日本共産党参議院議員 紙智子
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HOME北海道・東北>大型店に関するシンポジウム

2005年 5月28日
岩見沢「大型店と街づくりを考える」シンポでの
紙智子議員の発言(大要)
 みなさんこんにちは、参院議員の紙智子です。
 商店街の問題は、やっぱり街づくりの問題で、この問題は商業者だけの問題でなくて、本当に住んでいる人みんなの問題として、いま本当に考えなければいけない、そういうところに来ているという点では、こうしたシンポジウムがもたれたこと自体が出発だと思います。
 大規模店舗法(大店法)という法律があったんですが、2000年に廃止され、規制が緩和されて、それにかわるものとして、街づくり三法−大店舗立地法、中心市街地活性化法、改定しましたが都市計画法ができました。
 私は当時、議員でなかったのですが、道内各地を回りますとどこに行っても「大型店が出てきて地元の商店街がだんだん寂れていく」、「シャッター通りが増えていく」、「こんなになったら空洞化する」、「本当におかしくなる」といわれ、よく見ていくとやはり法律の問題があって、緩和に次ぐ緩和で遂になくなったんだと。それから5年経って何がはっきりしたかというと、この3法が実際には全国どこでも全然機能していない。都市計画法に基づいていれば大型店の出店を調整できる話になっていますが、この間、この大型店出店について都市計画法で有効に規制できたという地方自治体は一つもなかった。それぐらい機能しなかったということです。
 日本共産党の政策提言の表題が「大型店の身勝手を許さず、地域の商店街、中小商店の値打ちが活きる街づくりのルールの確立を」となっていますが、ここにいいたいことが込められています。党の国会議員団が全国各地の商店街を調査して、いろんな声を聞きながら2004年5月に発表して、その後もそれを持って出かけては、意見を寄せていただいています。

○日本共産党の提言−(1)大型店出店にルールを
 ポイントについて簡潔に説明します。大型店の規制という問題と商店街の振興という問題は車の両輪で、提言は二つの柱からなっています。
 一つの柱は、日本は欧米と比べてあまりにも秩序のない大型店出店がされており、そこにきちんとルールをつくる必要があるということです。
 街づくり条例の制定など、大型店の立地や商業の集積のあり方については、地方自治体自ら決定できる権利をもっています。それをちゃんと尊重できるように、福島県では県の諮問機関として広域街づくり検討会というものがあり、ここで大型店のビジョンとか、個別の出店を調整する仕組みを提案して、これを盛り込んで条例をつくろうとする動きがあるわけです。それから大型店に対して地域の商業の環境や街づくりの計画や住民の生活環境に与える影響と評価、それから住民と地方自治体との協議、合意をすることを義務づける問題をしっかりと提案しています。
 街づくりのアセスメント−「調査」とか「評価」ということですが、中心市街地や商店街活性化計画に支障を来すような出店には原則禁止だと、市町村と都道府県が出店地を誘導するような仕組みをつくる問題、撤退する場合も予告と関係自治体との事前協議を義務づける問題、それから深夜営業ですね、ここもやっぱり規制が必要です。

○日本共産党の提言−(2)商店街の再生・活性化
もう一つの柱は、商店街の再生、活性化ということです。ここで私たちが大事だと思っているのは、街づくりにおける商店街の役割をはっきりさせる、いかに大事な役割を持っているのかということを、うんとみんなのものにしていくことです。
 提言の中では、商店街の機能、役割について、一つは歩いて買い物ができる身近な利便性の提供の場であること。二つ目に地域の文化・伝統や青少年の教育、防犯、防災に貢献できる地域のコミュニティの核なんだということ。三つ目に、商品知識とかお豆腐屋さんとか、なにやさんとか、多彩な物づくりの職人の集積地、集まっている所なんだということ。四つ目に、地域の経済の循環、地元商店でお買い物をするとか、そこで動いたお金がまた地域で還元されるということです。大型店で買うと、全部中央集中型で吸い上げられてしまうので地域に還元されません。
 街や地域に欠かせない商店街、そういう位置づけをはっきりさせながら、その大切な商店街が重大な危機にあるということでは、その再生のために必要な総合的な対策を打たなければいけないという立場なんです。都市計画の調整だけでなくて生産とか卸とか小売りとか、流通の取引などの不正をただして、大規模な大型店の身勝手なやり方を許さない、公正な取引のルールを作ることも位置づけて取り組もうと提言しています。

○提言への反響
 この提言を持って回ると「本当にそのとおりだ」というような声があっちこっちから寄せられています。各地でいろんな動きが出ています。例えば街づくりに対する要望ということで日本商工会議所と全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会の四つのところが出した要望ですね。すごく大事なことが書いてあります。
 一つ目のところをみますと、大店法を廃止するときに3法一体として活用すれば大型店の立地調整をふくむ街づくりに支障はないと説明されてきたが、しかし、実際には機能していないと書いてあります。二つ目のところでは、都道府県知事に大型店の集客施設について調整をする権限がないために、どんなに中心市街地活性化に努力しても、隣接市町村に大型の集客施設がつくられるとその努力が水の泡になってしまうということが書いてあります。三つ目に、住民の人たちは購買上の便利さだけでなく、歴史や伝統、文化を兼ね備えたなかで安全に安心して暮らせる社会を望んでいる、少子高齢化の中で特にそういう考え方にたった街づくりがいま求められているんじゃないかということも述べて、機能してこなかった3法については見直しをすべきではないかと書いてあります。
 こういう商業者のみなさんを中心にした声があがっている中で、国会でも議論が始まって、商店街や地域への大型店の影響が否定できないということになって、見直しをめぐっての議論がされています。また審議会で審議がされていますが、大型店の人たちの意見をそのまま受け入れるということはなかなか簡単ではないが、いずれにしてもこのままではダメじゃないかということでは、審議、議論がされているわけです。

○大型店の問題−大型化、郊外化、深夜営業、撤退など
 次にお話ししたいのは現在の大型店の問題の特徴は何か、各地のたたかいはどうなっているかということです。
 大型店立地法のもとで出店のラッシュが続いています。今や大型店同士の激しいたたかいになっていて、同じような系列の店が出てきてお互いに引っ張り合うような事態です。北海道ではダイエーの9店舗、マイカルも破たんして撤退だという話になってきていて、ダイエーについては丸紅が支援して再建することになっていますが、大型店自身が出店したところから撤退することが起こっています。
 新規出店でいいますと、全国的には5年間で2292店、北海道は4年間で100件近い、しかも面積では、かつては1万平米を超えると大きいといっていたのが、いまは3万とか4万とか5万とかの大規模になっています。道内は、苫小牧のイオンは4万2585平米、三笠のショッピングセンターは2万2千平米を超えているわけです。
石狩市の緑苑台ショッピングセンター2万5千平米で、道内には11から12件のイオン進出の予定があるんです。軒並み2万とか3万とか、こういう規模で作られてきています。大型店が占めるシェアも全道では55.4%で、特に岩見沢は70%です。苫小牧が一番高く9割です。
 設置する場所も、郊外型とか工業跡地だとか公有地への立地ということが加速され、深夜営業も三笠は24時間です。2003年くらいまでは、深夜営業は4割くらいだった。それが1年経ったら7割も深夜営業をやるとなって、すごい勢いです。
 それから撤退問題ではどうなっているかというと、出店から10年後はわからないという話で、10年間で採算がとれなければ撤退する。はなからそういうことで儲けをあげて後は出ていくというスタイルですね。ですから建て方も建物に全然金を使わないでバラックみたいな、柱をぼんぼん立てて壁もないフロアーの所に品物を並べて置いておくなど、金をかけないでいつでも撤退できるというスタイルになっているわけです。
だから、地域と共存共栄するとか一緒に街づくりする気は初めからないわけです。
 売り上げでは8年連続で減少です。こうした大型店で平米当たりの売上高は、90年代90万円だったのが今は70万円台にじりじり下がっています。商店街が大きく変わり、90年代には全国で商店街の数が1万8千余あったが、今は1万2千まで下がっている、大型店の郊外化ということで中心商店街の空洞化という問題もあるわけです。

○各地のたたかい
 こうした状況に対して黙っていたわけではない。各地でいろんなたたかいが起きています。計画の段階から撤退させる、止めさせるたたかいもあります。例えば茨城県の水戸市にメガウォールという巨大な商業施設が計画され、東京ドームの1・5倍、開発業者と暴力団が結びついているということがわかって、議会でとりあげてやったことが大変なことになって計画がストップされました。
 条例をつくって調整していくという例が最近でていますが、これはすごく大事なんです。例えば福島県は、県自身が出店については広域的に調整するための条例案をつくって、ゾーニング、土地の用途の設定を積極的に支援し、計画については業者が県に届けて立地する市町村の意見を聞いて県として適当かどうかと表明する。大型店の地域への貢献を引き出すためにマニフェスト・政策を作らせて届け出を要求する。そんなことも含めて事前にチエックもするし不適切であれば直させるようなことができるような条例をいまつくろうということで検討しているところです。検討でまだ実施はされてないんですけれども、すでに市町村段階ではつくってきているところがあります。
 北海道としてはできていないが全道各地で起きている問題だけに、そういう機能を道自身が調整してやれるようにしていくことは、本当に大事な問題になっています。この間、苫小牧でもイオンが出店し、最初24時間やるのかと心配しましたが、イオンに直接のり込んで交渉すると24時間はやりませんと約束しました。これから苫小牧の商店に影響が出てくると思っていますが、直接向かって発言することも大事だと思います。

○ 小売商業調整特別措置法(商調法)
 商調法という法律は商業を調整する法律なんですが、最初のうちはこの法律はなかなか使えなかったが、この間の度重なる国会審議を通じてこれが活用できるという答弁がでてきています。京都だとか具体的に商調法の問題でそれに基づいて成果をあげているので、そういう流れの中で活用できるということになってきています。これもこれから知恵のだしどころです。三つ目は、この先どんなふうにルールをつくっていくのかということですが、その地域、地域で違いがありますから、その地域にあったものを考えていかなければならないということでは、住民のみなさんがよく議論していただいて、話し合ってつくり出していくことが大事だと思います。
 その際の大事な視点の一つは、出店したり撤退する場合のルールの確立とにぎわいのある商店街と地域の主人公である住民が暮らしやすい街、住み続けられる街を望んでいるわけで、そこに中心を置いて、どうしても出店をしたいというのであればすぐ撤退ということではなくて、少なくとも30年はいなければダメだと、それで地域の人たちと一緒になって共存共栄でやっていけるような、協力して活性化のために力を出していけるような、そういうことを約束させていくとか、そんなものをつくっていく必要があります。
 それから、商店街自身が公共の財産で、高齢化社会に対する対応、努力も必要ですし、アセスメントの義務づけ、自治体独自の条例もつくっていくし、それを尊重していくことが必要だろうと思います。開発の規制というのは、実は狭い地域だけでみていると、相手が大きすぎてどうにもならないというような感覚になってしまうのですが、実はこういう異常な状況は日本だけぐらいで、世界で見ますと開発規制は世界の趨勢になっていることをしっかりと受け止めておく必要があります。
 フランスやイタリア、ドイツ、アメリカでは、どこでも深刻な問題が出て、改善もされて、ちゃんとルールが確立されてきてるんですね。この流れを日本の中でもつくっていく必要があります。
 街づくり3法の見直しでは、大店立地法の自給調整禁止条項の撤廃ということを含めて、審議がおこなわれていて中間答申をこの夏に出される予定で進んでいます。国会の直近の質問でいいますと、4月18日の参院決算委員会で日本共産党の小林美恵子議員が質問して、中川経済産業大臣が答弁しています。「今の法律は、大型店の規制という前提に立っていない、面積規制法の目的の変更も含めて検討しなければならないし、検討しているところなんです」と答弁が出てきているんです。
 全国で問題が噴出し、全国で運動になっている。それだけにいまは大事な時期だと思います。法案の見直しもしようといわれている中ですので、ぜひとも現地から提案をまとめて、こう変える必要があるとぶつけていただくことが大事だと思います。いろんな圧力もあるし、そう簡単ではないと思います。みんなの力で大切な商店街、街づくりと言うことで力を合わせなければ行けないと思います。
そのために私たちもがんばりたい。
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