<第154国会 2002年7月12日 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第8号>


平成十四年七月十二日(金曜日)
   午前十時十六分開会
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査
 (沖縄振興特別措置法制定後の沖縄振興に関する件)
 (新大学院大学構想に関する件)
 (普天間飛行場代替施設に関する件)
 (沖縄振興計画に基づく産業振興に関する件)
 (在沖米軍基地の整理縮小に関する件)
 (那覇空港の整備に関する件)
 (北方領土問題等解決促進特別措置法の改正要望に関する件)
 (沖縄の戦後処理問題に関する件)
 (日米地位協定の見直しに関する件)
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○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 私は、北方領土解決促進のためのいわゆる北特法の問題について質問いたします。
 この北特法で、世論啓発、それから元居住者への援護、そして隣接地域の安定振興に対しての特別措置を講じていますけれども、この振興基金と市町村事業の補助率かさ上げの特別の助成について、十分な支援の措置になっていないということで改善の要望が関係自治体、地元住民から寄せられています。
 まず、この北方領土隣接地域振興基金についてなんですけれども、金利がどんどん低下してこの運用益が激減をしていると。そういう中で、当初の想定の三割から四割まで減少しました。最高時で五億九千万円使えたものが、平成十四年度の計画では二億四千五百十一万円ということです。この結果、基金による支援事業がかなり縮小して関係自治体の期待に沿えない状況になっていると。
 根室市の場合でいいますと、水産資源をもっと増やしていこうということの対策あるいは厚生施設の整備事業など、約一億円が支出をされて二億円の事業が行われているわけです。しかし、実際にはもっともっとたくさん要望が上がっていて二倍近くあるわけですけれども、財源が不足しているということで、学校や福祉施設なども含めた整備ですね、なかなか手が入れられないということで借金でやらなきゃいけない状況にもなっていると。
 それからまた、啓発事業ということで見ても、今まで十四回、北方領土返還祈願望郷ラインサイクリングということで、知床半島の羅臼のところからずっと根室半島に掛けてサイクリングをして、そして、島を見ながら大いに返還運動を盛り上げていこうという事業をやってきて、市民も含めて三百人前後の方が参加をするというのをずっと続けてきていたんですけれども、これもお金が足りないということで中止せざるを得なくなったと。
 ですから、こういう状況を踏まえたときに、やはりこの基金の事業を是非改善すべきだと思うんですけれども、そのおつもりがあるかないか、いかがでしょうか。
○政府参考人(坂巻三郎君) お答え申し上げます。
 先生のお話の中にございましたように、北方基金百億円の基金のうち、国が八十億円を補助、北海道から二十億出していただきまして、北海道の自治法上の基金として設置されたものでございます。
 これを国債、地方債、それから金融機関の預金等で運用いたしまして、その運用益を使って三分野の事業、隣接地域の振興、住民の生活安定、国交省の関係でございますが、一言申し上げますと、これは市町村単独事業に対する補助でございまして、地域の振興の全体の事業は国交省ほかの枠組みがございます。それから二番目に、北方領土問題、その他北方地域に関する諸問題についての世論の啓発、それから元島民の方の援護等の事業に対して補助をいたしているところでございます。
 それで、これまでの実績でございますけれども、五十八年度から十三年度までの運用益による補助金の総額は約六十億円となっておりまして、三分野の事業、隣接地域の振興は大体八割を運用益使って、あとの残りの二割を啓発と援護に使っているということでございます。
 隣接地域の振興に四十八億、それから啓発に六億、それから援護に六億が支出されておりまして、有効に活用はされてきたというふうには思っておりますが、先生御指摘のとおり、近年の市場金利の低下により基金の運用益が減少傾向にございまして、一般的な金利の低下ということもございますが、もう一つは運用の仕方ということもございまして、北海道とも相談をいたしまして、従来、利率の低い定期預金に預けていたものをもっと利率の高い公債の運用に回していただくと。今まで預けていたものを急に引き揚げるということはできませんので、定期預金の期限が切れたときに高い方にというようなことも工夫を加えまして、運用益が来年度は少し増えまして二億四千五百万、昨年度が二億二千六百万でございますので、わずかではございますが、運用の仕方を工夫することによって増えたということもございます。
 それから、全般の運用益自身もそんなに大きくないわけでございますけれども、できるだけ効率的に使っていただくということで工夫を進めながら、わずかながらでありますが改善を進めていきたいというふうに基金の関係については思っております。
○紙智子君 今、基金の運用益の問題についてお話があって、様々なやり方を工夫して考えるということでもあるんですけれども、この補てんということでは、例えばJR、国から譲り受けてその後、運営、運用しているわけですけれども、JR北海道、四国、九州、ここに対する支援策で、経営安定基金の運用益の確保のために、運輸施設整備事業団がこの経営安定基金から一定の高い金利で借り入れるということでもって運用益の確保を図っているという例がありますね。
 ですから、そういう形で本当にやる気になればいろいろな形でできるということでもありまして、その意味では、実際にやはり運用の目減りが相当されているわけですから、そこを是非予算措置で補うということで検討していただきたいと思いますが、もう一度お願いします。
○政府参考人(坂巻三郎君) 今、基金の関係に限ってということでお答えしましたが、北方領土隣接地域につきましては、北方領土問題に係る経費が非常に多額に上るという趣旨から、総務省の関係でございますけれども、地方交付税の特別交付金、例えば十三年度であれば一市四町に三十七億、核となります根室市はたしか十三億だったと記憶しておりますが、そういう手当てもされております。
 ただ、せっかく今、先生からのアイデアの御紹介もありましたので、そういうのは事務的にも勉強していかなければならないというふうには存じた次第でございます。
○紙智子君 それから、補助率のかさ上げの特別助成の問題ですけれども、これが発足以来十七年間、根室市と別海町にはただの一度も適用されていない、羅臼町はわずか一回だけということなんですけれども、これ、間違いありませんか。
○政府参考人(林延泰君) ただいま委員の御指摘のとおりでございます。
○紙智子君 一回も適用されていない、指摘のとおりということなんですけれども、そうなりますと、やはり法の趣旨に基づいての特別措置というふうに言えないんじゃないか、法の目的が実行されているというふうには言えないんじゃないかというふうに思うんですが、その点もやっぱり改善するべきではないんでしょうか、いかがでしょうか。
○大臣政務官(森下博之君) 国土交通省といたしましては、昭和五十八年四月に同法が施行されて以来、北方領土の隣接地域の安定振興を図るための施策を積極的に講じてきたところであります。今後とも、地方自治体の御意見を承りながら、関係省庁との密接な連携の下に同法に基づく諸施策を積極的に推進をいたしまして、北方領土隣接地域を安定した地域社会として形成をするように努めてまいりたいと考えております。
 なお、同法の見直しにつきましては、同法が議員立法により制定されたものであることから、関係議員の皆様方や関係機関との十分な御相談を申し上げてまいりたいと考えておるところでございます。
○紙智子君 議員立法でということで、もちろん国会としてやらなきゃいけないと思うんですけれども、議員立法だから行政は関係ないというわけではもちろんないわけで、その意味ではきちっとやっぱり検討していく必要があるというふうに思うんです。
 それで、一回も適用にならなかったということには、この補助率かさ上げの特別助成が結局、制度に矛盾があるからじゃないかというふうに思うんです。
 対象となる事業、特定事業ですね、この地元負担額がその市町の標準負担額、これが財政収入の一〇%ということなんですけれども、それよりも多くならないと適用されない。そうすると、非常に大変大きな規模の事業でなければ適用されないということになってしまうと。それで、適用されるためには規模を大きくしなきゃいけないということで、必要でないものも含めてといいますか、余りそんなに必要とされていないこともやっぱり含めてそういう計画を作らなきゃいけないということになると、ただでさえ今、地方自治の財政、大変な中で、これはなかなか自治体には負担が大き過ぎて使えないということになっていると。
 それで、一方で沖特法が先日決まったわけですけれども、沖縄の場合、今度、振興法でほとんどの事業が補助率で言うと六〇%などを法律で定めているわけですね。北方問題も、やっぱり領土問題ということでは政府間の交渉で左右される、そういう特別の問題があるからこそ作られてきた、そういう法律だというふうに思うんです。
 補助率の特別助成が適用されるようにするには、せめて地元の負担額が標準負担額を上回るという厳しい条件といいますか、これを撤廃することも含めて検討すべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(林延泰君) お答えいたします。
 委員御指摘のこのかさ上げの問題、この第七条でございますが、この七条というのは、国の補助を受けて実施する事業で政令で定める特定事業について廃止前の新産・工特財特法の例により補助率のかさ上げを行うということを規定しているわけでございますが、この同条が廃止前の新産・工特財特法の規定を例としている趣旨は、一つは、かさ上げ率が当該年度の特定事業に係る地元負担が多くなるに従って高くなる仕組みになっていること、もう一点は、地元市町の財政力指数によってかさ上げ率が調整されることなど、特別の助成として国と自治体の間の適切な負担配分を行うものであることからそのスキームを援用しているものと理解してございますが、先ほど政務官が答弁されましたが、同法が議員立法により制定されたものであることから、関係議員の皆様方や関係機関等と十分御相談してまいりたいと存じてございます。
 以上でございます。
○紙智子君 今、新産・工特財特法というんですか、これに基づいてというような話があったんですけれども、それ自体も、果たしてこういう領土問題が解決しないために財政が落ち込んでいるという、そういうところに適用するということ自身もどうなのかなということも含めてやっぱり問題は議論しなければいけないことだというふうに思います。
 それで、今、北海道も同様の要望をまとめようということも聞いていますし、北海道や関係自治体とも協議すべきだというふうに思いますが、それにこたえる用意はあるでしょうか。
○政府参考人(林延泰君) 関係市町とその辺は十分相談してまいりたいというふうに考えてございます。
○紙智子君 協議をしていくということですね。
 それでは、漁業にかかわっての質問をいたします。
 昨年の日ロ漁業交渉で、ロシア側がオホーツク海の外国船の操業を禁止し、その他の海域も自国の企業優先のオークション、競売による販売方式を強めている、日本を始め外国船の操業縮小の方向を強めているということなんですけれども、現地の根室では、このまま日本政府の対ロ漁業外交が続くならば、根室の漁業は、ロシア水域はおろか、四島の周辺水域からの撤退も余儀なくされかねないと非常に強い危機感を持っています。
 近年、ロシア側の要求というのはエスカレートしてきています。オブザーバーで乗船が義務付けられているロシアの公務員に法外な日当が要求されて、日本からは、日本の漁業経営というのはそんな状態じゃないんだということで厳しい状況を伝えて、その支払う能力もないと言って拒否して、ようやっと下方修正して、それでも一万二千円だというようなことになっているとか、あるいは花咲港や釧路港などでは、市場にまでロシアの監視員が視察に来て、サケ・マスの荷揚げの監視をしている、何匹揚がっているかということまでやっていると。そのほかにも、いろいろと日本側も監督者の機嫌を取らなきゃいけないということですとか、非常に日当の支払や市場の監視なども屈辱的だと、主権侵害になるんじゃないかというような声も出ているわけです。
 これについて外務大臣、こういう話は御存じでしたでしょうか。そして、どのように思われますか。
○国務大臣(川口順子君) 今、委員がおっしゃられましたロシアの経済水域で外国の操業を減らしていこうとか禁止をしようとか、あるいはロシアの乗船をした人に高いお金を要求しているとか、それから市場に来ているとか、お話ございましたけれども、まず、ロシアの経済水域で外国漁船の操業を禁止をしようという報道は見たことが、承知をしていますけれども、それについて事実関係を照会しましたけれども、そういう事実はないという、確認をされませんでした。
 それから、市場その他であるいはロシアの人がチェックをしているとかということについては、私は事実関係は承知をいたしておりません。
○紙智子君 現地では本当に、だからもう何とも言い難いという怒りを持っているわけですよね。
 それで、要求のエスカレートということでいいますと、北方四島の周辺の安全操業協定ということでも同じです。毎年、操業条件を決める交渉で、二〇〇〇年の十一月の交渉から、漁業者が払う協力金ですね、この協力金、それから、機材供与のほかに今度支援委員会の技術支援が加わっているんですね。内容は、サハリンへの重機が四億数千万円というふうに報道されています。
 この安全操業協定ではそのような技術支援が必要と記されていないわけなんですけれども、それなのにどうして盛り込まれるようになったのか。また、この支援委員会の規定に照らしてこういう支出が許される根拠が一体どこにあるのかということについて、欧州局長、お願いします。
○政府参考人(齋藤泰雄君) お答えいたします。
 御指摘のサハリン州に対します技術支援でございますけれども、これは、サハリン州におけます市場経済への移行を目指す改革を支援することが対日理解の促進にも資するという考えの下で実施しているものでございます。
 このような支援を行いますことは、四島周辺操業枠組み協定に基づきます操業等の円滑な実施に資するという意味におきましてこの協定と付随的に関連するものでございますけれども、入漁料ですとかあるいは漁獲量に見合った対価ですとか、そういった性格のものではございません。
 このサハリン州に対します技術支援の根拠はどうかというお尋ねでございますけれども、これは、サハリン州におきましてエネルギー状況が非常に慢性的に危機的な状況にあるという状況にございまして、石炭採掘機材の老朽化が問題となっておりまして、重機を供与することによりましてこういった事態の改善が期待され、また同地域の経済安定化、改革促進に貢献するということで、市場経済への移行を支援するという支援協定の規定に合致するものだというふうに考えているわけでございます。
○紙智子君 今の回答では全然よく分からないんですよね。
 支援委員会の規定の中でも、第三条にそういう規定というのはないわけですよね。やっぱり、人道支援かあるいは緊急のいろんな問題が起こったときに、緊急的な立場でやるとか人道支援とか、そういうことが主になっているわけで、今答えられた中身というのは全然違うんじゃないかと。
 そして、漁業を操業していく上での円滑化にもかかわるという、直接協力金とかではないけれども、そういう円滑化にかかわるというんですけれども、漁業者の負担を軽くするかといったら、全然そうじゃありませんよ、実態は。とにかく、四千万円ですかの協力金を出さなくちゃいけない、そのほかにも機材供与も強いられていると。それで本当に負担を軽くするというのであれば、本来は国が援助すべきだというふうに思うんです。
 こんなおかしな、技術支援がなければ操業できないというのは問題だと思いますし、こういう枠組みを作るのに結局、鈴木宗男議員の関与が取りざたされているわけで、この支援の内容それから業者、これは二〇〇一年の三月の十一日に鈴木議員が参加したサハリン州のユジノサハリンスクの日本総領事館の開設パーティーでこの支援の内容と業者を発表した、披露したそうですけれども、入札がこれに間に合うように無理に急いでいるというのが見て取れるわけですね。通常は、二億円以上の物件は、入札は新聞で公告した後、二十数日間掛かるわけですけれども、この場合は公告が新聞に出たのが三月一日だと。説明会もやっていないと。それで、公告開始のわずか八日後に行われているわけですから、これは鈴木議員の訪ロに間に合うように急いだというふうに言うしかない実態だと思うんです。
 それで、外務省はこの鈴木議員の関与についてはどのように把握しているのか、それについてお答え願います。
○政府参考人(齋藤泰雄君) ちょっと今の御質問にお答えする前に、先ほどの支援委員会設置協定との関係でございますが、この協定第三条一(b)(6)におきまして、「受益諸国における市場経済への移行の円滑な実現に資する活動のために必要な物品、機材等の購入」という条項がございまして、重機の供与は、先ほど私が申し上げました理由によりこれに該当するということでございます。
 それから、鈴木宗男議員との関連でございますけれども、鈴木宗男議員の地元であります北海道の漁業者に関係するということで、同議員がサハリン州に対する支援に対しての強い関心を有していたということは事実でございまして、我々、そのように思うわけでございますけれども、対サハリン支援について同議員から何らかの圧力があったというようなことは確認をされていないということでございます。
○紙智子君 とにかく、余りにもちょっと不自然だということでは、是非、外務大臣、これ、調査していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) この点につきましては、新日本監査法人にお願いした第三者による調査の対象に含まれておりまして、その調査結果では、具体的な関与については確認できていないということでございます。
○紙智子君 全然納得できるものではないですけれども、いずれにしても、この肝心の四島周辺の漁業絡みの問題で言いますと、この漁獲量は、割当てというのは本当に少なくて、実際に捕れないし、おまけに設置した網がロシアのトロール船でずたずたにされると。それに対する補償もないという事態ですし、多額の協力金も払う、そして赤字も大変だと。この上、こういう支援委員会の多額の支出がないと操業できないというのであれば、今この支援委員会の廃止をどうするかというようなことをめぐって議論になっているわけで、ますます協定に基づく操業というのは不安定になってくるんじゃないでしょうか。
 大臣、この経営が成り立つような条件で安全操業ができるように努力するのかどうか、その決意をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 外務大臣といたしましては、これは、交渉ということは外務省の所管でございますけれども、漁業が成り立つような状況かどうかということについては水産庁が所管をいたしておりますので、いずれにいたしましても、水産庁とよく相談をしたいと考えます。
○紙智子君 今後の漁業交渉の問題ですけれども、元々、日ソ地先沖合漁業協定は、それぞれの国の主張、二百海里、この水域を認めた上で成り立っているものだと思います。
 協定の前文に、「千九百七十七年五月二日付けの日本国の漁業水域に関する暫定措置法に基づく漁業に関する日本国の管轄権並びに千九百八十四年二月二十八日付けの」、ずっとあって、ソ連邦の「主権的権利を認め、」云々ということで作られているわけですけれども、ロシアと他の国の二百海里をめぐる交渉の結果、境界が画定していないけれども、お互いに話し合って重複する水域での共同水域を定めてやっているとかいうことは外国の例であるのでしょうか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) ロシアとの間で二百海里水域の境界線が画定していない部分を有している国としましては、ノルウェー、米国及びウクライナがあるというふうに承知しております。
 ロシアとこれらの国との間で問題となっております水域での漁業問題の取扱いぶりについて、我々が承知しているところは以下のとおりでございます。
 まず、ロシアとノルウェーの間でございますけれども、バレンツ海における境界線の引き方が画定していないということから、協定の中で問題の水域を特別の漁場として定めまして、毎年協議して、漁船数ですとか操業ルールを決定しているというふうに承知しております。
 また、米ロ間では、ベーリング海において境界線をめぐる交渉が継続されておりますが、暫定的な境界線が決められておりまして、漁業については、米ロ両国が暫定的な境界線の内側でそれぞれの国内法に基づき操業を行っているというふうに承知しております。
 また、ロシアとウクライナの間では、黒海及びアゾフ海における境界線が画定しておらず、漁業問題については毎年の両国間の協議により決定されているものと承知しております。
○紙智子君 今紹介いただいたように、やはりそういう協議をして、それを踏まえて共同漁業の水域を設定して漁獲を認め合うという形になっていると思うんですけれども、そういう例から見ても、私は、日本の主権が存在している、そういう立場を明確にした漁業交渉の在り方を検討すべきだと思うんです。
 我が党は、二十数年前から、この領土問題が未解決の下で両国の二百海里水域が重なる部分の共同管理方式を提案をしてきました。資源管理も含めて、地域の機関を作って両国が共同でやると。これは国連海洋法の立場にも合致するものだと思いますけれども、少なくとも北方四島の管轄権のある、立場に見合った交渉方針を検討するときではないかというふうに思うんですけれども、外務大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 北方四島が我が国の固有の領土であるということについては、これは言うまでもないわけでございますが、北方四島がロシアの不法占拠の下にあるという厳しい現実があるということも、これまた事実でございます。
 この日ソ地先沖合漁業協定におきましては、日ロ双方が自国の関係法令に従って、北西太平洋の自国の二百海里水域において他方の国の国民及び漁船が漁獲を行うことを許可をしているわけでございます。この協定の下で北方四島に対する日ロ両国の領土的主張が重複をしていることにかんがみまして、我が国の二百海里水域とロシアの二百海里水域が重複をして設定をされているということでございます。こうした異常な事態の解消には、遺憾でございますけれども、北方領土問題そのものの解決を待つほかないというふうに考えております。
 ただ、北方四島に対する我が方の立場につきましては、この協定の第七条に「いずれの締約国政府の立場又は見解を害するものとみなしてはならない。」という規定が置かれておりますので、この協定のいかなる規定も領土問題に何らかの影響を及ぼすということでは全くないということでございます。
○紙智子君 時間になりましたけれども、やはり今のままではじり貧になっていくということの中で、改めてその解決の方向、抜本的な対策ということと、今日明日どうかなるということではないわけで、その意味では、その抜本的打開策と併せて当面する振興策ということでも是非力を出していただきたいということを最後に述べまして、質問を終わります。