<第154国会 2002年6月4日 農林水産委員会 第12号>


第154回国会 農林水産委員会 第12号
平成十四年六月四日(火曜日)
   午前十時一分開会
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  本日の会議に付した案件
○農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関す
 る法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
○農林水産に関する調査
 (牛海綿状脳症問題に関する件)
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○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 昨年の九月にBSEの一頭目が発見されて以降、この委員会でも何回も質問で取り上げてまいりました。野党四党で緊急措置法案を作りまして、その実現に向けて、この間、集会やシンポジウムやまた署名運動なども生産者や業者の団体などとも連携をしながら展開し、大きく盛り上げてきたというふうに思っています。与党案に対する我々の修正意見もこの間のやり取りでかなり取り入れられて、一日も早い法案の成立に期待を寄せてきた生産者や業者、消費者に対しても励みになるものと思います。
 しかし、法案ができたらよしということではなくして、やはりこの法案の成立を機に本当に実効力が発揮されると。できた結果として、今までよりも本当に安心していろんな対応策を受けられるというふうにしていかなければいけないというふうに思っています。
 そこで、幾つかの点について質問をしたいと思います。
 BSEの感染原因、そして感染経路についての一刻も早い解明というのは、信頼回復にとっても不可欠であって、引き続き本当に強い国民の願いだと思います。早期原因の究明の促進のためにも、やはり科学者や専門家を入れた原因の究明委員会を立ち上げるつもりはないかどうか、まずこの点、お伺いします。
○国務大臣(武部勤君) これまでもBSEに関する技術検討会に諮りまして、専門的、科学的な見地からの助言をいただいて、この一次、二次の中間報告を発表させていただいているわけでございますが、委員御指摘のとおり、やはりこの種の問題は専門的、科学的、客観的に検討していくということが非常に大事なことでございます。原因究明に向けまして、そういったことをより強く意識しながら取り組んでまいりたいと、このように思います。
○紙智子君 やはりヨーロッパなどでも断続的、持続的にといいますか、継続して、専門家も省内だけじゃなくて外部からも入れたそういう体制を作ってずっとやってきているわけで、やっぱり四頭目が出て、更に一層、いろんな今までに共通する問題なんかも出てきている中で、やっぱり一層これを早く解明をしてほしいということになってきているわけです。
 ですから、そういう意味では、当初の段階では原因を研究するチームもできているけれども、しかし省内で、各支所なんかも協力も得ているけれども、兼任でやっていて非常に大変だという事態もあったわけですけれども、やはり一層早くそこを促進するという立場からそうしたことも検討すべきではないかと、そしてやっぱり国民に分かるように公開もしてやるべきではないかというふうに思うんです。いかがでしょうか。
○国務大臣(武部勤君) 今までも専任の職員を置きまして、十二名によるチームを作ってやっているわけでございます。
 これからの問題としては、私はこのリスク評価については、リスク分析に基づいて独立した機関を設けると。その独立した機関には、それぞれの危害といいますか、リスクに対応した評価チームというものも作るという方向でございますので、今、委員が御指摘のように、第三者といいますか、そういった方々の意見が多く入る、そして公でそういったものの検討が進められていくという方向になるんだろうと、私はこう思います。
 農林水産省としてやってきていることは、これはBSE問題に関する調査検討委員会と違いまして、これはもう個別具体の問題ですから、もうありとあらゆるところを使ってやっていかなきゃならないと思いますし、そういう農林水産省にも動衛研でありますとか、いろんな機関がございます。場合によっては外に専門家の意見を求めてやるようなことも当然やってきているわけでございますし、やっぱりこの調査とか検査ということは立入り権というものがございます。これはやっぱり行政の力というものが働かなければ、一般民間の人に工場に立ち入るとかいろんなものを出せとか、そういったことはなかなか難しい一面がございますので、そういった専門家や第三者の方々の意見を取り入れながら、また公開というようなことについては今やそれが原則でございますので、そういうことで今の原因究明、感染源の究明、感染ルートの解明に向けて、できることならばどんなことでもやっていきたいというのが率直な私の考えでございます。
○紙智子君 第二次中間報告では、汚染の可能性のあるイタリア肉骨粉の行方、それから代用乳の動物性油脂の安全性など焦点も絞られています。これらの調査を含めて、いつごろまでに第三次の中間報告を出すつもりでしょうか。
○国務大臣(武部勤君) 前段申し上げておかなきゃならぬのは、私どもは予断を持たずに幅広く調査するということが基本だと、こう思っております。
 しかし、委員御指摘のように、イタリア産肉骨粉について、九八年六月一日以前に輸入された肉骨粉については更に詳細な調査を実施する必要があるというようなことで、肉骨粉の仲卸業者への立入検査等によりまして国内流通経路の調査も実施しているところでありますし、代用乳については四例に共通する飼料でありますことから、当該農家への販売時期からさかのぼりまして製造時期を調査するとともに、再度専門家を、これは六月八日でございますが、オランダに派遣して、動物性たんぱく質の混入の可能性等について調査をする予定でございまして、これらの調査状況、結果については、先ほど言いましたように専門家による分析もいただかなきゃなりません。
 ある程度まとまった段階で報告書として取りまとめを行っていきたいと思いますが、いついつまでということについてはちょっと明言することは困難ではないかと。私としては、可能な限りより早くそういった調査を進めてまいりたいというふうに思っております。
○紙智子君 いつになるか分からないということではなしに、やっぱりめどを持ってやっていただきたいというふうに思うんですよ。それは、ともすれば、諸外国で発生しているけれども、しかしなかなかこの解明は難しいというような雰囲気になってしまったら駄目だと思うんですね。やっぱりこれは必ず解明できるんだと、解明できるし、しなきゃいけないという姿勢を農水省として強く示していただきたいということからも、やっぱりいついつぐらいまでにはまとめて第三次の中間報告も出そうということでやっていただきたいということなんですね。その点、どうでしょう。
○国務大臣(武部勤君) 私どもの行政の手法として、時間軸といいますか、工程表を作ってやるようにということを今あらゆる行政の分野で徹底を指示しております。ですから、やれるだけやるとか、仕上がるときまで続けるというようなそんなやり方はさせていません。
 しかし、一つの目安を持ってやろうということでやっているわけでありますし、そのことについては委員の御指摘を踏まえて、できるだけこの時間軸ということを更に重視してやっていきたいと、こう思いますが、しかし、ここでいついつまでというようなことは、これは先ほど、予断を持たずに調査するというようなことでございますので、これは代用乳だとかイタリアの九八年以前の肉骨粉、それだけ調べろと、それをいついつまでに調べろというんだったらある程度、いついつまでとできるかもしれませんが、絶対的にそれだという前提でやっちゃいけないと私は思うんですね。
 ここには共通項目がありますから、そういったことは重点的にやりますけれども、しかし予断を持たずに幅広く調査するということがこれ基本だと、こう思っておりますので、考え方はよく理解しておりますので、ひとつ私どもも、今私がここでいついつまでにやらせますというようなことを申し上げることは難しいことを御理解いただきたいと思います。
○紙智子君 イタリアからの肉骨粉の輸入についても、加圧そして加熱条件をクリアしていなかったと。にもかかわらず、確認もせずにやり過ごしてきたということでは、日本側の防疫や検疫に対する姿勢の甘さが明らかになったと思うんです。そのことに対する反省はありますでしょうか。
○国務大臣(武部勤君) これは、その後のことは我々がこんなことでは駄目だということで何度も問い合わせてやっているわけでありますし、その結果として、イタリアの方もそうではなかったと、加圧処理条件が満たされていなかった、事実に反する記載内容の証明書が発行されたというようなことが分かってきたわけでございまして、先般も在京大使館より、政府が原因究明及び改善方策を検討中であるという報告も得ているところでございまして、このBSEのリスク評価を行い、その結果に基づきまして、我が国における輸入時の精密検査、製造工場等の指定、原料の原産地の特定、我が国家畜防疫官の巡回調査等を実施することによりまして輸入検疫に今後万全を期してまいりたいと、このように思います。
 いずれにいたしましても、本件のみならず、今回のBSEの問題について言えることは、危機管理対応、危害の発生に対する予防的な視点等に不備が見られたということは事実であります。これらの新たな課題への対応を更に強化する必要があると、こう考えておりまして、今は厳しく対応を指示しておりまして、そういう方向で進めているということを御理解いただきたいと思います。
○紙智子君 今いろいろなことを言われたんですけれども、反省はあるんでしょうか。その点はどうでしょう。はっきりおっしゃらなかったので。
○国務大臣(武部勤君) まだ私と紙先生のコミュニケーションが足らないなと、こう思っているわけでございまして、本件のみならず、今回のBSE問題で危機管理対応、危害の発生に対する予防的な視点等に不備が見られたということは事実でありますから、これらの諸点を踏まえて、つまりそれは、分かりやすく言うと反省、厳しい反省の上に立って更なる強化に努めてまいりたいということでございます。
○紙智子君 飼料の安全性をめぐって感染ルートの解明を困難にしているのは、飼料や飼料添加物が流通ルートに乗りますとこの産地を特定することが困難な仕組みが一つの要因になっていると思います。輸入飼料に依存して、BSEだけでなく口蹄疫なんかもそうですが、飼料を介した病気の感染が問題になっているときに、飼料に原料の原産地の表示が義務付けられていないというのは問題があると思うんです。
 今回、飼料安全法を改正して、飼料の製造業者、輸入業者、販売業者が備え付ける帳簿の保管の期間を延長する、あるいはこの記載の事項の追加ということを行うことになっているわけですが、その中には原産地も入るんでしょうか。そして、流通する飼料にも同様に原料の原産地表示を義務付けるということになるんでしょうか。
○国務大臣(武部勤君) 飼料のトレーサビリティーの確保については私は非常に重要だと、このように認識しておりまして、飼料の流通等の履歴を把握するために輸入先国名や輸入の相手方の氏名、輸入飼料の原材料等について帳簿の記載事項の追加を検討しているわけでありますし、動物検疫の対象となる飼料に原材料の原産地の記載が義務付けられる場合には帳簿の記載事項とすることはそのとおりだと、このように思っております。
○紙智子君 今のお答えは、原料の原産地表示を義務付けるように検討するという点ではそのとおりということですか。
○国務大臣(武部勤君) そのとおり、そのように受け止めていただいて結構でございます。
○紙智子君 今回のことを通じて、やはり輸入している業者も、それから飼料業者も、自分が輸入している製品がどんな成分でどこから来ているのかということに関心を払わずに商売を続けるということ自体もやっぱり正されなきゃいけないという問題になっていると思います。そこはやはり厳しくしなければ、今まで大きな被害を受けた方々にとっても納得できないし、信頼回復のためにも、本当に安全な飼料の確保のためにもそこは大事なことだというふうに思います。
 それから、この間の審議を通じまして一番残念に思っているのは、国の責任ということがこれだけ明確に指摘をされながら国が全面的に損失に対する補償を行おうとしていないという点です。
 今回の法案は、第九条で経営の安定対策について必要な措置を講ずるものとしています。そして、基本計画でその中身を定めるということになっています。これを受けて政府としては、これまで取った対策で、今までの対策ですね、BSE対策で良しとしないで更に充実していく、今まで以上のものを基本計画の中に取り入れていくつもりはあるのでしょうか。
○国務大臣(武部勤君) 必要なことは基本計画で取り上げていくことは、そのとおりだと思います。
○紙智子君 例えば、この間、これも去年から繰り返し質問もしてきたことですけれども、業者の方々に対しての支援というのは融資しかありませんね。それで、無担保無保証という話がありましたけれども、やっぱりこの事態が起こったのは、自分たちが何か投資をして失敗したということではなしにやっぱり国の責任で起こった事態で、せめて無利子でやってほしいという要求も出されてきたわけですけれども、こうしたことについては今後検討するということになりませんか。いかがですか。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 食肉の販売業者の皆様方に対する措置でございます。
 率直に申し上げまして、政府のできることというのは、緊急に必要な資金を設けましてできる限りの利子補給を行うということと、やはり牛肉需要の回復を図るための消費拡大策を講じまして消費の回復を図るということを中心に今後とも検討をせざるを得ないのではないかというふうに思っております。
 その中で融資措置を無利子化するということは、他の政策金利の体系等もございまして、政府がそのような措置を講ずるというのはなかなか難しい面があるということを御理解をいただきたいというふうに思っているわけでございます。
○紙智子君 特別の事態に対してということですから、そういう意味で私は最低限でもそこはやっていただきたいということを繰り返し強調しておきたいと思います。
 次に、廃用牛の対策ですけれども、この間発見された四頭とも九六年の春生まれであることから、大臣はその牛について優先的にサーベイランスを行うと、出荷を促進するために協力してもらう対策の検討ということをおっしゃいました。その検討状況というのは今どうなっていますでしょうか。
○国務大臣(武部勤君) 乳用牛のBSEサーベイランスの強化を専門家の意見を聞いて具体的に検討するように事務方に指示をしてきたところでございます。
 また、具体的には、従来からのサーベイランスの対象になっているもの以外に、起立困難や起立不能で原因が特定できない牛もサーベイランスの対象に追加するということに相なりました。さらに、今後、九六年三月、四月生まれの乳用牛については、この起立困難、起立不能以外でも病性を行うことが適当と認められるものについて、農家の理解と協力を得て家畜衛生保健所で病性鑑定を行うということにいたしました。死亡牛の検査についても、九六年産を優先的に実施することなどをこれまでまとめております。
 今後は、やはり専門家の意見を聞いた上でサーベイランスの強化の方法を決定していくこととしているわけでありますが、やっぱり酪農家の積極的な協力が必要でありますので、検査に協力しやすいような環境づくりということを今検討しているわけでございます。このことについては、現場の意見等も踏まえてできるだけ速やかに進めてまいりたいと。これはもう一週間も十日も先の話ではないと、こういうふうに認識していただいて間違いないんじゃないかと、こう思いまして、今朝ほども、私はこれをもう早くまとめろという話をしているところでございます。そういう段階でございます。
○紙智子君 出荷検査促進のためにも、そして経営を守る必要な措置としても、やっぱり根本のところではこの廃用牛をBSEの発生前の価格で買い上げるべきではないかと思うんです。これ引き続き生産者の強い要求です。
 廃用牛の流通は緊急推進事業に基づいて順調に進んでいるというお話されるんですけれども、確かに一時期よりは今回ってきていると思うんです。しかし、元々の発生前から見れば、やっぱり依然として出ている頭数というのは増えているわけではなくて、そういう意味では、先ほども北海道が独自に対策を取ったという話ありましたけれども、そういうことをやること自体がなかなか出ないことを促進するためにやっているわけで、私は、これは本来国がもっとやるべきだというふうに思うものですけれども、そういう意味からでも、せめて廃用牛の問題については法律が制定されるという新しい時点に立って検討するべきではないでしょうか。
○国務大臣(武部勤君) 委員は四万円の水準では足りないと、こういうことなのかもしれませんが、国が廃用牛をBSE発生前の、発生前の水準にはまだ行っていませんけれども、ここのところ上がってきていまして二万から三万になってきているわけでございます。ですから、これは全部四万円で、更に買上げ価格として四万円というのはやっぱり適当じゃないのかなと、こう思いますが、先ほども言いましたように、さっきの道の百万円というやつは患畜の話でございますので、我々は互助制度というのを作っておりますことは御承知のとおりだと、こう思います。
 先ほども言いましたように、協力してもらうための方策、環境づくりについては今検討中でございます。
○紙智子君 ちょっとここはもう平行線のままなんで、次に移りたいと思います。
 原因究明と食の安全にとっては、検査がきちんと行われるように検査体制が重要だと思います。
 それで、厚生省にお聞きいたしますが、全国のBSEの検査体制は強化されているんでしょうか。と畜検査員の人数強化状況についてお聞きします。
○政府参考人(尾嵜新平君) 都道府県等におきます食肉処理時の検査に携わっている獣医師は、平成十二年度末の数字で二千三百五十六人でございます。昨年の全頭検査の開始以降、各自治体の方では増員あるいはOBの嘱託活用、そういったことも含めまして検査体制の強化に努めていただいているという状況だと承知しておりまして、十三年度末の職員数につきましては現在集計中でございます。
○紙智子君 今の体制で十分なんでしょうか。労働の実態、先ほども出されていましたけれども、実態や人数が本当に適正なのかきちんと掌握をし、そしてこの間、四頭目が発生した音別で獣医さんが亡くなるという事態もあったわけで、本当にその背景に診断することの難しさや検査体制の不足と過重な負担が掛かっていたんじゃないかということが言われているわけです。
 先日、音別で行われた集会に近くで仕事をされている獣医さんが参加されていまして、その獣医さんもBSEかどうか判断するというのは本当に難しいことなんだという話していましたし、どう判断するのかというのは葛藤が常にあるんだという精神的な負担も含めておっしゃっていました。
 酪農が北海道は主体ということで、二〇〇〇年度に全国で屠畜された牛のうちの一五%に当たる十八万八千頭が北海道で処理されているわけですけれども、道内の検査員が今百三十四人と、全国の五・六%なわけです。全国の半数の乳用牛が集中しているこの北海道の検査員に掛かる重圧ということでは計り知れないものがあると思うんですが、その辺のところはいかがでしょうか。
○大臣政務官(田村憲久君) 食肉処理時の検査に携わっておられると畜検査員の皆様方、これはもう先生御案内のとおりでございますけれども、ほとんど都道府県等の職員であられるということでございますが、直接的にこの増員を図るというのは、厚生労働省所管じゃございませんので直接増やすことはなかなか難しい、これは御理解をいただきたいと思うんです。
 ただ、そうはいいましても、これだけ社会的な大問題でございまして、国民の皆様方が大変御不安に思われておられる件でございますので、例えば平成十三年度補正予算で付けましたような例の新たな緊急地域雇用創出特別交付金、こういうもので実は屠畜検査にかかわるような補助職員の確保というものを図ろうということで対応ができるようにさせていただいております。十六年度まででありますから、これは三年間の措置であるわけでありますけれども、このようなことをさせていただいたりとか、また、十三年度の特別交付税におきましては、BSE検査に係る超過勤務手当でありますとか、また臨時雇用獣医師さんの補充、こういうものに関しても措置をしておるということでございまして、これは十四年度も我が省といたしましては要望を出させていただきたいというふうに思っております。
 それから、今、例の釧路保健所の獣医さんの話が出ました。大変不幸な出来事でございまして、我々も本当に心から御冥福をお祈り申し上げるわけでありますけれども、これに関しましては、なかなか一人では過重であると。おっしゃられますとおり、今回の件に関しましても、なかなか診断だけでBSEかどうかというのは把握できづらいところがございます。
 そこで、一人では過重であるということでございますから、できれば複数の検査員の方々が対応できるように今それぞれ都道府県にお願いをいたしております。同時に、なかなか複数難しいということでございますれば、一人でどうしても担当する場合には、どなたか他の方々に御相談をいただくとか、若しくは当日なかなか御相談をしていただくのが難しいんであるならば翌日に延ばしていただいて、翌日御相談をいただいた上で判断をいただくとか、そういうような制度ができないか、体制が取れないかということで、その点も各都道府県にお願いをさせていただいております。
 更に申し上げますと、この問題は、牛自体が食肉市場に食肉として出るまでの間にいろんな所管が違いまして、そこでいろいろ牛の症状を判断したりとか検査をしなきゃならない。例えば、農場においては家畜診療という話になりますと農業共済組合という話になりますでしょうし、また途中の家畜伝染病予防法等々の範囲になりますと家畜保健衛生所になりますし、そしていよいよ食肉という話になってきますとこれは食肉衛生検査所という話になるわけでありまして、そういう意味では非常に範囲が広い、また担当が違う等々がございます。
 今おっしゃられましたような部分で、なかなか判断がしづらいという話に関して、じゃ、それを食肉処理場というようなところで判断するまでの間に、例えば病畜に関しては、基本的に神経症に対するいろんな症状が見られた場合に関しては、それは食肉の方に出さずに、家畜伝染病予防法等々で対応しております家畜保健衛生所の方、そちらの方で対応をしていただくような形にしたらどうだとか、今いろいろとお願いをさせていただいておりまして、いずれにいたしましても、農水省とも議論をしながら、より緊密な連絡を取って対応できるように今努力をいたしておるような次第でございます。
○委員長(常田享詳君) 時間迫っております。
○紙智子君 本当はあと二つあるんですけれども、ちょっと絞って、最後一つ農水省にお聞きしますが、サーベイランスで、さらに法律で明記されている二年齢以上の死亡牛を全頭検査するに当たって、今の家畜保健衛生所等の体制がどうなのかと、どう強化するつもりなのか。二〇〇三年一月から二十四か月齢以上の死亡牛の検査も始まるわけですが、年間七万六千頭のうち四万頭が北海道と言われています。そういう点でお答えをしていただきたいと思います。
○委員長(常田享詳君) 簡潔に。
○政府参考人(須賀田菊仁君) はい。
 二十四か月齢以上の死亡牛全頭検査ということを、私ども、目標に体制を整備するということにとどめておるところでございまして、先週来、地方農政局単位で検討状況、課題を把握することにしておりまして、この協議、調整を段階的に行いながら全体的な計画を作成していくということにしております。
 その中でいろいろな、先ほど来出ております冷凍冷蔵施設でございますとか焼却施設の整備でございますとか、レンダリングの死亡牛専用ラインの整備でございますとか、国としてもできる限りの支援を行うこととしておりまして、できるだけ早期にいい体制が整うよう努めることとしているところでございます。
○委員長(常田享詳君) 時間です。
○紙智子君 それじゃ、あとの質問は次に回させていただいて、これで終わります。