<第153国会閉会後 2002年1月17日 農林水産委員会 01号>


平成十四年一月十七日(木曜日)   午後一時開会
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農林水産に関する調査
 (ねぎ等三品目セーフガード日中協議に関する件)
 (牛海綿状脳症問題に関する件)
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○紙智子君 セーフガードとBSEに対する集中審議ということではありますけれども、非常に大事な問題にもなっておりますので、私は初めに、諫早湾の干拓の事業の問題で質問させていただきたいと思います。
 ノリの不作等対策関係調査検討委員会、いわゆる第三者委員会ですけれども、十二月の十九日に潮受け堤防排水門を長期間大きく開放して調査を行うように見解を発表いたしました。農水省自身も第三者委員会の見解を尊重するということで、前の谷津大臣もそう言っていましたし、そして今の武部大臣もそのように発言をしてきたわけですけれども、この見解を真摯に受け止めるならば、直ちに委員会の見解に沿って開門の調査に取り掛かるべきではないでしょうか。いつからこの調査を開始する予定でしょうか、まずそのことにお答え願います。
○国務大臣(武部勤君) 十二月十九日のノリ不作第三者委員会におきまして「諫早湾干拓地排水門の開門調査に関する見解」を取りまとめていただいたところでございます。農林水産省としては、現在、ノリ不作等第三者委員会の提言を踏まえまして、現状のままでの調査を実施しているところでございます。
 これは、一年間の現状のままの調査終了後適切な時期に開門調査を行うとの基本的な考えの下、ノリ不作等第三者委員会の見解や地元の声などを踏まえまして、排水門を開けることによって被害が生ずることがないよう、またそのことを地域の方々が実感し得るよう、調査の方法等についての総合的な検討を進めているところでございます。
○紙智子君 第三者委員会では、諫早湾の干拓事業が有明海全体の環境に影響を与えているという考えで、開門についてはできるだけ毎日の水位の変動を大きくする、そしてできるだけ干潟面積を増やすことが望ましいんだということを述べているわけです。
 しかし、農水省は調査と事業は切り離して考えるということで、とうとう今月の九日から反対する漁民を言わばもうだまし討ちみたいな形でこの工事を、干潟をつぶす工事を一方的に再開してしまったわけですね。諫早湾の干拓事業に問題があるというふうにした委員会の見解を尊重するというふうに言うのであれば、この工事をやるということは矛盾していることじゃありませんか。
 やはり漁民の反対を押し切って工事を再開するということではなくて、むしろ今急いでやらなきゃいけないのは、この開門の調査に向けて必要な対策が必要だと。つまり、周辺地域の低いところの旧堤防のかさ上げとか、要求が出ていたと思うんです、排水ポンプをもっと作って強くして工事に手を付けられるようにと。そこのところがやられるべきではないんでしょうか。いかがですか。
○国務大臣(武部勤君) 諫早湾干拓事業の工事に関しましては、再評価第三者委員会からは事業遂行に時間が掛かり過ぎるのは好ましくないとの意見をいただいていることでございます。また、長崎県や地元からは事業の早期完了を望まれていることでございます。
 これらを踏まえれば、予定工期内で事業を完成させるためには早急に工事を再開させる必要があることは御理解いただきたいと思うんです。昨年十二月十三日に長崎県から事業見直しの了解を得た際にも、工事の再開が条件となっておりました。
 こういったことなどから、諸般の状況を総合的に判断いたしまして、かねてより一月から工事を再開すると申し上げてきたところでございます。事故のないよう円滑に工事を再開してまいったところでございまして、今後も、開門調査の実施中においても調査に影響を与えない陸上における工事等を中心に工事を進めることとしたいと、かように考えているところでございます。
○紙智子君 工事現場で、やはり漁民とそれから九州の農政局の干拓事務所との間でこの工事再開をめぐって混乱が生じました。こういうふうになった原因というのは、やはり第三者委員会の方向で調査に全力で当たろうと。その意味では、やっぱり農水省自身の姿勢の側にあると思うんですね。
 私は、この干拓については国民の中でも大きな反対の世論もあるわけです。そういう中で、やはり工事について、今進めている工事については即時中止と、そして調査の完全実施ということを求めまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次はセーフガードの問題です。
 それで、日中協議の結果ですが、政府は長ネギと生シイタケ、畳表と、この三品目についてセーフガードの本発動を見送りました。これに対しては、生産者の皆さんからは本当に落胆の声が挙がっています。全中は、極めて不十分だと、今回の問題は。農家の皆さんは、もう弱腰で失望したんだと、そういう声も出ています。
 そして、日中の合意の後も輸入量は間違いなく増えているわけです。中国の輸入業者の側は、昨年以下に抑えますよ、自主規制するんだ、続けますというふうに言ったわけですけれども、結局徹底していないということですよ、これは。今のままでいきますと、実効性が本当にないわけですから、やはりこれは民間に任せずに政府自身がその責任で全力を挙げて取り組むべきだと思うんです。
 そこで質問ですけれども、中国からの輸入の急増には、この中国の低賃金、ここのところを利用しての日本の商社、大手スーパーなどが、開発輸入という話がさっきも出ましたけれども、そういう問題があって、これはやはり国内の産業の空洞化にもつながっていく問題だと思うんです。その意味では、やはりここに対する日本政府の指導という問題、責任が本当に大きいと思うんです。
 大臣は、日中の協議の中でも、業界への指導、それから違法貿易を取り締まるということをおっしゃっておられますけれども、これは具体的にはどういうふうに対策をするつもりでしょうか。
○国務大臣(武部勤君) 中国国内での農産物の生産に我が国の企業が関与する、いわゆる開発輸入が行われていることにつきましては私も承知しておりますが、基本的には通常の商行為であることから、これを規制するということは非常に難しい問題がございます。
 このようなことを踏まえまして、農林水産省としては、経済産業省との協力の下、三品目の輸入関係者に対して、現在、鋭意準備を進めている農産物貿易協議会への参加を要請しているところでございます。この協議会において、生産者等を含む関係者の参加の下に、ネギ等三品目の需要、品質、生産、価格等の情報を交換することを通じて、需給状況等について両国間で共通認識を醸成していくということに努めながら、もって三品目の秩序ある貿易の確保を図る所存であります。
 中国側からも、いわゆる違法の問題についての情報提供を求められておりますので、そういった協議の中で様々な情報交換が行われ、問題解決に向けた私は協議が期待できると、このように考えているわけでございます。
○紙智子君 実際に数字がどうかというだけじゃなくて、生産者のところは、例えばネギ農家の皆さんは、赤字になるということで実際にもう畑をつぶしてしまったという生産者もいらっしゃるわけで、そういうやっぱり現状を見て、本当に有効な輸入規制が実現できるように全力を挙げていただきたいというふうに思います。
 次のBSE問題に移らせていただきたいと思います。
 大臣は、一月八日の記者会見で、このBSEの問題について一定の区切りがついたという発言をされています。私は耳を疑いました。
 私は、昨年、国会閉会中に道内をずっと回りまして生産者の話を伺ってきましたけれども、本当に深刻な声、せっぱ詰まった声が出されました、もう半分泣きながらですよ。本当にそういう声を受け止めながら、この現場の実態、一区切りどころか、廃用牛の対策、牛肉の価格の引上げが死活問題になっていて、区切りどころか一刻の猶予も今ならない事態になっていると。
 さらに、後でも触れますけれども、農水省の責任、大臣の責任を含めて、この問題でも全く区切りがついたと言えるような問題じゃない、状態じゃないというふうに言わざるを得ないんですね。
 そこで、まず、農水省がこの間出されました廃用牛の対策でお聞きしたいんですが、農水省としては、えさ代、それから輸送費を補助して農協などに廃用牛を一時的に集約し管理する、出荷を円滑化するんだということでやっているわけですけれども、これは生産現場の方からはいろいろ疑問の声が出されています。廃用牛といってもすぐお乳が出なくなるわけじゃないんだと、ずっと出ているわけですから。だから、その間、完全に乳が上がるまでは時間が掛かると。その間、搾らなきゃいけないんだと。当然、水も与えなきゃいけないし、えさも上げなきゃいけない。人手が掛かるんだと言うんです。だから、建物だけあればいいわけではなくて、そこでの実際に面倒を見たりする人件費、これは一体どのように考えているのか。
 それからまた、預託という形で牛を受け取ってくるわけですけれども、その場合、もし事故になったり病気が出た場合に一体だれの責任になるのか、どうするのかということなども含めて考えているんだろうかというのが出ているんですけれども、この辺りいかがでしょうか。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 今般の乳用種廃用牛の流通円滑化事業でございます。現場で非常に深刻な問題になっているということは承知をしております。
 私どもとしては、この滞っている廃用牛を一時集約施設に保管をいたしまして、できるだけその流通の円滑化を図っていきたいという観点からこの事業を仕組んだものでございます。そして、そこでの集約管理する場合のえさ代、飼料費、それから必要となる簡易な施設改修費、それから屠畜場への輸送費、食肉への加工経費といった本来農家の方が負担すべきものについて支援をしていくということで出荷の円滑化を進めていきたいというものでございまして、人件費でございますとか、事故が起こった場合の補償は助成の対象には含まれていないところでございます。
 農家が負担すべき先ほど申し上げましたような経費を支援することによって出荷が円滑に進むということを私どもは期待をしているところでございます。
○紙智子君 いや、そのぐらいはやっぱりやるべきじゃないんですか。
 それから、現在、滞留している廃用牛が四万四千頭ということなんですけれども、この保管場所について先ほど前の委員の方が質問をされて、今、十二県で八十八か所、六千頭と言いましたけれども、その全頭を確保する、そういうめどはあるんでしょうか。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先ほどもお答えを申し上げました。現在、各都道府県に対しまして、施設の選定と確保につきまして協力を要請しているところでございます。
 委員指摘されました十二県、八十八か所、六千頭のほかに、現在、三十四県から施設の確保について鋭意選定中という連絡を受けておりまして、できるだけ都道府県を中心とした地域での話合いを通じて早期にこの集約管理施設というものが確保されるということを期待しているところでございます。
○紙智子君 結局、お話を伺っていますと、政府はこの四万四千頭、これを本当に責任を持って確保する構えというのもないわけですよね。結局、農協に任せているわけじゃないですか。農協にお願いして、何とか場所を探してください、そして見付かればそこで引き取ってください、その分のえさ代は出すけれどもということなんですけれども、結局そうなりますと、農協は屠畜された分しか預からないんじゃないですか。廃用牛が屠畜されて流通すると、そこまでやらなければ、結局、農家の今本当にどうにもならないで動かないでいる牛というのは動いていかないですよ。その屠畜される、それが進む保証というのは本当にあるんですか。もう一度ちょっとお願いします、大臣。
○国務大臣(武部勤君) 先ほど、BSEについて一定の区切りを付けたというようなことは私は言っておりませんで、様々な懸案について、一定の節目、区切り、そういったものを迎えたということで人事の刷新をやったと。それは、BSEとかたくさん書いています、そういった様々な懸案についてでございます。
 それから、今の御下問でございますが、私は乳廃牛からの牛肉は貴重な牛肉資源であるというふうに思うんです。現時点で乳用種廃用牛の出荷の停滞が酪農家にとっても大変大きな問題になっておるということは、私も現地へ赴いた際には本当に痛切に感じました。このことは、私もいささか、本当に大変だなという思いで……
○紙智子君 時間が迫っていますので、簡潔にお願いします。
○委員長(常田享詳君) 簡潔に御答弁願います。
○国務大臣(武部勤君) 事態の深刻さを重く受け止めているところでございます。
 しかしながら、BSE検査を受けた後の牛肉は安全なものであります。乳用種廃用牛の牛肉は国産牛肉の約二割弱を占める貴重な牛肉資源でありますから、廃用牛を国が買い上げて処分することは私は適切ではないと考えているわけでございます。
 先ほども渡辺委員の指摘にもございました。やはり、消費者の信頼関係を構築するためにも全頭きちっと検査するということが必要だというふうに思っておりまして、それにはどうしたらいいかということでいろいろな意見、考え、アイデアというものは出されております。それを基に今、事務当局に検討させております。
 いずれにしても、発生農家に対して……
○委員長(常田享詳君) 簡潔にお願いします。
○国務大臣(武部勤君) 要請が出たら、もうこれ以上のことはないという、そういう対策を構築するということが私はこの乳廃牛が円滑に流通していく一番大きなポイントではないかと、このように考えておりまして、酪農家の皆さん方にも十分御理解願えるように最大限努力していこうと、かように考えている次第でございます。
○紙智子君 今日の農業新聞にも書いてありますけれども、廃用牛が出荷滞っている、動いていないということを今の時点でも言っているわけですね。やはり、この廃用牛の流通が進む保証がなければ今回の対策というのは実効性が、全くないとは言いませんよ、でも薄いと。これはもう本当に実効性がなければ動いていかないわけですから。しかも、重要な副産物の収入だった廃用牛の価格が暴落しているのに、その減収分に対しては何の補償もないです。これは乳価に反映されるという話ありましたけれども、来年か再来年の話で、現場の生産者に聞きますと、今まではそういうことあったからといって反映されて乳価が上がったのかということは実感がないんですよ。
 ですから、そういうことからいっても全くやっぱり売れない状況で、そういう状況である以上やっぱり国が買い入れるしかないんじゃないでしょうか。私は、やはり今このせっぱ詰まった状況の中では、是非ともそのことを検討していただきたいということを強調いたしまして、次の質問に入らせていただきます。
 今、先ほども出されてはいましたけれども、生産者団体や関係自治体が一番心配しているのはやっぱり三月以降の問題です。それで、実施されている農家の経営支援の対策というのは大体三月末ということで、例えば三月以降特別マル緊がなくなった場合どうなるかと。これは大きな不安です。消費低迷、そして価格は暴落が続いていると。今すぐ短期に回復するというめどが立っていない中で、大臣、これ当然引き続きというふうになりますね。私は、これもう本来は本予算の中にちゃんと予算を含めてやるべきだと思いますよ。そのことも強く要求したいと思います。
 そして、もう一つ、生産者がやっぱり展望を持って経営を続けるためには、五年、十年と、そういう長期に支援するんだよということでの農水省自身の姿勢を見せることが大事だと思うんです。資金問題も、やっぱりつなぎ資金のことになりますと、現場に行くと、一年で償還しなきゃならないというのは今の時点からいえばこれはもうとても使えないと。だから、これはせめて無利子で長期の資金をやってほしいという生産者の願いにこたえるべきだと思うんです。この点、いかがでしょうか。
○政府参考人(須賀田菊仁君) まず、今後の対応ということでございます。
 先ほどもお答え申し上げました、畜産経営の状況でございますとか、牛肉の消費の回復状況でございますとか、そういうものを見極めながら、また現地の声にも率直に耳を傾けながら機動的に柔軟に対応していくというのが基本的立場でございます。
 それから、そのつなぎ資金の問題でございます。
○紙智子君 簡潔にお願いします。
○政府参考人(須賀田菊仁君) はい。
 現時点で償還期限一年以内でございますけれども、二十道県におきまして利子補給の上乗せ支援によって無利子化をしているわけでございます。
 今後、各種の政策、特に価格補てん関係が実効を上げてまいりますれば償還財源ができるということを私期待をしておりますけれども、先ほど言いました、その時点その時点の畜産経営の状況を見ながら今後の対応は決めていきたいというふうに考えているところでございます。
○紙智子君 融資といっても、やはり今回の場合は何か積極的な投資をして利益を上げるということではないわけで、これはやっぱり政府のことでもって今多大な被害を受けたわけですから、自分の責任でなくマイナスになったのをいかに回復するかと必死なんですから、そこに対しては、やっぱりマイナスを回復するための資金ということでは無利子でやって当然だというふうに思います。そのことを改めて強調しまして、次に移らせていただきます。
 日本でのBSEの発生に至った責任、原因の問題ですけれども、九六年のWHOの勧告の実施、つまり肉骨粉の法規制を求めた専門家の意見を農水省が無視して行政指導にとどめた問題で、十日の日に、衆議院の我が党の中林よし子議員の質問に対して、大臣は法規制すべきだったと答弁をされました。しかし、なぜ、だれの判断で専門家の意見が無視されて法規制に至らなかったのか、その経緯と責任の所在についてはあいまいなままです。その経緯を明らかにすべきだというのは当時の法規制を求めた専門家の意見でもあるんです。
 農水省は、九六年四月二十四日、このWHOの勧告を受けて肉骨粉の法規制を検討するために開かれた、ちょっと長いですけれども、農業資材審議会飼料部会安全性分科会家畜飼料検討委員会、ここで複数の専門家から法規制すべきという意見が出されたにもかかわらず、それを振り切って五月の連休後にやりますということで閉会したと。
 つまり、このWHOの正式な勧告が出た段階で会議を再開して結論を出すんだということで閉会にしたわけです。少なくとも五月連休明けにはそのWHOの勧告は手に入っていたわけです。それにもかかわらず検討委員会を開催しないで先送りにするというふうになったのは、一体どのレベルでどのように判断されたんですか。そこのところをはっきり分かるように答えてほしいと思います。
○政府参考人(須賀田菊仁君) WHOの勧告が出ましたのがこの年の四月三日でございまして、四月十六日付けで行政指導通達を出しているわけでございます。
 そして、先生言われたように、四月二十四日にこの委員会が開かれまして、十三名中二名の方から法的措置も必要ではないかというふうな意見が出されたわけでございますけれども、その後、組織としての判断としては、四月十六日の指導通知後は配合飼料工場において牛用の飼料へは肉骨粉は使用されていないということが確認されたというのが一つ、それからイギリスからの肉骨粉の輸入を禁止したということが二つ目、三つ目に国内においてBSEの発症事例がなかったということで、この行政指導の実効が確保されていると判断をして審議が再開されなかったということでございます。
○紙智子君 ですから、質問に答えてほしいんですけれども、いずれにしてもそういうふうに判断したわけですね。一体それはどこのところでされたんですか。そして、実際にはそういうふうにイギリスからの禁止とかということがあるにしても、そのことも含めてまた会議を開かなきゃいけなかったはずなんですよ。それをなぜやらなかったのか。それを判断したのは一体どの段階なんですか。もう一度お願いします。
○政府参考人(須賀田菊仁君) この指導通達自身は流通飼料課長の名前で出ておりますけれども、行政は組織で行っておりますので、農林水産省という組織で判断をしたというふうに考えております。
 いずれにしても、今のような、先生が御指摘されたような問題点を検証するために、現在、厚生労働大臣と農林水産大臣の私的諮問機関として設置されておりますBSE問題に関する調査検討委員会において、これまでの経緯等を検証していただいておるところでございまして、その中でできる限り明らかにしていきたいというふうに考えているところでございます。
○紙智子君 その検討委員会で調査してもらうと言うんですけれども、そこに参加されている委員の先生自身が、もう靴の上を手でかくようなもので、実際にいろいろ資料を出されるけれども、その肝心のところを自分たちも知りたいと。一番よく分かっているのは農水省じゃないんですか。どうなんですか、そこは。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 熟知しておらなければならないのは私どもでございますけれども、何せ九六年のことでございまして、資料もどんどん倉庫とか書庫とかから捜しているというようなこともございます。これ、実際問題そういう状況でございます。(「隠ぺいしているんじゃないか」と呼ぶ者あり)私どもも、別に隠ぺいするとかそういう意図は全くございませんので、できるだけ、そういう委員会の要求にすべてこたえるようにしたいと。そして、専門家による検証をお願いをしているということでございます。(発言する者あり)
○委員長(常田享詳君) 不規則発言は控えてください。
○紙智子君 私、今朝、午前中、その検討委員会をやられていますよね、その報告を見てびっくりしたんです。驚きましたよ。
 なぜ先送りしたかというその説明についても、配られたプレスリリースが、結局その九六年のときの勧告と変わっていないから深く諮らなかったんだなんということを言っていますけれども、これはごまかしですよね。大体、プレスリリースで言っている中身と、それから勧告で言っている中身と大きな違いがあるんですよ。プレスリリースでは、国内牛にBSEが発生した国はということで、BSEの因子を含んでいる可能性のある組織を連鎖に入れるべきじゃないと言っているわけだけれども、勧告ではその部分が各国はというのが主語になっていて、大きな違いなんですよ。
 だから、同じだからこれをやらなかったなんというのは本当にごまかしで、こんなことをやって、委員会、専門の先生方を集めて、招集しておきながらこんなごまかしをやるというそのこと自身が本当に問題だと思いますよ。これ、納得できないですよ。
 大臣、もう一度お願いします。
○国務大臣(武部勤君) 私が衆議院の農水で行政指導ではなくて法規制にすべきだったと思う、今にして思うということを申し上げたのは、結果として今般BSEが発生したわけでありますから、当時より実効性のある規制措置を講じていれば感染リスクは低下していたものと、このように考えるわけです。
 しかし、今、局長がるる説明いたしましたように、審議会の委員の中でも十三名中二名でございますし、法規制すべしと言った方は。それから、国会でもいろいろ御論議いただいているところでございます。そこでも、指導するというような全会一致の決議なども、後で私ども資料を見て分かりました。
 ですから、私ども、今ここでいろいろ御指摘されましても、こういった問題については客観的な検証、科学的な知見ということがやっぱり大事だと思うんですね。
 私ども、今、隠ぺいという言葉をお遣いになったかと思いますけれども、私は農林水産省にはありとあらゆるデータを提供するようにと。BSE調査委員会で要求されたものは全部出すようにと。しかも、この運営については委員会の主体性というものを尊重しておりますので、したがいまして、そこで私は客観的な検証を待つことが現時点においては一番適当なことではないか、このように考えてお答えしているわけでございます。
○委員長(常田享詳君) 時間が迫っています。
○紙智子君 五か月後、それから五か月たってから九月に再開された農業資材審議会飼料部会では、家畜飼料検討委員会について当時の品質改善班長が、法規制の要求が出たことには全く触れないでそのときに何と言ったかというと、法的な規格を作るということで云々かんぬんと。諸外国の対応に留意しているわけでございますと。そのようなことから、期日は明言できかねますということを発言して、当の家畜飼料検討委員会には全く諮らないで、期限も法規制も先送りにすることをこの場でこのときに言明しているわけですよ。
 この経過を見ますと、その後五年間、法規制を求めた専門家の意見が封じられてそのまま法規制されなかったわけで、その後の経緯を見ますと、もうこの時点で既に法規制については棚上げにして、単なる行政指導にとどめようということが決まっていたんじゃないかと思わざるを得ないんですよ。ここはどうですか。最後です。
○委員長(常田享詳君) 時間が来ておりますので、簡潔に。
○国務大臣(武部勤君) ですから、私ども、当時のことについてどう思うかということについてお答えすることは非常に困難だと思います。しかし、私は、危機意識の希薄さに驚いたというようなこともこれまで申し上げてまいりました。今御指摘のようなことについてきちっとした議論が、現時点で行われているような、そういう形でなされていれば、法的規制というような、そういう方向付けがなされたのではないか、そうあってしかるべしということを私は申し上げているわけでございます。
 現在、同様なことでは、先ほどトレーサビリティーの議論もございました。このことについて、私どもは法規制すべしだと、こういう考え、個人的な私自身の考えを持っておりますけれども、やはりいろいろな議論がございます。このように、やっぱり当時としてみれば様々な議論があったんだろうと思います。国会においても、ただいま申し上げましたように、衆参両院の農水において指導という決議になっているわけですね。ですから、当時のことを今、私はあからさまに説明する能力は持ち得ませんので、ですから、したがいまして、第三者調査検討委員会で御検討いただく、客観的に検証いただくというようなことをお願いしているわけでございます。
 これは是非必要なことだ、今後のためにそれは必要なことだと、私はこのように思ってお願いしているわけでございます。
○委員長(常田享詳君) もう時間来ております。
○紙智子君 最後、やはり当時の流通飼料課長、それから畜産局長を当委員会に出席をしていただいて、そのときの状況を説明していただきたいということで、委員長にそのことを要求します。
 本当に農家の皆さんから言われて、大臣に会ったら必ず言ってくれと言われたんですけれども、やはりこれだけの苦しみを与えながら、それを与えた張本人になって、当時担当していた人を普通の形で退任させて、しかも多額の退職金をもらっていると。そのこと自体も腹が立つけれども、そういう判断をされた大臣はもう辞めてほしいということを伝えてくれと言われましたので、最後にそのことを述べまして、質問を終わらせていただきます。