<第156回国会 2003年4月22日 農林水産委員会 第8号>


平成十五年四月二十二日(火曜日)
   午前九時三十分開会
    ──────◇───────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○種苗法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○農業経営基盤強化促進法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ──────◇───────
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 まず、種苗法から質問いたします。
 開発輸入が急増する中で、日本の新品種の種苗が無断で中国や韓国などに持ち出されて、その収穫物が日本に輸入されると、それが日本の生産者に大きな打撃を与えているわけです。
 北海道では、農業試験場が十年間掛けて育種してやっと品種登録をされた白あんの加工用のインゲンマメ、雪手亡ということですけれども、これは北海道としては豆の中でも主力品目ということで、品種ということで位置付けていたわけですけれども、これが商社が違法に持ち出して逆輸入をしてくると。
 それで、これは六十キロ当たり大体一万五千円というふうな価格が付くわけですけれども、中国産で港に入ってきたときには六千五百円程度ということで、三分の一とは言わないですけれども、相当やっぱり差があって、そういう中で栽培面積が半減するような事態になっていると。
 そのほかいろいろ、イチゴの話もありましたし、いろいろあるわけですけれども、今回の法改正がこういう種苗の違法な持ち出しによって海外で生産されて輸入をされた収穫物に刑事上の罰則を掛けるということで、実態から見てもこれ必要な改正だというふうに思うんです。
 ただ、不十分な点もあると。既にいろいろな形で取り上げられて話になっているわけですけれども、加工品の扱いについて、これ、農水省は今回、育成者権の及ぶ範囲について、加工品については規制することを見送ったわけです。
 しかし、加工品として入ってくる輸入というのは本当に増えてきていると。日本の商社が、野菜や果実等、日本からの持ち出した品種、この持ち出した品種を外国で栽培をすると。同時に、直接投資をして現地の企業と合弁で加工工場も造ったりして、安い賃金でカットとか冷凍というそういうことだけで輸入されてくるものも非常に増えているわけです。
 こういう言わば加工度の低いものですね、こういうものも規制の対象外にされるのかどうか。加工といってもいろいろあるわけですけれども、今回の規制の対象というのはどこに線を引くのかということについてまずお聞きしたいと思います。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生おっしゃられましたように、今回の法律改正で収穫物については育成者権侵害として罰則の対象にするわけでございます。加工品の方は条約上やってもいいというふうになっているわけでございますけれども、やはり識別技術が実用化の段階に至っていないこと等ありまして、今後の検討課題というふうにしたわけでございます。
 それでは、収穫物と加工品と差がどこにあるのかということでございます。
 一応定義上は、収穫物というのは植物体の全部又は一部で種苗を用いることによって得られるものと。植物体の全部又は一部で種苗を用いることによって得られるものと、こういう定義でございますし、加工品といいますのは、それに、その収穫物に一定の工作を加えて、その本質は保持させつつ新しい属性を付加して価値を加えたものと、こういうふうに定義をされているわけでございますけれども、その区分というのは個々具体的に社会通念に照らして判断するほかないだろうというふうに思うわけでございます。
 社会通念に照らして何を判断するのかということでございます。一つは、技術的にその品種の特定が可能かどうかということ、それから二つ目には、収穫物に加えられた工作の程度がどうかということでございまして、ありていに言いますと、私どもとしては、単にカットあるいは冷凍した、乾燥した、塩蔵した、こういうものは識別が可能だと思われますので、収穫物と解したいというふうに考えております。
○紙智子君 冷凍、カット、塩蔵、乾燥ということでは、これは収穫物ということで見るということですね。
 それで、収穫物に入るのかどうかということの判断の基準、今お話しされたわけですけれども、加工品について品種の同一性の立証が困難であるかどうかという話もありました。DNAの鑑定ができずに品種の識別が不可能なことが今回見送った理由にされているわけです。
 しかし、冷凍とかそれからカット野菜以外にもDNAの鑑定などで品種を識別することが可能な加工品というのはあると思うんですね。
 例えば、これも先ほど来話に出ていましたけれども、畳表、これは原料はイグサなわけですけれども、中国からはほとんどが畳表という形で、編んだ形で入ってくるわけですね。これは加工品とみなされて規制対象にならないのではないかと。これはどうでしょうか。
○政府参考人(須賀田菊仁君) イグサと畳表の関係でございます。
 もう先生も御存じのように、簡単に言いますと、畳表を作るまでには、イグサを収穫して、泥で染めまして、乾燥をして、選別をして織るということでございます。そして、そのイグサと畳表の間はDNAの識別によって識別可能というふうにされているわけでございまして、今後、いろいろな法令解釈の問題あろうかと思いますけれども、私どもとしては、今回の立法趣旨に、改正のこの趣旨にかんがみれば、この畳表はイグサの収穫物の範囲で解釈することができないかというふうに考えているところでございます。
○紙智子君 これからのそういう検討に掛かっていくわけですよね。
 それで、私、イグサについて申し上げたいんですけれども、中国から畳表の形で輸入が急増して、これが日本の生産者に本当に大きな打撃を与えました。九州などの産地で多くの自殺者を出しました。生産者の自殺者を出しました。
 生産の中心になっている熊本の八代市の、委員長の出身でもありますからよく御存じだと思いますけれども、イグサの生産面積というのは、九八年に千四百四十一ヘクタールだったのが、二〇〇一年、平成十三年は半分以下ですね、六百四十一ヘクタールまで下がったと。九九年の輸入ライセンスの枠で三万トンなわけですけれども、これに対して七千二百トン上回るイグサの製品が輸入されて価格が暴落すると。それで、十アール当たり、当時、九九年当時で、所得では粗収益よりも生産費が大幅に上回る、もう完全に赤字と、絶望的な状況になって、そういう中で、深刻なその実態について、当時テレビもこれ取り上げました。
 その中で紹介されている生産者の方が、もう本当に、おれ一代で終わりだという話をされていた声が紹介されていたわけですけれども、何人もの生産者がそういう苦境に立たされて自ら命を絶つという状況の中で、ようやっと二〇〇一年にネギやシイタケとともにイグサは、三品ということで暫定のセーフガードを発動した経過がありました。
 それで、畳表として中国から輸入される品種は登録のないものなんですけれども、これは過去に日本から持ち出されて中国で広がった、畳表の大量輸入につながったというふうに言われています。現在、熊本県は、県が育成した優良のイグサの品種、これ「ひのみどり」という品種なわけですけれども、それこそ産地の再生を懸けてこの品種に取り組んでいるわけです。「ひのみどり」というのは、茎が細くて色むらが出ないので非常にきれいに編み上がっていくというか、そういう畳、すばらしい畳に仕上がるということで、栽培面積を広げて県内の三分の一に当たる五百ヘクタールまで広げて、そして県として株の海外流出を防ぐために必死の取組をやっているし、県としてはDNAの鑑定技術も開発したということが新聞でも紹介されました。
 しかし、ここにもし畳表で輸入されるということになりますと、今の段階でいえば、差止めも損害賠償も要求もできないと。産地が一体どうなるかということになりますと、正しく存亡を懸けたそういう取組になっているんですね。もし仮にこの「ひのみどり」が持ち出されて畳表として輸入されるような事態になれば、それこそ産地は本当に立ち上がれない打撃を受けることになると思うんです。非常にそういう意味では重い問題が掛かっているということを思うわけですね。
 明らかなやっぱり、こういう事態になれば、権利侵害ですし、品種の識別が可能で明らかに権利侵害があったものについてまで権利の行使ができないということになると、これは法の趣旨からいっても問題だというふうに私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか、御認識を。
○国務大臣(亀井善之君) 現状ではなかなか難しいわけでありまして、育成者権の対象と、加工品を、ということには限界があるわけでありますが、この辺も是非、実用化の段階と先ほど来局長申しておりますとおり、DNAの品種識別技術等の実用化と、こういうものをやはりいろいろ整備をいたしまして、中長期的に検討し、加工品の取扱いにつきましては是非、今いろいろのお話があるわけでありますので、それらの問題につきまして努力をしてまいりたいと、このように考えております。
○紙智子君 育成者権の侵害対策研究会、ここの議論の中でも、明らかに加工品で侵害があったときに、それでも看過するのはどうなのかということで議論もされているわけです。加工度が低くて品種識別可能なイグサなど、県もDNAの鑑定での識別ができるように努力していると、こういうふうに、今すぐでも可能なものからやっぱり規制の対象にするなど検討すべきだと思うんですけれども、もう一度お願いします。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先ほど来申し上げておりますけれども、私ども、現実、実態的な対応といたしまして、種苗とそのものの識別可能性があり加工度が低いといったものについては、法律上許されるという前提にはなりますけれども、今度の法律改正の収穫物の範囲で解釈をして、権利侵害に対しては所要の措置が取れるというふうなことという運用をしていきたいというふうに考えております。
○紙智子君 先ほども話に出ていましたUPOV、植物新品種保護に関する国際条約、この中では、加工品については対象とするかどうかというのは各国、加盟各国の裁量に任せるというふうになっていますね。
 それで、その中で韓国の場合、加工品もこの品種保護の対象にしているというふうに聞いていますけれども、この韓国の種子産業法ですか、この関係でどういうふうに位置付けられているでしょうか。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生おっしゃいますように、UPOVの条約は、直接の加工品については各国の裁量で権利の対象としていいよというふうになっているわけでございます。
 韓国は二〇〇一年に種子産業法というのを制定をいたしまして、加工品というものを含めまして専用利用権の対象というふうにしているわけでございますけれども、やはりお伺いをいたしますと、加工品の原料となった品種を効果的に識別する技術がないということで、加工品に関する権利侵害が問題になった事例がない、規定はあるんですけれども、なかなか実効が上がらない状況にあるということでございます。同様のことは豪州でも、加工品も対象にした規定はあるそうでございますけれども、実効が上がっていないというふうに伺っております。
 その余の国は我が国と同様、加工品を対象にした法律はないということでございます。
○紙智子君 品種識別の検証方法というのはどのようになっているか、もし分かれば教えていただきたいと思います。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 品種識別の方法は、まずその外観で見るわけでございます。外観の形質とか特性だとか、実の形が長いかとか丸いかとか、中切ったら白っぽいだとか、そういう形質で見まして、そのほかにDNA分析でこの収穫、このものとこの品種登録されたものが同一かどうかというのを見るわけでございまして、種類によってDNA識別技術の確立の度合いが違っております。先ほど来言っておりますけれども、稲だとかインゲンだとか、そういうものは進んでおりますし、果樹、野菜というのも実用化の段階に来ているということでございます。
 まず、先生、先ほどおっしゃいましたイグサの「ひのみどり」、これも今、特許申請の段階、こういうところでございます。
○紙智子君 農水省としては、今度の改正で加工品を見送って、対象から見送ったというのは、DNAの鑑定ができない、識別不可能だということが理由になっているわけですけれども、国自身の、加工品については国自身の裁量でということがあるわけですから、積極的なやっぱり対策を講ずべきだというふうに思うんです。
 農水省は、農産物や加工食品についてのトレーサビリティーの導入を打ち出しています。それで、輸入食品も対象にすれば、加工品でも原材料にまでさかのぼることができると思うんですね。例えば、あんこなんかも今結構中国から入ってきているわけですけれども、これが中国のどこで栽培されたどういう品種のものなのかという原材料にさかのぼって分かると、これ識別できるんじゃないかと思うんです。
 ですから、育成者権侵害対策研究会で「中長期的な視点の下に検討していく」というふうにしているんですけれども、そういった方法も含めて、イグサについてはその収穫物とみなせるようにという話があったわけですけれども、こういうことを、加工品全体についてもこういうやり方でもって早急に検討すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(亀井善之君) 是非、加工品の問題につきましては、DNAの品種識別技術の実用化、これを促進することによりまして、また技術開発の促進、こういうものを踏まえて育成者権の対象に加工品を加えると、こういうことにつきましても十分検討してまいりたいと、このように考えております。
○紙智子君 今回の改正がこの新品種の知的所有権を守ると、それから日本農業を守る上で必要な改正だというふうに思います。
 産地では、今回の改正で今まで横行してきたこの開発輸入に対する対応策として期待はあるわけです。ただ、その中でも、例えば二十年間というこの保護期間を過ぎたもの、コシヒカリなんかもそうだという話もありますし、ブドウなんかも、そのほかにもまだいろいろ一覧表で見るとたくさんあるわけですけれども、これが規制の対象とならないと。種苗法では対応の限界があるということですね。
 開発輸入は、日本の商社が種子を持ち出して技術指導をやって、安い労賃で生産をさせて逆輸入をすると。ここには種子会社も大きな役割を担っているということも言われているわけです。国内生産を守るために、やっぱり種子の輸出についてもこれルールというのが必要じゃないかと。今日ここではそのことについてやりませんけれども、そのことを指摘して、次の質問に移りたいと思います。
 次、表示問題について質問いたします。
 農産物に対する表示問題ですけれども、この間、食にかかわる一連の事件を背景に、食品表示に関する国民の関心というのは非常に高いものがあります。六割輸入に依存している我が国の状況ということですけれども、産地と消費者の距離というのは離れているわけです。それで、消費者にとっては適正な表示というのがやっぱり本当に重要になっていると思うんですね。
 まず、総務省にお聞きしたいと思うんですけれども、今年一月に総務省は食品表示に関する行政評価・監視結果に基づく勧告というのを行っています。この勧告に先立って、昨年、食品スーパー等の利用者に対しての食品表示に関するアンケートを実施されましたね。その中で、生鮮食品に新たに義務付けてほしい表示事項に関するアンケートというのもやっていると思うんですけれども、この結果について、どうなっているか説明いただきたいと思います。
○政府参考人(田村政志君) ただいま御指摘のアンケート調査は、総務省が平成十四年四月から十五年一月に掛けて実施いたしました食品表示に関する行政評価・監視の一環として、消費者が食品の表示に関して有している意識などを把握するために、十四年五月に二十三都道府県の消費者三千人を対象にして実施し、千三百三十六人の方から回答を得たものでございます。
 調査結果の概要でありますが、生鮮食品について新たに表示を義務付けてほしい事項としては、農産物では出荷日又は収穫日六二%、農薬・肥料の使用量・回数五四%、消費期限四二%、畜産物では消費期限五六%、出荷日五三%、使用した飼料名が五〇%、水産物では出荷日が五九%、消費期限五八%、煮物・生鮮用などといった用途について五七%、それから精米では農薬・肥料の使用量・回数が五三%、出荷日又は収穫日四八%、生産者の氏名・住所三七%などとなっております。
○紙智子君 ありがとうございました。
 それで、農水省にお聞きしますけれども、このアンケートの結果が示していますように、農産物について出荷日や収穫日を知りたいという声が多いわけですね。これは消費者としては当然の要望だというふうに思うんです。特に、野菜の場合、長期間輸入によって栄養成分が低下するということも言われている中で、長期間輸入された輸入野菜と国産野菜の差についていろいろこの調査のデータも出されているんですね。
 九八年に女子栄養大学で市販のブロッコリーについて三年間これを調べて、調査の結果が雑誌に紹介されました。アメリカからの輸入品と国産品との比較では、ビタミンCそれからベータカロチン、還元糖などで輸入品は国産の八割程度しかないということが結果として出ています。
 それから、文部科学省が五訂日本食品成分表というのを作成する際に使っている食品成分基礎データという中でも、例えばアスパラガスでは国産と輸入品で、輸入品の方が六二%のビタミンCの含有量になっているとか、枝豆で六七%、ブロッコリーで五九%という形で、国産の方がだから高いわけですよね。ここには輸送期間の差がやっぱり影響しているということが想定されているわけです。
 しかし、輸入野菜というのは実際には我々スーパーなんかに行っても、いつ輸出国で収穫されて、どのように輸送されて、いつ日本に輸入してきたのかということは全く分からないわけですね。大半が船舶の輸送で、例えばアメリカから輸入される野菜の場合は約一か月程度以上というふうに聞きますし、中国からは大体一週間ぐらいかと。韓国からも収穫後、関東の市場に届くまでは約五日間ぐらいは掛かるんだということなんですけれども、消費者はそういう情報、全然知らない、知らされていないわけです。
 最近は技術が発達していて、その鮮度を、見た目の鮮度を維持するということではいろいろ上手になっていますから、見た目には分からないということがあるわけで、消費者には判断できないわけですね。しかし、店頭でその国産と輸入ということで見た場合には、一緒に並んだときに比較するというと、価格があるだけで、あとはよく分からないと。これでは公正に判断できると言えないと思うんですね。
 その要望の中に出ているように、収穫日、出荷日の表示というのは、これは消費者が公正に判断する上では大事な判断材料になるというふうに思うんですけれども、これについての大臣の認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(亀井善之君) 大変、野菜や果実、出荷日や収穫日、これは農産物直販施設等において生産者の自主的な取組として表示をされておるわけでありますが、現実になかなか難しいことでありまして、消費者の立場に立ちますれば、今委員御指摘のように、その食品の表示を実現してほしいと、表示の必要性あるいは流通実態を踏まえたいろいろなことも必要なわけでありまして、これらはこれからもいろいろ御指摘のような点から検討、議論をしていく必要があると思います。
 実はこのことにつきましては、現在、厚生労働省と連携をいたしまして、昨年十二月に食品の表示に関する共同会議を設置をいたしまして、食品の表示基準全般について調査審議をお願いしておるところでもございます。御指摘の点や表示義務付けの問題等々、これらの課題を含めて、今後ともこの共同会議でいろいろ広い議論をしてまいりたいと、こう思います。
○紙智子君 大臣の認識としては、今いろいろその検討をすると。大臣の認識としては、やっぱり消費者の立場に立つならば、こういう収穫日、出荷日を示すということは、これはやっぱり重要な判断材料になるというふうに認識されているということでよろしいんでしょうか。
○国務大臣(亀井善之君) 事実、いろいろ私も仕事をやり、鮮度の問題、米の精米等々の問題につきましていろいろな経験を持っております。いろいろ消費者の皆さん方はこの日付の問題であるとか、もう大変関心をお持ちになっておりますことは十分承知をしております。
   〔委員長退席、理事田中直紀君着席〕
 現実に、その貯蔵、貯温であるとか温度であるとか、いろいろな努力を関係者もするわけでございまして、なかなか今の技術から、それだけで、出荷日あるいは収穫日だけで判断するということも一〇〇%とは思えないわけでありまして、いろいろこれ研究をする課題もあろうかと思いますが、基本的にはやはりそういうものが分かることは大変重要なことと、このように認識をしております。
○紙智子君 総務省にお答えいただきましたように、アンケートの結果を見ますと、生鮮品、それから加工食品の表示で、現在の表示で十分だというふうに回答している方というのは少ないですよね。農産物で七%とか畜産物で四%とか、それから水産で八%、精米で一六%、加工食品で九%しかないわけです。新たに義務付けてほしい表示ということでは、今紹介されましたように、農産物では六割の人がやっぱり出荷日や集荷日を表示を望んでいると。
 一月の総務省の行政評価局の勧告では、このアンケートの結果を紹介した上で、やっぱりこの食品について表示すべき項目等の、食品表示にかかわる現行制度の見直しを行う場合に当たっては、これらの消費者の意見にも十分配慮することが望まれるというふうにしているわけです。出荷日、集荷日、表示を実現すべきだというふうに私は思うわけですけれども、これについて是非進めていただきたいというふうに申し上げたいと思います。
 もう一度、じゃ、大臣お願いします。
○国務大臣(亀井善之君) 今御指摘の問題、先ほども申し上げましたが、食品の表示に関する共同会議、厚生労働省といろいろと、これから共同でいろいろ会議を進めてまいりまして、その努力をしてまいりたいと、こう思います。
 なお、いろいろこの出荷日あるいは収穫日の問題等々、いろいろ店頭に並ぶまでの時間も掛かるわけでありますし、また貯蔵技術や輸送技術等々もありまして、なかなか難しい課題でありますが、一方、今生産・流通業者等のコスト負担や消費者ニーズに対応の在り方等を踏まえて、トレーサビリティーの問題等々も踏まえた中で考えていくことが必要ではなかろうかと、こう思います。
○紙智子君 時間になりますけれども、これからの共同会議の中でということでもあるんですけれども、是非積極的に、やっぱり消費者に顔を向けた政策に転換をするということを言われてきているわけで、実現の方向で共同会議でも提起をしていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。