日本共産党参議院議員 紙智子
お知らせプロフィールご意見私のスケッチブックホーム

活動日誌
掲載記事
国会質問
この人と語る
食と農
北海道・東北
リンク

















HOME北海道・東北>東北草の根シンポ・パート2「コメ・農業を守る道」

2005年12月25日
東北草の根シンポ・パート2「コメ・農業を守る道」
秋田県湯沢市
紙智子発言要旨「食の安全と食料主権」
○BSE発生で浮き彫りになった「食の安全」の危うさ

 2001年9月10日は忘れられない日。まだ7月の参院選で上がってきたばかりでした。はじめてBSEが発生した日で、次の日早速閉会中でしたが国会に行き、農水委員会の委員長に審議を行うよう要求しました。それが初質問になりました。
 BSE問題は国民に衝撃を与え、牛肉が売れない、敬遠される状況が広がりました。政府の対応も後手後手だったこともあり、不信感が増し、生産者、肉屋さん、焼き肉屋さんに大きな打撃を与えました。27歳の獣医さんが自殺する痛ましい事件も起きました。毎回の委員会で審議が行われたわけです。
 全頭検査、検査前の危ない国産牛肉が出回らないように買い上げなどがされましたが、これを悪用する業者が出て、国民の不信感がまた高まりました。雪印、日本ハムなど大手企業の事件も明るみに出、これは、対象外の肉、輸入肉を買い上げさせ、不正に税金を使った犯罪です。ハンナンは、対象外の肉だということの証拠隠滅のため、さっさと焼却してしまいました。これができるのは、農水省との癒着がなければできないでしょう。
 その後、輸入ホウレンソウの農薬残留、鳥インフルエンザが次々に問題になり、国の危機管理のあり方、食の安全、農業のあり方、政治のゆがみなどが問われることになりました。
 まず、行政の危機意識の欠如があり、次に経済効率優先が明らかになりました。乳量をあげるために、BSE発生の原因になる肉骨粉が使われ、鳥の飼育も今や何万、何十万羽に巨大化し、まるで機械工場です。いったん病気になれば、一気に大量死につながります。さらに食料の大量輸入依存でいいのか、ばれなければいいという企業のモラルの重大な問題などが浮き彫りになり、これらはそれぞれ解決が迫られる課題です。
 食の安全を脅かす大元に、食の安全より財界やアメリカの要求でことを決めていく政治のゆがみがあります。アメリカにBSEが発生し、輸入再開に向けた協議が行われていますが、そしてこの10月、一定の条件が満たされればと、輸入再開の合意が行われ、その結果、日本の全頭検査の見直しがやられようとしています。
 私は、先の臨時国会の予算委員会で小泉首相に質問しました。20ヶ月月齢以下の牛は検査しなくていいとなるとアメリカの牛の多くは検査なしに入ってきます。ところが国内的には(20ヶ月以下も含め)全頭検査してもよい予算措置が講じられるので店頭には、検査したものとそうでないものとが並ぶことになります。二重の基準がまかりとおるのです。そうすると無検査の肉は売れないからとまた、偽装、検査したという偽装表示がでてくるでしょう。また消費者の信頼失墜がおきます。
 私はまた、アメリカ肉の20ヶ月とは何で決める、骨格や肉質で決められるのか、小泉首相に「(そういう方法は)科学的か」と聞いたところ「専門家でないからわからない。専門家が決める」と答えたのです。ではなぜ、その前に輸入再開を合意・約束したのか、アメリカの要求先にありきではないか。こういう政治を変えていくべきです。

○「食料主権」について

「食料主権」とは、すべての食料、農業政策についてそこの国民が決定する権利が保障されること。WTO体制の元、多くの国で農業、食料が大きな打撃を蒙り、食料主権の必要性はいっそう高まりました。ジュネーブの国連人権委員会で採択もされました。日本では家族農業を基本とし、農業政策を国民が決定していくことが重要です。
 わが党の二十三回党大会では、「農業の全分野を一律に貿易自由化の対象にするやり方をあらため、日本のコメなど各国の食料自給で中心的位置を占める農産物を輸入自由化の対象からはずし、各国の「食料主権」の確立をめざすことは、国際連隊の重要な課題になっている」と明記しています。
 WTO交渉は、1999年のシアトルでは決裂。その後、2001年のカタールのドーハにつづき、03年のカンクンでの閣僚会議でのおおまかな枠組み合意ができましたが、WTOについては、各国国民のきびしい批判がおきています。
 こうしたWTOの遅れを背景に二国間で自由貿易を推進するFTA(自由貿易協定)の動きが強まっています。わが党は、先のメキシコとのFTAに反対しました。よく両国の条件を考慮してやるのならいいんですが、自動車等工業製品の輸出促進のために、農産物の半分の関税を撤廃し、農業への打撃を必至にするものでした。しかもその影響を十分調査もしていていない。これから韓国やマレーシア、インドネシアなどと相次ぐでしょうが、それぞれの協定の内容によって、農業など産業への影響をよく調査もし、それへの対応などよく対策を考えて対応を決めるべきです。

○自給率の向上と農業の再建を

 国産の安全なものを食べたいというのが圧倒的な国民の声です。自国の農業政策が、輸入自由化を迫るWTO協定で規制されてしまう。そんないまの協定を改定し、自給率向上を実現できるものにしていくこと。生産者と消費者が連帯して、日本の農業、国民の食を守っていく運動を大きくしていきましょう。
ページトップ▲