<第153国会 2001年10月30日 農林水産委員会 03号>


平成十三年十月三十日(火曜日)   午前十時開会
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農林水産に関する調査
 (牛海綿状脳症問題に関する件)
 (ねぎ等三品目のセーフガード暫定措置終了後の対応に関する件)
 (「意欲と能力のある経営体」の育成に関する件)
 (米政策の総合的な見直しに関する件)
 (農山漁村の社会基盤整備に関する件)
 (森林・林業基本計画による森林整備に関する件)
 (桜島火山活動に伴う防災対策に関する件)
 (川辺川ダム漁業補償問題に関する件)

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○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。まず最初に狂牛病についてお伺いいたします。
 安全宣言が出されたわけですけれども、消費者の不信は今なおぬぐえていない状況だと思います。信頼回復をやらなければやはり消費は戻ってこないということで、大臣も必ずやるというふうに決意を述べられておりましたけれども、安全対策とともにやはり原因の究明というのは避けて通れないというふうに思います。
 それで、その原因究明に関しての一つですけれども、イギリスからの肉骨粉について前回、最初の質問のときに私させていただいたんですが、その輸入量についてイギリスからは三百三十三トンと。ところが、日本にはこれはなかったということで食い違いがあったわけですが、それについて調査官を派遣して、イギリスはフェザーミールだったというふうに回答をもらったということです。
 これは私も調べてみまして、日本の貿易統計にはフェザーミールというのはゼロになっていたんですね。それから、羽毛皮などの関連品目ということで見てもごくわずかということだったんですけれども、これ本当にフェザーミールなのかどうなのかというところはどこまで調べられているのかということをまずお聞きしたいと思います。
○政府参考人(小林芳雄君) イギリスの方からの三百三十三トンというのに対しまして、我が国の貿易統計なり検疫統計にはないということにつきまして、九月下旬に英国に担当官を派遣しました。今のお話であったとおりでございます。
 英国政府の方と協議を行いまして、この結果、英国政府の方から、イギリスの統計の再精査をやりまして、日本に対しまして輸出が許可されたとされる量は三百三十三トンではなくて合計百六十六トンであるということが一つでございます。
 また、この輸出品の内容につきましては、九〇年に百三十二トン輸入されておりますが、これはフェザーミールであると信じられるというふうになっております。また、そのほかの三十四トンにつきましては哺乳類以外のものの、例えば家禽のミールの可能性が高いということでございまして、こういった統計上の数字の違いについてでございますが、イギリスの担当部局によります輸出国名でありますとか品目名の入力ミス、こういった原因によるものであるということにつきまして正式に英国政府から回答を得たところでございます。
 今お話ございました、それでそういったことで、その差につきましての実態は明らかになったんですが、これがこれまで、私どもの調査によりまして、この輸出品がフェザーミールあるいは鶏の臓器あるいは血液を成分とします加水分解した加工飼料、こういったようなものでございまして、これはフェザーミール単体として分類されるのかというような問題がございます。
 それで、貿易統計上はさまざまな分類がございます。今、先生のお話ございましたように、肉骨粉というもののほかにフェザーミール単体のものがありますし、それからあと飼料用に供する種類の調製品と、こういったような分類もございまして、場合によりますと、こういった飼料用に供する種類の調製品に分類されたということも考えられるんじゃないかと思っております。
○紙智子君 最初は肉骨粉、次、フェザーミールと、しかし、いろいろ見ていったら加工品、調製品じゃないかということで、実際に貿易の関係で、向こうが出したものと日本との違いがこういう形でやっぱり出てくるということ自体も非常に問題ではないかなというふうに思うんです。
 それで、先般の参考人質疑のときに国際獣疫事務局で働いてこられた小沢参考人もお話しされていたんですけれども、輸出するときに、国は出すときには検疫で証明書を張って出すと、それについて何でも信用するというのはちょっと危険だという話もあって、やはりラベルに頼らないことが大事だと。ですから、イギリスがそうだからということでそのままうのみにしてしまうんじゃなくて、やっぱり輸入している日本が、日本自身が本当に責任を持って確認するということが大事だというふうに思うんですよ。日本でやっぱり当時イギリスに行って輸入してきている業者がいるわけですから、そういう点では日本の輸入業者にこれは聞けばわかるというふうに思うんですけれども、そのあたりのところは聞いて調べているんでしょうか。
○政府参考人(小林芳雄君) ただいまおっしゃいましたイギリス政府からの情報をもとにいたしまして、日本の輸入業者に対します立入検査を行っております。その結果、その業者さんは一九九〇年ごろにイギリスからフェザーミール、それから鶏の臓器、あるいは鶏の血液を成分といたします加水分解の豚用加工飼料、これを約百三十トン輸入したということを確認しております。
○紙智子君 全体としてのその違いということでは、あと残りの分がどうなのかということも含めてあるわけで、いずれにしましても、国民の目から見ますと本当にわかりづらい、どうしてそういうことになるのかということもあるわけですし、この解明については、肉骨粉の輸入が本当に適正に行われているのかどうかということにもかかわる試金石の問題でもあると思いますので、やっぱりあいまいにできないというふうに思うんですね。
 それで、大臣に伺いたいんですけれども、今まで行われてきた究明の状況についてなんですけれども、いつまでにこの原因究明について、感染ルートの問題も含めて解明するのかという目標があるのかどうかという問題。それから、やはり中間報告ででもまとめて行う必要があると思うんですけれども、その用意があるのかどうか。それからまた、畜産部では原因究明についてチームをつくって検査所と一体で努力されているということなんですけれども、本来の業務もあると思います。早急にやっぱり進めるということからも、さまざまな資料を客観的に公正的に判断もし、そして推論もしていくということでは、専門家も含めた第三者を入れた究明委員会もつくることが必要じゃないかというふうに思うんですけれども、この三つの点についてお聞きいたします。
○国務大臣(武部勤君) 農林水産省といたしましては、BSEの発生原因を突きとめるため、発生農家からの、川下からの調査及び輸入を起点とする川上からの調査の双方を実施していることはこれまでも述べてきたとおりでございます。
 発生農家を起点とする調査については、発生農家で使用されていた飼料と同じ銘柄の飼料には肉骨粉の使用がなかったことを確認したところでありますが、現在、発生農家がある地域において使用されていた可能性の高い補助飼料の流通状況等について、過去にさかのぼって調査を行っているところであります。
 他方、輸入を起点とする調査においては、職員を英国に派遣し調査を行ったほか、欧州のBSE発生国のうち、九五年以降、肉骨粉の輸入実績のあるデンマーク、イタリアからの肉骨粉の輸入量、販売先について調査するとともに、十月中旬に職員を派遣し、対日輸出の実態調査を実施してきたところであります。また、英国から肉骨粉の輸入実績のある香港、タイへは十月中旬に職員を派遣し、我が国への肉骨粉の輸出実績を調査したところであります。
 現在、これらの調査結果の内容の分析や補完的なデータの収集、確認、さらに国内に輸入されてからの流通ルート等の調査を進めているところでございます。これまでも調査過程において判明した事項については適時公表しているところでありますが、今後も調査結果について随時公表してまいりたいと、かように考えております。
 なお、以上の調査結果の分析や調査方法については、必要に応じ、家畜衛生の専門家から成るBSEに関する技術検討会等の専門的、科学的見地からの助言を得ること等により、広い視野に立って感染源の徹底的な究明に努めてまいりたいと、かように考えております。
○紙智子君 いつまでにこれをやるのかという目標ですとか、それからやっぱり中間報告という形で断片的にはあるんですけれども、まとまった形ではされていないと思うんですね。その点、どうでしょうか。
○国務大臣(武部勤君) 私ども、まず今回のBSE発生に際しまして、人の健康に影響を与えないということを第一に考え、どこに問題があったのかということから、それは検査体制だということで、もうこれは高い水準の検査体制を実施しようということで、これを優先して取り組んでまいりました。次には、やはりこの結果からさまざまな風評被害等も出ておりますし、いろんな段階で影響を受けている方々が出ておりますので、そういった方々に対する支援策ということに全力を挙げていかなければならぬと、こう思っております。
 そして、何よりもやはりこの感染経路といいますか、今回の原因究明ということなくして本問題の完全な解決はないと、こう認識しております。しかし、これは実際のところ少し時間がかかるというふうに私ども認識しておりますが、時間はかかっても徹底究明ということで努力していかなきゃならぬと思いますし、中間報告でありますとか……
○委員長(常田享詳君) 簡潔にお願いします。
○国務大臣(武部勤君) 等々御意見ありましたけれども、今後の究明に向けてのいろいろな状況を判断して、いろいろ考えていかなきゃならぬのではないかと思っております。
○紙智子君 質問したことは、いつまでにやるのかという目標の設定の問題ですとか、それからまとまった中間報告、それから第三者を入れたそういう委員会をつくる必要があるんじゃないかということに対してどうかということをお聞きしたんですけれども、お答えになってないんですが。
○国務大臣(武部勤君) この問題の究明のための委員会を第三者といいますか専門家でつくるというようなことは現在考えておりませんが、今後、生産から消費に至るまでの行政のあり方、そういったこと等について第三者による委員会を考えて、今、厚生労働省と協議しております。
○紙智子君 大臣自身、御自身がやっぱり迷宮入りはさせないんだというふうに決意を述べられていますとおりに、やはりあらゆる努力を、全力を尽くしてやる必要があるということを申し上げて、次の補償問題に移らせていただきたいと思います。
 それで、肥育牛への所得の補償というのは出されているんですけれども、酪農家への支援という点ではこれがないわけですね。ぬれ子や廃用牛については対象外になっていると。ところが、やっぱりこの分野も価格下落が著しくあらわれています。酪農家の皆さんにとっても、乳価だけではやっぱりやっていけないという状況の中で、ぬれ子や廃用牛による収入も全体としてやっぱり含めて経営されているわけですよね。ところが、そこに値がつかないというだけじゃなくて、逆にこの費用が持ち出しになると、結局処理費用ということでへい獣のためのお金がかかるわけですけれども、北海道では、このままで行ったらそれこそ、野良犬とか野良猫とかというのはありますけれども、野良牛とか本当に捨て牛とかいうことが出かねないということも話が出ているわけです。
 それで、価格下落への対策が必要だというふうに思いますけれども、この点どのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(小林芳雄君) 今お話がございましたように、酪農経営にとりまして、ぬれ子、廃用牛、これは貴重な収入源でございます。ただ、肉用牛経営における肥育牛や子牛とは異なりまして副産物という位置づけでございますが、その価格につきましてどうやって安定化していくかということで、一つは、肉用牛経営の状況でありますとか、それから牛肉の需給の影響を受けるものでありますので、今まさにお話ございました肉用牛経営あるいは牛肉需給の安定を図る、これが一つのポイントでございます。そういう意味で、今回取りまとめた対策の中での肉用牛肥育経営対策でありますとか、牛肉価格の回復を早急に図ることを目的といたします調整保管事業等、これを的確に実施いたしまして価格安定を図り、酪農経営の安定にもつなげていきたいというふうに考えております。
 また、個別の対策といたしまして、従来から乳肉複合経営体質強化事業というものを実施しております。これは、ぬれ子につきましてはおおむね一カ月以上哺育いたしますと七千円、それから廃用牛につきましては四カ月以上肥育いたしますと二万円の奨励金の交付対象がございますが、こういったものを十分生産者の皆さんにも周知徹底を図って、この活用を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。
 それから、価格のお話もございました。酪農経営対策ということを見たときに、ぬれ子の価格の低下は先ほども申しました副産物の価格の低下といたしまして、また乳廃牛価格の低下は物財費の中での乳牛償却費の増大という形で出てくるわけでございまして、加工原料乳の生産者補給金の算定には物価修正を通じて反映されるという、そういう仕組みになっているところでございます。
○紙智子君 肉用子牛基金の生産者の負担というのは、乳用種でいいますと一頭三千百七十五円と。哺育するという話がありますけれども、それだけ経費も手間もふえますから、現実の問題としてはぬれ子を売ることで経営を立ててきた農家が多いと思うんです。
 それで、この間は出荷抑制ということで実際には出せないということがある中で、牛舎が満杯になっていて牛舎に入り切らないんですよね。だから、本当に外で、入り切らない、野放しで飼わなきゃならないということで、北海道なんかは、稚内はもう雪も降りまして草も枯れているという状況がある中で、そうやって入り切らないままの状況ということがあるんですね、実態として。
 ですから、そういうやっぱり実態を見ていただきたいということと、それから、私もこの前、北見で畜種別の市場価格を聞いたんですけれども、ホルスタインのぬれ子でいうと、狂牛病発生前は三万円ぐらいだったんだけれども、これが十月段階で四千円まで下がっていると。それから、F1の雌のぬれ子で七万円台が三万円、雄の場合は十二万だったのが五万円台と。それから、廃用牛については、もとは十万ぐらいしていたのが一万八千円ということで、先日、釧路の値段を聞きましたらこういう状況になっていて、もう所によっては千円ぐらいにしかならないという話も出されています。それで、処理料ということでも、この間処理料が三倍ぐらいに上がっているんですね。
 この前の参考人質疑のときにも、静岡でしたか、五万ぐらいになっているという話が出ていましたけれども、そういうことを言いますと、実際にはやっぱり持ち出しの部分が多くなって、十一月、十二月というのはちょうどいろいろな借りたものを返すとか、いろんなことにお金がかかる時期でもあって、このまま放置しますと本当に大きな打撃をこうむりますし、その意味では本当に酪農家の支援策ということでこの価格保証ということを打ち出すべきだというふうに思うんですけれども、もう一度、どうでしょうか。
○政府参考人(小林芳雄君) 今お話ございました、これから出荷するときの体制整備、これが一つあろうかと思います。
 先ほども申しましたように、今、屠畜場の方の体制を整えていきますが、そちらで出荷を安定していく、そういうことによりまして、今農場の方で滞留しているところ、こういったところにその解消をつなげていくこともございますし、また先ほども申しましたようないろいろな対策、既存のものを活用いたしまして、例えば先ほどの奨励金でございますとか、そういうものも十分活用していただく中で、今のような状況の中の体制強化というのを図っていきたいというふうに考えているところでございます。
○紙智子君 次の質問に移らせていただきます。
 それで、これはちょっとまとめて言うとたくさんになってしまうので、まず卸・小売業、飲食店、ここに対する支援という問題も大事だと思います。
 それで、先日、ブランドを確立している松阪の業者の皆さんのアンケートをいただいたんですけれども、売り上げが軒並み四〇%、五〇%減と。それで、とにかくもう一日一組しかお客さんが入らない、このままだったら従業員の給料も払えないし、店を閉めなきゃならないという声も出ていて、たくさんアンケートいただいたんですけれども、本当に深刻な状況がそのアンケートからも見てとれるんです。
 それで、これまでも不況で大変な中で、今、今度の問題も重ね合わさって本当に、融資ということはあるんだけれども、そこだけではどうにもならない。やっぱり損失補てんについても何らかの措置を検討すべきだと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
○政府参考人(小林芳雄君) 今お話ございましたように、流通関係の皆さんの経済的影響、これがございまして、それに対しまして、一つは、緊急に必要となりますつなぎ資金を設けて利子補給を行う、この低利の短期資金の活用を進めていることが一つでございますが、あわせまして、今後の対応といたしましては、こういった流通関係の皆さんの経営の安定を図る上で、先ほど来も議論ございます風評被害を防止いたしまして需要の回復を図る、これが一つの大きな重要な点だと考えております。
 そういう意味で、BSEに関します知識の普及、こういったものを消費者の皆さんに十分理解いただくとか、それから国産牛肉についての安全性のPR、こういうことを進めておるところでございますし、またBSE検査開始前の国産牛肉の滞留在庫の市場隔離、こういったようなことを通じまして流通の円滑化を支援していくということで、こういった全体の中での牛肉価格安定のための調整保管というようなことを考えているところでございます。こういったことの事業を適正に実施することによりまして、とにかく食肉需給の回復と流通の安定ということを図ることによりまして流通業者の皆さんの支援につなげていきたいというふうに考えているところでございます。
 また、一方で、中小企業の関係では、これは中小企業庁にもお願いをいたしまして、政府系金融機関の方のいわゆるセーフティーネット貸し付け、こういったことを行い、また中小企業の皆さんが通常の信用保証の限度額とは別枠で信用保証協会による信用保証制度の利用が可能と、こういったような対策もあわせて講じているところでございます。
○紙智子君 融資では、たとえ無利子でもやっぱり返さなきゃいけない、そしてつなぎ資金という問題ありましたけれども、これは一年間で償還しなければならないわけですよね。ですから、今の状況で消費がいつ回復するかということでは、やっぱりめどが立っていないという中で、本当に耐え切れないというのが今の事態だと思うんです。やっぱり事業者の皆さんにとっては、自分が何か失敗したということではなくて、これは本当にひとえに政府の対応のまずさからこういう問題が起こったわけですから、その点では損失の補償をすべきだというふうに思います。
 あわせてもう一つ、食肉処理場への支援の問題です。
 それで、やっぱり三重県の食肉公社でお聞きしている話ですけれども、通常ならば月平均で大体五百頭から六百頭処理する。ところが、この間出荷抑制ということで処理手数料が入らない状態が続いているわけです。本当で言えば、十一月、十二月というのはお歳暮の時期でもあって、そういう需要期であって、月に千数百頭の処理をするんだそうです。ですから、一日平均にすると大体五、六十頭ぐらい処理するわけですけれども、これがこの前、検査が始まったのが十八日なんですけれども、十八日に解体したのが十六頭、そして翌日九頭だったと言うんですね。
 ですから、本当にこの分野も大変な状況で、これ松阪だけの問題ではなくて、やっぱり民間とか小規模の各地の処理場も、そういう点では経営が大変厳しい状況になっているというふうに思うんです。O157の処理についても、施設改修もやって今やっと終わったところだということでもありまして、こういう点でも支援が必要だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(小林芳雄君) 食肉処理場の関係でございますが、今お話がございましたように、十七日時点におきましては、出荷の繰り延べ等もございまして、牛の屠畜頭数は非常に少なかったわけでございます。十八日以降、いわゆる全頭検査を開始いたしまして、屠畜頭数が増加傾向で推移しておりまして回復への兆しが見えております。
 こういった流れをとにかく一日も早く順調な形で進むようにしていきたいということで、まず食肉処理場の運営につきましても対応したいということが一点でございますが、あわせまして、生産者サイドの方でも、先ほど申しましたようないろいろな対策を通じまして、屠畜場への出荷の安定といいますか円滑化ということを図っていくことにしておりますし、また食肉センターの施設等の整備につきましても、今回のBSEの発生に伴いまして、できるだけ負担の軽減に結びつくように、そういった施設面での支援措置も講じることとしております。
 こういったさまざまな対策を通じまして、食肉処理施設の安定的な経営の確保に努めてまいりたいと考えております。
○紙智子君 ちょっと時間の関係も詰まってきたので、食肉処理場なども冷蔵庫や保管施設も、これから出荷が本格的になるとこれも不足するというふうに言われています。ですから、そういう点では、そこへの対策も含めて、この後の解体処理をめぐってもいろいろ変更も出てくるわけで、そういうことも含めた、財政的な支援も含めて必要ではないかというふうに思います。
 それで、次にちょっと移らせていただきますけれども、狂牛病の関係で最後の質問になりますが、今回の問題を通じて、やはり飼料の問題ですね、草地利用や輸入飼料の依存を改めるということが急務になってきています。
 特に飼料の自給率向上ということとともに口蹄疫などの発生の防止ということでは、例えば稲わらの自給を進めるということもこれ急務だということで、それを本当に進めようと思うとやっぱり輸入との価格差ですね、これを解消していかなければいけないということだと思うんです。今、生産者に対する直接の助成の制度もあるわけですけれども、これを継続してほしいとか、さらに充実してほしいという声も上がっているんですけれども、この点でどういった対策を講じておられるでしょうか。
○国務大臣(武部勤君) 飼料作物の生産振興を図ることは、我が国の飼料自給率の向上と国産粗飼料の利用による安心、安全な畜産経営を確立する上で極めて重要であると認識しております。
 このため、昨年、飼料増産推進計画を公表し、関係者一体となった飼料増産運動を展開するとともに、飼料作物の生産基盤や機械・施設の整備に対する助成を実施しているところであります。飼料生産に係る作業の効率化や労働軽減を図るためのコントラクターを育成する事業、また昨年三月の口蹄疫の発生を契機といたしまして、国産稲わらを収集し畜産農家に供給する事業等を実施しているところであります。
 今後とも、稲わら収集やコントラクターの支援を含め、自給飼料増産対策の積極的な推進に取り組んでまいりたいと思います。
○紙智子君 継続という、稲わらの生産者に対する三年間のたしか期限があると思うんですけれども。
○政府参考人(小林芳雄君) 今、先生お話しのあれは、いろいろな飼料増産対策の中で、例えばホールクロップサイレージでありますとかいろいろな対策がございますけれども、基本的に、先ほどの計画に即しまして、稲わらの国産活用のためにそういったものを十分活用していきたいと思っております。
○紙智子君 次に、セーフガードの問題で質問させていただきたいと思います。
 十一月八日で暫定期限が終了するということですけれども、空白期間ができますと輸入の急増というのは必至です。そういう中で、空白期間が出ないようにしなければならないと農水委員会として決議も上げたわけですけれども、もし、八日で期限が切れるわけですけれども、話し合いがうまくいかない場合、九日から直ちにやっぱり本発動ということで、そのことを前提にやるのかどうか、空白をつくらないという決意で臨むのかどうか、大臣の決意を。
○国務大臣(武部勤君) 先般の小泉総理と江沢民国家主席との合意を踏まえまして、中国側との協議を早期に再開し本件の話し合いによる解決を粘り強く追求していくということで関係閣僚会議で一致したわけでありますが、暫定措置実施期間の終了期間が近づいていることを控えまして、確定措置の発動を検討するための政府調査の取りまとめを急いでいるところでありまして、政府調査の主要指標の概要を近々公表する予定であります。
 いずれにいたしましても、今後の中国との協議の進捗状況については予断を持つことはできないことから、現時点において十一月九日以降の取り扱いについて断定的なことを申し上げることができないことを御理解いただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、先般の本委員会の御決議の趣旨を尊重し、今後最善の努力をしてまいります。
○紙智子君 ニンニク、ショウガの例で言いますと、過去には話し合いの決着ということで中国側と話をして輸出自主規制ということでやったわけですけれども、その後ニンニクの輸入量がふえたしショウガもふえたと、そして産地は大打撃を受けました。そういう点では、本当に今回確実にやっぱり輸入が抑えられると、保証のある話し合いになるようにやってほしいと思うんです。
 私は実は、暫定の発動で三品でやるときに、当時東北の人方と一緒に、当時は谷津農水大臣だったんですけれども、直接申し入れに来たときに、とにかくぎりぎりのところで、本当に大臣はそのときに、私の政治生命をかけてもこれは何としてもやるんだというふうに言われました。そして、当時やっぱり自治体の決議も次々と連続的に決議が上がりまして、秋田とか、東北なんかも九割、八割という自治体で決議が上がった。そして、消費者の皆さんの期待もあるということですので、今回、これがもし途切れてしまうということになりますと、そういうやっぱり皆さんの期待に対して逆行することになってしまうと思うんです。そういう点では、ぜひその点で大臣しっかりお願いしたいということを申し上げまして、次に移らせていただきたいと思います。
○委員長(常田享詳君) 時間がもうありません。
○紙智子君 一言だけ。
 米政策の問題なんですけれども、全国八カ所で意見交換がされまして、そしてその中でさまざまやっぱり批判の声も出ていて、やっぱり白紙に戻すべきだとか、もっと十分話を、意見を聞いてやってほしいということも出ていますけれども、この点についてどのように受けとめて今後を考えられているでしょうか。○国務大臣(武部勤君) 十月上旬には意見交換を開催して各界各層の意見をいただいてまいりました、おっしゃるとおりでございます。これらの御意見を踏まえつつ、内部で検討を進めているところでありますが、現状を申し上げますと、生産調整手法についてはこれまで三十年間にわたって続けてきた方式を抜本的に改めるものであるために、現場で受け入れやすい手法等について研究を行っていく必要があると、かように考えております。
 また、稲作経営安定対策については、いわゆる副業的農家の政策的な位置づけといった、まさに農政の根幹にかかわる問題のあることから、さらに議論が必要な状況にあると、かように考えております。
 今回の見直しはこれまでの政策を総合的、抜本的に改めようとするものでありまして、農業の現場に混乱が生ずることのないよう配慮しつつ、水田農業の構造改革を推進するという立場から各方面との議論を深め、十一月中には取りまとめを行ってまいりたいと、かように考えております。
○紙智子君 抜本的な見直しであり、新食糧法の総括を、そのもの自身もどうかということが求められることなので、私はやっぱり集中的な審議が必要だと思いますので、委員長に最後に要望して、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。