日本共産党参議院議員 紙智子
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2005年5月3日
2005憲法を語ろう道民集会
主催・2005憲法を語る道民集会実行委員会
共済ホール(札幌市中央区)にて
 集会参加のみなさん、おはようございます。日本共産党参議院議員の紙智子でございます。 私は、憲法をめぐって、いま国会でどのように議論され、どういう現状にあるのかということを報告し、みなさんとごいっしょに、さらに国民的な大きな運動に発展させて、改悪を阻止するために力を合わせたいと思っております。

 衆参憲法調査会の報告

 四月一五日は衆議院、二〇日は参議院で、この五年間おこなわれてまいりました憲法調査会の報告が議決されました。憲法調査会というのは、もともと二〇〇〇年一月に、日本国憲法について広範かつ総合的に調査をおこなうということを目的として、調査に限定した機関としてつくられたものです。ですから、なにか一定の方向をもたせるというものではなくて、その役割が終われば静かに幕を下ろすというのが自然です。
 わが党は、日本国憲法のすぐれた内容、そして九条が国際社会の中でいかに大事な役割を果たしているのか、この実践が大事であるという立場からこの憲法を議論し深めていこうということで関わってきたわけです。
 そしてこの五年間、多くの有識者のみなさんが入れかわり立ちかわり国会に来られて、そこで貴重な意見をお話になりました。その中には、草案のときに関わったベアテ・シロタ・ゴードンさん、あるいは評論家の加藤周一さんも参考人として意見を述べられました。
 本来、そういった豊かな中身を反映させなければいけないのに、それはせずに、報告のまとめにあたっては、改憲勢力の側が意図的にこの調査会の中身を改憲に結び付けていこうという形で、やらないことになっていた論点整理をや
ってきたわけです。
 参議院の報告書についていいますと、憲法の改定を前提にして、一つは共通の、またはおおむね共通の認識が得られたものという分け方。二つ目は改憲の方向性が趨勢である意見。三つ目は、主な論点のうち意見が分かれたもの。こういう三つの区分を出してきたわけです。
 もともと、こんな分け方も、すべきではない。もともとの趣旨にも外れているということで私たちは抗議し反対してきたわけです。
 この中で、憲法九条については、九条二項の改正が必要か否か、あるいは集団的自衛権を認めるべきか否か、自衛隊の憲法上の明記をどうするか、国際貢献の憲法上の明記についてどうするか、というような意見をめぐっては、改憲の方向性が趨勢であるというなかに入れたかったわけですけれども、さすがにそこには入れることはできなかった。
 しかしながら、引き続き改憲の足掛かりをつけようというねらいがあることはハッキリしているわけです。しかも「憲法調査会において引き続き議論を続けるべきだ」ということを最後に項目を追加して、国民投票制度の改正手続きの議論を続けるようにということにしたことも本当に重大でゆるせないことです。

 運営をめぐる大激論

 私がみなさんに知っていただきたいことは、これが淡々と来ているわけではないんだということです。運営をめぐっては幹事会というのがあって、各党がそこに参加して毎回のように運営をめぐって議論するわけです。
 わが党もそこに参加して侃々諤々の大議論をやってきているわけですけれども、当初、事務方がまとめる方向についても、その結果と経過について淡々と示すのはいいが、それを歪めるようなことは絶対やってはいけないということを言ってきたわけです。
 ですから当初、事務方がまとめた中身についても、たくさん意見を言って、かなり修正したものが出てきたわけです。
 これはまだ途中の段階のものですから、本来は公表しない文書です。出ていくはずがない文書が、どういうわけか、流れていって、ある新聞社の筋からクレームがつけられた。
 「あいまいな表現だ。メリハリがない」。こういう批判がガンガンと寄せられたわけです。
 それ自体もゆるされないことですけれども、そういう中でメリハリをつけようと与党の側から再提案される。即座に民主党がメリハリをつけることには私たちも賛成だという形で、さきほども言いましたように、三つの区分けということになって出てきたわけです。
 幹事会の中では、そのつど激論が交わされました。その中で、たとえば「おおむね一致」というけれども、いったい何をもって「おおむね一致」なんだ、どの党が一致しているんだというようなことなど、憲法議論はさまざまな項目がありますから、それをめぐって、「おおむね」ということについて聞いたところが、自民、公明、民主が一致しているから「おおむね」なんだという答弁が返ってくる。
 議論は、さきほども言いましたけれども、多くの人が参加していろんな意見を述べられたわけですから、こんなふうに政党の賛否だけで「おおむね」なんていうことは本来言うことはできないはずです。さまざまなやりとりの中で、各党の動揺も示されました。
 最終段階になって、憲法調査会に公明党の幹部が出てきて、「わが党は加憲の立場だけれども、しかし憲法の九条一項二項は維持すべきだという立場です」ということを、わざわざ言いに来たのも、そう言わざるを得なくなってきた。ここのところを私は見ていただきたいと思うんです。

 国民の声を反映して

 そこには、やはり国民のみなさんの中での憲法をめぐる議論、国民の声と運動が反映していると思います。この間、全国で「九条の会」がつくられ、燎原の火のように広がる。さまざまな人たちが参加して、戦争を体験された方は、自らの体験を通して、二度と同じ過ちを繰り返すわけにはいかないんだ、体を張ってこの問題ではがんばりぬかなきゃいけないということでがんばっておられる、さまざまな人たちの参加が広がってきているということも影響を与えているということも見ていただきたいと思うんです。
 敏感に国会の審議の中にも、そうした国民のみなさんの声が反映されていくということです。いま、たとえば国民投票法案をめぐって三党は、秋にもまとめたものを出してくるということが先んじて既成の事実のように報道では流されているわけです。
 この問題も、たしかに自民党の憲法調査会の会長の呼びかけで、自民党、公明党はお互いすり合わせをしているわけですけれども、民主党も含めて、担当者レベルの話し合いをいますすめてきていますし、国会法を改正して衆参両院の憲法調査会に法律の審査権を与えて、そこで国民投票法案を審議して成立に結んでいこうと、そこにねらいがあることは明らかです。
 しかし国民投票法が必要になるのは、これは改憲しよう、憲法を変えることがどうしても必要なんだという国民の中での認識が広がっているときだと思うんです。いま、憲法改定について国民のそういう合意があるでしょうか。そういう状況ではないと思います。
 なぜいままで、そうした国民投票法をめぐって国会の日程に上ってこなかったのかということでいうと、むしろ国民の側が、自民党などの改憲のたくらみを抑えてきた。そこまでいかないあいだに止めてきたということもあると思うんです。何のために憲法を変えるのか。そのねらいは、戦力をもたないことを規定として掲げてきた九条二項を取り外して、軍隊をもってアメリカとともに海外で戦争できる国にしていく。そこに真のねらいがあると分かったときに、多くの国民が、それで賛成するかということです。 いま真のねらいが分かりはじめてきているからこそ、「九条の会」があちこちで広がってきているのだろうと思います。

 世界に信頼される国に

 ですから、このあとのたたかいは、私たちが、いかにしてそういった国民の世論と運動を広げていくかということにかかっていると思います。 日本国憲法は、フランスの人権宣言やアメリカの独立宣言・憲法、こういう伝統的な自由権に加えて、憲法の二五条から生存権の規定をおいて、世界的にみてもすすんだ人権宣言の中身とも言えるものです。
 そして憲法は、侵略戦争を反省し、二度と再び戦争をしないと、世界に公約したものでもあります。九条を改定することは、いわばこうした世界に向かって公約してきたことを破棄することに等しいと言わなければいけません。そのことがどれだけ、アジア諸国の人々や世界の人たちに、日本に対しての信頼を失われることになるか。そうさせてはならないと思います。
 日本がアジアにおいても世界においても信頼される国になるためにも、侵略戦争を真摯に反省し、憲法九条を守る、それが国民の願いなんだということを示していくことこそが、その回答になると思います。
 きょうの記念日にあたって、みなさんといっしょに決意を新たにしてすすむことを決意いたしまして、国会からの報告にしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)    (かみ・ともこ)
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