の中でがたがた震えながらやってきたときもあったと。そういうふうにして今日の中央競馬を作って、言ってみれば、縁の下でその土台になって頑張って支えてきたということがあるわけです。
 今、退職者の補充をしないということの中で、年齢も重なってきていると。退職金でいいますと、二十年働いた人で四十五万ですか、ぐらいという話を聞いていますけれども、そういう水準でずっと来ているわけですよね。こういう人たちを、今、民間委託の方向を出して不安に陥れるということはすべきではないというふうに思うんですけれども、この点、大臣にお聞きします。いかがでしょうか。
○国務大臣(亀井善之君) 今、局長からもお話し申し上げましたが、平成九年をピークに六年連続で売上げが減少している、また地方におきましては撤退をすると、こういうような状況下にあるわけであります。そういう中で今回の競馬法の一部改正をお願いをしておるわけでありまして、近年の景気の低迷、この売上げの減少、いわゆる厳しい経営状況にあるわけでありまして、収支の改善、これを図ってまいらなければならないところがあるわけであります。そういう面で、私人への委託を可能にする、そしてさらにコスト削減、さらにはまた民間のノウハウを活用していわゆる競馬ファンのサービスにこたえると、こういうことがやはり必要なわけであります。そういう中で、日本中央競馬会におきましても、これまで従事員の処遇の問題等につきましては配慮をしておると、このようにも聞いておるわけであります。
 今後、これらの問題につきましては労使間で十分話合いがなされるものと、このように思っております。
○紙智子君 ずっと支えてこられた方々に対しては当然配慮もしてやってきているということではあると思うんですけれども、経営の問題でも随分やっぱりそういう意味では努力をされてきているんだと思うんですね。
 それで、もし民間委託になりますと、現在の人が、請け負った企業の、雇用されるかどうかの問題というのが出てくるわけですよね。仮に一部でも民間委託が導入されますと、請負企業主に一部を控除された低い賃金の労働者と、それから従来の従事員の方が同じく働くようになると。従事員の人たちの労働条件にも影響を与えていくことになるわけです。
 職場の混乱というのは、やっぱり競馬事業の円滑な実施にとっても、これはやっぱりマイナスに響くというふうに思うんですね。こういう委託については、少なくともやっぱり労働組合の皆さんとの話合い抜きにはできないというふうに思うんですけれども、この点、大臣の御認識はいかがでしょう。
○国務大臣(亀井善之君) その間、労使間で十分お話合いをしていただいていろいろの対応を是非お願いをしたい。何といっても、先ほど申し上げましたとおり、もう六年間売上げが減少し、そして地方の競馬におきましても撤退をすると、こういうようなことで、今回、いろいろのことを考え、競馬法の改正のお願いをしておるわけでありまして、お互いに十分その辺は労使話合いの上で対応していただきたいと、このように思っております。
○紙智子君 何度も申し上げますけれども、やっぱり本当に競馬の事業そのものは、やっぱりそこで働いてきた人たちの中でもそういうことに、たくさんの人たちの手で支えられてきたという側面があるわけですから、そこはやっぱり、労働組合の皆さんと話し合ってやってもらうことがいいという話をされているんですけれども、理解が、双方の理解が得られないまま強行するということの事態にならないように、そこは農水省としてもきちっと指導していただきたいというふうに思うんですけれども、もう一言お願いいたします。
○政府参考人(白須敏朗君) いずれにいたしましても、中央競馬会、これまでも経費の削減に当たりまして、窓口、発売窓口数の適正化でございますとか、あるいは自動発売・払戻し機の導入といったようなことも行ってきたわけでございます。その際にも、従事員の退職不補充といったようなことで対応しておりますし、従事員の雇用に対する配慮も払ってきておりまして、従事員の声には十分に配慮した上で行うことになるものと認識しておるわけでございます。
 さらに、ただいま委員からもお話ございました、そういったことが私どもとしましても、労使関係が競馬の開催の公正確保に影響を及ぼすということとすれば、私どもとしても適切な指導をしてまいりたいというふうに考えております。
○紙智子君 今、配慮をしながらということを言われたと思いますので、そこのところはしっかりやっていただきたいというふうに思います。
 それで、ここに特殊法人に関する行政評価・監視結果に基づく勧告ということで資料がございます。これ、平成十四年の一月に総務省が出した中央競馬会に関する行政評価・監視結果報告なんですけれども、これ見ますと、平成二年度から十二年度まで開催費が一・七倍になっていると。この中で増加が著しいのが、競馬場やウインズ施設の貸借料、それから馬券の自動販売機の借り上げ料、それから機器、設備の保守や清掃等の業務委託料、開催借損料とそれから開催役務費ということなんですけれども、これが二・二倍なんですね。これに対して、従事員、警備員等の人件費、開催労務諸費というところですと、これは一・一倍とほぼ横ばいになっているわけです。
 それで、節減すべきところは、やっぱりこの二倍以上にもなっている子会社や関連公益法人と契約されるこうしたリース契約や役務契約ではないかというふうに思うんですね。この点は総務省の勧告でも指摘されているところです。
 子会社との取引を更にどのようにこの後見直していくつもりなんでしょうか。
○政府参考人(白須敏朗君) 子会社との取引の関係でございます。
 子会社との関係につきましては、総務省からの勧告におきましても、農林水産省は競馬会に対し、取引の透明性を確保する観点から、子会社等との間で行われている契約につきまして点検を行い、競馬の公正確保に配慮しつつも、これまで以上に一般競争入札を導入するなど契約の在り方を見直すよう指導することと、そういった指摘を受けているところでございます。
 私どもといたしましては、この勧告の趣旨を踏まえまして、公正確保に留意をしながら子会社等との契約の在り方を見直しますように日本中央競馬会を指導しておるところでございます。
 中央競馬会といたしましても、競馬の円滑な施行を図るという観点から実施してきておりますこの子会社等とのいわゆるこの随意契約につきましては、競馬の公正確保等に配慮しながら点検を行いまして、競争入札へ移行できるものにつきましては段階的に移行しているところであるというふうに承知をいたしております。
 私ども農林水産省といたしましても、公正確保に支障のない範囲内におきまして随意契約から競争契約へ移行いたしますように、今後とも中央競馬会を指導してまいりたいというふうに考えております。
○紙智子君 勧告の指摘された中身に基づいて見直しを掛けていくというお話があったわけですけれども、やっぱり本来そこのところを、その部分を私はやっぱり節約をして働く人たちにしわ寄せすることのないように、ちゃんとやっぱり点検もして見直しを掛けるところは掛けるということをやって働く人にしわ寄せがないようにすべきだということを改めて強く求めたいと思うんです。
 それで、そういう取引のある子会社や公益法人には、中央競馬会、恐らく前職の農水省の人も入っていると思うんですけれども、そういう中央競馬会からの天下りの場にもなっているわけですよ。
 その報告書を見ますと、子会社四社には十人、それから関連公益法人には二十七人、それから公益法人出資会社四社には十一人、その他の助成している九つの公益法人には十二人、全部で六十人が役員に収まっているわけですね。販売などの業務が民間委託になりますと、そこがまた格好の天下りの場になるわけですよ。
 ですから、幹部とか役員はいいかもしれないけれども、従事員の働く人というのは雇用や労働条件が不安定化するというのは、これ本当に釣合いが取れない話なわけで、そういうことからもしっかりと対策を取るべきだと思いますし、今後、政省令を定めるに当たっては、安易に民間委託に移行しないような歯止めを考えるべきだというふうに思うんですけれども、大臣、これ、もう一言お願いします。大臣、今、大臣にお聞きしました。
○国務大臣(亀井善之君) 今、担当局長から答弁いたしましたとおり、それは十分、この総務省の報告、これらに指摘されております点につきましては十分留意をして対応してまいりたいと思います。
○紙智子君 それでは次に、生産者の対策についてお聞きしたいと思います。
 それで、競馬の基礎というのは言うまでもなく強い馬づくりなわけですけれども、ところがその馬産地ですね、馬産地は競馬の不振が直撃して非常に大変な状況にあります。北海道の日高地方では馬で暮らせる生産農家は半分以下です。平均にならしますと一戸当たり六千万から七千万円負債を抱えています。馬は売れないと、肉にするところもあるわけですね。自殺や夜逃げ、こういう事態も相次いでいるんです。本当に胸の痛くなる悲惨な状況もあるわけですけれども、地域全体がやっぱりこのままだったら陥没してしまうと非常に危機感を持っています。
 これまでこれに対してどのような生産者の経営改善対策が取られてきたのか、まずその検証をしたいと思うんですが、まず中央競馬会として、剰余金の一部を使った特別振興資金によってこの競馬振興事業と畜産振興事業を行っているわけですけれども、直近の平成十二年から十四年ですかね、直近のその中に新たに予算を付けた軽種馬経営改善対策というのはあるんでしょうか。
○政府参考人(白須敏朗君) 日本中央競馬会におきましては、これまでやはり強い馬づくりといったようなことで、いわゆる種牡馬の導入といった改良対策、それから競馬番組の国際化等に対応いたしまして、生産基盤の強化、内国産馬の資質向上ということで、軽種馬の市場上場を促進いたしますための上場奨励金でございますとか、あるいは市場への輸送費補助といった交付、また軽種馬の生産育成強化のための資金への利子補給、またさらには後継者育成のための研修等経費への助成といった様々な軽種馬生産対策を実施してきているところでございます。
 ただ、御指摘の、今、委員から御指摘ございました平成十二年から十四年においては、今お話のいわゆる特別振興資金による新規事業というものは実施はしておりませんが、ただ日本中央競馬会の業務でございます競馬の健全な発展を図るために必要な業務といたしまして、必要な生産対策というものはしっかり実施をしてきているところでございます。
○紙智子君 毎年四十億円ほどの畜産振興事業の中に馬対策というのは含まれていないですよね。畜産の中に軽種馬というのは位置付けられているんでしょうか。
○政府参考人(白須敏朗君) 軽種馬生産は、御案内のとおり、草地を利用いたしますいわゆる大家畜生産ということでございまして、そこのところは私どももしっかりといわゆる畜産の中には位置付けているところでございます。
○紙智子君 位置付けているというふうに今お答えになったんですけれども、果たして本当にそうなのかなと正直言って思わざるを得ません。
 それで、問題は、畜産振興事業の中で軽種馬経営改善対策というのはやっぱり位置付けられていないと思うんですよ。十五年に特別振興資金として競馬振興事業として十一億円出しました。緊急経営資金の融通策ということで出したわけだけれども、これも本当に、現場から本当にたくさんの声が上がって何とかしてほしいということの中でようやっとやったわけですけれども、しかしこれは実際には不発に終わっているわけですよね。地元の農協などが三割基金を出さなければこれは発動できないというふうなことになっていて、結局地元は焦げ付きをおそれて制度に乗れないということになったわけです。ですから、融資枠は二年の間で百億円という枠なんだけれども、これ十五年の実績というのはどれぐらいあったんですか。
○政府参考人(白須敏朗君) ただいまの軽種馬経営基盤支援特別事業の実績でございますが、十五年の実績は十三件で融資額六千六百万円というふうになっております。
○紙智子君 ですから、二年間で百億の枠で一千戸借りられるように、そういう枠を設けたわけですけれども、今お話しされたように、たった十三件ですよね。六千六百万ということですから、やっぱり実態に合っていないということだと思うんですよ。実際には利用できない制度になっていると。
 この資金というのは種付け料に限定したものなわけですけれども、軽種馬生産地では相当の馬がこれ払えないと、それから血統書がもらえないと、売りにも出せない状況だというふうに聞いています。打ち出す対策がやっぱり馬産地の救済にはなっていないということだと思うんですね。やっぱり地元とよく相談をしてというか、意見も聞いた上で改善が必要だというふうに思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
○政府参考人(白須敏朗君) 今、委員からのお話でございますが、決してこれは使えない対策ということではなくて、それぞれの農家の要望、軽種馬生産農家のそれぞれの経営動向といったようなことにかんがみまして、私どもとしてもそういった対策を打っているところでございます。
 それから、ただいまお話のございましたいわゆる負債の関係につきましても、例えば制度資金でも、もちろんこれ以外に、農協資金でも営農負債の借換えのための農業経営負担軽減支援資金でございますとか、あるいは公庫資金でも農業経営維持安定資金でございますとか、あるいはまた前向きな資金と併せた負債の借換えのための経営体育成強化資金といったようなものも国の対策として講じているところでございます。
 また、先ほどの農家負担、申し上げました農家負担軽減支援特別資金の実績につきましても、全体としても、日高支庁管内で平成七年から十二年の実績でございますが、千四百件程度の貸付け実績というものも上がっておりまして、決して私どもの対策が全く使えない対策ということではないというふうに考えておりまして、私どもとしても、それなりに大変厳しい状況というのは承知をいたしておりますし、認識もいたしております。また、現在いろいろと御審議をいただいておりますこの地方競馬の経営改善というものを行っていくと。
 そういった面からも、やはり馬が、軽種馬生産、軽種馬の需要というものが更に縮小するおそれもあるというふうなことも考えておりまして、そういったことに対応いたした形での生産の合理化というものも必要になってくるというふうに考えておりまして、そういう中でも一生懸命軽種馬生産対策というものをやっているという点は御理解をいただきたいというふうに考えております。
○紙智子君 現地に行きますと、やっぱりなかなか使えないということが出されるわけですよ。ですから、そこのところは平行線になってしまうと思うのでこれ以上言いませんけれども、やっぱりよく地元の声を吸い上げて、よくかみ合ったものにしていく必要があるというふうに申し上げておきたいと思います。
 それから次に、国の、国庫予算で生産対策として実施しているものは何なんでしょうか。その中で、負債整理資金というのはどうなっているのかということについてお聞きします。
○政府参考人(白須敏朗君) 国が行っておりますいわゆる競走馬の生産対策といたしましては、一つには馬の伝染性貧血症の防止といったいわゆる衛生対策でございます。いわゆる家畜伝染病予防事業というのがございまして、これが一つの大きな柱でございます。
 それからもう一つといたしましては、競走馬全体に共通の金融対策といたしまして、これは他の畜種ももちろん共通でございますが、農地を取得いたします場合の、農地等の取得をいたします場合の公庫資金でございますとか、あるいは農機具等の取得のための近代化資金、さらにはまた短期の運転資金の融通のための、これスーパーSと言っておりますが、農業経営改善促進資金、こういった各種の制度資金の融通をやっているわけでございます。
 また、そういった中で、負債整理対策といたしましては、先ほどちょっと私申し上げましたが、農協資金といたしまして営農負債の借換えのための農業経営負担軽減支援資金でございますとか、あるいは不慮の災害等によります営農負債の借換えのための農業経営維持安定資金、これは公庫資金でございます、それから経営展開に必要な前向き資金と併せまして負債の借換えのための経営体育成強化資金、これも公庫資金でございますが、こういったものを国の対策として講じているところでございます。
○紙智子君 今ずっとお話をされたことというのは、やっぱり融資ですよね。だから、実際には貸したものは返ってくるというわけですから、だから実際の、おなかを痛めてというか、資金として出しているものというのはせいぜい利子補給ぐらいだと思うんですよ。それが大体どのぐらいになっているのかといえば、実際の額から比較するならば本当に何十分の一ぐらいだと思うんですよ。
 それから、今いろいろ衛生対策とか改良指導とかという話ずっとされたんですけれども、これはどれぐらいの金額で措置されているんでしょうか。
○政府参考人(白須敏朗君) 先ほど私が申し上げました国による軽種馬生産振興対策で、例えば家畜伝染病予防事業というのを申し上げたわけでございます。これは、全体としての予算額は十八億六千万ほどあるわけでございますが、実はこれは全体の各家畜の伝染病、伝染性の疾病の予防ということでございまして、ちょっと今、馬だけにどれだけが使われているかというのは数字がないわけでございますけれども、いずれにしても、全体の予算額として十八億何がしのものをその予防事業に使っているわけでございます。
 それから、制度資金につきましても、申し上げた資金が、それぞれ年によってやはり件数なり金額の多寡は、何といいましょうか、多少はあるわけでございまして、例えば今の近代化資金から公庫資金、そういった軽種馬経営に対する制度資金貸付けの実績といたしまして、例えば十三年度で申し上げますと十四億程度のものが貸付けをされておる。さらにまた、ちょっとさっき申し上げたわけでございますが、ウルグアイ・ラウンド対策といたしまして措置をいたしました農家負担軽減支援特別資金というものは、七年から十二年の実績といたしまして貸付実績でこれは相当なものが貸付けをされておるというふうに承知をいたしているわけでございます。
○紙智子君 馬について聞いているんですよね。だから、家畜全体に対してBSEも含めて十何億だ何だのと、そういう話すれば、それは膨大な金額になるでしょうけれども、実際、馬のところでどれだけ使ったのかということについては本当に少し、微々たるものしかないと思うんですよ。やっぱり衛生予算額といっても本当にわずかなもので、一般会計からの予算措置というのは、国の対策しているのは本当に少ないものだと思います。
 それで、競馬会からは十五年度で約三千億円が国庫納付金として国に入っているわけですよね、三千億円。それに対して馬の生産対策というのは本当にわずかなものと。融資も、全国で千五百戸ある生産者に対して負債整理資金というのはごくわずかですよ。さきの畜産の中に含まれていないことといい、一体軽種馬というのは農業、農政に位置付けられているのかというふうに現地の皆さんもいつもそう言うんです。これ、農業というふうにみなされているんだろうかというふうに出てきます。
 やはり農業の位置付けをするということが新基本法の立場からも私は重要だというふうに思いますし、生き物を生産しているということでいいますと、これは農業であることは自明ですけれども、その生産を通して農村がやはり維持される、それから食料供給以外の多面的機能も発揮されていくと。新基本法では、多面的機能の発揮が農村の振興や食料生産と併せてやっぱり重要な柱というふうにしているわけで、大臣、亀井大臣ですね、大臣は軽種馬生産というのは農業ということで考えておられるのかどうか。
○国務大臣(亀井善之君) 軽種馬の生産、正に草地基盤に立脚いたしました大家畜経営、そういう面で農業の一部門と、このように認識をいたしております。
 中でも、北海道、日高、胆振の支庁管内、これは農業の粗生産の約七割を占める、こういうようなことであるわけでありまして、地域の経済、地域にとりましても大変重要なものであるわけでありまして、これらの問題につきましては、軽種馬生産対策、その重要性、これを認識して、これまでも生産基盤の、今いろいろの利用の問題につきまして御指摘がありましたけれども、生産の基盤強化あるいは国内産馬の資質の向上、こういう面でいろいろの対策を講じてまいりたいと、こう思っております。
○紙智子君 農業の位置付けということで大臣からお話がありました。
 軽種馬の生産を通して、やはり国土の保全ですとか、それから牧場の風景による良好な景観の形成と。あそこがいいから行きたいんだという人たちもいるわけです。それから、競馬という国民のレジャーの創出、観光としての利用や乗馬の振興や、あるいは馬のセラピーということも今研究もされてきていますよね。そういう馬文化の継承ということでも非常にやっぱり、食料生産ではないんだけれども、多面的機能を十分発揮しているというふうに思うんです。
 それで、農水省の統計の中に畜産の部というところには、実は馬の生産は項目に入っていないんですね。これ入れるべきだという声も実は出されているんですけれども、やっぱり農政の対象として明確にするという点では、この点も是非踏まえていただきたいというふうに思います。
 それから、本案の競走馬生産振興業務、これは内容が不明確なんですね。地方競馬の情勢の変化に応じた競走馬の振興ということで、具体的にはこれから相談するというふうになっているわけです。法案を出す前に本来もっとその内容を煮詰めなければ、法案が本当に期待の持てるものなのかどうなのかと生産者も判断のしようがないというふうに思うんですね。
 その内容なんですけれども、地方競馬の縮小による馬の削減、それから生産調整を前提に、条件にした生産振興策なんでしょうか、これは。今の競馬の状況からして、馬の削減というのはやむを得ない面があると思います。その場合の対策というのは当然必要だと思うんですね。しかし、すべての生産対策が、削減しなければ適用されないという条件付では、これは困るんじゃないかと。生産調整や削減の有無にかかわらず生産振興策を立てるべきではないかと思うんですけれども、この点についていかがでしょうか。
○政府参考人(白須敏朗君) ただいま委員からもお話ございましたとおり、やはり軽種馬生産をめぐります経営環境というものは、全体としての景気の低迷でございますとかあるいは地方の主催者がやはり撤退するといったようなことで、競走馬需要が減少しておるということで大変状況としては厳しいという状況になっておろうかと考えております。それからさらに、今、複数の地方主催者が連携を通じて事業収支の改善を図っていくといったようなことからも、そういう場合にはやはり競走馬の共有化ということも進んでいくわけでございまして、そういった面からいきましても、競走馬需要の減少というものも今後見込まれるということでございます。
 ただ、私どもとしても、ただそういう中で、やはりそういう厳しい状況の中で、一方にはやはり競走馬生産、軽種馬生産というものが今後の中央、地方を通じた競馬全体をやはり底支えするすそ野の部分だというふうに考えておりまして、そういった意味では、大変厳しい状況の中でございますが、競馬本来のやはり一翼を担う競走馬、軽種馬生産の基盤強化を図る、その振興を図っていく必要があるというふうに考えているわけでございます。
 そういうことで、今回の改正案の中で、そういった地方競馬をめぐります状況の変化に対応いたしまして、そういう中でこの軽種馬の生産の振興に資するための事業を行っていく、その経費を補助する事業といたしまして、ただいま委員からも御指摘ございました競走馬生産振興業務を設けることにしたところでございます。
 ただ、この具体的な内容につきましては、更に今後生産地のお話もお伺いしながら検討するということにいたしておりまして、いずれにしても、この軽種馬の生産構造、望ましい軽種馬の生産構造というものを実現していく必要がある、そのための対策が必要であるというふうに考えている次第でございます。
○紙智子君 生産調整、削減の有無にかかわらず、やっぱり振興策として検討すべきだというふうに思います。
 それから、私、昨年の台風十号が北海道を襲ったときに、この地域も、日高地域も非常に大きな被害を受けたんですが、そこに行ったときに、それこそ牧草の上にも流木なんかがどっと流れ込んで大変な事態だったわけです。このときに軽種馬の生産地、生産者団体を訪問したんですけれども、災害復旧については、軽種馬では農地とみなされない部分があるんだと。そこは復旧事業の対象にならないということですとか、それから施設の共済制度がないということですとか、それから基盤整備の公庫資金が使えない等々、ほかの農業と比べても施策が後れているという訴えがこもごもされたんです。
 ほかの農業種目と同等のやっぱり対策の確立というのは、生産調整の有無に関係なく、これは実施すべきだと思うんですけれども、この点どうでしょう。
○政府参考人(白須敏朗君) 今るるお話がございましたが、もちろん私どもも、それぞれあれでございますが、災害復旧の方はしっかりと対応いたしておるということでございます。
 それから、先ほど来お話ございました、やはりそういったことについてもちろん国としても当然やるべき筋合いの事業も多うございます。そういった意味で、先ほど来私申し上げておりますように、国としてもしっかりと対応しているところでございますが、更に申し上げれば、やはり競馬の健全な発展ということがあって競走馬生産、軽種馬生産が維持されるといったまた側面もあるわけでございまして、そういった意味では、国の対策ももちろんございますが、中央競馬会の売上げの一部を原資としてしっかりと競走馬生産対策を実施しておるという面もあるわけでございますので、そういったところをもろもろ、両々相まって全体としての軽種馬生産ということをしっかりと支えておるというふうに考えておるところでございます。
○紙智子君 次に、競走馬生産振興業務の財源の出所というのは、今も話がありましたけれども、中央競馬会の特別振興資金、これでは多くは望めないと思うんです。特別振興資金というのは、十五年度の予算規模は競馬振興と畜産振興でそれぞれ四十億ずつ、ここから競走馬生産振興と地方競馬の競馬連携計画に一部回るということではどれほどの期待が持てるものかなと思うんですね。
 競走馬生産振興勘定に一体どの程度の繰入れを考えておられるんでしょうか。
○政府参考人(白須敏朗君) ただいまの委員の御指摘でございますが、競走馬生産振興勘定、お話しのとおり中央競馬会から地方競馬全国協会の方に資金を出しまして、それがただいまの競走馬生産振興勘定の方に繰り入れられる、こういうことでございます。
 ただ、いずれにしても、私ども、先ほど来るる申し上げておりますように、やはり生産基盤の強化なり国産馬の、国内産馬の資質向上といったことが大きな目的でございます。そういったことを達成いたしますために様々な対策も実施しているところでございますが、他方、非常に現在の競馬をめぐる情勢の変化ということで大変厳しい状況があるわけでございまして、そういう中でいかにして望ましい生産構造を実現していくのかということでございます。
 そういうところでございますので、これに対する、先ほど委員がお話しになりました具体的な事業の内容でございますとか、あるいは資金の繰入れの規模といったところにつきましては、私どもとしてもさらに生産者の御意見も承りながら慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
○紙智子君 ちょっと今、規模についてはどのくらいを考えているのかというのは出ていないんでしょうか。
○政府参考人(白須敏朗君) 先ほど委員がお話しになりました日本中央競馬会の特別振興資金の残高は、十四年度で約三百億円というものがあるわけでございます。もちろん、これがどういうふうに今後使っていくかというのは、申し上げておりますように今後の検討ということでございますが、具体的な内容あるいは規模につきましては、さらに今後慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
○紙智子君 中央競馬会の特別振興資金というのはその年の剰余金を当てにして作っていく財源なわけですよね。だから、今までの予算規模からしてそれほどたくさんの期待を持つことはできないというふうに思うんですけれども、初めからやっぱり財源を絞り込むというふうになるんじゃ駄目だと思うんですよね。そうではなくて、まずやっぱり生産地の対策として構想を明確にして、それにふさわしい財源をどうするのか、国庫納付金とかそれから国の一般会計の活用なども含めてこれ検討すべきだというふうに思うんですね。
 初めに財源の制限ありきということではなくて、やっぱり生産地との協議で対策が決まればそこに十分出していけるようにする、そういう点での用意というか、それはおありでしょうか。
○政府参考人(白須敏朗君) いずれにいたしましても、このただいまお話しになっております競走馬生産振興勘定に繰り入れる金額あるいはその事業の内容、規模につきましては、今後生産者の意見も聞きながら慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
○紙智子君 競馬の基礎、土台というのはやっぱり馬づくりなわけですけれども、ここがつぶれないように、本当に国、競馬会がしっかりと支援をしていく必要があるんだと思います。
 地方競馬の廃止の場合は直接馬が余るという状況が出ます。この三年間で五つつぶれているわけですけれども、一か所で大体四百頭から五百頭、競走馬が行き場を失う状況になっているわけですね。生産調整や馬の淘汰というのは避けられない事態になるわけですけれども、今までも生産調整については自主的にやった経験もあるわけです。しかし、今はその必要性があるのは外的な要因なわけです。生産者には責任はないわけですよね。しかし、そういう中で過剰な事態というのは共倒れになってしまうということですよね。ですから、そういう事態を防ぐというのは、競馬事業の安定のためには、これはやっぱり欠かせないことだと。
 そこで、今後競走馬からの撤退とか生産調整や削減に関して、私はやっぱり補償してこれ当然じゃないかというふうに思うんですけれども、それは視野にあるのでしょうか。
○政府参考人(白須敏朗君) ただいま委員からもお話ございましたとおり、軽種馬生産をめぐります経営環境、大変全体としての景気の低迷あるいは地方主催者の撤退といったようなことで競走馬、軽種馬需要が減少いたしておりまして、大変厳しさを増しつつあるわけでございます。またさらに、今回の法改正の趣旨であります地方の主催者の競馬事業の収支の改善といったようなことを図ります上からも、やはり競走馬需要の更なる減少というものも見込まれるわけでございます。
 そこで、委員のお話にもございましたが、やはり今後、軽種馬生産といたしましては、やはり全体としての経営の安定を図ります上では、一つには軽種馬と他の農業部門との複合化あるいは作目の転換というものが必要になってくるのではないかというふうに認識をいたしているわけでございます。また、地元の町村におきましては、離農によります地域経済の沈滞あるいは過疎化、あるいは耕作放棄地の増加といったことを防ぎます上からも、複合化でございますとかあるいは転換によりまして農業生産、地域社会を維持する道を模索している状況にあるというふうに認識をいたしているわけでございます。
 そこで、競走馬と他の農業部門との複合化といったことを進めてまいりますには、やはり何といいましても作目ごとのそれぞれの振興施策をまず活用することが第一の対応策ではないかというふうに考えているところでございまして、まずはそういった観点から、他作物の振興施策を有効的あるいは効率的に活用する、さらには技術支援あるいは制度資金の活用といったようなことでそういった複合化、転換に取り組む経営を支援する必要があるだろうというふうに考えているわけでございます。
 その上で、更に必要な競走馬の供給のいわゆる縮小対策につきましては、その必要性でございますとかあるいは内容、こういったことにつきまして、これまでの経緯も踏まえまして、産地あるいはまた生産者団体の御意見もよくお伺いをいたしまして、私どもとしても慎重に検討してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○紙智子君 聞いていることに、何かこう、ちゃんと答えが返ってこない感じがするんですけれども、生産調整とか馬の淘汰というのは避けられないというふうに言われているんだけれども、それに対しての補償というのは例えばどんなふうに考えておられるんですか。もうちょっと前向きにどうするとかこうするとか、そういう聞いたことにお答えいただきたいんですけれどもね。
○政府参考人(白須敏朗君) 私どもとしては、いずれにいたしましても軽種馬生産の合理化ということは必要だろうというふうに考えている次第でございます。
 その方策としましては二つございまして、一つには、やはり今後とも軽種馬生産を担っていくいわゆる担い手といいますか、そういうところを組織化していく、あるいはそういう担い手に対する支援というものは一方には必要であろうというふうに考えているわけでございます。
 他方、競走馬とあるいは他の農業部門との複合化あるいは作目の転換ということが必要だという点もございまして、そういう点については、申し上げておりますように、他作物の振興施策というものをしっかりと有効あるいは効率的に活用していくというふうなことが必要だろう、そういった意味では技術支援、制度資金の活用ということがあるわけでございます。
 委員がお話しになっております補償というふうなことは、私どもは考えておりません。
○紙智子君 景気の低迷とか、国民レジャーの多様化の中で様々な問題が起こって過剰な実態になっていると。競走場の廃止で一気に走る場所がなくなってしまうと。これは私は、ある意味では漁業の減船と似ている状況だと思うんですよ、外国との交渉でやむなく出漁停止になると。その場合、今までも補償が行われてきているわけだし、それから、農業でも例えば米減反に助成金が出ていたわけですよね。
 やっぱりこれ、一頭例えば淘汰しなきゃいけないといった場合に、その掛かった生産費だとか、育ててくるまでにいろいろ掛けると、やっぱり四百万とか五百万とか、そういうお金が一頭淘汰するのに掛かるという話なんですよ。ですから、是非この点でも対策を取るべきだし、やっぱり現地で生産費を償うように、よく相談して実施すべきだということを申し上げておきたいと思います。
 次に、負債整理資金についてなんですけれども、実際に使えるような対策が必要だというふうに思います。今の資金が高い金利のものでしか借換できないと。それから、一度借りたら二度目は使えないとなっているんですね。それで、保証人、農協がリスクを負えないということで、そういうことが出されているわけです。関係の農協は、不良債権でもうこれは火の車と。町も貯金を集中するというようなことをやって、てこ入れはしているんですけれども、このままだったら地域経済は崩壊するというふうに言われているんですね。
 こういう障害を国が支援をしてやはり取り除いて、新たな有利な負債整理資金を受けられるような対策を講ずるべきではないかというふうに思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
○政府参考人(白須敏朗君) 全体として、大変今状況として厳しい状況にあるという中で、私どもといたしましても、この軽種馬生産に係る負債対策といたしまして、営農負債の借換えのための農協資金の農業経営負担軽減支援資金でございますとか、あるいは不慮の災害によります営農負債の借換えのための公庫資金、農業経営維持安定資金でございます。またさらに、前向きな資金と併せた負債の借換えのための経営体育成強化資金といったような負債対策も講じているわけでございます。
 また、先ほど委員からは、ほとんど使われていないというお話あったわけでございますが、私どもとしても、そういった緊急的な対策としての、措置としての種付け料に限定した経営資金の融通の円滑化といった事業も行っているわけでございます。
 またさらに、そういう中で、ただいま委員が御指摘のように、いろんな今後の更なる厳しい状況に対応した資金の在り方ということにつきましては、私どもとしても、申し上げておりますようないろんな対策をやっているわけでございますが、全体として、今後とも生産地の意見もよくお伺いをいたしまして、軽種馬生産対策の中身として必要な経営改善対策につきまして検討してまいりたいというふうに考えております。
○紙智子君 それと、経営転換に関する支援措置を実現させていくべきだと思うんですね。転換のために農協のプロパー資金を借りて自治体も支援をしています。しかし、花とか、あと肉牛ですね、それから野菜、こういうものに転換しても先行きが不透明ということで、そこにもリスクがあるんですね。転換した方がいいかもしれないけれども、やっても実際はどうなのかなと、そういう不安もあるわけです。
 転換の資金というのは、融資の場合も、新規の事業が軌道に乗るまでは償還を延期することですとか、それから無利子などで有利な措置を講じるということなんかも必要じゃないかと。こうしたことなんかも是非検討していただいたらいいんじゃないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
○政府参考人(白須敏朗君) ただいま、やはり経営転換というふうなお話もあったわけでございます。
 そこのところ、何度も申し上げて恐縮でございますが、非常に全体としての厳しい経営環境の中で、私どもも生産基盤の強化なり国内産馬の資質向上ということでいろんな対策を講じてきたわけでございますが、さらに、やはり今後の生産構造を転換していく、生産の合理化を促進していくということがどうしても必要になってくるわけでございます。
 そういう中で、申し上げておりますような、やはり今後の軽種馬生産をしっかりと担う農家のみならず、やはりただいまのようなお話の経営転換というふうなことで、他の農業部門との複合化でございますとか、あるいは他の作目への転換ということが必要になってくる場合も当然あるわけでございまして、そういう場合には、その他作物の振興施策あるいは技術的支援、制度資金の、各種制度資金の活用というふうなことで、軽種馬生産の振興、あるいはまたそれを含めた地域の農業生産の活性化ということが必要になってくるわけでございます。
 そういった点で、私どもとしても、やはり生産地が自らのやはり発想によりまして必要な対策を構築していただくということが重要だというふうに考えておりまして、今後、更に生産地の御意見もよくお伺いをいたしまして、慎重に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○紙智子君 そういう転換する方向なんかも含めて、やっぱり必要なところは是非検討していただいて、それがやっぱり進まなければ全体が滞ってしまうわけですから、そこは是非よろしく検討していただきたいと思います。
 それからもう一つ、この地域に、日高地域の中に三石町というところがあります。ハルウララの出身地なわけですけれども、この三石町はずっと競馬馬、競走馬を生産しているところなんですけれども、今、そういう一定の転換なんかも掛けながら黒毛牛のブランド化に取り組んで、一定成功してきているんですね。町が営農研修センターを立ち上げて熱心に販売面まで含めて援助をしているんです。指導体制というのは本当に大事なんですね、転換する場合も。ところが、多くの農協なんかはやっぱり営農指導を受けるような状況になっていないわけです、非常に厳しくて。それで転換した人も、自分だけで苦労しているという面もあるんですね。
 例えば、転換を含めたこの地域の振興を促進させようということでは、総合的なセンターを造って総合的な支援をするということなんかも、地域でも努力しているんですけれども、国としてもそういうことを支援するようなことを考えていただきたいと。そういう用意がないかどうかということをお聞きしたいんですけれども、いかがでしょう。
○政府参考人(白須敏朗君) ただいまの転換についてのいろんな技術指導といいますか支援というお話でございますが、お話のとおり、やはりそういった他の農業部門との複合化なり転換ということを行いますためには、非常にやはり、そういった意味での指導、非常に重要なことだろうというふうに考えているわけでございます。
 したがいまして、私どもとしても、軽種馬生産と他の農業部門との複合化なり、他の農業部門への転換を積極的に進めようとする生産者に対しましては、協同農業普及事業によりますいわゆる技術支援、あるいはまた制度資金の活用といったようなことが図られますように、私も含めました三局長の連名通達によりまして、それぞれの各県の知事さんにそういったいろんな各種の事業の実施につきまして配慮をしていただきたいというふうなお願いもいたしているところでございます。
 こんなことも踏まえながら、農業、他の作目への転換なり他の農業部門との複合化といったことも円滑に進めていくように努力してまいりたいというふうに考えております。
○紙智子君 それじゃ、いろいろこうしたらどうかと、打開するためにこうしたらどうかということをずっと幾つか言ってきたわけですけれども、全体ひっくるめまして、最後に大臣の方から、やっぱり本当に馬産地をしっかり守るというお立場から、大臣としての答弁、最後に一言お願いいたします。
○国務大臣(亀井善之君) 先ほど来、局長からも答弁しておりますし、さらに景気の低迷、そういう中で、厳しい地方競馬、今回、このような中で法改正をお願いをしておるわけであります。
 そういう中で、いわゆる競走馬の生産振興、こういう面にも意を注ぐ、こういうところもあるわけでありまして、是非そういう面で、なかなか厳しい状況と、さらには、今お話しの複合化の問題等につきましても地元の意見を十分伺いまして、そしてさらに三月二十六日付けで、三局長の名前で各農政局長に、複合化、淘汰、農業部門への転換、これらに関する施策の推進につきまして、こういうような文書も発出いたしまして、それぞれ地元と十分話合いをし、その対応をするように要請をしておるところでもございますし、今回のこの法改正
○紙智子君 終わります。